巻き込まれ体質な私、転生させられ、記憶も封印され、それでも魔法使い(異種族ハーレム付き)として辺境で生きてます。

秋.水

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第21話 三国騒(争)乱

第21-5話 敵の姑息な罠

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 モーラがアンジーとメア送り届ける移動中に、通信機の機能をみんなで試している。
「あやつは、地下に入ったようだから、あやつの魔力を使わないで使えるのか試してみようか。あーあー、レイ聞こえるか。エルフィに届けたか。」
『わ、びっくりしました。骨伝導ってすごいです。部屋の中では、二重に聞こえたのですが、すごくはっきり聞こえます。』
『おお、確かに聞こえやすいな。ってわしらの脳内会話を変換してるってことか』
『確かに、私の知っている普通の通信機なら外の音も聞こえるのよ。それが脳内でいつも通り話したら遠くまで話せるって・・・あのバカは、またこの世界の常識をすこしばかり逸脱したものを作ってしまったのねえ』
『でもアンジー様、これは、この世界の常識の範囲内ではありませんか』
『まあ、そもそも私達だけしか出来ない脳内会話を通信に使うって他の人には絶対出来ないわねえ。逸脱はしていても、理論は前からあると言えばあるのかしら。』
『確かになあ。他の魔法使い達は、わしらの会話の内容は知られなくても会話していることは気付かれているからなあ。』
『微妙なところね』
『レイちゃんこれどうやって使うの。』
『スイッチがー』
『レイ、左の丸いボタンを3秒以上長く押しなさいと言ってあげなさい』
『ええとー、首に付けて、左の丸いボタンを長く押し続けてください。』
『あ、本当だ聞こえるよー、でも違和感あるねー』
『エルフィもそうか。』
『あー、モーラ様―聞こえますかー今どこですかー』
『ビギナギルは過ぎたぞ』
『エルフィ、私達がいないからといって、ご主人様にベタベタしないように。』
『あ~すごい~メアさんと会話している。今はどこですか~』
『モーラ様の手の上です。』
『そんなに遠いのにこんなにはっきり聞こえるのですか~やっぱり旦那様すごい~』
『さっき言ったことを守ってくださいね。』
『え~よく聞こえない~』
『嘘を言いなさい。悪さしたら、レイから咬まれますからね』
『ひどい~。でも~レイも一緒に旦那様に甘えるから大丈夫~』
『わかりました、2人とも私が家に帰ってからのご飯がどうなるかわかりますね。』
『ちゃんと静かにしています~』
『よろしい。レイもわかりましたね。』
『はい』
『さすがに遠いと感情までは伝わらんなあ。』
『でも、ずーっと脳内会話が続くのですよ、それは厳しくないですか。』
『もう一回押すと会話しか伝わらなくなりますよ。さらにもう一回押すと脳内会話だけに切り替わりますし、3秒以上長押しすると、通信が切れます。』
『おお、地下室から出てきたか。』
『ちょっと、お湯を沸かしに出てきました。私がいない時でも通話できるようテストしてくれたのでしょう?どうでしたか。』
『問題ないわよ。』
『非常にクリアです。』
『すごいです~』
『親方様すごいです。』
『ああ、これはすごいのう。感心したわ』
『なぜか、みんなの声が聞けて少し寂しくなくなりました。ありがとうございます。』
『すぐ帰りますよ~』
『はい、洞窟からすぐに戻ります。』
『ああ、安心してください。また地下に入りますので、しばらく会えませんから。』
『しょぼーん』
『おう、そろそろユーリの気配のそばに降りるぞ。ではな』
『では』
『頑張って~』
 そうして、アンジーとメアは地上に降ろされた。

「さて、まずは廃城に行こうかしら。」
「もう少し先ですね。ですが、反対方向で何か争っているようです。」
