最弱層にあるモンスターハウス出身の悪魔が魔王に成り上がる

ぱけ

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第一章 スターターダンジョン編

第20話 ロバートの道③

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 おかしい。弱すぎる。
 前回は騎士達に任せていて分からなかったが、ダンジョン自体のレベルが低すぎる。
 わざとモンスターハウスに入り、奴と戦いに行こうとしたがいなかった。
 ゴブリンとスライムは前回と同じだが……
 少しがっかりしたが、これは修行。集中して攻略に挑もう。



 ……いや、弱すぎない?
 最初はゴブリンとスライムしかいない。
 中間層あたりからゴーレムが出てきて苦戦しそうだったのに弱すぎて歯ごたえがなかった。
 いや、これは修行の成果なのか?
 師匠は攻略させて元気づけようとしたのか?
 まぁいい。パッパと終わらせよう。

 最下層に着いた。
 レッサーデビルはなかなか強かった。
 個体によって強さが変わるので見極めが大事だ。
 でも私の敵ではない。
 何事もなく進んでいく。
 途中で人形達が襲ってきた。
 魔法を使ってきたので、試しに切ってみることに。
 未完成のままだが、剣で魔法を防御できた。
 ただ、奴の魔法とは程遠い。まだまだ精進せねば。

 そして最下層のモンスターハウスに着いた。
 ……のはずだが、モンスターがいない。
 モンスターハウスは沢山の魔物がいるはずだが……
 先に誰かが攻略してしまったのか?
 そう思っていたら、目の前から人影が……
 もしかして……!!



 私は強く剣を握りしめ、集中する。
 奴は子供の容姿をしていたが、目の前にいるのは大人。
 たぶん、母親だろう。

 「貴様!!何者だ!!」

 スターターダンジョンの最下層はレッサーデビルとドールマスターが出てくると聞いている。
 なのに、どっちも違うと思われる。
 誰なんだこいつは。

 「私の名前はミラ。種族はーーわかりません」
 「わからないだと!?ふざけているのか!!」
 「そ、そう言われても分からないものは分からないのです。まぁそんなことはどうでもいいのです。早速私の練習台になってください!!」

 そう言って魔法を唱えてきた。

 『ファイアーボール』

 きた。
 あの時のファイアーボールよりも遥かに強いものが!!
 しかし、今の私は昔とは違う!!
 そう言って魔法を剣で切る。
 ファイアーボールと剣がお互いを押し合う。

 「ぐっ……重い……が、切れる!!」

 そう言ってロバートは剣で魔法を切った。

 魔物は少し笑っていたのが不気味だが、新たな道ができた。
 魔法は剣で切れる。
 心の中で喜び、私も笑った。

 「お見事です。剣で魔法を切る。本の中でもそういった芸当ができる人間はいませんでした!!では、次に参りましょう!!」

 魔物はさらに魔法を唱えていく。

 『ファイアーバレット』

 厄介な魔法を使ってきた。
 沢山のファイアーボールがこちらに飛んでくる。
 だが、ここを塞げば私は勝つ!
 なんせ、ファイアーバレットは魔力をたくさん使う。
 普通は3つほどだが魔物はその10倍ほどだ。
 ここが耐えどころ!!

 「うおおおおおおお!!!!!」

 私は無心で……いや考えられる余裕ほどないぐらい切りまくった。




 ……耐えた。耐えてやった!!
 いくつか切らなかったが、防御は出来た。
 疲れで体はボロボロだが、相手は魔法が使えない!
 勝った!!これで私の新しい道を……

 「なかなかやりますね、人間。では、続きをしましょう!!」
 「な、なんだと!?魔法はもう使えないはずだ!!」
 「おや、私はまだまだ使えますよ?今のはウォーミングアップにもなりません。まだ試していない魔法が数千個もあるのです。ポーションとやらを使わる時間を上げますのでさぁ!!続きを!!」

 魔物の言葉が理解できない。いや、理解しているのだが受け入れたくない。
 私は無気力になり、その場に座り込んだ。
 師匠、すみませんでした。私の道はここまで……

 「おっと、魔物よ。ここまでにして貰えるか?」
 「し、師匠!?」

 どこから現れた師匠にビックリした。

 「こやつはわしの弟子。今はまだ発展途上なのだ」
 「そうですか、ではあなたが実験台になってくれると?」
 「ふっ、ご冗談を。ここは失礼するぞ。強き者よ」

 そうして、私は師匠にマジックアイテムでダンジョンから逃げ出した。
 また、負けてしまった。
 スターターダンジョンですら勝てない私に未来はあるのか……?
 また、道の先の光が遠くなっていた気がする。
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