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第17話 メイド喫茶 Part2
第17-1話 メイド喫茶ファーン(嘆願書編)
○メイド喫茶再び
- いつでもあなたにご奉仕~いつも靴下は三つ折りでっ! -
元の家に戻ってしばらくして、レイもなじんできた頃、私の元に分厚い嘆願書が届きました。
どうやらビギナギルの真似をしてこの村でも収穫祭をやることになったようです。何でもとりあえず真似をしているようで、あたかも当然のように私達にメイド喫茶をやって欲しいという事が書かれた嘆願書です。こんな事まで真似しないで欲しいものです。
ええ、何でも真似をすれば良いというものではありません。
エルフィとレイが馬の世話という名の馬との散歩から戻るのが遅れていますが、レイに話すと色々まどろっこしいので、先に話を進めました。
「えー言わずもがなですが、あの街のイベントを模倣し始めていて、収穫祭にはメイド喫茶をやって欲しいと嘆願書が届いています」私はテーブルの上に置いた書類の束をバンと叩きながら言いました。
「私も入っているのは勘弁して欲しいのだけれど」私に呼び出されたエリスさんが言いました。夕食を一緒にどうですか?と誘ってつり上げましたよ。
「あの時はヒメツキさんと双璧をなす美貌と評判でしたからねえ。その噂がすでに届いていますので、断るのは難しいかもしれませんね」私はエリスさんをジッと見つめながら言いました。
「ぐっ」言葉に詰まって下を向きました。ちょっとうれしそうに頬を染めたのを見逃しませんでしたよ。
「まあエリスさんには無理強いはできませんよ。こちらの村では研究の傍ら薬屋をやっているわけですから」私は、念のため予防線を張ってそう言いました。そう言っておくと断りづらくなると思いました。てへっ。周囲の目が冷たいです。ジト目で見ないでください。
「うっわかったわ。その代わりあなたも前回のように執事をやってもらうわよ」私を恨みがましい目で見てエリスさんが言いました。いや、やりたくないならそう言ってください。そんな取引にもならない条件でいいのですか?私は最初からやるつもりですよ。
「あまり人気なかったんですがねえ。男前ならよかったのですが」私は正直な気持ちを呟きます。私に求められているのは男手でしょう。皆さんの方が私より力がありそうですからほとんどジャーマネですよねえ。
「実はあるじ様に隠していたことがあります」ユーリが下を向きながら言いました。
「ユーリ何を隠していたのですか」私はちょっとビビっています。何を言われるのでしょうか?わきがが臭うとかですか?
「あそこの街で、あるじ様が結構人気になっていまして。水面下では、あるじ様の拉致計画が進んでいました」何か棒読みですが、何かありますか?
「おやそんなことが。まあその言い方だと阻止してくれたのでしょう?」私はそう言いました。
「はい説得しました」顔を上げて嬉しそうにユーリが言いました。おや?なんでしょう。ちょっとした違和感が。
「さすがに一般の女性に乱暴できませんからねえ。拉致られればなすがままになりそうです」私はそう言う教育を受けていたようです。ええ、女性に手を上げてはいけないと。
「それが予想できましたので、事実を話しておきました」ユーリがさらに嬉しそうに言いました。何かおかしい言い方です。
「それって」私は嫌な予感しかしていません。
「はい。あるじ様は鬼畜幼女趣味です。とだけ言っておきました」ユーリの顔が輝いています。オイオイ!
「あれから街で冷たい視線で見られたのはそういう事だったんですね」私は肩を落としてため息をつきます。
「僕はーあるじ様がー毎晩のようにー幼女と一緒にー寝ているというー事実だけ言ったのですがーどうやらー誤解されてしまったーみたいですー」はいはい棒読みですね。みんながあきれていますよ。どうせ皆さん結託して言わせたのでしょうけど。すでにこの段階でパムはお腹を押さえて笑っています。エリスさんはあきれています。
「ユーリわざとやりましたね」私はユーリをジッと見て言いました。
「あるじ様を守るためならどんなことでもします」ユーリも私をジッと見て言いました。そこ反省しなさい。
「それを守っているというのですか」私も負けずに言いました。
「はい」言い切りましたよこの子は!!
「しかも誰かの入れ知恵ですね」私は周りに座っている皆さんを見回しながら言いました。全員目をそらしていますよ。とほほ
「まあそうじゃろう。守ると言うよりは害虫が寄ってこないように排除しただけじゃなあ」モーラがあっちを向きながら言いました。それをエリスさんはあきれて見ています。
「そのような言葉であるじ様を見る目が変わるようではそれまでかと」ドヤ顔でユーリが言いました。
「なんか良いこと言っているようですが、被害甚大です」私は片手で顔を覆ってため息をついています。パムが椅子から転げ落ちそうになって笑っています。そこ!笑いすぎ!!