「とりあえず、ここの住民が襲われている可能性もあるわね、行ってみましょうか。」
「はい、先に私が行きましょう。」
「お願い。」
 メアはそう言って走る速度を上げた。アンジーもかなり速いスピードで走っていたが、あっという間に置いていかれた。
「急ぎすぎないでね、素性がばれるわよ。」
「はい、ああ、兵士が子どもの抱えた物資を奪おうとしています。あれは、ネクロマンサーの子ではありませんか。」
「ああ、そういえばこの辺に住んでいたわね。」

 数人の兵士に囲まれ、横に抱えた荷物と共にリアンは、座り込んでいた。
「この食料、どこから持ってきた。言え。」
「違います、私の知り合いからいただいたものです。」
「こんなに丁寧に仕分けされたものがいただいた物なわけあるか。」
「本当です。」
「いいや、これは軍隊から盗んだ物だそうなんだな。」
「だから違うといっているじゃありませんか。」
「まあ、どっちにしろお前は盗賊として殺されて、この食料は俺たちがもらいうける。」
「そんな。」
「良いから黙って殺さr・・・」
 その兵士は、言い終わる前にそこから消えた。リアンを囲んでいた他の兵士達は何があったのかわからずたたずんでいる。
 我に返った兵士達が、周囲を見渡すと、少し離れたところに兵士が倒れていて、その横にはメイド服を着た女性が立っている。どうやら、ものすごいスピードで跳び蹴りを食らわせ、吹っ飛んだ兵士と共に飛んでいたようだ。
 メアは、倒れた兵士をそのままに、リアンに近づいて行く。兵士の輪は、メアが近づくにつれ開かれていく。
「大丈夫ですか、リアン様」
「あ、メアさんでしたよね。助けていただいてありがとうございます。」
「いいえ、まだ助かったとは言えないようですよ」
 周囲の兵士は、剣を抜きメアとリアンを囲んでいる。
「貴様、何者だ、そいつは盗賊、かくまうと貴様も仲間として殺すぞ。」
「おや何の罪でしょうか。」
「軍の物資の窃盗だな。重罪だ。」
「この荷物のことを言っていますか?」
「ああ、それは軍の食料だ」
「残念ですが誤解ですよ、これは、私の家族がこの方におわけした食料に間違いありません。」
「嘘をつくな、それは軍の・・・」
「嘘ではありませんよ、この地方には売っていない野菜も入っていますから。」
 メアは、そう言ってかごに近づく
「どうしてそんなことを知っている。」
「この野菜は私が地元の町で買い付けた物ですから。」
 メアは、そう言ってかごの中にある野菜を見せる。
「・・・」兵士は何も言えない。
「そうやって、ここに暮らす方々から物資を簒奪しているのですね。」
「・・・」
「さて誤解も解けたことですし、早々にお引き取りください。」
「いいや、力ずくでも食料をいただくぜ。」
「あきれた兵士達ですね。後悔しますよ。」
「おもしろい、とりあえずあんたから殺すことにしよう。」
「リアン、荷物と共にそこにいてくださいね。」
 リアンはうなずいて、小さくなっている。
「先ほどの兵士が飛ばされたのを見てもまだ私と戦う気なのですか?」
「さっきは、不意打ちだろう。問題ないさ。」
「では、行きますよ」メアが右足だけ半歩前に出だして、右拳を胸元にあげる。
「いや、こっちが先だ!」
そう言って、その兵士は、剣で突き刺そうと走り出す。
「どこを狙っているのですか?」
 メアは、一瞬で近づき屈んで胸元に入り、その兵士の顎に右の拳を軽く当てている。
 動きを阻まれその兵士は、右腕を伸ばしたまま動けないでいる。
「次はどうしますか?」
 メアはそう言って、その場からバックステップして、先ほどと同じ立ち姿に戻る。もちろん兵士が動いた分だけ距離は縮まっている。
「隊長やめましょう。まずいですよ。」
「やめられねえんだよ。なんて言うのか、負けることはわかっているのに、体が戦おうとするんだよ。俺にもどうにも出来ねえ。」
 冷や汗をかきながら、その男は怯えた顔で剣を正眼に構え直す。
「お待ちなさい。」
