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259 リディアの休暇と姫殿下の帰国と。
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――あの日から二カ月後。
わたくしは「休養月間としますわ!」と宣言し、必要最低限の仕事だけをしてゆっくりと過ごす時間を持つ事にしましたの。
ゆっくりと過ごす時間の間、前世で読んだ小説の書き方を思い出しながら自分で好きなようにノートに小説を書いたり、本当にリフレッシュ期間を過ごしましたわ!
無論その間には、ダンノージュ侯爵領に託児所も出来たりと忙しい事もありましたけれど、しっかりと休まないと次の商売が生み出せない気がしましたの。
心も体も休養日……と言うのは、結構大事だったのですわね……。
そんなある日、物書き師である方々が食事中、わたくしが置きっぱなしにしていたノートを開いて中を読んでしまいましたの。
置きっぱなしにしていたわたくしも悪いですけれど、これが思わぬ方向に進みましたわ!
「リディア様」
「どうしましたの?」
「こちらのノートのお話」
「あら、置きっぱなしでしたのね。持ってきてくださってありがとう」
「是非、続きを読みたいです」
「ん?」
その後ろには次々に物書き師の方々が――。
今までとっても影が薄かった彼らが、目を爛々と光らせていらっしゃいますわ!!
「醜い魔物に美しい美女の話! 実に素晴らしい!!」
「これはインスピレーションが働きますぞ!!」
「美男美女の話よりも萌えますな!!」
「いやいや、こちらのノートの話も中々面白かったです! 年上の男性の元に無理やり若い娘が押しかけ女房! これも一つの愛でしょう!」
「ああ、それも実に良かった! だが、私としてはこちらの冒険者の話が好きだった!」
「チームリーダーからの熱烈な愛!! いいえ、これこそが溺愛と言うものよ!」
「皆さん落ち着いて下さいませ、一体何がどうなっているのか」
「「「「リディア様の書いた本を製本しても宜しいでしょうか!」」」」
「え―――!?」
「書き加えたい所はドンドンあるんです!」
「内容は出来るだけ変えないようにしますから!!」
「私はこちらのダークファンタジーを書きたいです!!」
「ズルいぞ! 俺もダークなのが良かったのに!」
「早い者勝ちよ!!」
こ……この方々、無口な方々じゃありませんでしたっけ!?
こんなに勢いよく喋れる方々でしたの!?
「これは革命です! 物語とは自由であるべきだ! ある程度の抑えは必要ですが!」
「男の浪漫、女の浪漫、二つがあるからこそ人生は豊かになるんです!!」
「幸せの形は一つではないし、人によっては地雷もあるでしょう! ですが、ですが地雷がなんですか!! 人生歩いてりゃ地雷を踏むことくらいありますよ!!」
「人の数だけストーリーがあるんです!!」
「あの、もうあの……好きにして良いですから持って行ってくださいませ」
「「「「有難うございます!!」」」」」
そう言うと彼らはわたくしが書いた小説を全て持って行ってしまいましたわ。
新たな物語を作るのだと意気込んでいらっしゃいましたし、まぁ……別にいいでしょう。
それにしても……それにしてもですわ!
ゴッソリ書いた本を持っていかれましたわ!!
「……ドンマイ、リディアちゃん」
「ロキシーお姉ちゃん」
「大丈夫ですよリディア姉さん、きっと彼らが次なる金貨になってくれるかもしれませんし!」
「ライトさん、言い方」
「でも実際ずっと閉じこもって出てこないんだから、少しは仕事をして貰わないと困るからねぇ」
「まぁそうですけれどねぇ」
「きっと金の卵ですよ!」
「そうだと良いですわね」
ライトさん、目に金貨が浮かんでますわ……。
嗚呼、こんなにも商売人に育ってしまって……英才教育の賜物かしら?
