【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未

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96 新たに雇う19人の若者と、新たなる商売のタネ。

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商業ギルドに頼んでいた人材は、スキルを持った人材ですわ。
【漁師】【裁縫師】【調理師】【植物師】そして、計算と品出しが出来る人材。
道具店サルビアでは、カイルがオーナーを務めつつ新たに雇った人材で頑張って貰う予定ですけれど、最初の一週間のみ、ライトさんとロキシーお姉ちゃんも新たな道具店に入りますわ。
Sランク元冒険者のロキシーお姉ちゃんが護衛として入る事で、ある程度の威圧にはなるはずですものね。


「まず名簿を見せてくださいますか?」
「此方となります」
「あら、この街出身ではない方も多いんですのね」
「ええ、この街には出稼ぎに来る者も多いんです」


なるほど、これはアラーシュ様に報告しなくてはなりませんわね。
書類を見ていくと、他の村や町からの出稼ぎの方々が18人。内、頼んでいたスキル持ちも豊富……。


「ふむ、女性も多いんですのね」
「出稼ぎに女性は多いんですか?」
「やはり、村では働く場所がなく街に働きに来る女性達は多いです。そう言う方々は基本的に調理スキルが高く、飲食店で働いたりするんですが……やはり酒場の方が給料も良くて競争率も高く」
「なるほど。カイル、商店街の隣にあった元酒場っぽい奴、買いましょう」
「え?」
「女性寮は必要ですわ」
「寮?」
「女性専用の住む場所ですわ。家で雇うなら彼女たちの身の安全は保障しなくては」
「わ、解かった。という事で聞いての通りだが」
「畏まりました」
「ああそれと、男性寮も欲しいですわ。商店街に近い場所に家を構えることは出来まして?」
「探してまいります」
「リディア、女性は分かるが、」
「衣食住の安心はサルビアの名に必ずついて回る。その為ですわ」
「そ、そうか」
「それに、この街に住んでいる方は、今は余り雇いたくありませんの。何処で繋がっているか分かりませんもの。用心に越したことはありませんわ」
「それは言えてる。随分とあの道具屋はあっちこっちと繋がってるからね」
「護衛は冒険者ギルドから雇いましょう」


するのなら徹底的に。
特にか弱い女性を守らねば、ダンノージュ侯爵家の名に傷がつきますわ。


「こちらの出稼ぎの方18名と会わせて頂きます」
「畏まりました。既に頼まれていた方々は別室にてお待ちです」
「では参りましょう」


出稼ぎで来ている18人のうち、8人は男性、残り10人は女性でしたわ。
道具店で雇うのは男性4人、こちらは計算や品出しが出来る方ですわね。
二人はスキルに【漁師】とありましたから、魚屋をお願いしましょう。
そして残り二人の男性にはスキルに【植物師】がありましたから、八百屋をお願いすることになりそうですわね。
残る女性、内二人は【裁縫師】残り8人は【調理師】でしたわ。
調理師でしたら、即研修、その間に店を改装し、即戦力となって貰いましょう。
裁縫師のお二人は、寝具店と洋服店で分かれて貰い、早速作って貰わねばならない物もありますわね。
初期投資ですわ。属国となった業務提供している店から品物を多く買いましょう。
それを出すことで最初は何とかなりそうですわね。


商店街をオープンさせても、必ず一週間、人は様子を見ますわ。
即動くことはあまり無いはず。
冒険者はフットワークが軽いですから、件の道具屋とうちとの差をハッキリと見せつけられる事でしょう。
道具店で働くにしても、雇う男性も一週間は研修に出かけて貰いますわ。場所はレイスさんの所が宜しいわね。
地獄の忙しさの中、嫌でも頭に商品が入り込む事でしょう。
そんな事を思いつつ、案内された別室に入ると、既に18人が座って待っておられましたわ。
彼らもダンノージュ侯爵家に雇われるとは思っていなかったのでしょうね。驚いてますわ。


「初めまして皆さん。俺はダンノージュ侯爵家のカイルと申します。今後、サルビア商店街を立ち上げる事になりましたので、皆さん一人ずつ話を聞きながら雇うかどうか決めさせて頂きますが、まず最初に――神殿契約が嫌でしたら部屋を出て行ってください」


最初から神殿契約が入るとは思わなかったのでしょう。
18人は一瞬ザワリとしましたが、誰一人出て行こうとはしませんでしたわ。


「皆さん神殿契約を結ぶという事で宜しいですね?」
「「「「はい」」」」
「次に、いくつかの事を最初に説明させて頂きます。皆さん現在、住んでいる場所は宿屋で間違いはありませんね?」
「「「「はい」」」」
「住む場所についてはコチラで用意します。家賃もいりません。その代わりシッカリと働いて貰います。いいですね?」


思わぬ提案だったのかしら?
皆さん驚いて目を見開いたり口に手を当てて驚いたりしてますわ。


「まずは女性寮についてですが、後ほど冒険者ギルドにて護衛も用意します。女性だけで住むのは危険が伴いますので、朝、昼、晩、夜中から朝方の間、寮と女性を守る為の護衛を複数人雇います。身の安全は保障できるでしょう」
「そこまでして頂けるんでしょうか……」
「我がダンノージュ侯爵の家紋、サルビアは家族愛と言う花言葉です。家族を守る為ならばその手を惜しみません。男性も同じように守られますか?」
「俺達は男ですから」
「守られるより戦います」
「ではその様に。神殿契約を為さってくださる18人については雇う事を約束しましょう。ですが、即研修に入って貰います」
「「「「研修……」」」」
「たった一週間、忙しい日々に身を置くだけです。無論働いて覚えてもらいますがね」


皆さん戦々恐々としてらっしゃいますわね。
でも安心なさって。
皆さん良い方ばかりですから癒されましてよ!


