神樹のアンバーニオン (3) 絢爛! 思いの丈!

芋多可 石行

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合神!超思重合想!!

募る思い重ね重ね云々張りあっちゃうよ!


双 撃 慈 龍 剣 ジェムオン バジークアライズ!!」


 ギバドを殴り飛ばしたギガミネンスアンバーニオンは、続け様に胸を張りながら両肩の琥珀柱に両拳を叩き付けた。
 そのソリッドな音は双方の琥珀柱の合間で音叉のように共鳴し、頭上に二つ巴紋どもえの魔方陣を現象させる。
 ギガミネンスアンバーニオンは魔方陣の内部から二振りの慈龍剣バジークアライズをそれぞれ引き抜き抜くと、霧散して消えた魔方陣の粒子が煌めくその場で二刀流の構えを決める。

 かつてアンバーニオンが装備した場合には、身長よりも巨大な大剣だったバジークアライズも、ギガミネンスアンバーニオンが構えてしまえば小回りの効く小太刀のように見える。

 対するギバドは怒りの形相でその果たし合いを受けて立つや、親指だけをを立てた拳を眼前で水平にぶつけ合う。
 するとぶつかり合って潰れた双方の親指の隙間クラックから、光線のような光がほとばしる。

「!?!」

 迸った光は竜巻のように回転しながら伸長し、巨大な光線の研磨ドリルが拳の上に突き立った。

 ギャゴオオオオオオオゥ!!

 二刀流vs二刀流。

 ギバドが足下の岩石を蹴り飛ばしながらギガミネンスアンバーニオンに迫る。光線のドリルは巻き込んだ空気を圧迫して、常に甲高く軋む音を撒き散らしていた。


 「···思重着想シンクロスインストール!チャンバラメモリー、アーカイブ!!」

 琥珀の玉座となった折子の声と共に着想ちゃくしんするおまけデータ付きの声。それは人間の体内時計で、一瞬の感覚だった。

 操珀パイロット達の剣技に纏わる記憶や経験値が合一学習され、バジークアライズセツコの中で緻密にプロンプト化される。
 神速で纏め上げられた戦闘プログラムはただちに全システムと即共有され、ギガミネンスアンバーニオンに凄まじい応用力を与えた。


 ギャキィーン!キキャギキリッッ!!


 ギバドの太刀筋に対し、正面から重なる双撃慈龍剣。
 ギガミネンスアンバーニオンはギバドの力に沿ってその太刀筋を絡め取り、要所ではガチリと受け止めつつ、受け流すべき力はヌルリと誘導する。
 何度もち合い、ぶつけ合い、いなし合い、互いの剣で防ぎ合う。
 まるで合わせ鏡のように技が交差したかと思えば、我慢比べのように互いの一撃を耐え抜く事もある。
 もはやロボットvs怪獣という事を忘れる程に、人の剣士然とした動き。
 その刹那に訪れた短い鍔競り合いの最中に、至近距離で睨み合う余裕まで見せる両者。



 ···その戦いを、ギバドの体内からモニターしているアルオスゴロノ帝国。
 エガルカノルによる砲撃のどさくさに紛れ、ギバドに観測機器等を取り込ませていたのだ。


「···いいぞ!素晴らしいデータが集まってくる!このまま有用なデータをこちら側へ···!」

 怪しい研究員の一人は、自身の端末に溢れるギバドから集積したデータに触れ、興奮を隠せていない。
 しかし次の瞬間。ギバドは一瞬ボクモス将軍の軽トラを一瞥いちべつする。
 すると助手席にあったボクモス将軍の専用端末と映像レコーダーが、パキンと音を立てて次々と爆発炎上した!

「ブワあッ!?なッ!なんだ!?」



 そしてその一睨みは伝染する。
 エガルカノルのギバドモニタールームに置かれた球体端末の殆どが不調を起こし、その半分も爆発して煙が上がった。

「ぐっ!や!厄介やかれた!?!これはギバドの仕業か?···ま、まさか!ギバドは電子戦も出来るっていうのか?」
「し、しかし、たとえそうだとしても、コレだけのハッキング能力を持ちながら、何故この力を琥珀の戦士ヤツらに向けないんだ?」

 慌てふためく研究員達の姿をまるで他人事のように無視しながら、エグジガンの口角は笑みに歪む。

 フフ···邪魔をするなという事か···もっと面白い事を見せてやろうというに···ギバド···中々面白いおとこだ···。
 
 エグジガンが何故、性別の無い筈の存在をおとこだと思ったのか?その理由は定かでは無い。
 しかしその余計なリスペクトが、エグジガンに余計な計らいを決意させてしまった。
 エグジガンは眼を閉じ、シヅメの意識へとアクセスした。
 



 

 超琥珀神艦ユーラティス ドライヴブリッジ。

 イリーガルビィブァと戦うシヅメベデヘムの体表で、空気が破裂した。

 疑似光機動。進行方向の空気抵抗を一瞬だけ隔絶する、否定の皮膜。

 瞬間最大亜光速的なイメージでイリーガルビィブァに肉薄するシヅメ。
 イリーガルビィブァも、負けじと直感的に反応し、シヅメに拳を叩き込もうとした。
 しかしその凄まじいスピードと圧力の前にイリーガルビィブァの腕は弾かれ、同時にボディへの一撃を許してしまった。
 数百メートル先で足の爪を地面に穿ち、急ブレーキを掛けるシヅメ。オットットと腕を振るいながら振り向くと、イリーガルビィブァはダメージを負った肩を押さえ、シヅメを睨んでいた。
 片腕は目に見えてひしゃげ、所々から緑黒い体液が溢れている。
 だが相変わらず視線には覚悟と闘志が溢れ、シヅメの甲斐を笑顔無く嘲笑っていた。
「ベッ!」
 シヅメは疑似光機動用装置の部品と混ざった血を口から吐き出し、収縮した瞳孔でイリーガルビィブァをギロリと睨む。
 怒りに任せ、最後の疑似光機動を作動させようとするシヅメ。
 しかしそんなシヅメの腹部を貫く、濃霧の白槍。

 シヅメはその威力に連れ去られ、背後の壁に釘付けにされた。
 スローモーションになった視界の中、イリーガルビィブァの横を抜け、こちらに向かって迫り来るガルンシュタエン ティアザの姿。
 だがシヅメは、この圧縮された認識を引き起こした存在の見当が付いていた。

「はぁ···まさかワタクシめなどのトコロにいらっしゃるとは!···お気を病みますぞ?」

 
「シヅメ、この俺が快尊苦嫌かいそんくけん如きで選択肢を渋り、決心が日和る程度のイチ知性だとでも思ったか?」


 シヅメの意識の内側で、エグジガンの声がゴウゴウと唸った。









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