磁性体の粉末を混入したプラスチック

ヤマシヤスヒロ

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磁性体の粉末を混入したプラスチック

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 「大津くん、これ大変よね。海岸の近くでマイクロプラスチックごみを拾ってるのよ」
 と友子は、テレビを見ながら、大津君に言った。
 「小さなプラスチックごみを一つ一つ拾ってるの」 
と友子は言った。 
「そうだね。こりゃ大変だよね」 
と、大津君は、やはりテレビを見ながら友子に言った。
友子は、続けて、
「大津くん、何かいいもの考えてよ」
と、大津君の顔を見ながら、真剣な声で言った。
「うん、そうだね」
と、大津君は、言った。
 友子は、大津君が週3回行っている大学の研究室の1年先輩で、おとなしくまじめな大津君が気に入っていて、ときどき、大津君を自分のマンションにさそって、コーヒーをいっしょに飲んでいた。
 その日も、友子のマンションで、2人で、コーヒーを飲みながらテレビを見ていたのである。
 次の日、大津君は、助手として働いているサンエイ科学研究所の自分の席で、パソコンに向かって書類を書いていた。
 この日は、コーヒータイムになっても、大津君は、コーヒーを飲みに来なかったので、所長の市山博士は、大津君の席に行って、パソコンの画面をのぞきこみ、
「なんか、おもしろいことを考えついたのですか」
と市山博士は、ニヤニヤしながら、大津君に言った。
「そうなんです。実は、昨日、テレビでマイクロプラスチックごみを一つ一つ拾っているのを見ていて、先輩に言われて、何かいいものを考えてほしいと言われて、考えてたんですが、ちょっといい方法を思いつき、今のうち、書類に書いているんです」
と大津君は、市山博士の方に向き直って、言った。
「どのような方法を思いついたんですか」
と市山博士は、ニコニコしながら大津君を見て言った。
「磁性プラスチックです」
「プラスチックを製造するときに磁性体の粉末を混入するのです」
「これから製造するプラスチックには、すべて、磁性体の粉末を混入するようにするのです」 
「そうすれば、プラスチックごみは、すべて磁石で集めることができるのです」
「手で、一つ一つ拾う必要がなくなり、電磁石を用いて集めることができるようになるのです」
と、大津君は、市山博士に説明した。
「それは、いいアイデアだね」
と市山博士は、大津君に真剣な顔で言った。
 市山博士は、大津君に、言った。
「大津君、じゃ、その磁性体の粉末を混入したプラスチックの特許明細書を書いてください」
「そして、特許出願するんだ」
「さっ、続けてください」
と市山博士は、言い、
「はい、分かりました」
と大津君は、言い、自分の席でそのまま、パソコンに向かって、書類の続きの作成を始めた。
 こうして、サンエイ科学研究所のコーヒータイムは、終わりました。


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