 大きな声でアンジーが叫んだ。全員がその声の方を見る。そこにはフードをかぶった少女の姿があった。そこによどんでいた空気が一瞬で霧散して周囲が明るくなった。その兵士も、剣を下ろして、ほっとしている。
「貴方たちは、兵士という身でありながら一般市民を手に掛けようとしました。反省なさい。そしてここから立ち去りなさい。そこのけが人は、私が治療をしますので、連れて行きなさい。もう二度とここへは立ち寄らないように。」
 張りのある澄んだ声があたりに響き渡り、アンジーは倒れている兵士の元に行き治療を施し、兵士達は、倒れている兵士を担いでそこから立ち去った。
「アンジー様、ありがとうございました。」メアが膝をついてお礼を言った。
「あの兵士は、何者かに魔法を掛けられていたようだわ。」
「はい、自分でも体を制御できていない感じでした。」
「嫌なものね。さて、お久しぶりねえ。ええとリアンだったかしら。」
「アンジー様、そしてメア様ありがとうございました。どうやって私の暮らす廃墟を探し当てたのかわかりませんが、見つかってしまいました。あやうく命まで取られるところでした。ユーリ様にもらったこの物資を取られるわけにはいかないとなぜか思ってしまったのです。どうやら、この辺一帯になにか魔法のようなものがかけられているのではないのでしょうか。」
「やはりあなたも魔法使いの端くれね、掛かったことがわかったので、効果が薄れたのかもしれないわねえ。」
「なにか執着心を強めるような精神魔法なのかもしれません。」
「ああ、食料や、プライドとかをね。なるほどさすがに自力で魔法を習得してきただけのことはあるわね。さっきの発言謝らせてちょうだい。端くれなんて言ってごめんなさい。あなたは、魔法使いとしての才能がきっとあるのね。」
「いいえ、私はしがないネクロマンサーでしかありません。」
「リアン様、卑屈になってはいけませんよ。エリス様も褒めておいででしたから。」
「そうですか、ありがとうございます。」
「ユーリから物資を分けてもらったと言うことは、ユーリに会っているわね。どこにいるか知っているかしら。」
「お会いした時に私が、廃城にこの辺の人たちが集まっていると話しましたので、多分そこにいらっしゃるかと思います。」
「やっぱりね。さて、あんた、この辺にひとりでいるのは物騒よ、一緒に来なさい。」
「いえ、でも。私はネクロマンサーなのですよ。」
「そうだったわね、じゃ、あなたの友達は、城の裏から入ってもらって、あなたは、人見知りだから食事の時だけ声をかけるようにするから。こんなところに子どもひとり置いていけないでしょう。」
「差し支えなければ、私が食事をお持ちしますので。城に行きましょう。」
「ありがとうございます。そうします。さすがに一緒には行けませんので、友達と一緒に裏手から向かいます。」
「ひとつ良いかしら。あなた、他にも死体を動かすことが出来るの?」
「はい、友人を動かさないでいるなら見えている場所で十数体、見えないところなら5体くらいですね。」
「見えないところを操作するのはどうするの?」
「視覚を共有しているので、死体が実際に見ている範囲なら何とかなります。」
「ああ、そうなのね。友達以外に使っている死体はあるのかしら。」
「はい、労働用に使っている死体が数体ありますが。」
「申し訳ないけどそれも連れてきて欲しいのだけれど良いかしら。」
「いいですけど、住民の方々が不安がりませんか?」
「そこは私が説得するわ。でも、その前に見せると驚いちゃうので見せないようにね」
「わかりました。」
「メア、この辺の音はどうかしら。何かいる気配がある?」
「今のところは、大丈夫かと。アンジー様を廃城にお連れして、ユーリがいれば、リアンのサポートに回ります。」
「そうしてちょうだい。では、行きましょう。」
 そうして、リアンは自宅にアンジーとメアは、廃城に向かった。

