竜の契約者

ホワイトエンド

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3章 妖精と勇者の剣舞

第59話 ニイの教育の腕

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昼食を終わらせた二人は訓練に戻ることにした。そしてミーリアはそれを少し見ていくことにした。
ある程度時間が経った頃、ミーリアが口を開いた。
「フィリアさんちょっといいかしら?」
「はい?なんでしょうミーリアさん。」
「もしかしてフィリアさんって攻撃するときの動きって我流?」
「はは…はい。私、護衛術以外教えられてなくて……訓練しながらうまくやってる感じです…」
「成る程ね。どうりで無駄な動きがかなり多い訳ね。」
「うっ」
「確かにそこを私に突かれてるような感じだもんね、フィーちゃんって。」
「ファルーグ様さえ許してくれるならニイ様に教えていただこうと思ってはいるんですが…」
「ファルが頭固いのよね。」
「うーん…」
少しそこで苦笑いのような顔をし始めるミーリア。
「どうしたのミーちゃん。」
「いやあのね、私最近勇者様が戦い方を教えてるのを見たんだけどね。」
「そうなんですか!やっぱり分かりやすかったですか!」
「いやいやその真逆ね。勇者様、自分で戦う分は良いけど教えるのには一切向いてないわ。」
「あー、天才には凡人の気持ちが分からないとかそういう感じ?」
「どちらかと言えばどう言ったら教えられるんだろう、って分からなくなってる感じよ。」
「同じなのでは?」
「自分が言葉で教えられてないから言葉に出来ないって言ってたわ。」
「あっ……そう、でしたね……」
「私だけなんか知らない感じかなこれ。」
「あまり聞いてもいい気持ちはしないから聞かなくていいとは思うわよ。」
「ならいいや。私にとってニイ君は勇者君じゃなくてニイ君だしね。」
「成る程そういう感じ方なのねあなたは。」
ようやく知りたかったことを知れたかのような顔をするミーリア。
「さて、剣術についてなんだけど私がいくらか教えられるとは思うわ。」
「え!?ミーリアさんいいんですか!」
「私は元々剣士としても魔法使いとしても戦えるように教育されてるからね。勇者様程では無いにしても中々強いとは思うわよ。」
「それならよろしくお願いします!」
「え、ええ。よろしく」
「ありがとうございます、ミーリアさん!」
「フィ、フィリアさん、あなたのためではなくてあくまでも勇者様の為ですからね。分かってますね!」
「はい!私はニイ様の為に強くなりたいので間違ってないですね!」
「そ、それじゃあ早速始めますよ!」
「はい、ミーリア師匠!」
「師匠!?…響きは悪くないかも……」
「ふふ、二人とも仲良くなったね。」

こうして元王女と教団の上級精霊の師弟関係が誕生した。
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