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絢爛!思いの丈!
ゴライゴ·コロシアム
夜明けの海上に、まだ暗い海水の中から浮上した鬼磯目は、しばし黄昏を堪能しつつ目的地へと猛進していた。
!
周囲に無数の気配が群がる。
しかし周囲に集った気配達は鬼磯目に近づいても尚、統率のとれた動きを維持したまま襲撃の意思を示さない。
コティアーシュは警戒を解除し、並泳するガーファル軍団を指揮する者のコンタクトを待った。
「おはようぉ!本当にコティアーシュなのね~?」
鬼磯目の左舷側に浮かび上がって泳ぐ一体の小柄なガーファルが、日本語で彼女に話し掛けてきた。
前頭部にある冠のようなセンサー器官の付け根にある鼻腔が器用に動き、時折そこに被る波をプワプワと吹き飛ばしながら器用に喋っている。
·その声まさか!レミレタ?!
「ウェーイ!おひさーー!」
驚くマーティア。彼女と旧知の仲であろう小柄なガーファルこと、先程まで胡桃下と激闘?を繰り広げていたガーファル隊長レミレタは、鬼磯目が警戒を緩めたのを見計らって更に鬼磯目に近寄った。
?
鬼磯目が纏った宝甲のセンサーの側に薫った違和感。マーティアはその予感に確約性を持たせる為、艦橋上のガスセンサーを一瞬だけ作動させる。
· ···ちょっと!お酒くさ!
「でへへへ~酔っ払いでしゅよ~」
レミレタはわざと体をくねくねとさせながら泳ぐ。
·もー!立派になったねって言おうとしたけどやーメタ!
「さっきは仲間が色々ごめんねー?私の方は少し勝負でさ!···でね!コティアーシュ!ゴライゴ様の命により!我々ガーファル軍団第12部隊はこれよりあなたの護衛任務に入ります!ッウィッく!」
·ぬぅ!ありがとう!でも···
マーティアがそう言い終わるや否や、鬼磯目は航行速度を上げた。それに焦ったレミレタも急いで鬼磯目に並ぼうと速度を上げて追い付く。
「ちょちょっと!お、怒ってるの?」
·ううう!違うのレミレタ!貴団の加勢は大いに感謝します!けどなんか今は燃えてるっていうかなんというか···!
「う!」
レミレタは鬼磯目から伝わる熱血オーラにたじろぎ、僅かにスピードが落ちる。
·レミレタ!ちょっとわかんなくてもいいから黙って愚痴聞いて?!私、当たり前なんだけど色々あった上に娘扱い···娘扱いされてたの!なんかちょっとくやしい!こーなったら!どんな手を使ってでも意地でも振り向かせちゃったりする!好みのタイプはすこーしづつリサーチしてよーく知ってるんだぞぉ!ふふふ···
「ん?···「恋?」」
「!!!」
ガーファル隊長のその一言でガーファル軍団の統率は乱れ、真剣に泳いでいた筈の全員がカクンと一瞬横倒しにコケて軍団全体の泳速が僅かに落ちる。
その時、呆気に取られているレミレタより一回り大きいガーファルが一頭彼女達に近付き、ほぼ唸り声のような巨獣語でレミレタにそっと耳打ちする。
以下一部翻訳。
隊長!ドーナーバが持ち直したそうです!記憶も引キ継ギであると!
!おお、良かったな!
隊長は、お休みになられなくて本当に大丈夫ですか?
泳いでる方が気持ちいいの、「それよりコティアーシュ?そういう事なら···」
「?」
今度はレミレタが鬼磯目に耳打ちするように、顔を船体に近付けて何やらゴニョゴニョと話し掛けていた。
宙に浮かび、ゴライゴを見下ろしているアンバーニオンとNOI Z。
彼らの視線の先、ゴライゴの背負った巨大亀甲型外骨格がブロックごと豪快に移動を繰り返し、みるみるスペースが形成されていく。
「···」
現はゴライゴの変形完了を待つ間に、NOI Zのコックピットでマーティアからのメールを再度チェックしていた。
ゲルナイドへ
もし嫌じゃなかったら
ゲルナイドの能力で
アキサを何処かへ
運んでくれると嬉しいな?
PS
後で中枢活動体のコツ教えて?
そのメールを見ながら脂汗をかく現。
「ね、姉ちゃんまさかっ!!」
その間にも変化するゴライゴの背中。
闘技場。
宇留の脳裏にそんなイメージが浮かぶ。
そのイメージの通り、海上に浮かぶゴライゴの背に直径千メートルを優に超える巨大な円形の闘技場が完成した。
「もうよいゾぃ!降りとくれ!」
ゴライゴの申し出に従い、闘技場の中心に舞い降りて向き合うアンバーニオンとNOI Z。
するとゴライゴの後頭部側、闘技場を見下ろす場所にある外骨格がゴソッと動いて表面が前倒しに開き、内部から巨大な何者かが現れた。
「!」「!」
「よ~ぅ!!皆、改めましてぇ!」
高い所から二騎の琥珀の巨神に語り掛ける龍人のような人型怪獣。
その声は老人口調のゴライゴそのものでありながら、その体幹はスラッと伸びて一切老いを感じさせない佇まいだった。
体格はアンバーニオンより一回り大きく、先端が鋭角的に伸びた外骨格はファンタジーに登場するハイクラスの鎧を思わせる。
そして何故か、黙っていても相手が勝手に戦慄する程の威圧感を伴っていた。
「これがワシの戦闘中枢活動体、ゴライゴ·リパレギレムじゃ!」
その場で一歩踏み出し片足を段差に乗せるゴライゴ·リパレギレム。
背面腰部から引き出され伸びた尾のような太い管は、どうやら本体に直結しているようだ。
「!ーーーーー」
もしこのゴライゴと戦う事になったら···
宇留はわかっていても、あり得ない想像を巡らせ、たじろぎそうになった。
だがそんな宇留の想いを知ってか知らずか、ゴライゴ·リパレギレムは相変わらず緊張感の無いセリフで宇留に語り掛ける。
「宇留よ!こりゃあれじゃよ!昔のゲームとかでボスを倒すと中から出てくるコアボスいるじゃろ?あれじゃよ!アレアレ!」
「···あっ!あ~~!なるほどー!アレ!あはは!」
たったそれだけの例えで、宇留の肩から力が抜けた。
ヒメナはロルトノクの琥珀の中で合点がいったようにポンと拳を手酌に受け止め、現は呆れたように目元を覆う。
緊張感がほどけた所で、ゴライゴ·リパレギレムはスパーリングの条件を提示する。
「二人共、全力は出しても手加減も忘れぬ事。勝ち負け以外に先に修羅場った方も負けとする。何事かあればワシが間に入る以外は戦闘スタイルは自由!よいか?」
「「はい!」」
一切のタイムラグ無く、同時に答える宇留と現。
構えて向かい合うNOI Zと片柱のアンバーニオン。
宇留はポケットから龍剣山神社のお守りを取り出し、お守りを握った手を眉間に当てて想いを込める。
アンバーニオンが残った片方の琥珀柱を掴んで外し、上空へ放り投げると同時に駆け出した。
「!ーー」
それに合わせてNOI Zも間合いを詰める。
「ーー!」
ギャキィィィン!!
琥珀の巨神達は両手を組み合い力比べをしながら、お互いの顔をごく至近距離で突き合わせてその場で睨み合った。
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