 ゆっくり歩いてアンジーとメアが廃城に到着した。見張りが見つけて報告していたようで、ユーリが出迎えてくれた。
「アンジー様、メアさん。どうしてこちらに。あるじ様にはこれは私事だとお話ししていたのですが。」
「とりあえず、託された物を渡すわ。」アンジーはそう言って、例の通信機を渡す。
「なんですか?これは」 アンジーは、自分の首にある通信機を指さした。
「ああ、ここにつけるんですね。」そう言ってユーリはそれを首につけた。
「左の丸いボタンを3つ数える間長―く押して。」アンジーにそう言われて、ユーリはボタンを押した。
「聞こえるかしら。」
「声が重なって聞こえます。そうですか、遠くにいる私達と連絡を取るための手段なんですね。ということは、何か重大なことが起きていますか。」
「理解が早くていいわね、DT、あんた、聞こえてるんでしょ返事しなさい。愛しのユーリに無線機渡したんだから早く声をかけなさいよ。」
 しかし返事がない。
「ああ、また地下室に入ったのね。他の人たちはみんな聞こえているかしら。」
「レイ、聞こえてます。」
「エルフィ、すごくよく聞こえますね~」
「パム、聞こえています。これはすごい発明です。やはりぬし様はすごい。」
「メア、一応聞こえています。」
「モーラじゃ、本当に脳内会話まで通信できるとはなあ。今は、ドラゴンなんじゃがこれは本当にすごい発明じゃ。まあ、わしらしか使えないのじゃがなあ。」
「本当よね、私達専用、ワンオフってことでしょ?無駄な技術力だわ。」
「だから、こんなもの出回ったら、これからの戦争が格段にやばくなりますよ。」
「あ、旦那様だわ~い」
「あるじ様お久しぶりです。」
「ユーリの声が聞けた。それだけでもこれを作った甲斐があります。ああ、元気にしてますか。」
「ぬし様、お久しぶりです。大丈夫です。あとで色々お話しします。」
「パム~。お久しぶ・・・さっき会ったばかりじゃないですか。」
「そうでしたね。」
「アンジー、どうですか。無事に着きましたか。」
「ええ、あの子に会ったわよ。ネクロマンサーの子に」
「そうですか。元気にやっていましたか。」
「それも後で話すわ。」
「ではご主人様、私は少し移動します。」
「みんなと会話を繋ぎながら移動してください。寸断する箇所があったら報告を。」
「相変わらず技術バカじゃな」
「急に声が途切れたら心配じゃないですか。」
「まったく親馬鹿ならぬ家族バカじゃな本当に」
「いや、本当」
「そのようです」
「ですよね~」
「はい、そのとおりです」
「そうですね」レイが締めくくった。
 そうして、アンジーとメアを送話のみオープンにして、あとの人たちは聞くだけモードにした。
 ユーリはまず、アンジーを城内の人に紹介した。さすがに天使であることは伏せていたが、マジシャンズセブンの名前は広まっていて、その素性を隠しているのは訳があると曲解されたまま、暖かく受け入れてくれた。
 城の上の方に崩れかけた鐘楼のところに2人で登って話を始める。
「そうですか。少し前に出会ったのが、やっぱりその俺様勇者一行だったのですね。」
「やはり会っていたのね。」
「はい、私が城を離れている時に兵士達が廃城に入ろうとするのを防いでくれていました。
 しかし、兵士達に勇者であると宣言してしまって、兵士は、勇者なら俺たちは殺せないだろうと詰め寄られ、戦うことすら出来なくなっていました。アンジー様、勇者は人を殺してはいけないのですか。」
「絶対ダメと言うことはないけど、殺さないに越したことはないわね。その勇者達のように名声を上げながら各地を回っているならなおさら人殺しの汚名を背負うのは厳しいでしょう。」
「そうなんですね。それがたとえ理不尽な人たちでも、守らなければならない人たちを見殺しにしてもですか。」
「勇者として世間が認めた後であれば理由も聞いてくれるでしょうけど、勇者として認められていない時には無理でしょうねえ。」
「あるじ様の言う、不殺というのは、結果的に勇者に通じるのではないでしょうか。」
