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第一章 国民が飢えることなく、まずはそこを目標に!
04 前国王が無能だからと脱税していた者達には粛清を。
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「今まで来ていた報告書をみると、数字が合わない貴族も多かった。脱税だな」
「「脱税」」
「税を抜き取り懐に入れ、私腹を肥やしている者達だ。大臣たちの中にも複数名いた。後々彼等から事情を聞こうと思う」
「脱税は許しがたい行為ですな……」
「これが第一陣のリストだ。だが今すぐ呼ぶつもりはない。まずは法律を改正する。脱税をしていた場合、その貴族籍全員鞭打ち100回の刑に処す事と、税収を更に5割増しで徴収する。期間は3年だ。この法案を通すべく大臣たちを集めよ。緊急案件だとな」
「畏まりました」
「それから国境にある騎士団はまた隣国の【バランドス王国】と諍いがあったようだ。バランドス王国には平和協定を愚王が結んでいたな?」
「はい」
「破れば報復すると伝えていた筈だ。間違いないな?」
「はい」
「宜しい。バランドス王国は広い農耕地帯でもある。民が飢えれば考えも改めよう。こちらから書簡を出したい。サファール宰相任せられるか?」
「慣れております、ご安心を」
平和協定を無視したバランドス王国には作物が育たない程の日照りをプレゼントしてやろう。
王が崩御し若き国王になったのを切っ掛けに手を出してきたのだろうが、その報いは受けさせねばならない。
他国では俺の事を『天候を操れる等嘘っぱちだ』と言う国も多いが、いい見せしめになるだろう。
俺が王位を継いでから、神々の島の海域は穏やかな天候にしている。
あの島から誰がどのようにしてくるかは別として、良い関係を築けたらいいとは思うが、この国では船を作るだけの技術がない。
あったとしてもオアシスに船を浮かべるくらいの物で、とても小さいのだ。
木々が足りない事が大きな原因だろう。
それに海が近いが、王都まで魚を運ぶ手立てがないのも痛い所だ。
漁師町は飢えには苦しんではいないが、飲料水に苦しんでいる。
塩は海水から作れているようだがそれだけだ。
もっと胡椒や砂糖と言った物もその内輸入に頼る事にはなるだろうが欲しい所だな。
その為には国の金を増やす必要があり、民が富まねばならない。
何をするにしても最初の一歩からなのだと改めて痛感する思いだ。
「まずは食料事情の改善、次に法案の改正、我が国でも他国に売りに出せる商品の開発。これは急務だな」
「全て今まで誰も目を着けなかった箱庭師で改善すればいいんですが」
「可能性は0ではない。箱庭師は広い土地がある等と言った簡単な説明しかされていないが、もしかしたら木々が鬱蒼と生えている者もいれば、鉱石が取れる箱庭を持っている者もいるかもしれない。それは商業ギルドマスターに纏めるよう指示を出しているが、代わりとなる【箱庭師大臣】と【箱庭農業大臣】を作るべきだな」
「箱庭師大臣と箱庭農業大臣ですか」
「大臣を筆頭に彼らに箱庭師とその農地を管理して貰う。やる気のある者を大臣には任命するが、今いる大臣のリストには無い者を選びたい」
そう弟と話をしていると、「それでしたら」と声を掛けて来たのはテリオットだ。
何でも自分と同じ年齢ではあるものの、箱庭師に詳しい友人と、農業に興味のある友人がいるのだとか。
両方貴族の三男で働く場所を探していたが、今の我が国では働き先が無く困っていたのだと言う。
「ならば、その二人に会ってみよう。その上で彼らに部下を探させて仕事をさせるのもいい」
「畏まりました」
「三男とはいえ、城仕えになれば多少楽になろう。増々俺たちは国を、国王である俺達もそうだが富まねばならないな」
「そうですね。それから商業ギルドマスターのデッドリーから本日の昼に面会したいとの連絡があったそうです」
