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魔龍動乱
暗闇の赤
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世界が赤く色づきだす夕暮れの中、レオンは魔龍をジッと見つめていた。
「ドラクルさん……」
返事はない。
レオンが己の短剣によって魔龍から体の自由を完全に奪ったからだ。
一歩前に踏み出し、レオンはその掌を魔龍の眼前にかざす。
覚悟は、もうできていた。
軽く瞼を閉じ、開く。
すると、レオンの瞳はほのかに赤く染まった。
「始めますね」
呟き、レオンは強烈な〈殺気〉を放つ。
すると、それを感じ取ったのか広い森から一斉に鳥たちが飛び去った。
これでウルフの〈魔獣王〉が解けた、もしくは弱めることができたと仮定する他レオンにはなかった。
「……『目を覚ませ』」
鳥の大群によって光の消えた森の中、レオンがドラクルに命じる。
すると、ドクンと大きく心臓が跳ね、脳内に自分の声が響く。
その眼の赤は先程よりも強く、鮮やかに染まっていた。
黒に染まった空を見上げ、オーバの傍らにいるジジはどこか怯えたように啼いてみせた。
「……これじゃあジジも飛べない。俺ら、この森から出れねぇぞ」
そう言うオーバもどこか焦ったように額に汗を滲ませている。
「でもシンピがワープできるから……」
「悪いがララ。今の私は魔力が枯渇した状態……転移魔法は使えない」
「え、じゃ、じゃあ……」
「オーバの言う通りだ……この鳥の大群が消え去るまで私達は脱出できない。そして……」
暗闇の中、シンピはレオンのいる方向をずっと注視していた。
そこに浮かんでいるのは――
「あの赤って……まさか」
――リンネがあの日、ブレンダムで見たものと同じ赤だった。
「ビーディー、リンネ、ララ。今すぐレオンの下に向かってくれ。なにか……嫌な予感がする」
シンピの言葉に頷き、三人は闇に浮かぶ鮮烈な赤へと急いだ。
「ぐうっ……! うおおおお!!!」
レオンは苦しんでいた。
己の主導権を握らせないために。
『諦めろ。往生際が悪いぞ。お前が俺……〈魔獣王〉を頼ったんだ。恨むなら自分の無計画さを恨むんだな』
「うる、さい……! 大人しく……し、てろっ……!」
『そいつは俺のセリフだ……寝てろ。レオン・ハルベルト』
「うおおおおっ!!!」
大きく吠え、糸が切れたようにレオンの体から力が抜ける。
そうして、真っ赤な眼のレオンは何事もなかったかのように立ち上がった。
「レオン!」
駆けてきたリンネに名前を呼ばれ振り返る。
レオンは、ニヤリと笑った。
「久しぶり……でもないか。また会えたな。リンネ」
その声が孕む独特の雰囲気に、リンネは覚えがあった。
瓦礫の山となったブレンダムで出会ったレオン――否、レオンらしき者の異質な雰囲気だ。
「……レオンは?」
「ほう、察しがいいな。レオン・ハルベルトなら少し眠ってもらってるよ。邪魔だったんでな」
リンネやララの表情が険しくなる。
「レオンを返して」
「返してとは結構な物言いだな。俺はレオンに頼まれて出てきたというのに」
「頼まれて?」
「ああ……『目を覚ませ』」
レオンが命令すると、魔龍の巨体がゆっくりと動き出した。
「ドラクルさん……」
返事はない。
レオンが己の短剣によって魔龍から体の自由を完全に奪ったからだ。
一歩前に踏み出し、レオンはその掌を魔龍の眼前にかざす。
覚悟は、もうできていた。
軽く瞼を閉じ、開く。
すると、レオンの瞳はほのかに赤く染まった。
「始めますね」
呟き、レオンは強烈な〈殺気〉を放つ。
すると、それを感じ取ったのか広い森から一斉に鳥たちが飛び去った。
これでウルフの〈魔獣王〉が解けた、もしくは弱めることができたと仮定する他レオンにはなかった。
「……『目を覚ませ』」
鳥の大群によって光の消えた森の中、レオンがドラクルに命じる。
すると、ドクンと大きく心臓が跳ね、脳内に自分の声が響く。
その眼の赤は先程よりも強く、鮮やかに染まっていた。
黒に染まった空を見上げ、オーバの傍らにいるジジはどこか怯えたように啼いてみせた。
「……これじゃあジジも飛べない。俺ら、この森から出れねぇぞ」
そう言うオーバもどこか焦ったように額に汗を滲ませている。
「でもシンピがワープできるから……」
「悪いがララ。今の私は魔力が枯渇した状態……転移魔法は使えない」
「え、じゃ、じゃあ……」
「オーバの言う通りだ……この鳥の大群が消え去るまで私達は脱出できない。そして……」
暗闇の中、シンピはレオンのいる方向をずっと注視していた。
そこに浮かんでいるのは――
「あの赤って……まさか」
――リンネがあの日、ブレンダムで見たものと同じ赤だった。
「ビーディー、リンネ、ララ。今すぐレオンの下に向かってくれ。なにか……嫌な予感がする」
シンピの言葉に頷き、三人は闇に浮かぶ鮮烈な赤へと急いだ。
「ぐうっ……! うおおおお!!!」
レオンは苦しんでいた。
己の主導権を握らせないために。
『諦めろ。往生際が悪いぞ。お前が俺……〈魔獣王〉を頼ったんだ。恨むなら自分の無計画さを恨むんだな』
「うる、さい……! 大人しく……し、てろっ……!」
『そいつは俺のセリフだ……寝てろ。レオン・ハルベルト』
「うおおおおっ!!!」
大きく吠え、糸が切れたようにレオンの体から力が抜ける。
そうして、真っ赤な眼のレオンは何事もなかったかのように立ち上がった。
「レオン!」
駆けてきたリンネに名前を呼ばれ振り返る。
レオンは、ニヤリと笑った。
「久しぶり……でもないか。また会えたな。リンネ」
その声が孕む独特の雰囲気に、リンネは覚えがあった。
瓦礫の山となったブレンダムで出会ったレオン――否、レオンらしき者の異質な雰囲気だ。
「……レオンは?」
「ほう、察しがいいな。レオン・ハルベルトなら少し眠ってもらってるよ。邪魔だったんでな」
リンネやララの表情が険しくなる。
「レオンを返して」
「返してとは結構な物言いだな。俺はレオンに頼まれて出てきたというのに」
「頼まれて?」
「ああ……『目を覚ませ』」
レオンが命令すると、魔龍の巨体がゆっくりと動き出した。
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