「でもね、勇者という名称は、誰に対して使われるのかしらね。」
「誰に対してですか。」
「ええ、人族の勇者であれば、人族を他の種族から守ったり救ったりした者が英雄と呼ばれるでしょうね。」
「そうですね。」
「ドワーフの英雄ドゥーワディスであればどうかしら。」
「人族の絵本になるくらいのドワーフの英雄ですよね。」
「そう、人も助けた英雄。でも、それ以外の種族は殺しているし、人族だって敵となれば殺しているのよ。」
「そうなんですか?それは知りませんでした。」
「勇者や英雄なんて不殺ではいられないの。所詮そんなものなのよ。未来の人が美化して作り出す幻想なのかもしれないわよ。」
「そうです。祖父は全ての種族をその手で殺しています。」パムが口を挟んできた。
「ですから、人間の絵本で英雄として描かれていると聞いて困惑したのです。」
「そうだったのですね。」そのユーリの言葉にアンジーが続けてこう言った。
「だからねユーリ。不殺という考えは間違っていない。でも、もしかしたら捨てなければならない時が来るかもしれない、その時にね、私はあなたに死んで欲しくはないのよ。あなたが、信念のためにであっても死んで欲しくない。もし、そう思ってくれるのなら、もしその時が来たら、それを捨てられる覚悟もして欲しいの。あとね、あんたが死んだらあいつがこの世界を滅亡させるからそのことも頭に置いておいてね。」
「相変わらず、言い方が素直じゃないですね。アンジー」ユーリはクスリと笑って敬称をつけずに言った。
「ばっ、なに言い出すの。ばっかじゃない。」
「さて、アンジー様。私と彼らとのの出会いは最悪でしたよ。どうしますか。」
「どうもしないわ、宣託があったにしろ、なかったにしろ。あの勇者達を煽動して、介入させて、この戦争をやめさせなければ、私達の平穏な生活は続けられなくなるのよ。」
「そうでしたね。」
「しかも私達が、いいえあいつが関与していないように完璧に煽動しなければならない。」
「難しそうですが。」
『そういえばパムの方はどうなの。口挟んできたから会話モードなのでしょう?』
『はい、私の方はジャガーさん達と今一緒に行動していますので、その辺は大丈夫かと思います。すでに話を終えています。』
『くれぐれもあの馬鹿ジャガーにしゃべらすんじゃないわよ。絶対、口を滑らすに決まっているんだから。』
『ふふ、確かにそうですね。いや間違いなくそうですね。大丈夫です、もうひとりパーティーメンバーが増えたので、そちらの方がフォローしてくれると思います。』
『『『『ええーーーっ』』』』
『ああ、戻った時話していませんでしたね。不思議な人が加わっています。』
『信じられない。』
『まあ、ジャガーさんではなく、フェイさんの人徳でしょう。』
『ああ、そうね。そうよね。なんか納得したわ』
『じゃあそちらは大丈夫なのですね。』
『はい、ぬし様それは大丈夫です。』
「じゃあ、私も頑張りましょうか。」
『あと、戦局はどうなの、まだ膠着状態は続くの?』
『そうですね、5日間程度は膠着状態が続くと思います。』
「ここからハイランディスまで2日というところだから、猶予は2日かな」
『メア、どう、聞こえているかしら。』
『はい、明瞭です。今のところ寸断も全くありません。』
『リアンはどの辺までこちらに来ているのかしら。』
『もう到着しました。』
『すまないのだけれど、例の勇者一行がどこにいるか探して欲しいのよ。そして、会話を聞いて欲しいの。出来るかしら。』
『ご主人様よろしいですか。』
『今回の件が決着するまでは、メア独自の判断で動いて構わないです。指示はアンジーからしてもらってください。こう言えば良いかな。』
『了解しました。アンジー様の指示に従います。』
『お願いね』
「どうしたのかしら、さっきまではちゃんと話を聞いて判断していたのに。」
『メア、一度戻って来て。お願いよ』
『それは指示ではありません。』