「まず、漁師スキルを持つお二方には魚屋をやって貰います。魚は毎日箱庭から持ってきますので、売り切れなくても良いので売ってください。漁師スキルを持っているという事は、家は漁師ですか?」
「「はい」」
「では魚には詳しいでしょうから安心です」
「でも氷が……」
「氷もこちらで用意します。他に質問は?」
「「ありません、頑張ります」」


そう、箱庭には氷雪機と言う優れたロストテクノロジーで作り出した氷を生み出す機械がありますわ。
料理にも使いますし大活躍の一品!
氷の心配は無いのです。


「魚屋については問題ありませんね。研修先は海です。先輩漁師と色々話をして下さい。次に植物師のお二人には八百屋をお願いします。研修先は畑になりますが、こちらも同じように先輩植物師の方と仲良くしてください。あと差別はしないでください」
「「差別?」」
「あなた方10人の最初の研修場所は箱庭です。そこには先住の方々が住んでいます。そこで研修をして貰いますが、心は女性でも身体は男性と言う方も多くいらっしゃいます。そう言う方々への差別は許しません」
「「「「はい!」」」」
「残り8人の調理師の方々には、属国となった場所でやっている『カフェ・サルビア』での研修及び、箱庭での研修が行われます。即戦力となるよう鍛えます」
「「「「即戦力……」」」」
「安心してください。皆さん気のいい方々ばかりですよ。料理スキルが皆さん高いですので、教える料理はそう難しくはないはずです。……だよな? リディア」
「ええ、決まった幾つかの料理のみに絞りますわ」
「また、案があれば内容次第では採用しますので、ドンドン皆さん案を出してくださいね」


そこまで話した時でしたわ。
急に廊下が騒がしくなり、職員の方々が何やら騒いでいると思った途端ドアが開き、一人の青年が入ってきましたわ。


「俺を、俺も雇って下さい!」
「ナーガ!」
「御兄弟ですか?」
「はい」


どうやら他の村から来た青年のようですわ。
でも何故このリストに入っていなかったのかしら?


「俺は、俺のスキルは【炭師】です! ハズレスキルですけれど、お役に立ちたいです!」
「【炭師】ですって!?」
「リディア、どうした?」
「即雇いますわ!! 焼肉定食!」
「「「「は?」」」」
「炭師と言う事は、炭を焼くことができますのよね?」
「はい!」
「貴方、絶対家で雇いますわ。決定事項ですわ。新たな商売ですわよ」
「「「リディア……」」」
「ふふふ……儲けしか出ない商売が一つ出来ましてよ! 直ぐには無理ですけれど、肉屋と八百屋、魚屋との提携で飲食店が一つ作れますわ!」
「有難うございます!!」
「それと、炭を焼く場所が必要ですわね。貴方は箱庭での生活をお願いしますわ」
「有難うございます、有難うございます!!」
「無論、神殿契約はして貰いますわ。宜しいですわね?」
「はい!!」
「ああナーガ……。リディア様ありがとうございます!」
「こちらこそ、素晴らしいスキルを持った弟さんをお持ちで、御縁が出来て嬉しいですわ!」


こうなると米も欲しくなりますわね。
でも、この世界で米って見たこと無いのよね……。後で調べましょう。
焼肉のタレは確か調理本に載って居た筈……大量に作って貰いましょう!


「では、計19人を雇います。皆さんにはこちらにある神殿契約の書類にサインをお願いしますね。内容はシッカリと読まないと、下手をしたら激痛の上に命が半分消えますよ」
「「「「はい!!」」」」


――こうして、新たに炭師を雇えたことでホクホクですわ。
大きな飲食店となる焼肉屋……大成功間違いなしですわ。
陶芸師の方々に七輪作って貰いましょう。網は彫金スキルで作れますから、彫金師はこれから忙しくなりますわね!
ついでにビールも作れるようにならねば。飲み物系ってスキルで作ると大量に出来ますから……モノによっては100本単位で。


「今後、大量に人を雇う事になりそうですけれど、その時また商業ギルドに参りますわ」
「た、大量に……ですか」
「ええ、新たな商売が見つかりましたので。働けるものなら元気な老人でも全く構いませんわ」
「わ、分かりました」
「じゃあアタシとライトで冒険者ギルドへ護衛依頼だね、金額は月金貨何枚だい?」
「一人月金貨2枚でお願いしますわ。ランクは金貨2枚ならどのあたりかしら?」
「ランクはB~Cってところだね」
「ではBランクで、交代で雇いたいですから、計6人程雇っていただけます? Bランクが少なければCランクでも構いませんわ」
「OK」
「カイルは一旦属国の方に行ってポスターを作ってきてくださる? あとはガーゼシリーズと肌着シリーズを多めに作っておいてもらえるように頼んできてくださいませ」
「分かった」
「では、この場にいる19人の皆様。箱庭にご案内しますわ!」


こうして、神殿契約の紙を持ったライトさんは冒険者ギルドに行く前に神殿に契約書を出しに行くのでしょうし、ロキシーお姉ちゃんと一緒にデートがてら冒険者ギルドですわね。
カイルも即座に動きましたし、わたくし達も一週間の戦場を駆け抜け、頑張りますわよ!


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