「ごほん。前回と同じデザインの服でよろしいですか?」メアが話の軌道修正をしてくれました。ありがとうございます。パムさん本題に戻ったところでピタリと笑うのをやめるのをやめてください。まるで演技していたようではありませんか。
「でも馬車が燃えてしまって・・・」ユーリが悲しそうに言いました。そうでした。
「はい残念ながら燃えてしまいましたので、新しいのを作る必要があります」メアが拳を握りしめて上を向き、遠くを見つめながら涙目で言いました。誰も死んではいませんよ。
「まあいろいろと成長しているしね。でもできるのかしら」アンジーがメアを見る。
「あとパムさん?やってもいいですかねえ」私はパムに尋ねます。
「私ですか?メイドの格好をして喫茶店のウェートレスをやれと言う事ですよね。この体格ではさすがにメイド服は似合わないと思いますので、小さくなりましょう。ちょっと動きがぎこちなくなりますけど」私としてはその位の体格のメイドさんもいますので気にしませんが。
「ほう。その姿だけがすべてではないとな」モーラが興味を示しました。
「皆さんは村の中ですでに見かけていると思いますが、気付いていませんでしたか?」パムは意外そうな顔で皆さんを見回します。みんなキョトンとしています。
「そうなの?見たことないわよ」アンジーがびっくりしています。
「では、服がダボダボになりますが、実際見てもらいましょう。はー」パムが息を吐きながら目をつぶる。徐々に体が小さくなって一回り小さくなった。そこには精悍な顔つきの美少女が立っていました。少しふくよかなのは、そこまで筋量を落とせないからなのでしょうねえ。全員でその姿に驚いて声も出ません。
「馬車の下に隠れていたときの大きさですね」メアさんが気配でそれを感じたようです。
「はい。あと、村に独りで行くときには、普段の姿だと怖がらせてしまうので、この姿です」
「み、見かけたわよ。可愛い子がいるなあと思って見ていたわ。確かに噂になっていたわよ。たまに見かけるあの子は誰だろうって」アンジーが珍しくアワアワしながら言いました。
「そうですか。それはうれしいです」ダボダボの服を気にしているのか、言葉に感情がこもってない感じでパムが言いました。
「せっかくですので、正体を隠してその姿で参加しますか?」パムが私を見て言いました。あらまあ可愛いですねえ。少し無表情気味なのがまたエキセントリックで良いですねえ。おっとみんなの空気が変わりました。
「この場にエルフィがいなくて良かったですね。あの子が知ったら、酔っ払って居酒屋で話してしまいそうです」メアがその姿を見ながら言いました。
「諜報活動用なのであまり人目につきたくないのでやはりやめておきましょう」
「その方がよろしいかと。でもそれだけ可愛いと誰もが注目して、隠密行動にならないのではありませんか?」とメア。
「これは人にものを尋ねる時の姿なのです。たいていの人は、若い女の子に尋ねられて嫌な気持ちにはならないと思いますので」そこで再び目を閉じて息を吸う。ダボダボの服が体に合わせて元に戻っていきます。これでは変装ではなくて変身ですね。
「私としてはぬし様と同じく執事姿にしたいと思いますが、いかがですか」パムが私を見て言いました。
「そうですか。せっかくですから先ほどの姿でメイド服を着てみませんか?」私はきっと可愛いだろうなあと思いながら言いました。
「それはかまいません」パムが下を向いて照れながら言いました。おや尊い。
「僕も執事服を着ることになりました」ユーリが少しだけつまらなそうにそう言いました。
「ユーリは着る必要はないでしょう。今回は嘆願書もないので・・・」私は横にある嘆願書を見ながら言おうとしましたら遮られました。
「いえすでに嘆願書を渡されています」ユーリが嘆願書の束をテーブルの下から出します。おお。こっちも結構ボリュームがありますね。
「ええっそんなところまであの街の真似しているのですか」
「どうやら、あの街とこの村の女の子達が連絡を取り合っているようです」ユーリが淡々と言いました。ユーリがこういう言い方をする時は、たいがいやりたくないけどやらなきゃいけない時の言い方なのです。
「そんなネットワークができていましたか。でもちゃんとメイド服も着てくださいね。可愛いんですから」私は本当に本心からいつも言っています。
「ありがとうございます。僕はあるじ様の前だけで着たいのですが」おおう照れている尊い。おや皆さんの殺意が。
「もったいないです。というか私だけ見ていたと知れたら村の人達に恨まれてしまいますよ」
「あとはエルフィとレイじゃが、まだ戻らんのか」モーラはそう言いました。まあ気付いているのでしょうけどね。
「ただいま帰りました~」エルフィが扉を開けて入ってくる。
「うむ。空気を読んだ帰宅じゃな」モーラわかってましたよねえ。ねえ。
「なんのことですか~」エルフィが体についた草とかを払ってから中に入ってくる。レイは、獣化していて体を思いっきり左右に震わせて草を落としています。獣じゃないんですから控えましょう。というかそういうのは外でやってから入って来てください。
「収穫祭じゃ。メイド服じゃ。わかるな」モーラその説明ではわかりませんよ。
「はい~居酒屋でもう聞いていますよ~やります~」自分の席に座ってメアが入れたお茶を手にエルフィが言いました。
「レイは何のことかわからないわよね」アンジーが言います。
「メイド服ってなんですか?」その獣化して首をかしげて言うのはめっさ可愛いです。
「お店で給仕をするのじゃ。この服を着てな」モーラはメアの服を指さす。
「あの~こういう服は似合わないと思うのです。それにどうやって着るのかわかりませんし、自分で着られるとは思いません。あと、暑いのは嫌です」レイは露骨に嫌そうな顔をしています。
「なるほど。確かにお盆にお水を載せてお客に持って行くのは厳しそうだな」モーラも考え込みました。
