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154 アーラシュによる叱責と、更なる継続した支援を。
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――カイルside――
戻ってきた俺を、リディアと箱庭に住む住人たちが出迎えてくれた。
いや、出迎えたと言うより結果がどうなったのかを知りたいのだろう。
そこで、リディアの元まで駆け寄ると、王太子に話した箱庭師の派遣に託児所で子供を見て貰う男性と女性の先生達の派遣の事、そして、孤児院への野菜などの支給にスラムの孤児たちを明日までに箱庭で保護することを伝えると、やっとリディアは頷いて微笑んでくれた。
「いい案ですわ。ですがまだ足りませんわね」
「足りない?」
「ええ。孤児院へ送る寄付についてですわ。そこまでひっ迫しているのでしたら、野菜やパンや果物だけでは足りないですわよね? お金だって足りていませんわ。わたくしたちはどんな店をしているのか、思い出してくださいませ」
「――! 『服とガーゼのお店・サルビア』か!」
「ええ、別名『ママと子供の為の優しい店』。そこでは赤ちゃんや乳児から幼児に係る様々な商品が売りに出されていますわ。粉ミルクに哺乳瓶に乳首、赤ちゃんや子供用のオモチャまで、幅広くですわ。それに子供用のガーゼは無論、ほっかりシリーズも出始めておりますし、今後作る薬屋でもラキュアスを含む薬師さん達が薬を作ってくださっています。わたくし達が出来ることはもっともっと幅広くあるのですよ? 稼いだ金は回してこそ。孤児院への寄付としてお出しする品とお金はありますでしょう? 無論、野菜だけではなくお肉もお魚も」
「リディア……」
「そこまでしてこその、サルビアの名に恥じぬ存在でしてよ、カイル」
「分かった……サルビアの名で、今後孤児院へ出来る限りの寄付をすると言う書面を作ってくる。公式にダンノージュ侯爵家からの物を」
「ええ、行ってきてくださいませ。スラムの孤児たちが暮らす家を今から建てます。
話は聞いていらっしゃいましたわね、建築師の皆様。至急孤児が暮らす家を建てます。子供の数は現在0歳から20歳までの42人ですわ。今後も増える事を考え大きい家を急ぎ建築してくださいませ! 取り敢えず台所とトイレは多めに作ってください。今は寝る場所と子供が集まる場所だけでも構いませんわ!
裁縫師の皆様は至急子供達の服をそれぞれ作ってくださいませ。新ほっかりシリーズは後回しですわ!
植物師の皆様はこれから毎日、新鮮野菜を王太子領だけで三つある孤児院に毎食分のお野菜を用意してくださいませ。孤児院の許容人数は確か100人規模だったはずですわ。ダンノージュ侯爵領の孤児院については今後調べますので、人数が足りなければ働き手を探します。
それと――どなたか手すきの方で二人、わたくしの補佐をして下さる方はいらっしゃらないかしら?」
そこまで言うと、保護された女性二人が名乗り出て来てくれた。
キリアさんとカフェラさんだ。
「「私たちがリディア様の補佐を致します」」
「キリアさん、カフェラさんお願いします。あなた方にはわたくしがロストテクノロジーで作る粉ミルクや哺乳瓶や乳首、子供のオモチャと言ったものから寝具に服に至るまで、わたくしと孤児院の架け橋になって頂きたいですわ。
今は時間がありません、カイルが戻ってきたら直ぐに『服とガーゼのお店・サルビア』から一部商品を持ってきてくださいませ。出来れば多めに。それに加えてわたくしが作った物を孤児院へ寄付をしますわ。
また、箱庭で引き取るスラムの孤児たちの中には赤ん坊もいますので、その子たちの為に作る粉ミルクの作り方のレクチャーなども、わたくしと一緒にしてくださいませ」
「「はい!」」
「また、皆さんの中で子育て経験がある方々はスラム孤児たちへ手伝いを。信頼関係を作る為にもお願いしますわ!」
「「「「分かりました」」」」
「さぁカイル、アラーシュ様に正式な書面をともに書いて来て下さいませ。これはまだ始まりにすぎませんわ」
「直ぐに行ってくる!」
リディアの的確な指示に動き始めた箱庭住人と同じく、俺も直ぐにダンノージュ侯爵家へと向かうと呼び鈴を鳴らして人を呼び、祖父の元へ向かった。
そして、王太子から命令された事及び、リディアの案を全て伝えると、祖父は直ぐに頷いて正式な書面を作ってくれた。
