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第21話 三国騒(争)乱
第21-3話 ユーリの郷里と2組の勇者様ご一行
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ユーリは胸騒ぎが収まらない。あるじ様におでこに長いキスをしてもらった時だけドキドキしたけれど、クウに荷馬車をつけ、多少なりともメアさんからいただいた生活物資を乗せて、あの地を目指しクウを走らせているとそのドキドキもどこかに消えてしまった。あとには不安しか残っていない。
どうしてあの地が気になるのだろう。思い出にあるわけではない。おぼろげながら城の中を思い出すだけなのに。
それでも、そこに暮らす人々を守らなければならないという強い義務感が生じている。そんな自分に苦笑いしている。あの時この地とは関係ないと言い切った私が、今こうして駆けつけようとしている。
「クウごめんね、無理しないで。」
そう言いながらも、短い休憩を挟んで駆けさせている。モーラに頼めばすぐに到着するというのにこうして馬で駆けている。頼むのは何か違うと心の中で思っていたから。
『ユーリ、聞こえるか。わしじゃモーラじゃ。里に行くついでじゃわしの手に乗れ。』
『いいのですか。』
『ああ、パムも別な場所に送っていくところじゃ問題ない。それに、戦争は膠着しているらしいから、近隣の集落は簒奪に遭いやすいらしい、急いだほうが良いようだぞ。』
『了解しました。』
そうして私は、モーラの手に乗り現地に到着した。そこにはまだ普通の集落がありました。
集落の手前のロアンの所に少しだけ荷物を持っていく。
「ロアンいますか?ユーリです。わかりますか。」
周辺に向けて大声を出す。ゾンビが近づいてくる。
「ご主人様、じゃないか、あなたの友達を呼んでください。」
ゾンビはその意味を理解したのか体を揺らしながらどこかに向かっていく。しばらく待つとゾンビと共に彼がやってくる。
「いったいどうしたのですか、一人でこんな所へ。ここは戦争中なのです。大変危険なのですよ。」
ユーリは、会って早々、彼に怒られました。
「あるじ様の他、うちの皆さんが心配していましたよ。大丈夫なのかと。安心しました。これをどうぞ。」
数箱の荷物を荷馬車から降ろして手渡す。
「これはいったい。生活物資ですか。」
「すべてをお渡しするわけには行きませんが、この辺の方々におわけしようと思って。その様子だとこの辺はまだ襲撃されていないのですね。」
「ええ、数日前にここを迂回路にして兵士が通っていきました、兵士の姿から、たぶんハイランディスを背後から襲うつもりのロスティアの兵士ではないかと、その後は現れていませんが、もしかしたら戻りしなに、簒奪に現れるかもしれません。ですからこうして隠れていたのです。」
「この物資のうち一週間程度暮らせる分をお渡しします。必要になればまた差し上げます。とりあえず、この先に住んでいる人達の様子を見に行こうと思います。」
「ありがとうございます。たぶんあの廃城に隠れているのではないかと思います。私も呼ばれましたがお断りしましたので。」
「そうですか。一つだけお願いがあります。私に何か不慮のことがあったならば、私の家族がここを訪れた時にその事をお伝えください。」
「いいのですか。」
「もちろん死ぬつもりはありませんよ。」
「お気をつけて」
「ありがとうございます。」
ユーリは、荷馬車に乗り、ゆっくりと自分が生まれた廃城に向かう。城に近づくにつれて懐かしさを感じる。自分の記憶には本当はないはずだ。私は、生まれてから城から出たことがほとんどないはずなのだから。廃城に近づくに従って、廃城からの視線を感じる。そして外門の所に人影が見える。
「姫様ですな。」
「いいえ、ユーリです。姫ではありません。」
「そんなことはどうでもいいことです。どうしてこちらに、ここはもうじき戦場になるかもしれないのですよ。大変危険な場所です。」
「ならばどうして皆さんここにいますか。」
「我らのような年寄りは、襲われて手持ちの蓄えまでとられたら、この乾期をこせますまい。ならばここで、最後の戦いをと考えております。」
「逃げることはできませんか。」
「もう逃げるのは無理です。あてもありませんので。」
「助けも求められませんか。」
「ここは、誰か助けが来るような所ではありません。魔獣が襲いにくるか、野盗が荷物を奪いに来るかそのくらいしか現れません。」
「やはりそうですか」
「姫様は、どうしてここへ、まさか私たちを助けに。」
「あるじ様の許可をもらってここに来ました。ですが・・・」
「いけません、その手を血で染めては、それくらいなら私たちが盾になってでも・・・」
「そうではないのです。私は、あるじ様から不殺という考え方を教えられております。今はまだ未熟で、その道の途上にて試行錯誤を繰り返しております。これまで一対一での戦いでは、何とかなってきました。しかし、一対多の場合はどうだろうと。」
「言い訳はよろしいです。年寄りには理屈は必要ありません。助けに来てくれてうれしいです。ありがとうございます。」
「ここにいる人達がすべてですか。」
「いいえ、家から離れようとしない者が数人おります。」
「私が説得に行きます。」
「ありがとうございます。すぐに行きましょう。」
「クウ、もし襲われるようなら私の匂いを追って知らせに来てください。」
ユーリは、クウにつけていた荷馬車を外して、鞍を付ける。
「ヒン」クウは静かにそこで待っている。
「では行きましょう」
その人は、中の人に何かサインを送ってユーリと共にそこから移動した。
「あそこの家が最後です。」
遠い家から順番に回り、その人達を連れて、道を避けながら遠回りをして最後の家に近づいた。そこには、数人の男がその家を取り囲んでいた。
「いい加減出てこいや」その中のひとりの男が扉を叩きながら叫んでいる。
ユーリは、その下卑た声を聞くと、何も言わずに数人の兵士に向かって走り出していた。
ユーリの足音に気付いて振り向く兵士達。ユーリのまとう怒りのオーラに思わず剣を抜く兵士達。ユーリは脇腹のベルトに差している短剣に手をかける。
ユーリは、剣を構えた兵士の目の前で加速して、その間を駆け抜けていた。一瞬に数回の金属音がして、兵士達は、何が起こったかわからないまま、呆然と立ちすくんあでいる。その後すぐに軽い金属音が数回響き、兵士達の持っていた剣が鍔元から切られて足元に落ちているのに気付いた。
「に、逃げろ」
兵士のひとりが叫ぶと一目散に森の中に逃げていく。ユーリは、兵士達が森の中まで消えるのを確認してから、家の中の人に声を掛け、説得を始める。ユーリの顔を見ると簡単に説得に応じてくれた。荷物をまとめるのを待ってからその夫婦を連れて、一緒に廃城にもどろうとしていた。ユーリが連れているのは十人くらいになっている。そして、あの城が見えるあたりで、城に煙が上がっているのが見え、こちらにクウが走ってくる。
「私は馬で先に行きます。」