『あんた、指示して。』
『あ、はい。メア、アンジーの元に一度戻りなさい。』
『はい、わかりました。』
『どういうことですか?アンジー』
『この地に降りてから、精神支配系の魔法がちょくちょく悪さするのよ。誰が蒔いているのかわからないけど、リアンの直感だと、何かこだわりのある感情が高まるとその感情のみに固まって、それ以外感情が動かなくなって行動までその感情に動かされて自分で止められなくなるみたいなのよ。』
『言っている意味がわかりません。』
『言っている私もうまく説明できないのだけれど、例えば憎いと言う感情が高まったら憎いからこいつを殺すという気持ちに固まって、それをやめようという意識はあるんだけど体がそのまま動いてしまうという感じなのよ。』
『ああ、あの勇者もそんな感じでしたね。私と力比べがしたいどっちが強いかやってみたいと、人も殺せないお前は弱虫で俺と同類だろうだからお前も弱いはずだだから戦え。という感じでしたねえ。結局、何かをきっかけに意識が戻ったようですが。』
『そうね、私の時も私の声で状況が変化したわ』
『じゃあ、メアは今その状態にあると。ええ、あんたの指示に従えが強く感情を支配しているのよ。結果、何とかなりそうだけどね。』
『精神支配系は、私も知りませんからねえ。ああ、メアさんが魔法に掛かっているのなら、アンジーさんの鏡を使って私に見せて欲しいのです。』
『解析をそこでするのね。』
『多分出来ると思います。』
『わかったわ』
 そうしてしばらく待っているとメアが戻ってくる。
「戻って参りました。」その目は少しだけうつろだ。
『メアが戻って来たわよ。』
『じゃあよろしくお願いします。』
 アンジーが目の前に手を組み、何かをつぶやく。光の鏡がそこに出来る。
「メア、その鏡の前に立って。」
「はい」
「メアさん大丈夫ですか。」鏡の中の私は、メアをじっと見る。
「はい大丈夫です。」メアさんは鏡の中にいる私を見ても、あまり関心がなさそうに、私の挨拶に反射的に対応している。
「なるほどそう言う仕掛けですか。」
「わかったのかしら。」
「出来れば、外の景色も見たいですね。」
「その前にメアを元に戻すわね」
「はい、お願いします。」
アンジーは、鏡を維持しながら、メアの顔の真ん前でパンと柏手を打った。左手の手のひらを右手の指で叩くといい音がする。メアが一瞬ハッとして、その表情がなぜかすっきり明るくなった。
「何か私にありましたね。」真面目な顔でメアがアンジーに問いかける。
「そうね、いつものあなたなら目の前で手を叩かれたら、その手をあなたは止めているはずなのに反応しなかったのだから。」
「今は、大丈夫です。元に戻りました。」
「ええ、そうね。この廃城の外の地域一帯に広範囲に精神支配系の魔法が仕掛けられているとみて良いわね。」
「ここだけでしょうか。」
「わからないわ」
「道沿いだけかもしれませんね。」
「そんなピンポイントな仕掛け方するかしら。」
「とりあえず鏡を外で使ってください。」
「一度閉じるわよ」
 アンジーは、そう言って相手の返事も待たずに鏡を閉じた。
 3人は、リアンを裏の部屋に置いたまま外に出ました。
「確かに外に出ても変わらないわねえ。」アンジーが首をかしげる。
「私は、道路に何か仕掛けてあると思います。」メアが記憶を遡って言った。
「そうですね、僕にも何か起きてもおかしくないのですが、それはありませんでした。きっと森の中を抜けてきたからかもしれません。」
「そうかもしれないわねえ。」アンジーは、城の外から草むらを通って道路の端に近づく。
『鏡開くわよ。』
 アンジーは、手を前に組んで呪文を唱える。鏡が再び現れる。
「道路から辺り一面をみてちょうだい。」
 アンジーに言われて、鏡の中から周囲を見渡す。
「道に何かあるようです。道に近づけてください。」
「一度閉じるから。移動させるの面倒なのよ。」
