純白のレゾン

雨水林檎

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彼の秘密

03

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「腹たつー、ムカつくなあ!」
「うっかりして間違えてしまった、悪かったな、無垢」
「砂和さんに言ってるんじゃない」

 試験期間が近いから俺は職員室には入れない、それを良いことに青海は米粒を一つのこらず食べ尽くし、梅干しの種を出して今弁当を食べ終えた。そしてニヤリと嫌な感じに笑って。

「はいどうぞ、ごちそうさま。ふふん、空箱でよろしければ、小鳥遊くん?」
「青海のくせに、青海のくせに……このバーカ!」
「はぁ? なんだその口の利き方は、低レベルすぎるだろ。くそ、数学の試験問題習ってないところ出してやる!」
「普通にみんなの迷惑だ!」

 職員室の入り口で悪口を言い合っていると校長が苦い顔をしてこちらをみている。どいつもこいつも……舌打ちして砂和さんの差し出した弁当箱を受け取って、届くところにいた青海のサンダルばきの足を踏みつけて教室へ戻る。青海の悲鳴が聞こえているが何においてもあいつが悪いんだ、知らない。

「小鳥遊、次体育だから着替えるぞ」
「ああ、ちょっと待って弁当食べちゃうから」

 そして俺は一気に弁当を食べ、指定ジャージをロッカーから出して慌てて体育の準備をする。昼飯、砂和さんはちゃんと何か食べたのかな、青海が横取りするからだ全く……。
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