「今後、孤児院への寄付についてはダンノージュ侯爵家より行う寄付となる。社会貢献ともいえるが、それは上に立つ余裕のある者が言う言葉だ。気を付けろ」
「はい」
「最も手助けが必要な者たちを忘れていた、今まで目を向けていなかった事に関しては、カイル、お粗末としか言えぬ」
「はい……」
「だが、リディア嬢がいたからこそ、まだ挽回は出来るだろう」
「それで、ダンノージュ侯爵領の孤児院には寄付などは必要でしょうか」
「ダンノージュ侯爵領の孤児院にいる孤児は少ない。食料も十分だが、出来れば粉ミルクなどの寄付をしてやりたいとは思っている。頼めるか?」
「畏まりました。出来る範囲でやりたいと思いますが、孤児院へはダンノージュ侯爵家から商品を渡しに行って貰う形でも宜しいでしょうか」
「構わんよ。寄付する品を持ってきてくれたならば直ぐにでも」
「分かりました。出来るだけ急ぎ用意しますが、数日だけ待ってもらうかも知れません」
「此方はそう急ぎではない。孤児院ではヤギも育てているからヤギ乳がある。
王太子領は最も人が暮らすには辛い土地とさえ言われているのだ。そこにダンノージュ侯爵家が手を差し伸べれば、他の貴族からも寄付が増える。
カイルよ、お前がしたことは、そのきっかけを作った事に変わりはない。それも、リディア嬢のお陰だ。努々忘れるな」
「はい!」
「書類だ、持って行きなさい。今後孤児院が増えればまた作る」
「有難うございます!」
こうして、ダンノージュ侯爵家からの正式な支援と言う形の書面を作って貰い、そこには連名で俺の名とリディアの名が刻まれた。
大いなる貢献をしたと言う事だろう。
書面を持ち箱庭経由で戻ると、植物師たちは既に大急ぎでの収穫を行っていた。
沢山の野菜をアイテムボックスに入れ込み、キリアさん、カフェラさんは火の魔石と水の魔石を小さな布袋に入れ三つ用意すると、用意されているアイテムボックス三つに一つずつ入れていた。
きっと孤児院に今日持っていく分だろう。
出入り口にいても分かるほど、建物を建てる音が鳴り響き、箱庭中が急ぎ用意に走り回っているのが分かる。
そして――。
「リディア! 祖父から正式な書面を用意できたぞ!」
「有難うございますわ! キリアさんとカフェラさんはこのまま王太子領にあるガーゼのお店にいって、メモした物を在庫がある限り持ってきて貰って下さいませ」
「足りない分はどうしますか?」
「在庫は大量にあるはずなので問題ありません。お金は経費用のアイテムボックスがありますからそこで支払ってきてくださいませ」
「分かりました」
そう言うと俺の横をすり抜けて二人は箱庭から出て行った。
今から子供達に必要な寝具を用意するのだろう。
「リディア、俺に出来ることは?」
「王太子領にある三つの孤児院までの道を作りたいので、カイルはそこまで走って行って出入りを」
「分かった」
「それまでに粉ミルクと哺乳瓶と乳首を用意しますわ」
そう言うと俺は直ぐに王太子領へと向かい、三つの孤児院への道を作る頃には陽が傾きかけていたが、孤児院からは子供の泣き叫ぶ声が木霊している。
人員の増員も必要だと感じた為、その足で王太子に会いに行き、各孤児院に人員を増やすように進言した。
王太子たちは直ぐに頷き人員を増やすことを約束し、その足でまた箱庭に戻る頃には、三つのアイテムボックスが並び、リディアも汗を流しつつ立ち上がるところだった。
「用意は出来ましてよ!」
「よし、一緒に行こうリディア!」
「ええ! 薬師のドミノさん含む御三方もよろしくて!?」
「「「お任せください!」」」
「僕も一緒に行きます!」
「ラキュアス……ええ、頼りにしてますわ!」
――手を差し伸べる時期が遅かっただろう。
――自分で気付くことも出来ず、己の不甲斐なさを憎むのを今は辞めて、前に進もう。
――出来ることは、今は思いつく限りの事しか出来ないが、やれることはやろう。
「リディア、俺と一緒に民をこれからも守ってくれるだろうか?」
「その為に頑張ってますのよ。泣き言や不安は今はいりませんわ。今は泣いている子供の為に出来ることをやるだけですもの。ただ言えることは、わたくしも貴方と同罪であったという事ですわ。八つ当たりをしてごめんなさいカイル……」
「――俺もごめん! 外の事は俺がって言いながら情けない限りだ。一緒に出来ることをやろう」