そう叫んでユーリは、クウに乗り、城に急ぐ。しかし、そこには、城に攻め込もうとしている数人の兵士達とそれを阻止している見知らぬ人達がいた。煙は、朽ち果てた城門が燃えているだけで、城の中は無事なようだ。
兵士達と対峙している冒険者風の数人のうち、後方に立っている女性が叫んでいる。
「さがりなさい。私たちは勇者とその仲間です。このような市民への狼藉許しませんよ。」後方にいた魔法使いの装いの女性が叫ぶ。
「ほう、私たちは兵士です。この中にいる者達は、敵の国民。その荷物を奪って何が悪い。」
「戦争とは言え、無辜の民の食料を奪うなど、やってはいけないことだとわかりませんか。やめないと・・」
「ほう、勇者が人を殺すのかい。それはおもしろい。やってもらおうじゃないか。ほらできるものなら殺せよ。」
勇者と名乗ったからなのか、兵士達は自分たちを殺さないと踏んで、ジリジリと間合いを詰めようとする。勇者を名乗る人達は、ジリジリと後退し、どうするか判断できずにいるようだ。そこにユーリが馬で走り込んできた。兵士もその冒険者達もそちらに意識が向かい、双方の動きが止まった。かまわずユーリは、両者の間に駆け込み、馬を避けようとした先頭の兵士の前に飛び降り、その兵士の剣を払い落とす。その様子を見て、他の兵士達は、ユーリに対して剣を向けようとするが、ユーリは、剣を払い落とした兵士の首に剣をあて、
「さがれ、」とだけ言った。
「みんなさがってくれ」
首に剣を当てられている兵士は、怯えながらそう言った。ジリジリと下がる兵士を見て、ユーリは、首から剣を離し、兵士の剣を拾いその兵士に返す。
その兵士は、なめられたと思ったのか、剣を拾いざまユーリに下から切りつける。その剣を冷ややかな目で少しだけ頭を後ろに下げてかわし、振り上げられた剣を柄の部分から横に弾き飛ばす。手がしびれたのか手をおさえているその兵士に再び剣を拾って返す。その男はしびれる手でその剣を拾い、ユーリに背を向けて兵士達の元に帰っていく。しかし、兵士達に合流するとその兵士は、怒りに顔を歪ませて
「全員で、やってしまえ!」と叫んだ。しかし誰も動かない。
「どうした、全員でかかれば・・・」
その兵士が言いかけた時、すでにユーリはその兵士に接近していて、彼の首に短剣を突きつけている。そして何も言わない。睨み付けもせず表情を変えずにただ見ている。
「わかった、撤収する。」ユーリは、それでも首に短剣を突きつけている。
その兵士は、体の力を抜いて、剣を手から落とした。ユーリは短剣を持った手を下ろして、その男を解放した。
兵士達は、一目散に逃げていく。そうどちらに向かうわけでもなく散り散りに。
「ありがとうございました。」
兵士達に声を掛けていた魔法使いらしい女性がユーリに近づき頭を下げる。
「いいえ、城の中の人を守ってくれてありがとうございます。」
ユーリは、その女性を見ずにその横を通りながら短剣を脇の鞘に収めてクウの所まで戻った。
「なんだよおまえ、ちゃんと挨拶くらいしろよ。」
偉そうにその男が言った。
「勇者様、やめてください。」
勇者という言葉を聞いて、ユーリは振り返りその男を頭の上からつま先まで見る。
「なんだよ、お礼を言っている人に対してあの言い方は、ないだろう。礼儀というものをしらないのか。」
勇者と呼ばれた男は、返事もしないユーリにイライラを隠しきれないでそう言った。
「だからやめてください。安易に勇者と名乗ってこの場を戦闘に巻き込んだことを怒っているのですよ。」
勇者の隣にいた男がそう言った。
「そうならそうと言えよ。怒ればいいだろう。」
「勇者様、私たちではかなわない人です。やめてください。」
賢そうな男も勇者と呼ばれた男のそばに行ってたしなめる。
「はあ?俺がこいつに負けるとでも?おもしろい、やってみようじゃないか。」
「おやめください。人を傷つけては勇者の名に傷がつきます。」
「だとよ。どうするそれでもやるかい。」
ユーリは、その男をじっと見た後、クウの手綱を持って、廃城の中に入っていこうとする。
「せっかくこの城を守ってやったのによ」
「だからやめてください。あの人ならこの中にあの兵士が入って行ってもちゃんと追い払っていますよ」
ユーリは、勇者の方を振り返ると
「城の中にいる人達を守ってありがとうございました。」
と、ユーリはゆっくりと大きな声で言い、頭を下げた。
「そう、それでいいんだよ。」
ユーリは、再び城の中に入っていった。
「勇者様、あのようなことはもうおやめください。」
「あんな人も殺せないようなやつに何ができる。」
「違いますよ、あの人はたぶん不殺の姫と噂されている人です。」
「なんだと。」
「ああ、やはりそうなのですね。でも、あの方達は、一人では行動しないと言われていましたが、違ったのですね。」
「その不殺の姫とはなんなんだ。」
「はい、ひとりの魔法使いと7人の仲間、マジシャンズセブンの一人、魔法剣士、ちまたでは、姫騎士と呼ばれている人でしょう。」
「それは、それは、ぜひお相手願いたいねえ」
「もう勝負はついていますよ。私たち全員の負けです。」
どこに隠れていたのかわからないが、忍者のような出で立ちをした男が、急に出てきて、勇者と呼ばれた男の前に立ち、行く手をさえぎった。
「何を言っている。」
「全員の靴を見てください。」
それぞれが靴を見る。全員の靴の靴紐が切られている。
「いったいいつだ。どうやって。」
もうひとりの女剣士が驚いている。
「わかりません、そもそも私たちに近づいてもいないのですから。」
その忍者姿の男はそう言った。
「勇者様、何か気付きましたか?」
言われた男は、何かうれしそうに体を震わせている。
「おもしろい、やっぱりこうではなくてはな。まだまだ上がいるってことだ。さらに鍛錬が必要って事だな。そうだよな。」
「そうですね、勇者が市井の方に負けてはいられません。」
「とりあえず、次の獲物を目指すぞ。」
そう言って勇者と呼ばれた男は歩き出す。
「よかった。良い方向に向かってくれた。ありがとうございます姫騎士様」
魔法使いのような女性が、ユーリの入って行った廃城に向かって頭を下げる。
「私は前から思っていたのだけれど。ねえ、本当にあなたは、神託を受けたのかしら。彼よりもあの姫騎士様の方がよほど勇者らしいと思いませんか。」
女剣士が勇者をいさめていた魔法使いの男に尋ねる。
「神託は本当です。そして、あの姫騎士とその仲間達は、自分たちの生活の安寧だけが望みらしいとの噂ですよ。そんな考えの方達が、勇者であるはずがありません。」
「まあ、確かにそうだけど。」
そうしてユーリと勇者達の一回目の遭遇は終わった。
勇者達一行に頭を下げた後、ユーリは、建物の中に入っていった。
「皆さん大丈夫でしたか」
「ああ、大丈夫だ。あの冒険者みたいな人とは何かあったのかい」
「いえ、何もありませんでした。」
「姫様、私たちはこれからどうするのですか。」
「戦争が終わるまで、私が皆さんとここで暮らします。」
「いつ終わるのですか。」
「たぶん2週間とはかかりませんよ。」
