純白のレゾン

雨水林檎

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お別れの日

06

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 転校先の中学では意外と友人は簡単に出来た。染めていないが周りより明るい色をした髪に目をつけた悪いグループも、俺がひと睨みしたら簡単に仲間に入れてくれた。とりあえずの問題は回避したか……砂和さんがいなくなってから荒れた俺は、頻繁に喧嘩をするようになっていた。生意気だと向こうから喧嘩を売られることも多かったが、殴る前に殴り返したし運動神経も良いので追いかけられても簡単に逃げ通せた。そんな俺が唯一うまくいかなかったのは砂和さんとの関係だ。

「無垢、ただいま」

 午後八時過ぎ、砂和さんが帰宅する。スーツ姿にマイバッグを持って、今夜はハンバーグとか言っていた気がする。頼まれた炊飯器に米が炊けているのを見て彼は礼を言う。俺はああ、とかうう、とか言葉にならないものを返した気がする。食事時くらいしか話す機会もないが、俺は何を話したらいいのかわからなかった。言わなければいけないことはたくさんあったのに。

「無垢、私の勤めている高校に来るって本当?」
「え……」
「今日保護者面談の申込書が出してないって、中学の先生から私に電話があってね。正直無垢ならもっと進学校に行けるよ、家から自転車通学のできる距離にも学校はあるし」
「別に、興味ない」
「大学進学も構わないんだよ、向島の両親の遺産もあるから」
「……興味ないって言ってんだろ」
「無垢」

 作ってくれたハンバーグを飲み込んで、そのまま部屋に逃げ込んだ。砂和さんはまだ話したそうにしていたけれど、俺は耳を塞いで真新しい布団に潜り込んだ。一緒の高校なら、砂和さんを見ていられる。勉強なんか楽しくない、テスト前しかどうせしないし。
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