「ところで、そろそろ城で隣国に行っていた王女が戻ってくるんだろう?」
「らしいですわね、ナジュ王太子殿下の双子の妹だとか。流石にわたくしも今回は出席しないと不味いから出ますけれど……」
「貴族嫌いだからねぇ、リディアちゃんも」
「ええ……。親しい友人たちもついでに隣国から来るそうですわ」
「面倒くさいねぇ」
「本当に」
「その王女は性格とか分かっているのかい?」
「気難しい方だとは聞いてますわ。ナジュ王太子殿下とは随分と違うそうですの」
「そうかい、面倒くさいね」
「ええ、ナジュ王太子殿下のような方でしたら気が楽なんですけれど」
そう言って溜息を吐いていると、ロキシーお姉ちゃんはわたくしをギュッと抱きしめましたわ。
「嫌になったら箱庭に直ぐ戻ってくるんだよ?」
「そうしますわ。まぁ、何事も無いのが一番ですけれどね」
そう言って苦笑いを零していると、子供やお年寄り達の食事も終わり、わたくし達も何時もの面々で食事をすることにしましたわ。
そこにいつの間にかダンノージュ侯爵領の鳥の瞳メンバーが加わっているのは、もう御愛嬌としか言いようもなく。
「そう言えば、風の噂でナカース王国のノジュ姫殿下が戻ってくるとか」
「ええ、流石ナインさんお耳が早いのね」
「ノジュ姫殿下には苦労させられたからな」
「そうなんですの?」
どうやらナインさんはノジュ姫殿下とお会いしたことがある様子。一体どんな方でどのような事があったのか問いかけてみると――。
ノジュ姫殿下は性格にとっても難のある方らしく、ナジュ王太子殿下の邪魔をしまくるタイプだそうで、陛下がナジュ王太子殿下を哀れに思い、他国へと留学させられていたのだとか。
そして、今回の帰国は急に決まった事らしく、陛下も頭を抱えているのが現状だと教えて頂きましたわ。
「ワガママでナジュ王太子を敵視し、自分こそが次の王に相応しいと仰るタイプの女性だ。だがこれと言った功績もなく、無いものねだりを只管するような女性と思ったらいい」
「「うわぁ……」」
「リディア嬢は目立つなと言う方が無理な話だろうから、必ず突っかかってくるだろう。君の話は隣国でも広がっているからね」
「そうなんですの?」
「知恵の女神……と、隣国では言われているそうだ」
「最悪ですわ……」
「その知恵をお借りしようと、やってくるんじゃないかと私は見ている」
「悪だくみに関わる気はありませんわよ?」
「だが、ノジュ姫殿下にしてみれば悪巧みでも何でもないのだよ」
「は――……」
「ナジュ王太子殿下を推薦しているダンノージュ侯爵家と言うのを貫くほかないだろうな」
「そうさせて頂きますわ」
「面倒なら、陛下のお言葉を聞いてから帰っても良いぞ」
「それも一つの手ですわね。陛下との挨拶が終わりましたら帰りましょう」
そもそも、陛下とはいつでも会えますものね。
公の場と言うのでは初めてかもしれませんけれど。
「ただ、ナジュ王太子殿下がリディアに礼を言いたいらしいから、そこまでは待っていて欲しい」
「分かりましたわ。と言うか、非公式にもうお礼を貰うだけで結構ですとお伝えくださいませ。貴族だらけの所にいたくありませんわ」
「そう伝えるのも良いが、こちらがナジュ王太子殿下を推薦していることをノジュ姫殿下に見せた方が、後が楽だぞ?」
「う――……」
胃が痛いですわ。
でも、変なのから絡まれるよりはマシですわね、腹を括りましょう。
「分かりましたわ。ナジュ王太子殿下とのお時間を作ります」
「悪いなリディア、それが終わったら直ぐ帰ろう」
「ええ」
――こうして、ノジュ姫殿下が帰国する一カ月後。
更なる問題がわたくし達を襲うとは……半分予想していましたけれど、外れて欲しかったですわね……。
わたくしは「休養月間としますわ!」と宣言し、必要最低限の仕事だけをしてゆっくりと過ごす時間を持つ事にしましたの。
ゆっくりと過ごす時間の間、前世で読んだ小説の書き方を思い出しながら自分で好きなようにノートに小説を書いたり、本当にリフレッシュ期間を過ごしましたわ!
無論その間には、ダンノージュ侯爵領に託児所も出来たりと忙しい事もありましたけれど、しっかりと休まないと次の商売が生み出せない気がしましたの。
心も体も休養日……と言うのは、結構大事だったのですわね……。
そんなある日、物書き師である方々が食事中、わたくしが置きっぱなしにしていたノートを開いて中を読んでしまいましたの。
置きっぱなしにしていたわたくしも悪いですけれど、これが思わぬ方向に進みましたわ!
「リディア様」
「どうしましたの?」
「こちらのノートのお話」
「あら、置きっぱなしでしたのね。持ってきてくださってありがとう」
「是非、続きを読みたいです」
「ん?」
その後ろには次々に物書き師の方々が――。
今までとっても影が薄かった彼らが、目を爛々と光らせていらっしゃいますわ!!
「醜い魔物に美しい美女の話! 実に素晴らしい!!」
「これはインスピレーションが働きますぞ!!」
「美男美女の話よりも萌えますな!!」
「いやいや、こちらのノートの話も中々面白かったです! 年上の男性の元に無理やり若い娘が押しかけ女房! これも一つの愛でしょう!」
「ああ、それも実に良かった! だが、私としてはこちらの冒険者の話が好きだった!」
「チームリーダーからの熱烈な愛!! いいえ、これこそが溺愛と言うものよ!」
「皆さん落ち着いて下さいませ、一体何がどうなっているのか」
「「「「リディア様の書いた本を製本しても宜しいでしょうか!」」」」
「え―――!?」
「書き加えたい所はドンドンあるんです!」
「内容は出来るだけ変えないようにしますから!!」
「私はこちらのダークファンタジーを書きたいです!!」
「ズルいぞ! 俺もダークなのが良かったのに!」
「早い者勝ちよ!!」
こ……この方々、無口な方々じゃありませんでしたっけ!?