「どうしてわかるのですか。」
「なんとなくですね。」
「姫様がそうおっしゃるのであれば、ここにしばらく暮らしましょう。」
「はい、食料を持ってきましたので、一緒に食べながら、昔の話を聞かせてください。」
そうしてユーリは、そのままその城にとどまった。
○不死身の勇者
マクレスタ公国のはずれの空に風を切る音がする。モーラが飛んでいる。パムを連れて移動中に馬車で走っていたユーリを見つけて、廃城のそばまで降ろしてここまで来た。
「モーラ様ありがとうございました。この辺でお願いします。」
パムが下の様子を見ながら、モーラの手の中で叫んだ。
「降りなくても良いのか。」
「ええ、ここから飛び降ります。」
「では、任せたぞ。」
「はい、」
そう言って、かなりの高さからパムは飛び降りた。体が風を切り落下スピードが上がっていく。パムは、筋量を増加させてから両足を踏ん張るように着地の姿勢を取り、大地に突き刺さる。地響きを立てて着地をした。道路の脇の柔らかい土に膝まで埋まるほどの深い穴をあけている。
「まったく、あやつもこの世界では、異端になってしまうなあ。」
その様子を見てため息をついてモーラは飛び去った。
パムは、地面から足を抜き出して、道へと移動する。そこに馬車が近づいてくる。パムは、馬車の行く手をさえぎるように立ち、右手をあげた。
御者台の女性は、パムの姿を見て、馬に止まるように鞭を当て、馬車はパムのそばにゆっくりと止まった。
「お久しぶりです。」とパムが声を掛ける。
「お久しぶりです。と言っても数日前に会ったばかりですよね。」
御者台にいたフェイは、にっこり微笑んでそう返事をした。
「はい、貴方たちに会いに戻って来ました。」
「と言うことは、やはり私達をお使いになるのですね。」
「使うという言い方は語弊がありますが、この戦争を終わらせるために協力していただきたいと思いまして。」
「そういうことであれは、是非もありません!!」と隻眼のジャガーが荷台から出てくる。
「勇者としての役割を果たせと言うことですよね。」とジャガーは胸をたたく。
「勇者は人のためにあると言われていますので。是非お願いします。」パムはお辞儀で返す。
「ねえ~、この前も会ったけど~この人誰なの~?そんなに偉い人なの~?」
そう言ってもう一人、女性が荷台から顔を出す。子どもっぽい容姿と袖丈が合わず手が見えない服を着ている年齢を感じさせない女性だ。
「レティシアさんお久しぶりです。」パムはその子に丁寧に挨拶した。
「あ~、お久しぶり~元気してた~?」まったりした口調がこの子の持ち味らしい。
「レティ、ちゃんと挨拶しましょう。この人もそうだけど、パムさんとその家族の皆さんは、私が尊敬している人達なのよ。それぞれの人たちの才能や能力は、この世界を変えるかもしれない人たちなの。ちゃんと敬意を持って挨拶しましょうね。もっとも中心にいる人は、家族と一緒に静かに暮らせればそれでよしとしている変わり者ではありますが。」
「ふ~んそれならいても意味が無いじゃな~い。変なの~」
「レティシアさん。確かにあなたの言うとおり、私達は、いても意味が無いのかもしれません。ですが、私の愛する人は、巻き込まれ体質とでもいうのでしょうか。次々と世界を揺るがすような大きな問題が降りかかってきてしまうのです。しかし、その人は、それをうまく解決してしまう。本当にすごい人なのです。なので、いないとこの世界が困ってしまうかもしれないのですよ。」とパムが珍しく雄弁だ。
「それってのろけ~?」
「そうですね、少なくとも誇らしくはあります。最初は家族思いなだけの人で、私などでも家族として愛してくれる心の広いだけの人と思っていましたが、実際には大変思慮深い素敵な方だったのです。」パムは少しだけ顔を赤らめながらそう言った。
「あれ~赤くなってる~本当に好きなんだね~」
「レティさんそうやって相手を怒らせるまで挑発するのは悪い癖ですよ。この方はそういうことは気にしない人ですから挑発しても怒らせることはできませんよ。」
「ちぇ~つまんない~」
「レティシアさんは、面白い方ですね。初めて会った時には、こんなに話さなかったのですが。」
「人見知りなのですよ。そして、顔見知りになると、こんな感じになります。こうして相手との距離を計っていくのですが、測り方が微妙なので相手には当然伝わるわけも無く。」
「確かに難しい性格ですね。」
「なによ~私が変みたいじゃない。」
「確かに変ですよ。最初からそんな感じでは、絶対友達出来ませんよ」パムは辛辣だ。
「え~こうして一緒に旅してくれる友達いるし~」
「確かに一緒に旅してくれる友達は貴重ですね。でも、あなたのような話しぶりでは、友達を増やすのはなかなか難しいでしょう。そうですね、私の家族のアンジー様ならきっと怒ってしまうかもしれませんねえ。いや、ユーリの方があなたに説教するかもしれません。言葉遣いがなっていないと。」
「私のこと怒るの~?会ってみたいな~」
「あなたを怒る人と会いたいのですか。それはまた面白い考えをする人ですね。今回の事が終われば、きっと会えますよ」
「え~楽しみ~」
「フェイさん、すいません、荷馬車の中に入れてもらえませんか、立ち話では誰かに聞かれるかもしれませんので。」
「はい、そうですね。中にお入りください。」
「どうぞ~」とレティシアに手招きされ、パムは荷馬車の中に入った。フェイは、馬車を街道の小道に寄せて止める。
「さて、不死身の勇者様とそのパーティーメンバーの方々にお願いがあります。」
パムは、馬車の中で正座をして頭を下げる。
「頭をお上げください。私としては、私の出来る範囲でどのようなことでも手伝わせていただくつもりです。」と、フェイは言った。
「私もそうです。こうしてパーティーを再び組めるようになり多少なりともこの世界で暮らしていけるようになったのは、皆様方のおかげです。お願いを断ることなどありません。」
今度は、ジャガーがそう言った。
「私は~話しによるかな~」袖をパタパタさせながらなぜかうれしそうに言う。
「そうですよね、レティシアさん・・・」
「レティでいいよ~」
「はい、レティさん。レティさんの言うとおり話によりますよね。では、お願いの内容をお話しします。マクレスタ公国に行って勇者であると告げていただき、この戦争をやめるように説得をしていただきたいのです。そして、これは、天使のお告げであると。戦争をやめなければもっとひどい災厄が訪れると。具体的には辺境に住まう魔王が敵国に加担し、この国が滅ぼされることになると。そうお話しいただきたいのです。」
「ふふふ。辺境の魔王ですか。本人は了解しているのですか?」
「いいえ、噂はうまく使う必要があります。あなたのお母様の件が、巷にはどう伝わっているかご存じでしょう?」
「ええ、あの国に魔王が降臨し、その土地を崩落させかけて人々を住めなくしたが、豊穣の女神がその命を賭けて土地を再生したという風に噂されています。本当は、あの方が土地を再生して、あの国を崩落から救ってくれたというのに、噂とはなかなか正しくは伝わらないものなのですね。」
