物質転送装置

ヤマシヤスヒロ

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物質転送装置

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「こわれたかな、この電子レンジ」
と、一人暮らしのまさおは、独り言を言いながら、冷蔵庫の上に置いてある電子レンジを見つめていた。タイマーをセットして、スイッチを入れても、うんともすんともいわなくなってしまったのである。
「しょうがないなー、新しいの買いに行くか」
と、独り言を言いながら、まさおは、パソコンで電子レンジの値段を調べた。
「12,980円か」
「これにしよう」
と、まさおは、駅前にあるダマヤ電機のホームページを見て、安いのがあったのを見つけて、さっそく買いに行くことにした。昼過ぎのことである。
まさおは、お財布の入ったカバンを持って、マンションの鍵をかけて、出かけた。まさおの住んでいるマンションから駅まで歩いて10分ほどである。
まさおは、ダマヤ電機に行く前に、銀行で2万円おろし、ダマヤ電機に行った。
まさおは、エスカレーターに乗って、電子レンジが売っている3階に行った。いろいろな電子レンジがそこには、並んでいた。
「これ、安いな-」
と、まさおは、思い、電子レンジが並んでいるところに、一つだけ、6980円というものがあるのをみつけた。
それには、他の電子レンジとは、少し違っていて、MTAとラベルが貼ってるけど、
「まあ、いいか、これにしよう」
と、まさおは、独り言を言い、近くにいた店員さんに、
「これ、ください」
と、言って、レジのカウンターに行って、送り先の自分のマンションの住所を記入し、6980円を支払って、購入した。
 次の日、ダマヤ電機で購入したものが届いた。
その箱には、「MTA」と書かれ、「Material Transfer Apparatus」と書かれていた。
箱を開けると、「物質転送装置」と日本語でも書かれている説明書が入っていた。
「あれ、電子レンジじゃないのかな」
と、まさおは、独り言を言いながら、説明書を開いて読んでみた。
「世界で初めての超小型ブラックホールジョイントを用いた物質転送装置」
「サンエイ科学研究所の所長の市山博士は、ブラックホールの研究を行っていて、重力が空間を曲げるということを応用するために、ブラックホールを、ある物質を超高圧で圧縮することにより、超小型のブラックホールを作り出し、その超小型のブラックホールにより、空間を曲げ、ある場所と、遠隔の場所を接続するジョイントを開発することに成功した。
 そのジョイントの設定ダイヤルを、接続したい場所の緯度と経度と高度を設定することにより、その設定した場所に空間が接続されるというものである。
 この物質転送装置は、超小型ブラックホールジョイントを装置内に設置し、タッチパネルの数字をタッチすることにより、ジョイントの設定ダイヤルを設定し、各物質転送装置との空間を接続し、物質転送装置間での物質の転送を可能にしたものである。
 特許654830
 発明の名称:超小型ブラックホールジョイントを用いた物質転送装置。
 発明者:市山治英」
 と書かれていた。
「そんなこと、できるんだー」
「電子レンジじゃなかったけど、おもしろそうだから、使ってみようかな」
と、まさおは、独り言を言いながら、箱の中から、その物質転送装置というものを、取り出し、こわれた電子レンジを、冷蔵庫の上から、床のところに置き、そのあいた冷蔵庫の上に、その装置を置いた。
 まさおは、また、テーブルの上に置いた説明書を手に取り、その装置を見ながら、説明書に書かれた解説を読み始めた。
「この物質転送装置は、提携している“クロイヌトマトの転送便”に機種番号を登録し、メールや電話で欲しい商品を連絡すると、クロイヌトマトの転送便にある商品を、クロイヌトマトの転送便にある物質転送装置から、あなたの物質転送装置に転送することができます。現在は、この物質転送装置が普及されていないために、クロイヌトマトの転送便とのやりとりとなります」
「ふーん、そうなんだ」
「じゃ、とにかく、クロイヌトマトの転送便に、この機種番号を連絡してみるか」
と、まさおは、独り言を言いながら、その装置に記載されている機種番号を連絡しようと思い、電話した。
「はい、クロイヌトマトの転送便です」
「もしもし、やまだまさおといいますが、ちょっとお聞きしたいんですが」
「はい、どうぞ」
「昨日、ダマヤ電機で購入した装置、そうそう物質転送装置という装置の説明書を見て、クロイヌトマトの転送便に、機種番号を登録すれば、欲しい商品を物質転送装置に転送してくれるようなことが書かれてあったのですが、そうなんですか」
と、まさおは、電話で、電話の向こうの人に聞いてみた。
「はい、そうです、機種番号を教えてください」
と、電話の向こうの人は言ったので、まさおは、
「MTA0001です」
と、電話で伝えた。
「MTA0001ですね、分かりました。今、登録しました」
と、電話の向こうの人は言った。
「クロイヌトマトの転送便のホームページを見ていただければ、転送可能な商品の一覧が表示されていますので、その商品の番号を電話かメールで連絡していただければ、転送いたします。よろしくお願いいたします」
と、電話の向こうの人は言った。
「はい、分かりました。どうもありがとうございました」
と、まさおは言って、電話を切った。
 さっそく、まさおは、試しに商品を送ってもらおうと思い、パソコンで、クロイヌトマトの転送便のホームページを見て、商品を選んだ。ちょうどバナナが食べたかったので、バナナの商品番号BA77をメモして、
「えーと、バナナの商品番号BA77と、家の物質転送装置の機種番号MTA0001を記入して、メールすればいいんだな」
と、まさおは、独り言を言いながら、書き込み、クロイヌトマトの転送便にメールした。
すると、1分ほどで、
「今、商品番号BA77のバナナを物質転送装置MTA0001に転送しました」
と、メールが来た。
 そのメールを見て、まさおは、物質転送装置の扉を開けると、ほんとに、バナナがその装置の中に入っていた。
「ほんとだ。すごい。音もしなかったよ。超小型のブラックホールにより、空間が曲げられ、クロイヌトマトの転送便にある装置の空間と接続したってことなんだな。すげーな、こんな装置あったんだ」
と、まさおは、感心しながら、その装置からバナナを取り出し、食べ始めた。
 その後、物質転送装置は、多くの人が購入するようになり、その20年後には、物質転送装置は、各家庭に普及し、手紙などの郵便物も、送りたい家の物質転送装置に直接転送することができるようになり、郵便配達や、宅配便などの配達が必要がなくなり、より便利な世の中になった。
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