断罪された悪役令嬢は押しかけ女房~第二の王都と呼ばれる辺境領地で、彼女の夢を応援してたら第二の国になりました~

寿明結未(ことぶき・あゆみ)

文字の大きさ
41 / 48
第三章 悪役令嬢は王妃なんです!

第42話 エロ小説は売れますのよ

しおりを挟む
「私たちが信用のできる魔力操作のできる夫婦です」
「シャリファーと申します、こちらは妻のアイリス」
「教育は初めてですが、魔力操作はシッカリ覚えていますので、園の為に尽くさせていただきます」


 サーザリンに二人を連れて挨拶に行き、二人の言動に「高貴な家の出では?」と聞かれましたが「身分はもう捨てました」とシャリファーが告げ、それ以上の質問はありませんでした。
 あの城に呼び出してから数日後、二人が住むには丁度いい物件をサリラー執事が調べてきてくれて、直ぐに移り住んで貰うことになりました。
 現在伯爵の籍には入っていますが、二人は平民として我が王国に仕えてくれることになりそうです。


 魔力操作を教える教師はどこの領でも不足気味で、こうして来て頂けただけでも有難い事なのです。
 シャリファー夫妻の現状を知ったリコネルは怒り狂いましたが、国王と言う名の傘がある以上、あの屋敷でシャリファー夫妻に危害を加えることも出来なかったのも大きく、更に即座に助けることが出来てホッとしています。

 さて、ネルファーの実家はというと、公爵家への賠償金が想像以上に高かったこともあり、お金を集めるために翻弄しているという話を耳にしました。
 そこまでしてネルファーを嫡男として、次期伯爵としたい気持ちは私にはわかりませんが、かの伯爵領は直ぐに立ち行かなくなることでしょう。
 それを考えれば、シャリファー夫妻の潔さは称賛に値します。

 そして、炎上した元王都はやっと落ち着きを取り戻し、住宅が立ち並び始めました。
 無論店も立ち並びはじめ、復興としては第一歩を踏み出せたと言っていいでしょう。
 必要な支援はしていきますし、目立った産業と言うものはありませんでしたが、辺境領にクリスタルが来たことで王都は辺境ということになりましたが、そこに新たな城を築くかと言われると、そこまで住民の血税を使いたくなかったので、城は元王都に焼き残された城を修繕しながら使っています。
 貧乏くさいと言われるかもしれませんが、城を新たに建てると言う事は、国民の血税を無駄にしてしまう気がして嫌だったのです。
 それよりも、復興に使った方がどれだけ民が喜ぶことでしょう。
 無駄なものは省き、国民のためにこそお金は使われるべきです。
 その為、今も辺境の屋敷の玄関には、堂々とクリスタルが浮かんでいることになりますが――。


『我は玄関の明かりとでも思って放置しておけば良いのだ、どのみち見えるのはジュリアスとリコネルだけじゃろう?』
「でも、玄関入ってすぐあると邪魔ですのよね」
『邪魔!? 母なるクリスタルに向かって、邪魔!?』
「だって無駄に大きいんですもの」


 母なるクリスタルに無駄にデカいと言うリコネルに、私は微笑みながらクリスタルとのやり取りをみていました。
 ここ暫く濃密な時間を過ごした所為か、リコネルがクリスタル相手にどんな言葉を口にしても、紅茶を吹き出すことは無くなりました。
 慣れって怖いですね。


「ところでクリスタル様、今回のコンテストで輝かしい小説はありまして?」
『うむ、だが候補がいくつかあって悩んでおるのだ……未亡人の恋を描いたものなど胸にくるものがある……だが、老騎士の物語も捨てがたい』
「報告道理ですわね、あなたの趣味が良く解りましたわ」
「クリスタルの趣味とは?」
「所謂、エロ本ですわ」
「ブフォ!!」


