召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。

寿明結未(ことぶき・あゆみ)

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第一章 要らないと言うのなら旅立ちます。探さないで下さい。

38 土日は戦争。その結果は?

 夕飯が終わってからエリーナとカナエと一緒にお菓子屋へと向かった。
 エリーナも生ものは理解しているようで、カナエが次から次に商品を出して、それをガラスケースの中に陳列していく。
 そこで、気になったのでスーパーにあるようなガラスケースを鑑定すると、中に入れた物は劣化しないらしい。
 ついでにレジ下のガラスケースも鑑定すると、同じように劣化しないことが分かった。
 ならば冷蔵庫も鑑定すると、中の物は劣化しないと出た。


「………」
「どうしたの先生」
「ガラスケースとレジ下のガラスケースと、あと冷蔵庫なんだが」
「どうしました?」
「中に入れているものは劣化しないらしい。つまり時が止まるらしい」
「「へぇ……」」
「これは、良い事を鑑定したな」


 つまり、腐らないのだ!!
 商品を出せば劣化するだろうし腐るだろうが、中に入ってる間は時が止まる!!
 ガンガン売りに出せるな!!


「よし、ドンドン出そう!」
「そうですね!! 気にせずバンバン入れましょう!」
「時間が止まるなら腐りませんしね!!」
「入れよう入れよう!」


 こうして俺達は甘い生もので箱買いできる状態の物を選んでドンドン陳列し、ケーキはカナエが選んだものを並べて入れて陳列し、ケーキを箱に入れた状態で番号を振り、中の冷蔵庫にドンドン入れた。
 もう一つの中の冷蔵庫にはシュークリームやエクレアなどを箱買いして、更に箱に入っている物を出す形にして置いて行った。
 二つの冷蔵庫が一杯になる頃、夜9時に差し掛かろうとしていたので俺はお菓子屋と酒屋のレジにお金を入れ、後の事を二人に任せてその足で銭湯へ行く。


「はいよお~。噂が広まったのか今日からドンドン人が入ってねぇ。大盛況だよ」
「掃除も頻繁にしといたから清潔だぜ」
「今日もありがとうございました。空のお弁当セットを受け取ります」
「いやいや、こっちこそ有難いよ。こんな美味しいご飯まで食べさせて貰えるんだから」
「そう言って貰えると助かります」
「そうだ、今日ギルマスがやってきて、番台と掃除二人にも休みが必要だろうから、交代で三人雇うって言ってたよ」
「なるほど。営業時間も長いですし、いい案ですね」
「お風呂は毎日入るからねぇ」
「月曜の夜給料を渡しに来ます。今月は稼働日が少ないので期待しすぎないで下さい。それまで明日からもよろしくお願いします」
「ええ、分かりましたよ」
「ありがとう御座います!!」


 こうして拠点に帰り、フウッと息を吐くと玄関に靴を置いて次は仕事場へと入る。子供達は休みだったが、休日の今日も働いてくれたテリアや大人組の頑張りを記載して仕事時間も記入した。そろそろギルマスのリウスさんに胡椒等を卸さねば。
 それは明日行くとして、濃厚な時間を過ごしたなーと思っているとダグラスが風呂から上がってきた。


「もう女性二人は風呂に入ったぞ」
「そうか、俺も風呂に入って来るよ」
「先に寝てるぜ?」
「ああ」


 こうして俺も着替えを空間収納から出し、久しぶりに一人で風呂に入る。
 ユッタリ入れるのは久しぶりだが……なかなかいいものだ。
 子供たちの手が届かない場所に入浴剤も置いているので、ダグラスがスーッとするのを入れてくれたのか気持ちがいい……。
 今日も一日頑張ったな……。
 明日も朝から忙しい。寧ろ土日こそが忙しい……。
 寝る前に今ある在庫を一号店に持って行ってから寝よう。
 そんな事を思いつつ暫し身体を癒してから上がり、着替えを済ませて一号店に向かうと二階に上がり化粧品の追加を置く。
 土日は戦争だと聞いている。
 頑張ろう。
 こうしてやっと仕事が終わり眠りについた翌日。皆に仕事の割り振りをし、その足でまずはリウスさんに会いに向かう。
 無論カナエも一緒だ。
 商業ギルドに入ると直ぐに女性職員がギルマスの部屋に飛んでいき、俺達は応接室に通された。