「そうか、最近忙しかったからな……是非会おう。それとテリオットは直ぐにその二人に書簡を出し、明日にでも城に来るよう命じよ」
「畏まりました」
そう言うと丁度昼時間となり、貧相な食事を行ってからまずは商業ギルドマスターであるデッドリーと面会する。
城にある幾つかの金銀財宝をオークション形式で売る事を後付けで伝えていたが、どうやら人数が集まったらしく、オークション会場にてそれらを売買したいとの連絡だった。
手数料は多少取られるが、王家からのモノと言う事もあり手数料は大幅にカットされたようだ。これには俺も頷いた。
「週末のオークションに間に合うように商品を出すと連絡してくれ。商品は商業ギルドが責任を持って管理して貰えると助かる」
「畏まりました。王家の財宝は私も興味がありますからね」
「とは言っても一回目だ、数は少ないぞ」
「分かっております。それから和平協定を結んでいる【ネバリ】王国から作物や綿花の種や苗を運んで貰える事となりました。ただここまで来るまでに熱さや水が足りずに死ぬ苗も多そうですが」
「では、そろそろ雨季の時期にしようとしていた所だ。その頃合いを見てきて貰らいたい。彼らが到着するまでは雨季の時期にしておくから頼んだぞ。余り日が無いが今月の中旬までに着いて貰えれば何とかなるだろう」
「畏まりました。雨の降る昼から夜にかけて苗にシッカリと水をやり、持ってくるよう頼みます」
「是非そうしてくれ。木の曜日にデッドリーとその部下数名を連れて宝物庫に入る。襲われる事が無いように頑丈な荷馬車を頼むぞ」
「はい。それから最後に箱庭師の情報を此方に纏めて御座います。今まで何故『箱庭師』に注目しなかったのか不思議なくらいですよ……国が管理するのは当たり前と判断しました」
「そうか、後で目を通して置こう」
こうして分厚い紙の束を貰い、まずは一つ仕事を終える。
これは後で事細かにチェックを入れるとして、次は使えない大臣たちとの法改正の話し合いだ。
俺をただのガキと思っていれば大間違いだぞ……。
その首元に鋭利な刃物がある事を存分に知らしめてやる――。
「「脱税」」
「税を抜き取り懐に入れ、私腹を肥やしている者達だ。大臣たちの中にも複数名いた。後々彼等から事情を聞こうと思う」
「脱税は許しがたい行為ですな……」
「これが第一陣のリストだ。だが今すぐ呼ぶつもりはない。まずは法律を改正する。脱税をしていた場合、その貴族籍全員鞭打ち100回の刑に処す事と、税収を更に5割増しで徴収する。期間は3年だ。この法案を通すべく大臣たちを集めよ。緊急案件だとな」
「畏まりました」
「それから国境にある騎士団はまた隣国の【バランドス王国】と諍いがあったようだ。バランドス王国には平和協定を愚王が結んでいたな?」
「はい」
「破れば報復すると伝えていた筈だ。間違いないな?」
「はい」
「宜しい。バランドス王国は広い農耕地帯でもある。民が飢えれば考えも改めよう。こちらから書簡を出したい。サファール宰相任せられるか?」
「慣れております、ご安心を」
平和協定を無視したバランドス王国には作物が育たない程の日照りをプレゼントしてやろう。
王が崩御し若き国王になったのを切っ掛けに手を出してきたのだろうが、その報いは受けさせねばならない。
他国では俺の事を『天候を操れる等嘘っぱちだ』と言う国も多いが、いい見せしめになるだろう。
俺が王位を継いでから、神々の島の海域は穏やかな天候にしている。
あの島から誰がどのようにしてくるかは別として、良い関係を築けたらいいとは思うが、この国では船を作るだけの技術がない。
あったとしてもオアシスに船を浮かべるくらいの物で、とても小さいのだ。
木々が足りない事が大きな原因だろう。
それに海が近いが、王都まで魚を運ぶ手立てがないのも痛い所だ。
漁師町は飢えには苦しんではいないが、飲料水に苦しんでいる。
塩は海水から作れているようだがそれだけだ。