ダンノージュ侯爵家に、これ程相応しい婚約者はいない。
リディアこそがダンノージュ侯爵家の誇りだと思った日だった。
戻ってきた俺を、リディアと箱庭に住む住人たちが出迎えてくれた。
いや、出迎えたと言うより結果がどうなったのかを知りたいのだろう。
そこで、リディアの元まで駆け寄ると、王太子に話した箱庭師の派遣に託児所で子供を見て貰う男性と女性の先生達の派遣の事、そして、孤児院への野菜などの支給にスラムの孤児たちを明日までに箱庭で保護することを伝えると、やっとリディアは頷いて微笑んでくれた。
「いい案ですわ。ですがまだ足りませんわね」
「足りない?」
「ええ。孤児院へ送る寄付についてですわ。そこまでひっ迫しているのでしたら、野菜やパンや果物だけでは足りないですわよね? お金だって足りていませんわ。わたくしたちはどんな店をしているのか、思い出してくださいませ」
「――! 『服とガーゼのお店・サルビア』か!」
「ええ、別名『ママと子供の為の優しい店』。そこでは赤ちゃんや乳児から幼児に係る様々な商品が売りに出されていますわ。粉ミルクに哺乳瓶に乳首、赤ちゃんや子供用のオモチャまで、幅広くですわ。それに子供用のガーゼは無論、ほっかりシリーズも出始めておりますし、今後作る薬屋でもラキュアスを含む薬師さん達が薬を作ってくださっています。わたくし達が出来ることはもっともっと幅広くあるのですよ? 稼いだ金は回してこそ。孤児院への寄付としてお出しする品とお金はありますでしょう? 無論、野菜だけではなくお肉もお魚も」
「リディア……」
「そこまでしてこその、サルビアの名に恥じぬ存在でしてよ、カイル」
「分かった……サルビアの名で、今後孤児院へ出来る限りの寄付をすると言う書面を作ってくる。公式にダンノージュ侯爵家からの物を」
「ええ、行ってきてくださいませ。スラムの孤児たちが暮らす家を今から建てます。
話は聞いていらっしゃいましたわね、建築師の皆様。至急孤児が暮らす家を建てます。子供の数は現在0歳から20歳までの42人ですわ。今後も増える事を考え大きい家を急ぎ建築してくださいませ! 取り敢えず台所とトイレは多めに作ってください。今は寝る場所と子供が集まる場所だけでも構いませんわ!
裁縫師の皆様は至急子供達の服をそれぞれ作ってくださいませ。新ほっかりシリーズは後回しですわ!
植物師の皆様はこれから毎日、新鮮野菜を王太子領だけで三つある孤児院に毎食分のお野菜を用意してくださいませ。孤児院の許容人数は確か100人規模だったはずですわ。ダンノージュ侯爵領の孤児院については今後調べますので、人数が足りなければ働き手を探します。
それと――どなたか手すきの方で二人、わたくしの補佐をして下さる方はいらっしゃらないかしら?」
そこまで言うと、保護された女性二人が名乗り出て来てくれた。
キリアさんとカフェラさんだ。
「「私たちがリディア様の補佐を致します」」
「キリアさん、カフェラさんお願いします。あなた方にはわたくしがロストテクノロジーで作る粉ミルクや哺乳瓶や乳首、子供のオモチャと言ったものから寝具に服に至るまで、わたくしと孤児院の架け橋になって頂きたいですわ。
今は時間がありません、カイルが戻ってきたら直ぐに『服とガーゼのお店・サルビア』から一部商品を持ってきてくださいませ。出来れば多めに。それに加えてわたくしが作った物を孤児院へ寄付をしますわ。
また、箱庭で引き取るスラムの孤児たちの中には赤ん坊もいますので、その子たちの為に作る粉ミルクの作り方のレクチャーなども、わたくしと一緒にしてくださいませ」
「「はい!」」
「また、皆さんの中で子育て経験がある方々はスラム孤児たちへ手伝いを。信頼関係を作る為にもお願いしますわ!」
「「「「分かりました」」」」
「さぁカイル、アラーシュ様に正式な書面をともに書いて来て下さいませ。これはまだ始まりにすぎませんわ」
「直ぐに行ってくる!」
リディアの的確な指示に動き始めた箱庭住人と同じく、俺も直ぐにダンノージュ侯爵家へと向かうと呼び鈴を鳴らして人を呼び、祖父の元へ向かった。
そして、王太子から命令された事及び、リディアの案を全て伝えると、祖父は直ぐに頷いて正式な書面を作ってくれた。
「今後、孤児院への寄付についてはダンノージュ侯爵家より行う寄付となる。社会貢献ともいえるが、それは上に立つ余裕のある者が言う言葉だ。気を付けろ」
「はい」
