最弱層にあるモンスターハウス出身の悪魔が魔王に成り上がる

ぱけ

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第一章 スターターダンジョン編

第1話 ここはどこ?

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 私の名前は……
 種族は……
 ここは……

 何も思い出せない。当たりを見てもなにも見えない。でも何かいる。
 とても怖い。
 だから目をつぶってただ待つことしか出来なかった。
 そうしているうちに急に部屋が明るくなった。
 どうやら扉が開いたらしい。
 そうして1匹の緑色の何かがこちらを見てきて口を開いた。

 「よぉ、新人共。ようこそモンスターハウスへ!歓迎するぜ!!」

 何を言ってるのか分からなかった。周りが急に雄叫びを上げてとってもびっくりした。
 よく見ると先程言った緑色の何かと似ている者たちと半透明でぷよぷよした変なものがいた。
 どうやら彼らは理解しているらしい、この状況を。私だけは全く理解できない。とても困惑して部屋の隅っこへこっそり移動した。
 続々と他のものは扉の外へ出るが怖くて体が動かなかった。
 このまま扉が閉まって欲しい。そう思っていたが、先程の緑色の何かがこちらに気づいてこっちに近づいてきて話しかけてきた。

 「おい、お前……誰だ?」
 「あ、あ、あの……えっと……」
 「まぁまぁ、落ち着けって。食ったりしねーよ。がっはっは!!」

 とっても大きな笑い声だった。でもどこか優しい笑い方でもあった。

 「えっと……ここは?」
 「ここか?さっきも言ったがここはモンスターハウスだ。スターターダンジョンの最上層にあるところの。聞いてなかったのか?」
 「あ、聞いてはいたんだけど何を言ってるのか……」
 「は?モンスターハウスを知らないだって!?」
 「ひっ、ごめんなさい!」

 とても大きな声で言われた。

 「あぁ、悪い悪い。モンスターハウスを知らないとはなぁ。しかも見た目が俺らとは違うな。さっきも言ったがお前さんは何者なんだ?」
 「えっと……それが私もわからなくて……」
 「わからない……そうか、わかった。」

 そう言って彼は悩んだ素振りを見せて、そして再びこっちを見てきて笑顔でまた話しかけてきた。

 「まぁ、いいや。俺はゴブターク。ここのモンスターハウスのリーダーで、種族はゴブリンリーダーだ。ここではリーダーって呼ばれてる。お前さんもそう呼んでくれ。」
 「ど、どうも。リーダーさん……」
 「ただのリーダーでいいんだけどな。ところでお前さん、名前は?」
 「名前?名前は……えーっと……わからない……」
 「そうか。まぁそう気を落とすな。名前が無いやつが普通だ。つまり俺は珍しいってことだな!がっはっは!!」
 「へ、へぇ……そうなんだ」
 「あぁ、名前ついてんのは俺と副リーダーぐらいだな。あとはスライムリーダーも一応名前があるんだっかか?まぁそのうちに紹介してやるよ。」
 「うん、わかった……ありがとう」

 話しているうちに何かと落ち着いて、そして安心した私は少し笑っていた。

 「初めて笑ったな、それでいいんだ。ところで、お前さんの種族はなんだ?」
 「しゅ、種族?種族は……」
 「おいおい、その顔。もしかして種族を忘れちまったのかい?」
 「うぅ……ごめんなさい」
 「あぁいやいや、別に大丈夫だ。いつか思い出せばいいしな!!」

 慌てながらもどうにか安心させようとしてくるリーダーさん。とても仲間思いなんだろう。そういった印象だ。

 「とりあえず、ここの案内をしてやる。立てるか?」
 「あ、うん。大丈夫。」
 「そうか、じゃあもう一度言わせていただくぜ。ようこそ、モンスターハウスへ!!」

 これから私の全てが始まる。
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