「はい、ですが今回はそれを逆に利用させてもらいます。もっとも天使という言葉は、この世界にはあまりなじみがないので、その効果は不明ですけれど。」
「わかりました。私も天使になってみせた方が良いですか?」
「いえ、決して使わないでください。その力は、魔法使いとして、兵士の治療など、その国の人々のためにお使いください。そして、ジャガーさん。」
「はい」
「あなたには、3国での会談を始めさせるために国王の前でお持ちの力をお示しください。いえ、誇示してください。もちろん人を殺してはいけませんが。そして、ジャガーさんでも太刀打ちできない魔王から逃れるためには戦争をやめて和平をしなければならないと、それでも戦い続けるのであれば、市民の安全を確保するために貴方たち公国の幹部達を更迭することも辞さないと脅してください。さらに、会談に出席するにあったっては、自分が付き添うから交渉役の人に危険は無いことを話してください。」
「あいわかった。そのように動こう。市民を守るためならばそうするしかあるまい。」
「レティシア・・・レティさんもどうですか。あなたも協力してくれますか」
「そうね~それなら手伝っても良いかな~」なぜかうれしそうです。
「人は殺さないでくださいね。」
「当然よ~私は、人は殺せないよ~」ちょっと浮かれた話し方ですが、なぜか怒っている雰囲気はわかります。
「パムさん。私達がレティと出会った時には、彼女を殺そうとした男を殺す一歩手前までいきましたが、最後にはできなかったくらい、この子は人というものが好きです。人は殺せないと思います。」
「そうですか。でも、ジャガーさんは、不死身ですから良いのですが、フェイさんたちが殺されそうになったら、頑張って防いでくださいね。」
「だいじょうぶ~私が瀕死になっても~フェイがきっと直してくれるから~」
「そうですか。フェイさんよかったですね。新しいパーティーメンバーができて。」
「はい、彼女が仲間になって旅がいっそう楽しくなりました。」
「やだ~てれる~」
「さて、残る2国はこれからです。」
「察するにロスティアは、王女様に、ハイランディスは、ライオット・・・いえユージ・イシカリのパーティーですね。」
「はい、もう一つの俺様勇者・・・おっと私としたことが、失礼しました。私達の所では、そう呼ばれているのでつい。でも、フェイさん。その勇者のお名前をご存じなのですね。」
「実は、私達が辺境を旅していると、必ずあの方達のパーティーの名前が出てきます。勇者の神託を受けた真の勇者パーティーであると自分たちで言って回っている者達だと。
そして、実際の討伐は、勇者を名乗る者としては、たいした事はしていませんが、宣伝がうまいので、とてもすごい討伐をしたように聞こえるのだと言われています。
あの方のように何かを救っているわけでは無く、単に冒険者組合で見つけた依頼で魔獣を討伐しているだけなんだそうです。」
「そうでしょうか、そんなことはないと思いますよ。その方々は、自分たちの意思で、辺境の人たちを助けるためにその力を振るっているのでしょう?ぬし様は、単に巻き込まれているだけですから。」
「それでも、困った人を助けているのは間違いありませんし、その困った人を助けるためにさらに多くの人たちを救っています。しかもそれを隠そうとする。それは、勇者としての資質であり謙虚さだと思いますし、謙虚さは美徳だと思いますがいかがですか。」
「私のぬし様については、その辺がすでに誤解なのです。私としては、そのユージ様達が勇者であると声高に言って自分を鼓舞して、しかも魔獣討伐などを成功させているのであれば、決して悪いこととは思いませんよ。」
「そうなのでしょうか。すいませんでした。実際にお会いしたことがないので、風聞や印象だけで話してしまっていますが、旅の先々で聞こえてくる噂があまり良い印象ではないものですから。」
「その方に実際に会ってみたら印象が変わるかもしれませんよ。」
「そうであって欲しいと思います。」
「さて、私は、皆さんと共に行きます。マクレスタ公国との話し合いがうまくいくように画策します。国王に謁見し、説得が出来たところで他の2国に行っている人たちから連絡を取り合い。会場を設ける手はずをします。それまでの間に公国の人と戦争終結時の妥協点を検討してもらってください。」
「わかりました。」
「たぶん私がこんなことをしなくても貴方たちなら戦争を止めるために行動を起こしていたと思います。ですが、今回は3国が同時に戦争をやめることが大事だと思っています。」
「はい、一つの国が戦争を中止してもそれを見て他の2国は戦争を再開するでしょう。私もそれが気がかりでした。」
「正直なところ私達には別な思惑もあります。あなたも気付いているでしょうけれど」
「パムさん教えてください。」ジャガーが言った。
「貴方たちの平穏な生活・・・ですよね」フェイさんが残念そうに言った。
「おわかりですね。」
「え~ちゃっかりしてる~」
「しかも自分たちが直接手を出せば、いろいろと問題が起きるから・・・ですよね」
「フェイ様さすがです。そのとおりなのです。失望しましたか?」
「いいえ、むしろそこまでしてしまうのが不思議でならないのです。もしも私なら、戦争なんか好きにすれば良い。自分の家庭が脅かされたその時に何か行動を起こそうと、そう思うはずです。でもそうはしない。なぜですか。」
「これはぬし様の考えなのですが、この戦争が終わって次に狙われるのは、ぬし様達が昔住んでいた街と今私達が住んでいる町なのです。それをぬし様は阻止したいと思っているのです。それでも本来なら自分で片付けるのが一番手っ取り早いのですが、それはしてはいけない、いや、出来ないのです。もしそれをしたら、今度は違うところから私達は攻撃されて、その時に今住んでいる町を巻き込むことになる。それも阻止したいのです。」
「ああ、力を持つことはそんなにも苦しいことなのですね。一瞬でもあの力を欲しいと思ってしまった私は、今、ほっと胸をなで下ろしています。そんな力を持っていなくて良かったと。」
「それでも力を持つことが悪いことだとは、ぬし様は考えてはいませんよ。あと一つだけお願いがあります。皆さん決して死なないでくださいね。仮にひとりでも死んだら、ぬし様は、あなた達を殺した相手・・・いや国を滅ぼしに必ず行きます。」
「私達のためにですか?」
「ええ、ぬし様の「家族」の範囲は広いですから。」
「わかりました。用心してかかります。」
「すいません脅してしまったようで。」
「だんだんあの方の考え方がわかってきたような気がします。」
「そうでしょうか。私には、いまだよくわかりません。」
「博愛なのでしょう。しかも善き人たち限定のですね。」
「そうなのでしょうか。こればかりは、私達家族の間でも意見が分かれますから。」
「きっとそうでしょうね。もしかしたら、それぞれの人が持つ考えを映し出す鏡なのかもしれませんね」
「ああ、それはよくわかります。自分の気持ちが映されてしまうのですね」
