【完結】天候を操れる程度の能力を持った俺は、国を富ませる事が最優先！～何もかもゼロスタートでも挫けずめげず富ませます！！～

第二章 次なる政策と、娯楽の甘味

34 バナナチップスの試作品と、ハチミツの量産及び、次なる開発に勤しむ。

　新たなる甘味として自国栽培している食べ物を使った、ドライフルーツチップスと、ドライ野菜チップス。
　第一弾となる成功品は会議室に運ばれてきて、皆で一つずつ食べながら感想を言い合う。


「バナナチップスと言う奴は美味しいですな……」
「バナナは沢山ありますからな」
「何とも言えぬ自然の甘みを感じます」
「野菜も中々……塩をきかせているんですかね？」
「塩のあるものもあるが、少し塩っ気のついたものは我々には嬉しいですな」


　そう言って皆で食べるフルーツと野菜チップス。
　俺としてはまずまずの妥協点と言った所で、この世界には無いものなのだから売れはするだろう。


「ふむ、試作段階とはいえ、これはこれでアリだな。直ぐにあるだけ瓶に詰めて欲しいと伝えてくれ。後は甘味屋を作りたい。甘味だからかき氷屋の近くが良いだろう。場所の確保と店員の確保を頼む」
「畏まりました」
「それと、シュリウスに連絡を。ハチミツの状態を聞きたい」
「ご連絡してきます」
「「「「ハチミツ？」」」」
「自然由来の甘味だ。早々数が摂れるものではないが、今バランドス王国にてシュリウスに頑張って貰っているものの一つになる。それが可能になれば更なる甘味が増えるぞ」
「「「「おおおおお」」」」
「砂糖にチップスにハチミツに……シュライ様は何処でその様な知識を得られたのです？」
「そこは秘密だな。とはいえ一つ言えるのは、俺が【ロストテクノロジー】を得たからこそ更に増えた知識もある。氷を作る魔道具などがそうだな」
「「「おお……」」」
「後はアツシ様に頼まれている【アレ】の作成だが……城の中で作らせて貰うか」
「【アレ】とは」
「食べ物ではある。だが肉が欲しい……。その為に商隊部門大臣ラディリアにも頼んでいるが、ザーバン商隊に鶏や牛をブタも頼んでいる」


　宗教上肉を食べてはいけないと言う決まりはない。
　前世では国や地域ごとに色々厄介な決まりも多かったし、神が沢山存在した故に一神教等は色々と面倒な所はあったが、そもそもこの世界ではテリサバース教会くらいしか神がいないとされている為、アレコレ問題が起きる事もない。
　その点はとても平和と言えるだろう。


「何にしてもまだ時間が掛かる。次の議題だが」


　――こうして午前中の議題を終えてから執務室に戻ると、シュリウスが目を輝かせて「兄上！」と駆け寄ってきた。
　どうやらいい知らせを持って来てくれたらしい。


「養蜂の方はどうなってる？」
「はい、バランドス王国の蜂は巣を一年に三回替えるそうで、巣箱も沢山用意した所、ハチミツがかなりの量取れております」
「おおおお！」
「こちらが兄上の言っていたハチミツ、それとハチミツから取れた蜜蝋の一部となります」
「凄いな……」
「蜜蝋は美容用品にもなるんでしたっけ」
「ああ、ハンドクリームの材料になったりリップクリームの材料になったりな」
「よくわかりませんが」
「貴族連中なら嫌でも欲しがるだろう。贈り物にしてもいい。俺のロストテクノロジーで作れるアイテムともなる。蜜蝋を取れたら多めに俺に、その他は木製の家具屋等で艶出しで塗って貰ってもいいくらいだな」
「この、わっくす？　とか言う奴ですか」
「艶出しともいうな。蜜蝋で艶を出すことが出来る。品物は皮製品や机や家具といった物までそれなりにある」
「凄いですね……」
「ハチミツは純度が高そうだな……」