「そうね。まだ難しいかも」アンジーもあきらめ顔だ。
「ご主人様。提案があります」メアが手を上げて発言を求めます。
「予想はついていますが、なんでしょうか」私は発言を許可します。
「はい。マスコットとしていてもらうのはどうでしょうか」想定済ですねえ。
「まあ獣人ですからかまわないと思いますが、屋内で獣化してウロウロしたら、可愛すぎてそのまま連れ去られそうですねえ」
「とりあえず衣装は作りますので、給仕はさせない方向ではどうでしょう」メアが妥協案を出してきました。
「そうですね。看板を持って外で客引きをしてもらいますか」前回のキャロルを想像しましたよ。それもいいですね。
「ではその方向で進めます。では食事の用意がありますので」メアが厨房に移動する。ユーリも手伝いに行った。
「またなのね」エリスさんがため息をつく。
「エリスさん。これが本当に地域になじむということですよ」私は慰めになっていない慰めをします。
「あんたねえ。それは違うと思うわ」あきれた顔でエリスさんはそう言った。
食事の用意ができたので、食べながらいろいろと案を出し合った。
「当日は、アンジーじゃなくて成人した天使様になったらどうでしょうか」とユーリが言った。確かにあの姿ならとてもうれしいですけどね。ユーリもきっと見たいのでしょう。
「そんなことをしたらアンジー教の人達がどう反応するのか不安ですね。狂喜乱舞するのか、落胆するのか。でもどっちにころぶのか見てみたい気もしますね」パムが言った。
アンジーは「そうね。羽根はさすがに偽物を使うけど、孤児院のデモンストレーションになるならやろうかしら。それから、喫茶店のスペースは収穫祭の後そのまま孤児の子達に喫茶店としてやってもらってもいいわねえ。でも、私が天使に変わっていたらまずいから、別人を連れてきたと言うことにしないとねえ。いろいろ問題起きそうじゃない?」アンジーがやる気です。いいんですかねえ。
「喫茶店をそのまま孤児院が経営するのは良いかもしれませんね。でもその喫茶店には用心棒が必要になりませんか?」
「冒険者組合もできるのでしょう?そこに作れば良いのよ」エリスさんがフォローを入れる。
「普通は居酒屋ではありませんか?」とパム。
「酔っ払いの扱いは面倒なのよ」とエリスさんが言った。
「確かに」パムが頷く。
「ご主人様。デザインはどうなさいますか」メアが食事を配り終えて席に着いた。
「私に聞きますか」
「はい。男性の意見を聞きたいのですが」
「確かにあんたメイド服への造詣が深かったわねえ」アンジーさんそれは嫌みですよね。
「前回と同じで良いのではありませんか。私としてはもう数ミリですけどスカートの丈を上げて皆さんの美脚を見てみたいところですが・・・」
「ほう、おぬし足フェチか」ああモーラのエロおやじ発言出ました。思考が本当にエロおやじなんですよねえ。
「また私の頭から変な語彙を覚えましたね。別にそういうのではないんですよ。スカートの丈に合わせたソックスの長さと言うのが私のこだわりにありまして。例えば、ヴィクトリア調であれば、スカートの丈が長くてスカートの裾の下にすぐくるぶしが来るので、ソックスは三つ折りになるのですが、前回は、膝上まで丈を少しあげたために、ソックスが短いままでアンバランスだったのですよ。そこだけはちゃんとして欲しいですねえ」私はちょっとため息をつく。
「ああなるほど。絶対領域という奴か」モーラはことごとく私の頭から語彙を持ち出します。
「違うんですよ。それは、ニーハイというやつで・・・」私は食事中にもかかわらずつい喋り始めます。
「はいそこまで!あなたにこだわりがあるのね」エリスさんがそこで止めました。おおう的確です。
「こういうのは、メイド服の作られてからの歴史を・・・」それでも私は止まりません。
「だからこういうこだわりのある奴は嫌いなのよ。結論を言いなさい」エリスさんが怒っています。昔何かあったのでしょうか。
「スカート丈に合わせたソックスを希望します」私はコソコソと手を上げて言いました。食事中ですし。
「わかりました。検討します」メアが何でも無いように言った。
食事は終わり、エリスさんは帰って行き、その日の入浴タイムになりました。
「蒸し返すわけではないが、おぬしメイド服にこだわりすぎではないか。メアのメイド服には、全然注文つけておらんじゃろうが」モーラは私に聞きました。
「ほとんど完璧ですので」私は頭にタオルを乗せて目を閉じて言いました。
「メアそうなの?」アンジーがメアに振る。
「はい。ご主人様と何度かこのメイド服について話し合いをしたのですが、変更はいらないと。むしろ動きづらくないか、とかそちらを気にされています」メアは長い髪をアップにしてタオルで巻いています。うなじを見たいですが我慢しましょう。
「へえ、どうして?さっきはあれほど講釈をたれていたじゃない」アンジーが私をジト目で見ながら言いました。
「簡単に言うと働く場所の違いですね」私はついつい話し出します。
「あるじ様どういうことですか?」ユーリが尋ねます。
「家でメイドをするのと店で給仕だけするのではその機能性への考え方に大きな違いがあるからです」私は人差し指を立てて説明をするように動かしました。
「なるほどなあ」モーラがなぜか感心しています。
「つまり。家庭のメイドは機能的でなければならず、店員としてのメイドは機能性一辺倒ではダメだと」パムがそう言いました。そんなに真剣な顔で聞かないでください。
「そうなのです。ですからメイド喫茶のメイドは、多少はメイドであることをアピールしなければなりません」
「なるほどな。客商売だからと言うことか」
「だからといって、メイドとしてあまり大きく露出してはいけないのです」私は拳を握りしめてきっぱりと言いました。その横を犬かきして獣化したレイが通ります。おお可愛い。でもいつもよりさらに小さくありませんか?