「最も手助けが必要な者たちを忘れていた、今まで目を向けていなかった事に関しては、カイル、お粗末としか言えぬ」
「はい……」
「だが、リディア嬢がいたからこそ、まだ挽回は出来るだろう」
「それで、ダンノージュ侯爵領の孤児院には寄付などは必要でしょうか」
「ダンノージュ侯爵領の孤児院にいる孤児は少ない。食料も十分だが、出来れば粉ミルクなどの寄付をしてやりたいとは思っている。頼めるか?」
「畏まりました。出来る範囲でやりたいと思いますが、孤児院へはダンノージュ侯爵家から商品を渡しに行って貰う形でも宜しいでしょうか」
「構わんよ。寄付する品を持ってきてくれたならば直ぐにでも」
「分かりました。出来るだけ急ぎ用意しますが、数日だけ待ってもらうかも知れません」
「此方はそう急ぎではない。孤児院ではヤギも育てているからヤギ乳がある。
王太子領は最も人が暮らすには辛い土地とさえ言われているのだ。そこにダンノージュ侯爵家が手を差し伸べれば、他の貴族からも寄付が増える。
カイルよ、お前がしたことは、そのきっかけを作った事に変わりはない。それも、リディア嬢のお陰だ。努々忘れるな」
「はい!」
「書類だ、持って行きなさい。今後孤児院が増えればまた作る」
「有難うございます!」
こうして、ダンノージュ侯爵家からの正式な支援と言う形の書面を作って貰い、そこには連名で俺の名とリディアの名が刻まれた。
大いなる貢献をしたと言う事だろう。
書面を持ち箱庭経由で戻ると、植物師たちは既に大急ぎでの収穫を行っていた。
沢山の野菜をアイテムボックスに入れ込み、キリアさん、カフェラさんは火の魔石と水の魔石を小さな布袋に入れ三つ用意すると、用意されているアイテムボックス三つに一つずつ入れていた。
きっと孤児院に今日持っていく分だろう。
出入り口にいても分かるほど、建物を建てる音が鳴り響き、箱庭中が急ぎ用意に走り回っているのが分かる。
そして――。
「リディア! 祖父から正式な書面を用意できたぞ!」
「有難うございますわ! キリアさんとカフェラさんはこのまま王太子領にあるガーゼのお店にいって、メモした物を在庫がある限り持ってきて貰って下さいませ」
「足りない分はどうしますか?」
「在庫は大量にあるはずなので問題ありません。お金は経費用のアイテムボックスがありますからそこで支払ってきてくださいませ」
「分かりました」
そう言うと俺の横をすり抜けて二人は箱庭から出て行った。
今から子供達に必要な寝具を用意するのだろう。
「リディア、俺に出来ることは?」
「王太子領にある三つの孤児院までの道を作りたいので、カイルはそこまで走って行って出入りを」
「分かった」
「それまでに粉ミルクと哺乳瓶と乳首を用意しますわ」
そう言うと俺は直ぐに王太子領へと向かい、三つの孤児院への道を作る頃には陽が傾きかけていたが、孤児院からは子供の泣き叫ぶ声が木霊している。
人員の増員も必要だと感じた為、その足で王太子に会いに行き、各孤児院に人員を増やすように進言した。
王太子たちは直ぐに頷き人員を増やすことを約束し、その足でまた箱庭に戻る頃には、三つのアイテムボックスが並び、リディアも汗を流しつつ立ち上がるところだった。
「用意は出来ましてよ!」
「よし、一緒に行こうリディア!」
「ええ! 薬師のドミノさん含む御三方もよろしくて!?」
「「「お任せください!」」」
「僕も一緒に行きます!」
「ラキュアス……ええ、頼りにしてますわ!」
――手を差し伸べる時期が遅かっただろう。
――自分で気付くことも出来ず、己の不甲斐なさを憎むのを今は辞めて、前に進もう。
――出来ることは、今は思いつく限りの事しか出来ないが、やれることはやろう。
「リディア、俺と一緒に民をこれからも守ってくれるだろうか?」
「その為に頑張ってますのよ。泣き言や不安は今はいりませんわ。今は泣いている子供の為に出来ることをやるだけですもの。ただ言えることは、わたくしも貴方と同罪であったという事ですわ。八つ当たりをしてごめんなさいカイル……」
「――俺もごめん! 外の事は俺がって言いながら情けない限りだ。一緒に出来ることをやろう」
ダンノージュ侯爵家に、これ程相応しい婚約者はいない。
リディアこそがダンノージュ侯爵家の誇りだと思った日だった。
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