竜の契約者

ホワイトエンド

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1章 魔王と勇者と姫

第16話 正直に言うと

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満面の笑みを浮かべているフィリアに対して少し目を逸らしながら気になっていたことをニイは聞くことにした。
「で?フィリアはこれからどうするつもなんりだ?」
「え?」
「いや、フィリアお前今、家無し、行く当て無し、金銭とかも無いだろうしなんにもないから人生詰みかけてるぞ?」
「......................................................................あ.....!?」
まさに今気づいたかの様子で表情が満面の笑みから青い顔へと変わっていった。
「ど、どうしましょう私生まれつきお城での生活でしたから働き方も分からないですし、そもそもその内指名手配されるでしょうからまともに働けなくなるのも時間の問題ですし.....」
「取り敢えず落ち着け。焦ってもいい案なんか.....」
「あ!それでしたら勇者様.....じゃなくてニイ様私を雇ってくださいませ!」
「は?」
「私これでも家事などは花嫁修行として身につけているんです。よ、夜のことはまだまだ修行不足ですが私の全てを貴方に差し上げますのでどうか雇っていただけませんか!」
フィリアは目をぐるぐると回し混乱の局地にあるような状態でとんでもないことを言い始めた。そんなフィリアにため息をつき、
「いらん。」
拒否した。
「うっ.....そんな.....私、役に立ちますよ?洗濯も魔法を使わずとも出来ますし、料理も料理長からお墨付きを貰ってますし、裁縫も出来ますし、夜の営みはまだ知識も足りませんし実際にやったことはありませんが私ならそれでも殿方は喜んでくれると言って貰いましたし、それと......」
「そんなにアピールしてもいらん物はいらんしなぁ.....」
焦って自分を本気で売り込んでくるフィリアの対して本気で興味が無さそうに返すニイ。言葉を続ければ続けるほど涙目になっていく。それでも変わらないニイの表情に絶望し始めていると頭の中にぶちギレたかのような声が響いてきた。
『な、なんということをしているのだ汝は!』
「なんだ、起きたのか、終わるまで眠ってたら良かったのに」
『これほどの大事態に起きぬ男はおらぬわ!
世界最高レベルのビジュアルに性格おまけに家事万能。それが自分から使用人にしてくれと頼んでいるのだからお願いすれば良いだろう!?それを汝は「いらん」の一言で拒否するだと!?恥をしれ、恥を!そのようなシチュエーションにならん、希望してもなれない者が何人いると思っているのだ!それを汝は!「あの魔物達が世話とかはやってくれるだろうし人間連れて変えるのもなぁ」だと?美少女にやって貰うのが良いのだろう!?』
「お、落ち着けよ.....」
『まだ終わってないぞ!』
「はい.....」
「私は.....どうすれば.....」
その後約1時間ほどこの話は続いた。
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