「そこで、少しだけ肌が見えるというのがいいわけね」アンジーが嫌そうな目で私を見て言いました。
「そうなりますねえ。まあ、皆さんの美脚を人に見せたくないというのが本音ですけどね」私はついしゃべりすぎました。
「前回と同じスカートの長さに靴下の長さを長くして肌の露出が抑えられば、着る方もそんなに抵抗感がなくなりますね」メアが了解したようです。
「でも~店の入りは悪くなるかもしれませんよ~それと~前回を知っている人なら~それを期待して~期待外れだとブーイングがでるかもしれません~」おおうエルフィ正論です。確かに客商売としてはそれはマイナス要因ですねえ。
「まあそれはそれで諦めてもらおうじゃないか」とモーラ。そろそろ皆さんのぼせてきたようです。
レイは、楽しそうに犬かきで風呂を堪能している。今日も風呂掃除は大変そうです。
翌日、渡されていた嘆願書を返しに、ユーリとアンジーと一緒に村長さんのところに伺います。大きくなった事務所の応接セットに座って話を始めました。
「そうか。やってくれるか。受けてもらえないとなったら、暴動が起きたかもしれんのでなあ」ニコニコと村長さんが言った。
「そんな雰囲気でしたか。とりあえず日程と時間帯を教えてください。あと、準備の手順とか。その後その建物の再利用するのかどうかとか色々聞きたいことがありまして、このままお話ししてもよろしいですか?」
「服の製作とかは、以前古着屋で今は仕立屋になったところに行ってくれ、食材の調達は、居酒屋の女将さんに。建物の場所は、再利用をしたいのであろう?その位置を含めて、商店街をまとめている人のところに行ってくれ。建築設計は、あんたとエルフィが段取りをするとビギナギルの領主様から聞いている。全ての費用は収穫祭の寄付でまかなうつもりじゃ。ビギナギルでは、店が繁盛しすぎて大変だったと聞いておる。今回は無理なことにはならないようにしたいので準備は入念にして欲しいのだが」村長さんは立て板に水の勢いでそこまで一気にしゃべりました。段取りはすでについていたのですねえ。
「わかりました。それと再利用の件ですが」
「それは私からお話ししたいわ」アンジーが少しだけ前に出る。
「ああアンジー様、やはり孤児院を作られますか」村長さんはそう尋ねました。
「そうなのです。孤児院の建築費用についても考えなければならないし、建設しても運営経費の捻出も考えたいのです。できれば建物をそのまま孤児院の建築のためお貸しいただけないかしら」
「もとよりそう言う考えで今回の喫茶店のお話も提案させていただいております。ビギナギルで有志の方達が孤児院を運営していて、その経費のためにその喫茶店を運営しているのは、すでにあちらの街から聞いております。こちらでも同様にしていただこうと考えております」
「そうだったのですね。わかりました。それではこちらも最大限の努力をして、今回の祭りの経費を維持できるほどに稼いで見せましょう」アンジーがやる気です。
「そこまで言い切られますか」村長さんがちょっと驚いています。
「そのくらいのことをしませんと、この恩は返せそうにありませんから」アンジーが頭を下げる。
「これは恩ではありませんよ。チャリティイベントです。恩を感じる必要はございません。いなくなられてからも戻られてからもアンジー様の恩恵のおかげでこの村があると皆申しております」村長さんが恐縮しています。
「あらおかしいわね。私はここでは厄介者だったはずではありませんか?」ちょっとアンジーが笑いながら言った。
「私も最初に孤児院に来られた時は、そう思っておりました。ここをDTさんと共に去られた後、ビギナギルとの交流が盛んになり、傭兵団長さんから、ここの流通が安定したのは、アンジー様のおかげと聞きまして、その時のことを皆、悔やんでいたのです」
「あれは、モーラのおかげのはずだけどね・・・」とアンジーが聞こえないようにつぶやいている。
「そして流れてくる噂は全てアンジー様の事ばかり。盗賊を改心させ孤児院を作り、各地を回って善行を為しているとお聞きしております」
「それも手伝っているだけで・・・」
「こうしてお戻りになられてからも、あの街と同様に孤児のために何かを為そうとされております。是非お力になりたいと皆思っております」
「いいですか。まず考え違いをしないでいただきたいのですが、私ひとりの力ではここまで来られなかったでしょう。ひとりでは獣の一匹も倒せない非力な少女です。ここまで生きてこられたのは、この人と私の家族のおかげなのです。私の加護などありませんよ。貴方たち自身が頑張っているからなのですよ。そこを考え違いしないでいただきたいのです。ですから孤児院の件についても、この村に必要だと思っていただけるのでしたなら協力していただきたいですが、私の加護をあてにしているのなら、そもそもそんなものはないと先にお断りしておきます」
「それでかまいません。是非協力させてください」
「ありがとうございます。それでは失礼します。DT行きますよ。他になにかあるかしら?」
「いいえ、それでは村長さんまた打ち合わせにお伺いします」
「よろしくお願いします」
そうして嘆願書の山を返して、村長の家を出る。村長の家を出ると、村の人がみんなアンジーを見ている。
「アンジー様ありがとうございます。また相談にのってください」
