竜の契約者

ホワイトエンド

文字の大きさ
上 下
39 / 418
2章 捕らわれと解放

第33話 待ち時間

しおりを挟む

会議が終わった後、ニイ達は屋敷へと戻ってきた。
「帰ったぞ。」
「え!?お、お帰りなさいませ、会議だったのでは?」
「う、あああれか。えーとな」
『簡単に言えば今は結論が出せぬから解散したのだ。事情が分からぬまま話し合いだけしても意味はないしな』
「ま、そーいうことだ。」
「そ、そうだったのですか……」
「って訳準備してこい。出掛けるぞ」
「え?」
「約束どうり行こう。」


十数分後

「フィリアの着替えはまだ終わらないのかよ。」
『女性の着替えとはこのようなものだ。』
「そうでございますよニイ様。そのようなことも分からず女性をエスコートするつもりで?」
「マリウスまで……」
マリウスはニイが隠れ里に住み始めた後ニイにいくらかの王として必要なことを教育係として教えていた。それ故にそれなりにニイに対してはいくらか辛辣なことも多い。がニイにとっては人間でおる自分のことをしっかりと見てくれていることが分かるので悪い気分はしなかったりしている。
「特に今日はキューアが張り切っていましたからね余計に時間がかかると思いますよ。」
「レルトの言う通りですね。ここで待つのも男の心の広さの証明ですよ。」
「はぁ……」
レルトは体の大きなオークだ。ニイ達が170cm位の身長なのだがそれの軽く1.5倍位の高さである。性格は争いを好まず争いをするくらいなら自分が引くというくらいである。だがひとたび必要となれば持ち前の体格を活かし皆の盾となる頼りになる男である。
昔オークの群れから弾き出され一人でいるところをファルーグに拾われ、料理の腕を買われこの屋敷に雇われたのだ。
「おっ待たせしました━━━━━!!!!!!フィリアちゃんのお着替えアーンドお化粧終わりました━━━!!!」
そこでテンションがかなり高い状態で部屋に入ってきたのはキュアだ。
本名アキュア・バース、皆には親しみを込めてキュアと呼ばれている。顔は童顔でありながらもそれに釣り合わぬ豊満な体を布面積少なめの服で覆っている。種族はサキュバス、だが初心でニイやマリウスどころかレルトの上半身裸を見ただけで顔を真っ赤にして倒れてしまう。
サキュバスは人間や魔物のエネルギーを吸収して生活しているのだが彼女はレルトとマリウスに交互に手を1日一時間触らせて貰うことで生活している。彼女もレルトと同じく群れから離れたところをファルーグに拾われ、裁縫担当として雇われている。
「ようやくか待ちわびたぞ。」
「ニイ君はもう少し心に余裕を持たないとこれ以上は持てないよ?」
「皆して俺を待てる男にしたいのかよ……」
『必要なことだからな。』
「はい。」
「そうですね。」
「そうだね。」
「そうか……」

屋敷の魔物達の謎の結束力にちょっと疎外感を覚えたニイなのだった。
しおりを挟む

処理中です...