 笑顔で答えたリコネルに、まさかの紅茶を吹き出しました。
 クリスタルがエロ本好き!?
 思わずクリスタルの方を見ると――。


『人間の子作りにはドラマがある、鬼畜もある、愛もある、なんとなく快楽におぼれたら出来たというのもある……それでも誕生する命、重い……だが、それがいい』
「そう言うところがツボみたいですわ」
「……そのようですね。ところで、エロ小説はどうなってしまうんですか?」
「エロ小説部門を慌てて設けるほど、ハーレムだのエッチだの子作りだーって話も多くって。でもナナリー達はそっち系が苦手みたいで……そこで抜擢されたのがクリスタル様ですわ!」
『我を称えよ!』
「エロ小説を読み込むクリスタル……受け入れたくない現実が今目の前に」
『何故じゃ!?』


 しかしエロ小説は売れる逸品らしく、リコネルはそれはそれで販売するときに年齢確認は怠らないようにすればいいとオープンです。


『最近は男女だけの恋愛ではなく、男同士、女同士も多くてな! これが興奮するんじゃ!』
「まぁ、クリスタル様ったら……お若いんですのね」
『伊達に娯楽に飢えておったわけではない。全てが新鮮なのじゃ! 人間の頭の中は異世界じゃ! 読むだけで別の世界に旅行ができるお手軽じゃな!』
「まぁ、妄想はタダですからね」
「実質タダですわね」
『我も執筆してみたい! と思って書こうとしたんだが、どうも我は読み専らしくてな……かといって酷評などはあまりせぬよ? せっかく小説を書いてくれているのに、書けないこちらが相手の筆を折らせるなど、言語道断!』


 熱く語るクリスタルに、私とリコネルは「そうですね」「うんうん」と相打ちを打ちつつ紅茶を飲みました。


『俺ツエ――系も面白いぞ? ナナリーから一度借りて読んだが爽快感がある!』
「幅広く小説を読まれているようで何よりですわ」
『じゃが、実際そういう場面に陥ったら、間違いなくうろたえるのが人間じゃがな!』
「想像はタダですわ?」
「ええ、タダです」


 その後もこんな小説があったなどなど、1つずつの小説を読んで覚えているのか、本当にどの小説を上位に持っていくのか悩んでいるのだと語るクリスタル。
 最終的に、しっかりと審議してから決めてくださいと言う事で収まり、クリスタルは目の前にあるお勧めの小説を見つめ難しい顔をして過ごすのでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

偽りの断罪で追放された悪役令嬢ですが、実は「豊穣の聖女」でした。辺境を開拓していたら、氷の辺境伯様からの溺愛が止まりません!

黒崎隼人
ファンタジー
「お前のような女が聖女であるはずがない!」 婚約者の王子に、身に覚えのない罪で断罪され、婚約破棄を言い渡された公爵令嬢セレスティナ。 罰として与えられたのは、冷酷非情と噂される「氷の辺境伯」への降嫁だった。 それは事実上の追放。実家にも見放され、全てを失った――はずだった。 しかし、窮屈な王宮から解放された彼女は、前世で培った知識を武器に、雪と氷に閉ざされた大地で新たな一歩を踏み出す。 「どんな場所でも、私は生きていける」 打ち捨てられた温室で土に触れた時、彼女の中に眠る「豊穣の聖女」の力が目覚め始める。 これは、不遇の令嬢が自らの力で運命を切り開き、不器用な辺境伯の凍てついた心を溶かし、やがて世界一の愛を手に入れるまでの、奇跡と感動の逆転ラブストーリー。 国を捨てた王子と偽りの聖女への、最高のざまぁをあなたに。

追放先の辺境で前世の農業知識を思い出した悪役令嬢、奇跡の果実で大逆転。いつの間にか世界経済の中心になっていました。

緋村ルナ
ファンタジー
「お前のような女は王妃にふさわしくない!」――才色兼備でありながら“冷酷な野心家”のレッテルを貼られ、無能な王太子から婚約破棄されたアメリア。国外追放の末にたどり着いたのは、痩せた土地が広がる辺境の村だった。しかし、そこで彼女が見つけた一つの奇妙な種が、運命を、そして世界を根底から覆す。 前世である農業研究員の知識を武器に、新種の果物「ヴェリーナ」を誕生させたアメリア。それは甘美な味だけでなく、世界経済を揺るがすほどの価値を秘めていた。 これは、一人の追放された令嬢が、たった一つの果実で自らの運命を切り開き、かつて自分を捨てた者たちに痛快なリベンジを果たし、やがて世界の覇権を握るまでの物語。「食」と「経済」で世界を変える、壮大な逆転ファンタジー、開幕!