「何か困りごとでも?」
「いえ、忙しくて塩や砂糖等卸して無かったなと思いまして、かなり多めに持ってきたんですが」
「全て買いましょう!」
「ありがとう御座います! 塩が300個、砂糖が300個、胡椒が500個あるんですが」
「大丈夫です。買います」
「ありがとう御座います」


 砂糖と塩合わせて金貨60,000枚。胡椒が金貨40,000枚と、合計100,000枚の金貨をゲットした。
 此れには俺もニッコリだ。
 子供達も頑張ってくれているし、本当に助かっている。


「そう言えば銭湯に追加で人を入れて、交代しながら毎日営業すると聞きましたが」
「はい、ロザリーさんはお年を召しておられますからね、他の二人は若いからと言っても朝10時から夜9時まで営業している店はありません。さすがに休みがないと長続きしないと思い、それで三人募集を掛けている所です」
「なるほど」
「来月には新しい人材が入ると思いますので、その時はまたご挨拶致します」
「宜しくお願いします」


 こうしてリウスさんに別れを告げ急いで拠点に戻り、各店舗を回る。
 すると――、一号店の「化粧品店」は女性陣の圧が凄く、走り回る従業員が可哀そうに見えてきた……。
「一人一つまでです!!」
「二つ購入は禁止です!」


 そんな声が木霊している……。
 双子の男性陣は階段を行ったり来たりしながら商品を出しているし、二階に上がると足りない在庫が出ていたので慌ててカナエに追加購入を促す。
 入れ替え作業が必要な物はどうしようもないので仕方ないが、それ以外の物はカナエに出して貰いながら俺がマジックペンで商品名と番号を振り、ドンドン置いて行く。


「あ! 在庫補充ありがとうございまーす!」
「「お疲れ様でーす!」」


 そんなやり取りをしながら補充が終わると、次の店である二号店「お菓子屋」へと向かう。
 店の中は戦争だった。
 10人の従業員でも足りないのでは? と言うくらいだったが、まず冷蔵庫を確認して次々補充する。
 マジックで商品名を書くのも忘れない。
 一旦満タンになった所でシュークリーム等の場所も補充していく。
 もうドンドン補充しまくって腕が疲れてきたが頑張って名前を記載した。
 続いてケーキだが、殆ど残っていなかった。
 それを一気に補充していき、倒れない高さで補充すると俺は急いで店のレジに向かい「ケーキ諸々その他補充済みです」と言うと目を潤ませ「待ってましたああああ!!」と叫ばれた。
 そしてバタバタとケーキと生ものが補充され、それも飛ぶように売れていく。
 もう中身を見なくてもいいからケーキと言う人もいた。

 余りにも恐ろしい光景にそのまま二階へと上がったが、あれだけ準備したお菓子が殆どなくなっていて、慌てて補充開始。
 ドンドン補充して名前を書いてを繰り返し、全体的に補充が終わったらまた一階に降りて「クッキー系全部補充済みです」と伝えると「ありがとうございまあああああす!」と叫んで二人が階段を駆け上がって行った。

 次に第三店舗の酒屋だが、こちらはケース買いが爆裂していて、更に追加でケース買い用の物をドンドン置いて行った。
 ノルディスさんは「助かりました!」と叫び、ドンドン積まれて行く在庫にホッとしているようだ。


「この分だと午後も一回か二回来ないとだな」
「頑張りましょう!」


 こうしてお弁当を作る時間もある為カナエは先に帰り、出して貰った物を只管置いては名前を書いてを繰り返し、終わる頃にはまた在庫が減り始め。
 土日は戦争とはよく言ったものだなと思いつつ、ヘロヘロになりながら戻るとお弁当が用意されていて、それを各所に届けて置き、そして戻ってご飯を食べて、少しだけ珈琲タイムを楽しんでから、また補充に走り回った土日の結果――!!


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