こんなに勢いよく喋れる方々でしたの!?
「これは革命です! 物語とは自由であるべきだ! ある程度の抑えは必要ですが!」
「男の浪漫、女の浪漫、二つがあるからこそ人生は豊かになるんです!!」
「幸せの形は一つではないし、人によっては地雷もあるでしょう! ですが、ですが地雷がなんですか!! 人生歩いてりゃ地雷を踏むことくらいありますよ!!」
「人の数だけストーリーがあるんです!!」
「あの、もうあの……好きにして良いですから持って行ってくださいませ」
「「「「有難うございます!!」」」」」
そう言うと彼らはわたくしが書いた小説を全て持って行ってしまいましたわ。
新たな物語を作るのだと意気込んでいらっしゃいましたし、まぁ……別にいいでしょう。
それにしても……それにしてもですわ!
ゴッソリ書いた本を持っていかれましたわ!!
「……ドンマイ、リディアちゃん」
「ロキシーお姉ちゃん」
「大丈夫ですよリディア姉さん、きっと彼らが次なる金貨になってくれるかもしれませんし!」
「ライトさん、言い方」
「でも実際ずっと閉じこもって出てこないんだから、少しは仕事をして貰わないと困るからねぇ」
「まぁそうですけれどねぇ」
「きっと金の卵ですよ!」
「そうだと良いですわね」
ライトさん、目に金貨が浮かんでますわ……。
嗚呼、こんなにも商売人に育ってしまって……英才教育の賜物かしら?
「ところで、そろそろ城で隣国に行っていた王女が戻ってくるんだろう?」
「らしいですわね、ナジュ王太子殿下の双子の妹だとか。流石にわたくしも今回は出席しないと不味いから出ますけれど……」
「貴族嫌いだからねぇ、リディアちゃんも」
「ええ……。親しい友人たちもついでに隣国から来るそうですわ」
「面倒くさいねぇ」
「本当に」
「その王女は性格とか分かっているのかい?」
「気難しい方だとは聞いてますわ。ナジュ王太子殿下とは随分と違うそうですの」
「そうかい、面倒くさいね」
「ええ、ナジュ王太子殿下のような方でしたら気が楽なんですけれど」
そう言って溜息を吐いていると、ロキシーお姉ちゃんはわたくしをギュッと抱きしめましたわ。
「嫌になったら箱庭に直ぐ戻ってくるんだよ?」
「そうしますわ。まぁ、何事も無いのが一番ですけれどね」
そう言って苦笑いを零していると、子供やお年寄り達の食事も終わり、わたくし達も何時もの面々で食事をすることにしましたわ。
そこにいつの間にかダンノージュ侯爵領の鳥の瞳メンバーが加わっているのは、もう御愛嬌としか言いようもなく。
「そう言えば、風の噂でナカース王国のノジュ姫殿下が戻ってくるとか」
「ええ、流石ナインさんお耳が早いのね」
「ノジュ姫殿下には苦労させられたからな」
「そうなんですの?」
どうやらナインさんはノジュ姫殿下とお会いしたことがある様子。一体どんな方でどのような事があったのか問いかけてみると――。
ノジュ姫殿下は性格にとっても難のある方らしく、ナジュ王太子殿下の邪魔をしまくるタイプだそうで、陛下がナジュ王太子殿下を哀れに思い、他国へと留学させられていたのだとか。
そして、今回の帰国は急に決まった事らしく、陛下も頭を抱えているのが現状だと教えて頂きましたわ。
「ワガママでナジュ王太子を敵視し、自分こそが次の王に相応しいと仰るタイプの女性だ。だがこれと言った功績もなく、無いものねだりを只管するような女性と思ったらいい」
「「うわぁ……」」
「リディア嬢は目立つなと言う方が無理な話だろうから、必ず突っかかってくるだろう。君の話は隣国でも広がっているからね」
「そうなんですの?」
「知恵の女神……と、隣国では言われているそうだ」
「最悪ですわ……」
「その知恵をお借りしようと、やってくるんじゃないかと私は見ている」
「悪だくみに関わる気はありませんわよ?」
「だが、ノジュ姫殿下にしてみれば悪巧みでも何でもないのだよ」
「は――……」
「ナジュ王太子殿下を推薦しているダンノージュ侯爵家と言うのを貫くほかないだろうな」
「そうさせて頂きますわ」
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「それも一つの手ですわね。陛下との挨拶が終わりましたら帰りましょう」
そもそも、陛下とはいつでも会えますものね。
公の場と言うのでは初めてかもしれませんけれど。
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「そう伝えるのも良いが、こちらがナジュ王太子殿下を推薦していることをノジュ姫殿下に見せた方が、後が楽だぞ?」
「う――……」
胃が痛いですわ。
でも、変なのから絡まれるよりはマシですわね、腹を括りましょう。
「分かりましたわ。ナジュ王太子殿下とのお時間を作ります」
「悪いなリディア、それが終わったら直ぐ帰ろう」
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