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第6話 特訓と少女
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「カイトさん、お客様がお見えです」
エミリーはカイトの部屋へ行きそのことを伝えた。
「客? 俺なんかに誰が?」
「私にはわかりませんが、若くて強そうな男と若い女でしたよ?」
「ありがとう。行ってみる」
カイトは少し急ぎ目に玄関へ向かった。玄関はとても広く、床は綺麗に磨かれた大理石で作られていた。その大理石はカイトの姿を下から鏡のように映す。
そこにはエミリーがさっき言っていた若い男女とウィンストンがいた。
「あの、これはどういうことですか?」
カイトはウィンストンに首を傾げながら尋ねる。
「君はとても強い魔力を持っているが、魔法を使えないだろ? だからトレーナーをよんだんだ」
「そういうことか。でもどうやってやればいいんだ?」
「俺はクリスだ。君の左目である朱目レッドアイによる火属性の魔法を教える」
「私はケイティよ。あなたの右目、つまり蒼目ブルーアイにより水属性の魔法を教えるわ」
「一つ質問がしたいのだが」
「えぇ、何かしら?」
「目と魔法は関係するのか?」
「あぁもちろん。その目の色によって威力が一番強い属性が決まっているんだ。
だから、ほかの属性も使えないことはないが威力が小さくなるか消費する体力が大きくなってしまうんだ」
「俺のほかにどんな色が?」
すると、ウィンストンが口を開いた。
「ソフィアも同じく蒼色だ。エミリーは緑色で風、イリーナは黄色で電気、ほかにも茶色で土、地面、水色で氷がある。他にも珍しいものがあるけどな」
クリスは一つ例を挙げた。
「珍しいものの例とすれば、金色で少し光を発しているものは光の魔法を持つんだ。
しかしこんな人はいないとされているがな」
「そして、もう一つあるのよ。紫色で闇の魔法を持つものがいるの」
「それは誰なんだ?」
ケイティはその質問を受け口を閉じた。
その沈黙を破ったのはウィンストンだった。
「魔王だよ。 魔王のことはあまり口出してはいけないんだ。それに紫という色も駄目なんだ。だからこの国のものには紫が一切使われていない」
「そうだったのか。わかった」
「さぁカイト君、特訓に行きましょう!」
クリスとケイティとカイトは城内の庭に出る。
「君は一般初級魔法を使えるか?」
「初級魔法って?」
「主に浮遊魔法から始まり、ちょっとした発火魔法や電撃などのことだ」
クリスは初級魔法について説明する。
「いいや、俺は魔法なんて使ったことがないからできない」
「そう、でも魔法は呪文なんて覚えなくても使えるのよ。例えば浮遊魔法の呪文は”トーロフ”だけどこんなやり方でもできるのよ」
ケイティは飛ぶ準備の姿勢になった。そして一度深呼吸をした。
「風の精霊たちよ、今私に従い私の体を空中へあげなさい。」
ケイティの周りに生えていた草が風に吹かれそよそよと揺れる。
その風は何周もケイティの周りを回り徐々にケイティの体を持ち上げる。
「どう? これが浮遊魔法よ」
「そんなこと俺にできるのか?」
「えぇ、できるわ! ルーフォ」
ケイティは返事をし、再び呪文を唱え地面へと足を付けた。
そのころ
ソフィアとオットーは昨日と同じようにガゼボの下で座っていた。
「ねぇ、オットー。カイトなら浮遊魔法は余裕よね?」
「うん。カイトなら大丈夫だよ」
オットーは空を見上げながらそういった。
「どうしたの? ずっと空を眺めているけど」
ソフィアはオットーの顔を覗き込みながらそう尋ねた。
「いいや、空がきれいだなぁと思ってね」
オットーは目を合わせてきたソフィアに対し目をそらす。
「うふっ、オットーたら嘘ついてるでしょ!」
「つ、ついてないよ!」
オットーは尻尾をぴんと立たせながら慌てた様子でそういった。
「ドインマ・ドーリ!」
「読心魔法!? 何か別のことを考えなきゃ!」
オットーは目をつぶり必死に何かを考えた。
「遅かったわね。今日なんでしょ、エマと同じオッドアイの人が現れるの」
「そうだよ。ばれちゃったか」
「なんで隠すのよ」
「いや、ソフィアに心配かけたくなかったんだよ」
「そんなこと言って、私も見とくわよ」
「ありがとう! ソフィアはやさしいね」
「そんなことないわよ。オットーを手伝わなきゃね!」
ソフィアとオットーは目を合わせ共に微笑む。
すると、遠いところから声が聞こえた。
「風よ! 私を浮かせなさい!」
オットーはその声の方向に目を向ける。
「ソフィア!あれを見て!」
ソフィアは言われた通りの方向へ視線を移す。