「はい。それでは私達はこれからマクレスタ公国に向かいましょう。」
そうして、馬車はマクレスタ公国へと向かった。
ー 続 く ー
どうしてあの地が気になるのだろう。思い出にあるわけではない。おぼろげながら城の中を思い出すだけなのに。
それでも、そこに暮らす人々を守らなければならないという強い義務感が生じている。そんな自分に苦笑いしている。あの時この地とは関係ないと言い切った私が、今こうして駆けつけようとしている。
「クウごめんね、無理しないで。」
そう言いながらも、短い休憩を挟んで駆けさせている。モーラに頼めばすぐに到着するというのにこうして馬で駆けている。頼むのは何か違うと心の中で思っていたから。
『ユーリ、聞こえるか。わしじゃモーラじゃ。里に行くついでじゃわしの手に乗れ。』
『いいのですか。』
『ああ、パムも別な場所に送っていくところじゃ問題ない。それに、戦争は膠着しているらしいから、近隣の集落は簒奪に遭いやすいらしい、急いだほうが良いようだぞ。』
『了解しました。』
そうして私は、モーラの手に乗り現地に到着した。そこにはまだ普通の集落がありました。
集落の手前のロアンの所に少しだけ荷物を持っていく。
「ロアンいますか?ユーリです。わかりますか。」
周辺に向けて大声を出す。ゾンビが近づいてくる。
「ご主人様、じゃないか、あなたの友達を呼んでください。」
ゾンビはその意味を理解したのか体を揺らしながらどこかに向かっていく。しばらく待つとゾンビと共に彼がやってくる。
「いったいどうしたのですか、一人でこんな所へ。ここは戦争中なのです。大変危険なのですよ。」
ユーリは、会って早々、彼に怒られました。
「あるじ様の他、うちの皆さんが心配していましたよ。大丈夫なのかと。安心しました。これをどうぞ。」
数箱の荷物を荷馬車から降ろして手渡す。
「これはいったい。生活物資ですか。」
「すべてをお渡しするわけには行きませんが、この辺の方々におわけしようと思って。その様子だとこの辺はまだ襲撃されていないのですね。」
「ええ、数日前にここを迂回路にして兵士が通っていきました、兵士の姿から、たぶんハイランディスを背後から襲うつもりのロスティアの兵士ではないかと、その後は現れていませんが、もしかしたら戻りしなに、簒奪に現れるかもしれません。ですからこうして隠れていたのです。」
「この物資のうち一週間程度暮らせる分をお渡しします。必要になればまた差し上げます。とりあえず、この先に住んでいる人達の様子を見に行こうと思います。」
「ありがとうございます。たぶんあの廃城に隠れているのではないかと思います。私も呼ばれましたがお断りしましたので。」
「そうですか。一つだけお願いがあります。私に何か不慮のことがあったならば、私の家族がここを訪れた時にその事をお伝えください。」
「いいのですか。」
「もちろん死ぬつもりはありませんよ。」
「お気をつけて」
「ありがとうございます。」
ユーリは、荷馬車に乗り、ゆっくりと自分が生まれた廃城に向かう。城に近づくにつれて懐かしさを感じる。自分の記憶には本当はないはずだ。私は、生まれてから城から出たことがほとんどないはずなのだから。廃城に近づくに従って、廃城からの視線を感じる。そして外門の所に人影が見える。
「姫様ですな。」
「いいえ、ユーリです。姫ではありません。」
「そんなことはどうでもいいことです。どうしてこちらに、ここはもうじき戦場になるかもしれないのですよ。大変危険な場所です。」
「ならばどうして皆さんここにいますか。」
「我らのような年寄りは、襲われて手持ちの蓄えまでとられたら、この乾期をこせますまい。ならばここで、最後の戦いをと考えております。」
「逃げることはできませんか。」
「もう逃げるのは無理です。あてもありませんので。」
「助けも求められませんか。」
「ここは、誰か助けが来るような所ではありません。魔獣が襲いにくるか、野盗が荷物を奪いに来るかそのくらいしか現れません。」
「やはりそうですか」
「姫様は、どうしてここへ、まさか私たちを助けに。」
「あるじ様の許可をもらってここに来ました。ですが・・・」
「いけません、その手を血で染めては、それくらいなら私たちが盾になってでも・・・」
「そうではないのです。私は、あるじ様から不殺という考え方を教えられております。今はまだ未熟で、その道の途上にて試行錯誤を繰り返しております。これまで一対一での戦いでは、何とかなってきました。しかし、一対多の場合はどうだろうと。」
「言い訳はよろしいです。年寄りには理屈は必要ありません。助けに来てくれてうれしいです。ありがとうございます。」
「ここにいる人達がすべてですか。」
「いいえ、家から離れようとしない者が数人おります。」
「私が説得に行きます。」
「ありがとうございます。すぐに行きましょう。」
「クウ、もし襲われるようなら私の匂いを追って知らせに来てください。」
ユーリは、クウにつけていた荷馬車を外して、鞍を付ける。
「ヒン」クウは静かにそこで待っている。
「では行きましょう」
その人は、中の人に何かサインを送ってユーリと共にそこから移動した。
「あそこの家が最後です。」
遠い家から順番に回り、その人達を連れて、道を避けながら遠回りをして最後の家に近づいた。そこには、数人の男がその家を取り囲んでいた。
「いい加減出てこいや」その中のひとりの男が扉を叩きながら叫んでいる。
ユーリは、その下卑た声を聞くと、何も言わずに数人の兵士に向かって走り出していた。
ユーリの足音に気付いて振り向く兵士達。ユーリのまとう怒りのオーラに思わず剣を抜く兵士達。ユーリは脇腹のベルトに差している短剣に手をかける。
ユーリは、剣を構えた兵士の目の前で加速して、その間を駆け抜けていた。一瞬に数回の金属音がして、兵士達は、何が起こったかわからないまま、呆然と立ちすくんあでいる。その後すぐに軽い金属音が数回響き、兵士達の持っていた剣が鍔元から切られて足元に落ちているのに気付いた。
「に、逃げろ」
兵士のひとりが叫ぶと一目散に森の中に逃げていく。ユーリは、兵士達が森の中まで消えるのを確認してから、家の中の人に声を掛け、説得を始める。ユーリの顔を見ると簡単に説得に応じてくれた。荷物をまとめるのを待ってからその夫婦を連れて、一緒に廃城にもどろうとしていた。ユーリが連れているのは十人くらいになっている。そして、あの城が見えるあたりで、城に煙が上がっているのが見え、こちらにクウが走ってくる。
「私は馬で先に行きます。」
そう叫んでユーリは、クウに乗り、城に急ぐ。しかし、そこには、城に攻め込もうとしている数人の兵士達とそれを阻止している見知らぬ人達がいた。煙は、朽ち果てた城門が燃えているだけで、城の中は無事なようだ。
兵士達と対峙している冒険者風の数人のうち、後方に立っている女性が叫んでいる。
「さがりなさい。私たちは勇者とその仲間です。このような市民への狼藉許しませんよ。」後方にいた魔法使いの装いの女性が叫ぶ。
「ほう、私たちは兵士です。この中にいる者達は、敵の国民。その荷物を奪って何が悪い。」