　そう言って瓶を開けて少し取り出して舐めると、本当に甘かった。
　シュリウスは既に口にしているらしく、既に瓶詰めして城の倉庫に溜めている途中らしい。
　ハチミツは量が取れると言う事は解った。
　瓶としては大中小とで値段を変えて売る方向で話を纏め、大は金貨１枚。中は銀貨５０枚。小は銀貨１枚とした。
　他国に売る場合はもっと値段を上げるが――。


「ハチミツの使い方に、乳児や幼児への摂取は絶対に駄目だと書いておいてくれ。乳児や幼児へ食べさせてはならないものなんだ」
「そうなんですね……徹底させます」
「それから、大人なら毎日摂取する事で病気に掛かりにくくなる。薬の代用品だな」
「そんな効果が！」
「だから乳児や幼児への摂取は駄目なんだ。効き目が強すぎる」
「分かりました」
「蜜蝋は輸出にも使える。皮製品を作っている地域などでは特に重宝されるだろう。だが、多分俺が作った方が簡単に稼げるから出来るだけ多く俺に回してくれないか？」
「了解です」


　こうして持って来ていた分を俺にドンッと蜜蝋を手渡した弟には苦笑いが出たが、これでリップクリームやハンドクリームが作れる。
　カラーリップも作れるが貴族用だな。

　そんな事を思っていると、輸入輸出を担当している商隊部門大臣ラディリアが戻ってきたと聞き、その場へと向かう。
　城の馬車置き場へと向かうと、品出しをしているようだ。


「精が出るなラディリア」
「シュライ様！　ただいま帰還致しました」
「うむ」
「こちらが輸入して来た品、こちらが輸出してきた品の内訳となります」


　そういうと羊皮紙を俺に手渡し中の内訳をみる。
　海の無いネバリ王国とバランドス王国では魚は特に好まれているようで、売り上げはかなりいい。ここにハチミツやリップ、ハンドクリームが入る日も近いだろう。


「輸入には加工済みのソーセージやベーコンが来たのか。これは助かる」
「良かったです！　数が少ないので申し訳ないですが」
「いや、それは俺が買い取ろう。試したいことがあるのでな」
「畏まりました」
「ベーコンやソーセージでしたらバランドス王国でも作っておりますのに」
「ああ、幾らか売ってくれないか？　この国ではまだ作れないのでな」
「それで牛や豚、鶏といった家畜の購入がされたんですね。アイテムボックスに全て入っておりますが」
「暫しアイテムボックスに入れておいてくれ。直ぐ箱庭師を準備する」
「畏まりました。それと干物の最中をもっと欲しいと言う要望ですので、明日も行ってきます」
「ああ、それと落ち着いて仕事を任せられる人物が出来たら、神々の国に赴いてくれ。連絡は入れておくが４国周って欲しい」
「は、はい！！」


　俺の言葉ラディリアは驚いていたが、直ぐにサファール宰相が箱庭師３人を呼びに行き、この日の為に待機して貰っていたのだ。
　中は小屋とオスメスで分けた柵も作られている。これで肉問題は多少改善してくれればいいが。
　鶏の肉に関しては問題ないかも知れないな。
　その後やってきた箱庭師に内容は前もって伝えていた為、その場で牛や豚、鶏を箱庭に移動させて貰い問題なく終わったようだ。


「今回はマイナスでいい。牛なんかを購入したからな」
「申し訳ありません。ですがオスは少なくメスは多めに仕入れております」
「それでいい。オスは種用か肉にしかならん」
「はい、成長の早い品種を選んできましたが、それで良かったのでしょうか？」
「ああ、成長が早い品種で良い。牛に関しては乳も沢山出るのだろう？」
「はい、ネバリ王国では重宝されている牛を選びました」
「よしよし……これでまた一歩進んだな。貴族連中との嫌な披露宴の前に作り上げたい物もある。頑張るとしよう」
「はい！」
「ロスターニャ。ベーコンやウインナーといった物を箱庭に運んでおいてくれ。冷蔵庫に入れて置いてくれれば構わない」
「いいわよ～」
「後執務室にある蜜蝋も頼む、そっちは台の上で良い」
「かしこまり～♪」


　こうして次なる試作段階へと俺は突き進んでいく――。