するとそこには浮遊魔法を使い空からゆっくりと降りてくる少女の姿があった。
エミリーはカイトの部屋へ行きそのことを伝えた。
「客? 俺なんかに誰が?」
「私にはわかりませんが、若くて強そうな男と若い女でしたよ?」
「ありがとう。行ってみる」
カイトは少し急ぎ目に玄関へ向かった。玄関はとても広く、床は綺麗に磨かれた大理石で作られていた。その大理石はカイトの姿を下から鏡のように映す。
そこにはエミリーがさっき言っていた若い男女とウィンストンがいた。
「あの、これはどういうことですか?」
カイトはウィンストンに首を傾げながら尋ねる。
「君はとても強い魔力を持っているが、魔法を使えないだろ? だからトレーナーをよんだんだ」
「そういうことか。でもどうやってやればいいんだ?」
「俺はクリスだ。君の左目である朱目レッドアイによる火属性の魔法を教える」
「私はケイティよ。あなたの右目、つまり蒼目ブルーアイにより水属性の魔法を教えるわ」
「一つ質問がしたいのだが」
「えぇ、何かしら?」
「目と魔法は関係するのか?」
「あぁもちろん。その目の色によって威力が一番強い属性が決まっているんだ。
だから、ほかの属性も使えないことはないが威力が小さくなるか消費する体力が大きくなってしまうんだ」
「俺のほかにどんな色が?」
すると、ウィンストンが口を開いた。
「ソフィアも同じく蒼色だ。エミリーは緑色で風、イリーナは黄色で電気、ほかにも茶色で土、地面、水色で氷がある。他にも珍しいものがあるけどな」
クリスは一つ例を挙げた。
「珍しいものの例とすれば、金色で少し光を発しているものは光の魔法を持つんだ。
しかしこんな人はいないとされているがな」
「そして、もう一つあるのよ。紫色で闇の魔法を持つものがいるの」
「それは誰なんだ?」
ケイティはその質問を受け口を閉じた。
その沈黙を破ったのはウィンストンだった。
「魔王だよ。 魔王のことはあまり口出してはいけないんだ。それに紫という色も駄目なんだ。だからこの国のものには紫が一切使われていない」
「そうだったのか。わかった」
「さぁカイト君、特訓に行きましょう!」
クリスとケイティとカイトは城内の庭に出る。
「君は一般初級魔法を使えるか?」
「初級魔法って?」
「主に浮遊魔法から始まり、ちょっとした発火魔法や電撃などのことだ」
クリスは初級魔法について説明する。
「いいや、俺は魔法なんて使ったことがないからできない」
「そう、でも魔法は呪文なんて覚えなくても使えるのよ。例えば浮遊魔法の呪文は”トーロフ”だけどこんなやり方でもできるのよ」
ケイティは飛ぶ準備の姿勢になった。そして一度深呼吸をした。
「風の精霊たちよ、今私に従い私の体を空中へあげなさい。」
ケイティの周りに生えていた草が風に吹かれそよそよと揺れる。
その風は何周もケイティの周りを回り徐々にケイティの体を持ち上げる。
「どう? これが浮遊魔法よ」
「そんなこと俺にできるのか?」
「えぇ、できるわ! ルーフォ」
ケイティは返事をし、再び呪文を唱え地面へと足を付けた。
そのころ
ソフィアとオットーは昨日と同じようにガゼボの下で座っていた。
「ねぇ、オットー。カイトなら浮遊魔法は余裕よね?」
「うん。カイトなら大丈夫だよ」
オットーは空を見上げながらそういった。
「どうしたの? ずっと空を眺めているけど」
ソフィアはオットーの顔を覗き込みながらそう尋ねた。
「いいや、空がきれいだなぁと思ってね」
オットーは目を合わせてきたソフィアに対し目をそらす。
「うふっ、オットーたら嘘ついてるでしょ!」
「つ、ついてないよ!」
オットーは尻尾をぴんと立たせながら慌てた様子でそういった。
「ドインマ・ドーリ!」
「読心魔法!? 何か別のことを考えなきゃ!」
オットーは目をつぶり必死に何かを考えた。
「遅かったわね。今日なんでしょ、エマと同じオッドアイの人が現れるの」
「そうだよ。ばれちゃったか」
「なんで隠すのよ」
「いや、ソフィアに心配かけたくなかったんだよ」
「そんなこと言って、私も見とくわよ」
「ありがとう! ソフィアはやさしいね」
「そんなことないわよ。オットーを手伝わなきゃね!」
ソフィアとオットーは目を合わせ共に微笑む。
すると、遠いところから声が聞こえた。
「風よ! 私を浮かせなさい!」
オットーはその声の方向に目を向ける。
「ソフィア!あれを見て!」
ソフィアは言われた通りの方向へ視線を移す。
するとそこには浮遊魔法を使い空からゆっくりと降りてくる少女の姿があった。
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