「戦争とは言え、無辜の民の食料を奪うなど、やってはいけないことだとわかりませんか。やめないと・・」
「ほう、勇者が人を殺すのかい。それはおもしろい。やってもらおうじゃないか。ほらできるものなら殺せよ。」
勇者と名乗ったからなのか、兵士達は自分たちを殺さないと踏んで、ジリジリと間合いを詰めようとする。勇者を名乗る人達は、ジリジリと後退し、どうするか判断できずにいるようだ。そこにユーリが馬で走り込んできた。兵士もその冒険者達もそちらに意識が向かい、双方の動きが止まった。かまわずユーリは、両者の間に駆け込み、馬を避けようとした先頭の兵士の前に飛び降り、その兵士の剣を払い落とす。その様子を見て、他の兵士達は、ユーリに対して剣を向けようとするが、ユーリは、剣を払い落とした兵士の首に剣をあて、
「さがれ、」とだけ言った。
「みんなさがってくれ」
首に剣を当てられている兵士は、怯えながらそう言った。ジリジリと下がる兵士を見て、ユーリは、首から剣を離し、兵士の剣を拾いその兵士に返す。
その兵士は、なめられたと思ったのか、剣を拾いざまユーリに下から切りつける。その剣を冷ややかな目で少しだけ頭を後ろに下げてかわし、振り上げられた剣を柄の部分から横に弾き飛ばす。手がしびれたのか手をおさえているその兵士に再び剣を拾って返す。その男はしびれる手でその剣を拾い、ユーリに背を向けて兵士達の元に帰っていく。しかし、兵士達に合流するとその兵士は、怒りに顔を歪ませて
「全員で、やってしまえ!」と叫んだ。しかし誰も動かない。
「どうした、全員でかかれば・・・」
その兵士が言いかけた時、すでにユーリはその兵士に接近していて、彼の首に短剣を突きつけている。そして何も言わない。睨み付けもせず表情を変えずにただ見ている。
「わかった、撤収する。」ユーリは、それでも首に短剣を突きつけている。
その兵士は、体の力を抜いて、剣を手から落とした。ユーリは短剣を持った手を下ろして、その男を解放した。
兵士達は、一目散に逃げていく。そうどちらに向かうわけでもなく散り散りに。
「ありがとうございました。」
兵士達に声を掛けていた魔法使いらしい女性がユーリに近づき頭を下げる。
「いいえ、城の中の人を守ってくれてありがとうございます。」
ユーリは、その女性を見ずにその横を通りながら短剣を脇の鞘に収めてクウの所まで戻った。
「なんだよおまえ、ちゃんと挨拶くらいしろよ。」
偉そうにその男が言った。
「勇者様、やめてください。」
勇者という言葉を聞いて、ユーリは振り返りその男を頭の上からつま先まで見る。
「なんだよ、お礼を言っている人に対してあの言い方は、ないだろう。礼儀というものをしらないのか。」
勇者と呼ばれた男は、返事もしないユーリにイライラを隠しきれないでそう言った。
「だからやめてください。安易に勇者と名乗ってこの場を戦闘に巻き込んだことを怒っているのですよ。」
勇者の隣にいた男がそう言った。
「そうならそうと言えよ。怒ればいいだろう。」
「勇者様、私たちではかなわない人です。やめてください。」
賢そうな男も勇者と呼ばれた男のそばに行ってたしなめる。
「はあ?俺がこいつに負けるとでも?おもしろい、やってみようじゃないか。」
「おやめください。人を傷つけては勇者の名に傷がつきます。」
「だとよ。どうするそれでもやるかい。」
ユーリは、その男をじっと見た後、クウの手綱を持って、廃城の中に入っていこうとする。
「せっかくこの城を守ってやったのによ」
「だからやめてください。あの人ならこの中にあの兵士が入って行ってもちゃんと追い払っていますよ」
ユーリは、勇者の方を振り返ると
「城の中にいる人達を守ってありがとうございました。」
と、ユーリはゆっくりと大きな声で言い、頭を下げた。
「そう、それでいいんだよ。」
ユーリは、再び城の中に入っていった。
「勇者様、あのようなことはもうおやめください。」
「あんな人も殺せないようなやつに何ができる。」
「違いますよ、あの人はたぶん不殺の姫と噂されている人です。」
「なんだと。」
「ああ、やはりそうなのですね。でも、あの方達は、一人では行動しないと言われていましたが、違ったのですね。」
「その不殺の姫とはなんなんだ。」
「はい、ひとりの魔法使いと7人の仲間、マジシャンズセブンの一人、魔法剣士、ちまたでは、姫騎士と呼ばれている人でしょう。」
「それは、それは、ぜひお相手願いたいねえ」
「もう勝負はついていますよ。私たち全員の負けです。」
どこに隠れていたのかわからないが、忍者のような出で立ちをした男が、急に出てきて、勇者と呼ばれた男の前に立ち、行く手をさえぎった。
「何を言っている。」
「全員の靴を見てください。」
それぞれが靴を見る。全員の靴の靴紐が切られている。
「いったいいつだ。どうやって。」
もうひとりの女剣士が驚いている。
「わかりません、そもそも私たちに近づいてもいないのですから。」
その忍者姿の男はそう言った。
「勇者様、何か気付きましたか?」
言われた男は、何かうれしそうに体を震わせている。
「おもしろい、やっぱりこうではなくてはな。まだまだ上がいるってことだ。さらに鍛錬が必要って事だな。そうだよな。」
「そうですね、勇者が市井の方に負けてはいられません。」
「とりあえず、次の獲物を目指すぞ。」
そう言って勇者と呼ばれた男は歩き出す。
「よかった。良い方向に向かってくれた。ありがとうございます姫騎士様」
魔法使いのような女性が、ユーリの入って行った廃城に向かって頭を下げる。
「私は前から思っていたのだけれど。ねえ、本当にあなたは、神託を受けたのかしら。彼よりもあの姫騎士様の方がよほど勇者らしいと思いませんか。」
女剣士が勇者をいさめていた魔法使いの男に尋ねる。
「神託は本当です。そして、あの姫騎士とその仲間達は、自分たちの生活の安寧だけが望みらしいとの噂ですよ。そんな考えの方達が、勇者であるはずがありません。」
「まあ、確かにそうだけど。」
そうしてユーリと勇者達の一回目の遭遇は終わった。
勇者達一行に頭を下げた後、ユーリは、建物の中に入っていった。
「皆さん大丈夫でしたか」
「ああ、大丈夫だ。あの冒険者みたいな人とは何かあったのかい」
「いえ、何もありませんでした。」
「姫様、私たちはこれからどうするのですか。」
「戦争が終わるまで、私が皆さんとここで暮らします。」
「いつ終わるのですか。」
「たぶん2週間とはかかりませんよ。」
「どうしてわかるのですか。」
「なんとなくですね。」
「姫様がそうおっしゃるのであれば、ここにしばらく暮らしましょう。」
「はい、食料を持ってきましたので、一緒に食べながら、昔の話を聞かせてください。」
そうしてユーリは、そのままその城にとどまった。
○不死身の勇者
マクレスタ公国のはずれの空に風を切る音がする。モーラが飛んでいる。パムを連れて移動中に馬車で走っていたユーリを見つけて、廃城のそばまで降ろしてここまで来た。