「かまいません、もし出来るなら道路に入らずに道路ができるだけまっすぐに見えるような位置にお願いします。」
「はいはい」
アンジーは、鏡を閉じて、道の端に行き、道路を見渡せるような位置に再度鏡を開いた。
「どうなの。早くしてね、周りの人に見つかりたくないのだけれど。」

「では、道の端に落ちている小石をひとつ拾ってください。私がポイントしますので。」
 私は、メアに小石の位置のイメージを送る。メアは、それを拾って鏡に近づける。
「なるほどねえ、これはすごい。」
「この小石がですか?何か見えるのですか。」メアがその小石をしげしげと見る。
「はい、すごい仕掛けですねえ。」
「その砂粒がどうしたの。」
「これに魔法が付与されているのですよ。」
「そ、そんなことができるの?」
「そうみたいですねえ、見えないほど微量の魔鉱石を小石に埋めて、感情を増幅する魔法を発生させる魔方陣を付与している感じです。しかもそれを道に等間隔にばらまいていますねえ。」
「等間隔にばらまくってどういう表現よ。おかしいでしょう。」
「ですが、これを蒔いた人は、この小石を、お互いの動作範囲内に収まるようランダムに置いているのです。小石のそばを通過すると進行方向まで検知して、次にある小石達が次々と魔方陣を立ち上げるようにしていますね。」
「それにこんなに大量にこれを作っています。どうやったのでしょうかねえ。」
「ねえ、魔法がどう付与されているとかそんなことまでわかるの?」
「この辺は、プログラミングの基礎ですからねえ。あっ、この魔方陣作った人は、転生してきた人かもしれません。もしそうなら、たぶん、工業系のプログラマかもしれませんねえ」
「とりあえず、解除方法を教えなさい。」
「これは、沈静作用のある魔法を使うしかありませんね。対処療法ですけど。あとは、この小石を全て撤去するか。ああ、感情魔法への防御魔法が一番ですね。」
「で、どうなの。作れそうなの。」
「少し待ってください。」
「少し待てば出来るものなのそれは、」
「そんなことがすぐ出来るのは、あまり一般的ではないと思いますが。」とメア
「あるじ様すごいです。」とユーリ
「できました。」
「あんた早すぎるわよ。」
「では、アンジー、私のイメージを読み取ってください。」
「なぜ私なの?」
「あなたの対精神魔法力が一番高いので、最適だと思います。」
「確かにそうだけど、覚えられるものなの?これまでやったことないけど。」
「では呪文にしましょう。私が呪文をイメージしますからそれを唱えてください。では」
「ああ、なるほど。」そう言って目をつぶりアンジーは、何かをつぶやいている。
「で、どう使うの。」
「目線を魔法をかけたい人に向けて、イメージしたワードを心の中で言ってください。」
「なんなのその厨二な名称は。まあ、いいけど」
『マインドガード』
「あ、」
「あ、」
「あんた、本当は言葉いらないでしょう。」
「ばれました?でも、最初はイメージしないとダメですよ。そのあと無詠唱でも出来ます。それから、掛かった人の解除にも使えますから。」
 そこでアンジーは、顔を真っ赤にして鏡を閉じた。
『どうして鏡を閉じるんですか。』
『あとは説明だけでしょ。それと魔法の効果範囲と時間はどのくらいなのかしら』
『ええーーーっ、アンジーの顔を間近に見られて幸せだったのに。』
『うるさい、とっとと教えろこのバカ魔法使い。』
「恥ずかしかったみたいですよ。ユーリ」
「そうみたいですね。メアさん」うしろでひそひそと小声で会話する2人だった。
『効果は、たぶん感情の起伏がない人なら12時間くらい、感情の上下が著しい人なら6時間ですかねえ。あと、範囲は、視界に入っていてアンジーに注目している人ですね。』
「アンジー様が適任かと思いますね。」
「確かに僕もそう思います。」
「はぁ、わかったわ。」
『でも、ユーリがここに来ていなければ、こんな小細工は、あまり意味がありませんよね。』