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

『レベルMAXの引退生活』 〜追放先でダラダラしていたら、いつの間にか世界最強の聖域になっていました〜

小林 れい
ファンタジー
「働いたら負け」と言って追放された最強聖女、成層圏で究極のニート生活を極める 〜神々がパシリで、寝顔が世界平和の象徴です〜 「お願いだから、私を一生寝かせておいて」 前世でブラック企業の社畜として命を削ったヒロイン・ユラリア。異世界に転生し、国を救う「聖女」として崇められるも、彼女の願いはただ一つ――「もう一歩も動きたくない」。 しかし、婚約者の第一王子からは「働かない聖女など不要だ!」と無情な婚約破棄と国外追放を言い渡されてしまう。 「え、いいんですか? 本当に休んでいいんですね!?」 喜びに震えながら、ユラリアは人類未踏の死の荒野へと引きこもる。だが、彼女の「怠惰」を極めるための魔力は、いつしか世界の理(ことわり)さえも書き換えていった。 神龍王を巨大な「日除け」に。 料理の神を「おやつ担当の給食係」に。 妖精王を「全自動美容マシーン」に。 「面倒くさい」を原動力に開発された魔導家電や、異世界の娯楽(ゲーム)。挙句の果てには、地上を離れ、邸宅ごと空へと浮かび上がる! 地上の元婚約者が、聖女を失った王国の没落に泣きつこうとも、成層圏に住む彼女には豆粒ほどにも見えない。 神々さえもパシリにする史上最強のニート聖女が、夢の中でも二度寝を楽しむ、贅沢すぎる究極の休日が今、始まる!

離婚と追放された悪役令嬢ですが、前世の農業知識で辺境の村を大改革!気づいた元夫が後悔の涙を流しても、隣国の王子様と幸せになります

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リセラは、夫である王子ルドルフから突然の離婚を宣告される。理由は、異世界から現れた聖女セリーナへの愛。前世が農業大学の学生だった記憶を持つリセラは、ゲームのシナリオ通り悪役令嬢として処刑される運命を回避し、慰謝料として手に入れた辺境の荒れ地で第二の人生をスタートさせる! 前世の知識を活かした農業改革で、貧しい村はみるみる豊かに。美味しい作物と加工品は評判を呼び、やがて隣国の知的な王子アレクサンダーの目にも留まる。 「君の作る未来を、そばで見ていたい」――穏やかで誠実な彼に惹かれていくリセラ。 一方、リセラを捨てた元夫は彼女の成功を耳にし、後悔の念に駆られ始めるが……? これは、捨てられた悪役令嬢が、農業で華麗に成り上がり、真実の愛と幸せを掴む、痛快サクセス・ラブストーリー!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

追放令嬢のスローライフ。辺境で美食レストランを開いたら、元婚約者が「戻ってきてくれ」と泣きついてきましたが、寡黙な騎士様と幸せなのでお断り!

緋村ルナ
ファンタジー
「リナ・アーシェット公爵令嬢!貴様との婚約を破棄し、辺境への追放を命じる!」 聖女をいじめたという濡れ衣を着せられ、全てを奪われた悪役令嬢リナ。しかし、絶望の淵で彼女は思い出す。――自分が日本のOLで、家庭菜園をこよなく愛していた前世の記憶を! 『悪役令嬢?上等じゃない!これからは大地を耕し、自分の手で幸せを掴んでみせるわ!』 痩せた土地を蘇らせ、極上のオーガニック野菜で人々の胃袋を掴み、やがては小さなレストランから国をも動かす伝説を築いていく。 これは、失うことから始まった、一人の女性の美味しくて最高に爽快な逆転成り上がり物語。元婚約者が土下座しに来た頃には、もう手遅れです!

処理中です...