もっと胡椒や砂糖と言った物もその内輸入に頼る事にはなるだろうが欲しい所だな。
その為には国の金を増やす必要があり、民が富まねばならない。
何をするにしても最初の一歩からなのだと改めて痛感する思いだ。
「まずは食料事情の改善、次に法案の改正、我が国でも他国に売りに出せる商品の開発。これは急務だな」
「全て今まで誰も目を着けなかった箱庭師で改善すればいいんですが」
「可能性は0ではない。箱庭師は広い土地がある等と言った簡単な説明しかされていないが、もしかしたら木々が鬱蒼と生えている者もいれば、鉱石が取れる箱庭を持っている者もいるかもしれない。それは商業ギルドマスターに纏めるよう指示を出しているが、代わりとなる【箱庭師大臣】と【箱庭農業大臣】を作るべきだな」
「箱庭師大臣と箱庭農業大臣ですか」
「大臣を筆頭に彼らに箱庭師とその農地を管理して貰う。やる気のある者を大臣には任命するが、今いる大臣のリストには無い者を選びたい」
そう弟と話をしていると、「それでしたら」と声を掛けて来たのはテリオットだ。
何でも自分と同じ年齢ではあるものの、箱庭師に詳しい友人と、農業に興味のある友人がいるのだとか。
両方貴族の三男で働く場所を探していたが、今の我が国では働き先が無く困っていたのだと言う。
「ならば、その二人に会ってみよう。その上で彼らに部下を探させて仕事をさせるのもいい」
「畏まりました」
「三男とはいえ、城仕えになれば多少楽になろう。増々俺たちは国を、国王である俺達もそうだが富まねばならないな」
「そうですね。それから商業ギルドマスターのデッドリーから本日の昼に面会したいとの連絡があったそうです」
「そうか、最近忙しかったからな……是非会おう。それとテリオットは直ぐにその二人に書簡を出し、明日にでも城に来るよう命じよ」
「畏まりました」
そう言うと丁度昼時間となり、貧相な食事を行ってからまずは商業ギルドマスターであるデッドリーと面会する。
城にある幾つかの金銀財宝をオークション形式で売る事を後付けで伝えていたが、どうやら人数が集まったらしく、オークション会場にてそれらを売買したいとの連絡だった。
手数料は多少取られるが、王家からのモノと言う事もあり手数料は大幅にカットされたようだ。これには俺も頷いた。
「週末のオークションに間に合うように商品を出すと連絡してくれ。商品は商業ギルドが責任を持って管理して貰えると助かる」
「畏まりました。王家の財宝は私も興味がありますからね」
「とは言っても一回目だ、数は少ないぞ」
「分かっております。それから和平協定を結んでいる【ネバリ】王国から作物や綿花の種や苗を運んで貰える事となりました。ただここまで来るまでに熱さや水が足りずに死ぬ苗も多そうですが」
「では、そろそろ雨季の時期にしようとしていた所だ。その頃合いを見てきて貰らいたい。彼らが到着するまでは雨季の時期にしておくから頼んだぞ。余り日が無いが今月の中旬までに着いて貰えれば何とかなるだろう」
「畏まりました。雨の降る昼から夜にかけて苗にシッカリと水をやり、持ってくるよう頼みます」
「是非そうしてくれ。木の曜日にデッドリーとその部下数名を連れて宝物庫に入る。襲われる事が無いように頑丈な荷馬車を頼むぞ」
「はい。それから最後に箱庭師の情報を此方に纏めて御座います。今まで何故『箱庭師』に注目しなかったのか不思議なくらいですよ……国が管理するのは当たり前と判断しました」
「そうか、後で目を通して置こう」
こうして分厚い紙の束を貰い、まずは一つ仕事を終える。
これは後で事細かにチェックを入れるとして、次は使えない大臣たちとの法改正の話し合いだ。
俺をただのガキと思っていれば大間違いだぞ……。
その首元に鋭利な刃物がある事を存分に知らしめてやる――。
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