『確かにそうね。こんなところで兵士と住民が小競り合いを起こして死人が出たところで戦争の行く末にはあまり関係なさそうだもの。やっぱりユーリが来たから蒔いたのかしらねえ。』
『僕が来たからなのでしょうか。ならば、来なかった方がよかったのでしょうか。』
『あんたが来たから人死には出ていないのよ。来ていなかったら、あの石がなくても住民は略奪されて、最悪殺されていたかもしれないのよ。そこは変わらないのよ。』
『はい』
『あんたが来なかったら、ここでの収奪や虐殺が住民の恨みを買い、戦争は泥沼化していくことになるのよ。だから食い止めたというのは間違いないの。へこむんじゃないの。』
「はい」それでもショボンとしているユーリ。
『それにしても、ユーリだっておかしいと気付くくらい変な状況なのだから、その混乱の原因を探って何とかしたいと当然思ったでしょ?』
『はい、そう思いましたし、もしこれで人が死んでしまったらと考えて、調査を急ぐためにあるじ様にお願いしたと思います。』
『そうなのよねえ。あんたが出張ってくるしかなくなるわよねえ。』
『そうですね、ご主人様なら、原因究明にうれしそうに飛んできたでしょうから』
『でも、アンジーの鏡は知られていないと言うことでしょうか。』
『そうね、鏡を使った時にいたのは、私達だけだったもの。』
『まだ、相手の隙をつくことができそうですね。』とユーリ。ちょっとうれしそうです。
『では、通信は終了するわ。またね。DT、大好きよ』
 そう言ってアンジーは通信を切った。ええ、電源も切った。
「アンジー様、思い切ったことをしますね。」
「やられっぱなしは、性に合わないのよ。」
「そういうことをしますか、」
「さあ、メア、お願いよ。あの勇者達を探して様子を探って欲しいの。あと、さっきあいつからもらった魔法を覚えていって。念のためユーリもね。」
「なんて言いましたっけその魔法」
「マ、マインドガード」
「普通だと思うのですが、恥ずかしいですか?」
「叫ばされたのが恥ずかしかったのよ。わかりなさい」
「はいはい。」
「アンジー様、可愛いです。」
 2人は、それぞれその魔法を覚えて、テストしてみてから、メアは勇者を探しに、ユーリは、待たせていたリアンを連れて、1階の大広間にいる住民達に紹介をしに行った。
 あれ?アンジーは、アンジーは、鐘楼のところで真っ赤な顔をして髪の毛をかきむしっていた。いや、やらなきゃいいじゃないですか。

 そのころ家では、
「もしもし、アンジー、最後まで聞こえませんでしたよ。なんて言ったんですか。」
「大体わかるじゃろう。本当におぬしのこういうデリカシーのなさが問題じゃなあ。」
 実は、切断のための長押しをし始めてからアンジーが話したので、「だいす」までしか聞こえなかったのです。

 そして、ジャガーの馬車の中。
『だいす・・・』
『アンジーさん最後まで聞こえませんでしたよ、なんて言ったんですか。』
 思わず吹き出すパム。
「パム~なに~笑ってるの~教えて~教えて~」レティがパムの腕をつかんで揺さぶっている。
「なんでもありませんよ。私のぬし様は、本当に素敵です。ああ、天使様もですが。」
「聞きたい~」
「ごめんなさい。本人達の名誉のために教えられません。」
「え~けち~」
「今度会った時に了解をもらったら話してあげますよ。約束です」
「それは~楽しみ~」
「もう少しでマクレスタ公国です。都市の関所が見えてきました。」
「私は、ここから別行動となります。定期的にこちらから接触しますので、何かありましたらその時にお願いします。いいですか、決して無理なさらないように。」
「わかりました」
「大丈夫~」
「気をつけますが、パムさんも気をつけて。」
「では、失礼します。」
 そう言ってパムは、荷馬車から降りた。


  - 続く -

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