「またお話を聞かせてください」
「アンジー様だー、また遊んでねー」
そうやってひとりひとりに声を掛けられて歩いている。
「すごい人気ですね」
「失敗したわ。メアが一緒だとこんなに近づいてこないのよ」
「本当にアンジー教になりつつありますね」
「そこが一番問題よ」アンジーがこめかみに手を当てています。
そうして古着屋さんのあった場所に行くと店が移転したそうで、新しい店の方に向かいます。確かに大きくなっていますね。
服屋との激闘編へと続く
- いつでもあなたにご奉仕~いつも靴下は三つ折りでっ! -
元の家に戻ってしばらくして、レイもなじんできた頃、私の元に分厚い嘆願書が届きました。
どうやらビギナギルの真似をしてこの村でも収穫祭をやることになったようです。何でもとりあえず真似をしているようで、あたかも当然のように私達にメイド喫茶をやって欲しいという事が書かれた嘆願書です。こんな事まで真似しないで欲しいものです。
ええ、何でも真似をすれば良いというものではありません。
エルフィとレイが馬の世話という名の馬との散歩から戻るのが遅れていますが、レイに話すと色々まどろっこしいので、先に話を進めました。
「えー言わずもがなですが、あの街のイベントを模倣し始めていて、収穫祭にはメイド喫茶をやって欲しいと嘆願書が届いています」私はテーブルの上に置いた書類の束をバンと叩きながら言いました。
「私も入っているのは勘弁して欲しいのだけれど」私に呼び出されたエリスさんが言いました。夕食を一緒にどうですか?と誘ってつり上げましたよ。
「あの時はヒメツキさんと双璧をなす美貌と評判でしたからねえ。その噂がすでに届いていますので、断るのは難しいかもしれませんね」私はエリスさんをジッと見つめながら言いました。
「ぐっ」言葉に詰まって下を向きました。ちょっとうれしそうに頬を染めたのを見逃しませんでしたよ。
「まあエリスさんには無理強いはできませんよ。こちらの村では研究の傍ら薬屋をやっているわけですから」私は、念のため予防線を張ってそう言いました。そう言っておくと断りづらくなると思いました。てへっ。周囲の目が冷たいです。ジト目で見ないでください。
「うっわかったわ。その代わりあなたも前回のように執事をやってもらうわよ」私を恨みがましい目で見てエリスさんが言いました。いや、やりたくないならそう言ってください。そんな取引にもならない条件でいいのですか?私は最初からやるつもりですよ。
「あまり人気なかったんですがねえ。男前ならよかったのですが」私は正直な気持ちを呟きます。私に求められているのは男手でしょう。皆さんの方が私より力がありそうですからほとんどジャーマネですよねえ。
「実はあるじ様に隠していたことがあります」ユーリが下を向きながら言いました。
「ユーリ何を隠していたのですか」私はちょっとビビっています。何を言われるのでしょうか?わきがが臭うとかですか?
「あそこの街で、あるじ様が結構人気になっていまして。水面下では、あるじ様の拉致計画が進んでいました」何か棒読みですが、何かありますか?
「おやそんなことが。まあその言い方だと阻止してくれたのでしょう?」私はそう言いました。
「はい説得しました」顔を上げて嬉しそうにユーリが言いました。おや?なんでしょう。ちょっとした違和感が。
「さすがに一般の女性に乱暴できませんからねえ。拉致られればなすがままになりそうです」私はそう言う教育を受けていたようです。ええ、女性に手を上げてはいけないと。
「それが予想できましたので、事実を話しておきました」ユーリがさらに嬉しそうに言いました。何かおかしい言い方です。
「それって」私は嫌な予感しかしていません。
「はい。あるじ様は鬼畜幼女趣味です。とだけ言っておきました」ユーリの顔が輝いています。オイオイ!
「あれから街で冷たい視線で見られたのはそういう事だったんですね」私は肩を落としてため息をつきます。
「僕はーあるじ様がー毎晩のようにー幼女と一緒にー寝ているというー事実だけ言ったのですがーどうやらー誤解されてしまったーみたいですー」はいはい棒読みですね。みんながあきれていますよ。どうせ皆さん結託して言わせたのでしょうけど。すでにこの段階でパムはお腹を押さえて笑っています。エリスさんはあきれています。
「ユーリわざとやりましたね」私はユーリをジッと見て言いました。
「あるじ様を守るためならどんなことでもします」ユーリも私をジッと見て言いました。そこ反省しなさい。
「それを守っているというのですか」私も負けずに言いました。
「はい」言い切りましたよこの子は!!
「しかも誰かの入れ知恵ですね」私は周りに座っている皆さんを見回しながら言いました。全員目をそらしていますよ。とほほ
「まあそうじゃろう。守ると言うよりは害虫が寄ってこないように排除しただけじゃなあ」モーラがあっちを向きながら言いました。それをエリスさんはあきれて見ています。
「そのような言葉であるじ様を見る目が変わるようではそれまでかと」ドヤ顔でユーリが言いました。
「なんか良いこと言っているようですが、被害甚大です」私は片手で顔を覆ってため息をついています。パムが椅子から転げ落ちそうになって笑っています。そこ!笑いすぎ!!