「モーラ様ありがとうございました。この辺でお願いします。」
パムが下の様子を見ながら、モーラの手の中で叫んだ。
「降りなくても良いのか。」
「ええ、ここから飛び降ります。」
「では、任せたぞ。」
「はい、」
そう言って、かなりの高さからパムは飛び降りた。体が風を切り落下スピードが上がっていく。パムは、筋量を増加させてから両足を踏ん張るように着地の姿勢を取り、大地に突き刺さる。地響きを立てて着地をした。道路の脇の柔らかい土に膝まで埋まるほどの深い穴をあけている。
「まったく、あやつもこの世界では、異端になってしまうなあ。」
その様子を見てため息をついてモーラは飛び去った。
パムは、地面から足を抜き出して、道へと移動する。そこに馬車が近づいてくる。パムは、馬車の行く手をさえぎるように立ち、右手をあげた。
御者台の女性は、パムの姿を見て、馬に止まるように鞭を当て、馬車はパムのそばにゆっくりと止まった。
「お久しぶりです。」とパムが声を掛ける。
「お久しぶりです。と言っても数日前に会ったばかりですよね。」
御者台にいたフェイは、にっこり微笑んでそう返事をした。
「はい、貴方たちに会いに戻って来ました。」
「と言うことは、やはり私達をお使いになるのですね。」
「使うという言い方は語弊がありますが、この戦争を終わらせるために協力していただきたいと思いまして。」
「そういうことであれは、是非もありません!!」と隻眼のジャガーが荷台から出てくる。
「勇者としての役割を果たせと言うことですよね。」とジャガーは胸をたたく。
「勇者は人のためにあると言われていますので。是非お願いします。」パムはお辞儀で返す。
「ねえ~、この前も会ったけど~この人誰なの~?そんなに偉い人なの~?」
そう言ってもう一人、女性が荷台から顔を出す。子どもっぽい容姿と袖丈が合わず手が見えない服を着ている年齢を感じさせない女性だ。
「レティシアさんお久しぶりです。」パムはその子に丁寧に挨拶した。
「あ~、お久しぶり~元気してた~?」まったりした口調がこの子の持ち味らしい。
「レティ、ちゃんと挨拶しましょう。この人もそうだけど、パムさんとその家族の皆さんは、私が尊敬している人達なのよ。それぞれの人たちの才能や能力は、この世界を変えるかもしれない人たちなの。ちゃんと敬意を持って挨拶しましょうね。もっとも中心にいる人は、家族と一緒に静かに暮らせればそれでよしとしている変わり者ではありますが。」
「ふ~んそれならいても意味が無いじゃな~い。変なの~」
「レティシアさん。確かにあなたの言うとおり、私達は、いても意味が無いのかもしれません。ですが、私の愛する人は、巻き込まれ体質とでもいうのでしょうか。次々と世界を揺るがすような大きな問題が降りかかってきてしまうのです。しかし、その人は、それをうまく解決してしまう。本当にすごい人なのです。なので、いないとこの世界が困ってしまうかもしれないのですよ。」とパムが珍しく雄弁だ。
「それってのろけ~?」
「そうですね、少なくとも誇らしくはあります。最初は家族思いなだけの人で、私などでも家族として愛してくれる心の広いだけの人と思っていましたが、実際には大変思慮深い素敵な方だったのです。」パムは少しだけ顔を赤らめながらそう言った。
「あれ~赤くなってる~本当に好きなんだね~」
「レティさんそうやって相手を怒らせるまで挑発するのは悪い癖ですよ。この方はそういうことは気にしない人ですから挑発しても怒らせることはできませんよ。」
「ちぇ~つまんない~」
「レティシアさんは、面白い方ですね。初めて会った時には、こんなに話さなかったのですが。」
「人見知りなのですよ。そして、顔見知りになると、こんな感じになります。こうして相手との距離を計っていくのですが、測り方が微妙なので相手には当然伝わるわけも無く。」
「確かに難しい性格ですね。」
「なによ~私が変みたいじゃない。」
「確かに変ですよ。最初からそんな感じでは、絶対友達出来ませんよ」パムは辛辣だ。
「え~こうして一緒に旅してくれる友達いるし~」
「確かに一緒に旅してくれる友達は貴重ですね。でも、あなたのような話しぶりでは、友達を増やすのはなかなか難しいでしょう。そうですね、私の家族のアンジー様ならきっと怒ってしまうかもしれませんねえ。いや、ユーリの方があなたに説教するかもしれません。言葉遣いがなっていないと。」
「私のこと怒るの~?会ってみたいな~」
「あなたを怒る人と会いたいのですか。それはまた面白い考えをする人ですね。今回の事が終われば、きっと会えますよ」
「え~楽しみ~」
「フェイさん、すいません、荷馬車の中に入れてもらえませんか、立ち話では誰かに聞かれるかもしれませんので。」
「はい、そうですね。中にお入りください。」
「どうぞ~」とレティシアに手招きされ、パムは荷馬車の中に入った。フェイは、馬車を街道の小道に寄せて止める。
「さて、不死身の勇者様とそのパーティーメンバーの方々にお願いがあります。」
パムは、馬車の中で正座をして頭を下げる。
「頭をお上げください。私としては、私の出来る範囲でどのようなことでも手伝わせていただくつもりです。」と、フェイは言った。
「私もそうです。こうしてパーティーを再び組めるようになり多少なりともこの世界で暮らしていけるようになったのは、皆様方のおかげです。お願いを断ることなどありません。」
今度は、ジャガーがそう言った。
「私は~話しによるかな~」袖をパタパタさせながらなぜかうれしそうに言う。
「そうですよね、レティシアさん・・・」
「レティでいいよ~」
「はい、レティさん。レティさんの言うとおり話によりますよね。では、お願いの内容をお話しします。マクレスタ公国に行って勇者であると告げていただき、この戦争をやめるように説得をしていただきたいのです。そして、これは、天使のお告げであると。戦争をやめなければもっとひどい災厄が訪れると。具体的には辺境に住まう魔王が敵国に加担し、この国が滅ぼされることになると。そうお話しいただきたいのです。」
「ふふふ。辺境の魔王ですか。本人は了解しているのですか?」
「いいえ、噂はうまく使う必要があります。あなたのお母様の件が、巷にはどう伝わっているかご存じでしょう?」
「ええ、あの国に魔王が降臨し、その土地を崩落させかけて人々を住めなくしたが、豊穣の女神がその命を賭けて土地を再生したという風に噂されています。本当は、あの方が土地を再生して、あの国を崩落から救ってくれたというのに、噂とはなかなか正しくは伝わらないものなのですね。」
「はい、ですが今回はそれを逆に利用させてもらいます。もっとも天使という言葉は、この世界にはあまりなじみがないので、その効果は不明ですけれど。」
「わかりました。私も天使になってみせた方が良いですか?」
「いえ、決して使わないでください。その力は、魔法使いとして、兵士の治療など、その国の人々のためにお使いください。そして、ジャガーさん。」
「はい」