「ごほん。前回と同じデザインの服でよろしいですか?」メアが話の軌道修正をしてくれました。ありがとうございます。パムさん本題に戻ったところでピタリと笑うのをやめるのをやめてください。まるで演技していたようではありませんか。
「でも馬車が燃えてしまって・・・」ユーリが悲しそうに言いました。そうでした。
「はい残念ながら燃えてしまいましたので、新しいのを作る必要があります」メアが拳を握りしめて上を向き、遠くを見つめながら涙目で言いました。誰も死んではいませんよ。
「まあいろいろと成長しているしね。でもできるのかしら」アンジーがメアを見る。
「あとパムさん?やってもいいですかねえ」私はパムに尋ねます。
「私ですか?メイドの格好をして喫茶店のウェートレスをやれと言う事ですよね。この体格ではさすがにメイド服は似合わないと思いますので、小さくなりましょう。ちょっと動きがぎこちなくなりますけど」私としてはその位の体格のメイドさんもいますので気にしませんが。
「ほう。その姿だけがすべてではないとな」モーラが興味を示しました。
「皆さんは村の中ですでに見かけていると思いますが、気付いていませんでしたか?」パムは意外そうな顔で皆さんを見回します。みんなキョトンとしています。
「そうなの?見たことないわよ」アンジーがびっくりしています。
「では、服がダボダボになりますが、実際見てもらいましょう。はー」パムが息を吐きながら目をつぶる。徐々に体が小さくなって一回り小さくなった。そこには精悍な顔つきの美少女が立っていました。少しふくよかなのは、そこまで筋量を落とせないからなのでしょうねえ。全員でその姿に驚いて声も出ません。
「馬車の下に隠れていたときの大きさですね」メアさんが気配でそれを感じたようです。
「はい。あと、村に独りで行くときには、普段の姿だと怖がらせてしまうので、この姿です」
「み、見かけたわよ。可愛い子がいるなあと思って見ていたわ。確かに噂になっていたわよ。たまに見かけるあの子は誰だろうって」アンジーが珍しくアワアワしながら言いました。
「そうですか。それはうれしいです」ダボダボの服を気にしているのか、言葉に感情がこもってない感じでパムが言いました。
「せっかくですので、正体を隠してその姿で参加しますか?」パムが私を見て言いました。あらまあ可愛いですねえ。少し無表情気味なのがまたエキセントリックで良いですねえ。おっとみんなの空気が変わりました。
「この場にエルフィがいなくて良かったですね。あの子が知ったら、酔っ払って居酒屋で話してしまいそうです」メアがその姿を見ながら言いました。
「諜報活動用なのであまり人目につきたくないのでやはりやめておきましょう」
「その方がよろしいかと。でもそれだけ可愛いと誰もが注目して、隠密行動にならないのではありませんか?」とメア。
「これは人にものを尋ねる時の姿なのです。たいていの人は、若い女の子に尋ねられて嫌な気持ちにはならないと思いますので」そこで再び目を閉じて息を吸う。ダボダボの服が体に合わせて元に戻っていきます。これでは変装ではなくて変身ですね。
「私としてはぬし様と同じく執事姿にしたいと思いますが、いかがですか」パムが私を見て言いました。
「そうですか。せっかくですから先ほどの姿でメイド服を着てみませんか?」私はきっと可愛いだろうなあと思いながら言いました。
「それはかまいません」パムが下を向いて照れながら言いました。おや尊い。
「僕も執事服を着ることになりました」ユーリが少しだけつまらなそうにそう言いました。
「ユーリは着る必要はないでしょう。今回は嘆願書もないので・・・」私は横にある嘆願書を見ながら言おうとしましたら遮られました。
「いえすでに嘆願書を渡されています」ユーリが嘆願書の束をテーブルの下から出します。おお。こっちも結構ボリュームがありますね。
「ええっそんなところまであの街の真似しているのですか」
「どうやら、あの街とこの村の女の子達が連絡を取り合っているようです」ユーリが淡々と言いました。ユーリがこういう言い方をする時は、たいがいやりたくないけどやらなきゃいけない時の言い方なのです。
「そんなネットワークができていましたか。でもちゃんとメイド服も着てくださいね。可愛いんですから」私は本当に本心からいつも言っています。
「ありがとうございます。僕はあるじ様の前だけで着たいのですが」おおう照れている尊い。おや皆さんの殺意が。
「もったいないです。というか私だけ見ていたと知れたら村の人達に恨まれてしまいますよ」
「あとはエルフィとレイじゃが、まだ戻らんのか」モーラはそう言いました。まあ気付いているのでしょうけどね。
「ただいま帰りました~」エルフィが扉を開けて入ってくる。
「うむ。空気を読んだ帰宅じゃな」モーラわかってましたよねえ。ねえ。
「なんのことですか~」エルフィが体についた草とかを払ってから中に入ってくる。レイは、獣化していて体を思いっきり左右に震わせて草を落としています。獣じゃないんですから控えましょう。というかそういうのは外でやってから入って来てください。
「収穫祭じゃ。メイド服じゃ。わかるな」モーラその説明ではわかりませんよ。
「はい~居酒屋でもう聞いていますよ~やります~」自分の席に座ってメアが入れたお茶を手にエルフィが言いました。
「レイは何のことかわからないわよね」アンジーが言います。
「メイド服ってなんですか?」その獣化して首をかしげて言うのはめっさ可愛いです。
「お店で給仕をするのじゃ。この服を着てな」モーラはメアの服を指さす。
「あの~こういう服は似合わないと思うのです。それにどうやって着るのかわかりませんし、自分で着られるとは思いません。あと、暑いのは嫌です」レイは露骨に嫌そうな顔をしています。
「なるほど。確かにお盆にお水を載せてお客に持って行くのは厳しそうだな」モーラも考え込みました。
「そうね。まだ難しいかも」アンジーもあきらめ顔だ。
「ご主人様。提案があります」メアが手を上げて発言を求めます。
「予想はついていますが、なんでしょうか」私は発言を許可します。
「はい。マスコットとしていてもらうのはどうでしょうか」想定済ですねえ。
「まあ獣人ですからかまわないと思いますが、屋内で獣化してウロウロしたら、可愛すぎてそのまま連れ去られそうですねえ」
「とりあえず衣装は作りますので、給仕はさせない方向ではどうでしょう」メアが妥協案を出してきました。
「そうですね。看板を持って外で客引きをしてもらいますか」前回のキャロルを想像しましたよ。それもいいですね。
「ではその方向で進めます。では食事の用意がありますので」メアが厨房に移動する。ユーリも手伝いに行った。
「またなのね」エリスさんがため息をつく。
「エリスさん。これが本当に地域になじむということですよ」私は慰めになっていない慰めをします。
「あんたねえ。それは違うと思うわ」あきれた顔でエリスさんはそう言った。
食事の用意ができたので、食べながらいろいろと案を出し合った。
「当日は、アンジーじゃなくて成人した天使様になったらどうでしょうか」とユーリが言った。確かにあの姿ならとてもうれしいですけどね。ユーリもきっと見たいのでしょう。
「そんなことをしたらアンジー教の人達がどう反応するのか不安ですね。狂喜乱舞するのか、落胆するのか。でもどっちにころぶのか見てみたい気もしますね」パムが言った。
アンジーは「そうね。羽根はさすがに偽物を使うけど、孤児院のデモンストレーションになるならやろうかしら。それから、喫茶店のスペースは収穫祭の後そのまま孤児の子達に喫茶店としてやってもらってもいいわねえ。でも、私が天使に変わっていたらまずいから、別人を連れてきたと言うことにしないとねえ。いろいろ問題起きそうじゃない?」アンジーがやる気です。いいんですかねえ。
「喫茶店をそのまま孤児院が経営するのは良いかもしれませんね。でもその喫茶店には用心棒が必要になりませんか?」
「冒険者組合もできるのでしょう?そこに作れば良いのよ」エリスさんがフォローを入れる。
「普通は居酒屋ではありませんか?」とパム。
「酔っ払いの扱いは面倒なのよ」とエリスさんが言った。
「確かに」パムが頷く。
「ご主人様。デザインはどうなさいますか」メアが食事を配り終えて席に着いた。
「私に聞きますか」
「はい。男性の意見を聞きたいのですが」
「確かにあんたメイド服への造詣が深かったわねえ」アンジーさんそれは嫌みですよね。
「前回と同じで良いのではありませんか。私としてはもう数ミリですけどスカートの丈を上げて皆さんの美脚を見てみたいところですが・・・」
「ほう、おぬし足フェチか」ああモーラのエロおやじ発言出ました。思考が本当にエロおやじなんですよねえ。
「また私の頭から変な語彙を覚えましたね。別にそういうのではないんですよ。スカートの丈に合わせたソックスの長さと言うのが私のこだわりにありまして。例えば、ヴィクトリア調であれば、スカートの丈が長くてスカートの裾の下にすぐくるぶしが来るので、ソックスは三つ折りになるのですが、前回は、膝上まで丈を少しあげたために、ソックスが短いままでアンバランスだったのですよ。そこだけはちゃんとして欲しいですねえ」私はちょっとため息をつく。
「ああなるほど。絶対領域という奴か」モーラはことごとく私の頭から語彙を持ち出します。
「違うんですよ。それは、ニーハイというやつで・・・」私は食事中にもかかわらずつい喋り始めます。
「はいそこまで!あなたにこだわりがあるのね」エリスさんがそこで止めました。おおう的確です。
「こういうのは、メイド服の作られてからの歴史を・・・」それでも私は止まりません。
「だからこういうこだわりのある奴は嫌いなのよ。結論を言いなさい」エリスさんが怒っています。昔何かあったのでしょうか。
「スカート丈に合わせたソックスを希望します」私はコソコソと手を上げて言いました。食事中ですし。
「わかりました。検討します」メアが何でも無いように言った。
食事は終わり、エリスさんは帰って行き、その日の入浴タイムになりました。
「蒸し返すわけではないが、おぬしメイド服にこだわりすぎではないか。メアのメイド服には、全然注文つけておらんじゃろうが」モーラは私に聞きました。
「ほとんど完璧ですので」私は頭にタオルを乗せて目を閉じて言いました。
「メアそうなの?」アンジーがメアに振る。
「はい。ご主人様と何度かこのメイド服について話し合いをしたのですが、変更はいらないと。むしろ動きづらくないか、とかそちらを気にされています」メアは長い髪をアップにしてタオルで巻いています。うなじを見たいですが我慢しましょう。
「へえ、どうして?さっきはあれほど講釈をたれていたじゃない」アンジーが私をジト目で見ながら言いました。
「簡単に言うと働く場所の違いですね」私はついつい話し出します。
「あるじ様どういうことですか?」ユーリが尋ねます。
「家でメイドをするのと店で給仕だけするのではその機能性への考え方に大きな違いがあるからです」私は人差し指を立てて説明をするように動かしました。
「なるほどなあ」モーラがなぜか感心しています。
「つまり。家庭のメイドは機能的でなければならず、店員としてのメイドは機能性一辺倒ではダメだと」パムがそう言いました。そんなに真剣な顔で聞かないでください。
「そうなのです。ですからメイド喫茶のメイドは、多少はメイドであることをアピールしなければなりません」
「なるほどな。客商売だからと言うことか」
「だからといって、メイドとしてあまり大きく露出してはいけないのです」私は拳を握りしめてきっぱりと言いました。その横を犬かきして獣化したレイが通ります。おお可愛い。でもいつもよりさらに小さくありませんか?