「あなたには、3国での会談を始めさせるために国王の前でお持ちの力をお示しください。いえ、誇示してください。もちろん人を殺してはいけませんが。そして、ジャガーさんでも太刀打ちできない魔王から逃れるためには戦争をやめて和平をしなければならないと、それでも戦い続けるのであれば、市民の安全を確保するために貴方たち公国の幹部達を更迭することも辞さないと脅してください。さらに、会談に出席するにあったっては、自分が付き添うから交渉役の人に危険は無いことを話してください。」
「あいわかった。そのように動こう。市民を守るためならばそうするしかあるまい。」
「レティシア・・・レティさんもどうですか。あなたも協力してくれますか」
「そうね~それなら手伝っても良いかな~」なぜかうれしそうです。
「人は殺さないでくださいね。」
「当然よ~私は、人は殺せないよ~」ちょっと浮かれた話し方ですが、なぜか怒っている雰囲気はわかります。
「パムさん。私達がレティと出会った時には、彼女を殺そうとした男を殺す一歩手前までいきましたが、最後にはできなかったくらい、この子は人というものが好きです。人は殺せないと思います。」
「そうですか。でも、ジャガーさんは、不死身ですから良いのですが、フェイさんたちが殺されそうになったら、頑張って防いでくださいね。」
「だいじょうぶ~私が瀕死になっても~フェイがきっと直してくれるから~」
「そうですか。フェイさんよかったですね。新しいパーティーメンバーができて。」
「はい、彼女が仲間になって旅がいっそう楽しくなりました。」
「やだ~てれる~」
「さて、残る2国はこれからです。」
「察するにロスティアは、王女様に、ハイランディスは、ライオット・・・いえユージ・イシカリのパーティーですね。」
「はい、もう一つの俺様勇者・・・おっと私としたことが、失礼しました。私達の所では、そう呼ばれているのでつい。でも、フェイさん。その勇者のお名前をご存じなのですね。」
「実は、私達が辺境を旅していると、必ずあの方達のパーティーの名前が出てきます。勇者の神託を受けた真の勇者パーティーであると自分たちで言って回っている者達だと。
そして、実際の討伐は、勇者を名乗る者としては、たいした事はしていませんが、宣伝がうまいので、とてもすごい討伐をしたように聞こえるのだと言われています。
あの方のように何かを救っているわけでは無く、単に冒険者組合で見つけた依頼で魔獣を討伐しているだけなんだそうです。」
「そうでしょうか、そんなことはないと思いますよ。その方々は、自分たちの意思で、辺境の人たちを助けるためにその力を振るっているのでしょう?ぬし様は、単に巻き込まれているだけですから。」
「それでも、困った人を助けているのは間違いありませんし、その困った人を助けるためにさらに多くの人たちを救っています。しかもそれを隠そうとする。それは、勇者としての資質であり謙虚さだと思いますし、謙虚さは美徳だと思いますがいかがですか。」
「私のぬし様については、その辺がすでに誤解なのです。私としては、そのユージ様達が勇者であると声高に言って自分を鼓舞して、しかも魔獣討伐などを成功させているのであれば、決して悪いこととは思いませんよ。」
「そうなのでしょうか。すいませんでした。実際にお会いしたことがないので、風聞や印象だけで話してしまっていますが、旅の先々で聞こえてくる噂があまり良い印象ではないものですから。」
「その方に実際に会ってみたら印象が変わるかもしれませんよ。」
「そうであって欲しいと思います。」
「さて、私は、皆さんと共に行きます。マクレスタ公国との話し合いがうまくいくように画策します。国王に謁見し、説得が出来たところで他の2国に行っている人たちから連絡を取り合い。会場を設ける手はずをします。それまでの間に公国の人と戦争終結時の妥協点を検討してもらってください。」
「わかりました。」
「たぶん私がこんなことをしなくても貴方たちなら戦争を止めるために行動を起こしていたと思います。ですが、今回は3国が同時に戦争をやめることが大事だと思っています。」
「はい、一つの国が戦争を中止してもそれを見て他の2国は戦争を再開するでしょう。私もそれが気がかりでした。」
「正直なところ私達には別な思惑もあります。あなたも気付いているでしょうけれど」
「パムさん教えてください。」ジャガーが言った。
「貴方たちの平穏な生活・・・ですよね」フェイさんが残念そうに言った。
「おわかりですね。」
「え~ちゃっかりしてる~」
「しかも自分たちが直接手を出せば、いろいろと問題が起きるから・・・ですよね」
「フェイ様さすがです。そのとおりなのです。失望しましたか?」
「いいえ、むしろそこまでしてしまうのが不思議でならないのです。もしも私なら、戦争なんか好きにすれば良い。自分の家庭が脅かされたその時に何か行動を起こそうと、そう思うはずです。でもそうはしない。なぜですか。」
「これはぬし様の考えなのですが、この戦争が終わって次に狙われるのは、ぬし様達が昔住んでいた街と今私達が住んでいる町なのです。それをぬし様は阻止したいと思っているのです。それでも本来なら自分で片付けるのが一番手っ取り早いのですが、それはしてはいけない、いや、出来ないのです。もしそれをしたら、今度は違うところから私達は攻撃されて、その時に今住んでいる町を巻き込むことになる。それも阻止したいのです。」
「ああ、力を持つことはそんなにも苦しいことなのですね。一瞬でもあの力を欲しいと思ってしまった私は、今、ほっと胸をなで下ろしています。そんな力を持っていなくて良かったと。」
「それでも力を持つことが悪いことだとは、ぬし様は考えてはいませんよ。あと一つだけお願いがあります。皆さん決して死なないでくださいね。仮にひとりでも死んだら、ぬし様は、あなた達を殺した相手・・・いや国を滅ぼしに必ず行きます。」
「私達のためにですか?」
「ええ、ぬし様の「家族」の範囲は広いですから。」
「わかりました。用心してかかります。」
「すいません脅してしまったようで。」
「だんだんあの方の考え方がわかってきたような気がします。」
「そうでしょうか。私には、いまだよくわかりません。」
「博愛なのでしょう。しかも善き人たち限定のですね。」
「そうなのでしょうか。こればかりは、私達家族の間でも意見が分かれますから。」
「きっとそうでしょうね。もしかしたら、それぞれの人が持つ考えを映し出す鏡なのかもしれませんね」
「ああ、それはよくわかります。自分の気持ちが映されてしまうのですね」
「はい。それでは私達はこれからマクレスタ公国に向かいましょう。」
そうして、馬車はマクレスタ公国へと向かった。
ー 続 く ー
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世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい――
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