「そこで、少しだけ肌が見えるというのがいいわけね」アンジーが嫌そうな目で私を見て言いました。
「そうなりますねえ。まあ、皆さんの美脚を人に見せたくないというのが本音ですけどね」私はついしゃべりすぎました。
「前回と同じスカートの長さに靴下の長さを長くして肌の露出が抑えられば、着る方もそんなに抵抗感がなくなりますね」メアが了解したようです。
「でも~店の入りは悪くなるかもしれませんよ~それと~前回を知っている人なら~それを期待して~期待外れだとブーイングがでるかもしれません~」おおうエルフィ正論です。確かに客商売としてはそれはマイナス要因ですねえ。
「まあそれはそれで諦めてもらおうじゃないか」とモーラ。そろそろ皆さんのぼせてきたようです。
レイは、楽しそうに犬かきで風呂を堪能している。今日も風呂掃除は大変そうです。
翌日、渡されていた嘆願書を返しに、ユーリとアンジーと一緒に村長さんのところに伺います。大きくなった事務所の応接セットに座って話を始めました。
「そうか。やってくれるか。受けてもらえないとなったら、暴動が起きたかもしれんのでなあ」ニコニコと村長さんが言った。
「そんな雰囲気でしたか。とりあえず日程と時間帯を教えてください。あと、準備の手順とか。その後その建物の再利用するのかどうかとか色々聞きたいことがありまして、このままお話ししてもよろしいですか?」
「服の製作とかは、以前古着屋で今は仕立屋になったところに行ってくれ、食材の調達は、居酒屋の女将さんに。建物の場所は、再利用をしたいのであろう?その位置を含めて、商店街をまとめている人のところに行ってくれ。建築設計は、あんたとエルフィが段取りをするとビギナギルの領主様から聞いている。全ての費用は収穫祭の寄付でまかなうつもりじゃ。ビギナギルでは、店が繁盛しすぎて大変だったと聞いておる。今回は無理なことにはならないようにしたいので準備は入念にして欲しいのだが」村長さんは立て板に水の勢いでそこまで一気にしゃべりました。段取りはすでについていたのですねえ。
「わかりました。それと再利用の件ですが」
「それは私からお話ししたいわ」アンジーが少しだけ前に出る。
「ああアンジー様、やはり孤児院を作られますか」村長さんはそう尋ねました。
「そうなのです。孤児院の建築費用についても考えなければならないし、建設しても運営経費の捻出も考えたいのです。できれば建物をそのまま孤児院の建築のためお貸しいただけないかしら」
「もとよりそう言う考えで今回の喫茶店のお話も提案させていただいております。ビギナギルで有志の方達が孤児院を運営していて、その経費のためにその喫茶店を運営しているのは、すでにあちらの街から聞いております。こちらでも同様にしていただこうと考えております」
「そうだったのですね。わかりました。それではこちらも最大限の努力をして、今回の祭りの経費を維持できるほどに稼いで見せましょう」アンジーがやる気です。
「そこまで言い切られますか」村長さんがちょっと驚いています。
「そのくらいのことをしませんと、この恩は返せそうにありませんから」アンジーが頭を下げる。
「これは恩ではありませんよ。チャリティイベントです。恩を感じる必要はございません。いなくなられてからも戻られてからもアンジー様の恩恵のおかげでこの村があると皆申しております」村長さんが恐縮しています。
「あらおかしいわね。私はここでは厄介者だったはずではありませんか?」ちょっとアンジーが笑いながら言った。
「私も最初に孤児院に来られた時は、そう思っておりました。ここをDTさんと共に去られた後、ビギナギルとの交流が盛んになり、傭兵団長さんから、ここの流通が安定したのは、アンジー様のおかげと聞きまして、その時のことを皆、悔やんでいたのです」
「あれは、モーラのおかげのはずだけどね・・・」とアンジーが聞こえないようにつぶやいている。
「そして流れてくる噂は全てアンジー様の事ばかり。盗賊を改心させ孤児院を作り、各地を回って善行を為しているとお聞きしております」
「それも手伝っているだけで・・・」
「こうしてお戻りになられてからも、あの街と同様に孤児のために何かを為そうとされております。是非お力になりたいと皆思っております」
「いいですか。まず考え違いをしないでいただきたいのですが、私ひとりの力ではここまで来られなかったでしょう。ひとりでは獣の一匹も倒せない非力な少女です。ここまで生きてこられたのは、この人と私の家族のおかげなのです。私の加護などありませんよ。貴方たち自身が頑張っているからなのですよ。そこを考え違いしないでいただきたいのです。ですから孤児院の件についても、この村に必要だと思っていただけるのでしたなら協力していただきたいですが、私の加護をあてにしているのなら、そもそもそんなものはないと先にお断りしておきます」
「それでかまいません。是非協力させてください」
「ありがとうございます。それでは失礼します。DT行きますよ。他になにかあるかしら?」
「いいえ、それでは村長さんまた打ち合わせにお伺いします」
「よろしくお願いします」
そうして嘆願書の山を返して、村長の家を出る。村長の家を出ると、村の人がみんなアンジーを見ている。
「アンジー様ありがとうございます。また相談にのってください」
「またお話を聞かせてください」
「アンジー様だー、また遊んでねー」
そうやってひとりひとりに声を掛けられて歩いている。
「すごい人気ですね」
「失敗したわ。メアが一緒だとこんなに近づいてこないのよ」
「本当にアンジー教になりつつありますね」
「そこが一番問題よ」アンジーがこめかみに手を当てています。
そうして古着屋さんのあった場所に行くと店が移転したそうで、新しい店の方に向かいます。確かに大きくなっていますね。
服屋との激闘編へと続く
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