推しの悪役令嬢を幸せにします!

みかん桜

文字の大きさ
13 / 44

クッキー作り

しおりを挟む
 えっと…ニーナ様が使用人に冷たかったのはそれが当たり前だと思っているからで、私に優しいのは好きな人の妹だからではなく貴族だからってことよね?

 うーん、貴族の中には平民や使用人、それこそ自分より爵位が下の者には傲慢な態度で接する人っているんだと思う。それにルーク様の言う通り、そうやって生きてきたらそれが当たり前だと思ってしまうのは仕方ないのかもしれないけど…。

 でもそれってやっぱり悪役令嬢に片足突っ込んでると思うのよねぇ。

 私は侯爵令嬢だから、ニーナ様が下位貴族に対してどういう態度で接するのかが分からない。でも私に優しいニーナ様は、見方を変えることができれば身分に関わらず優しくできるはず。

 うん、そうよね。だってたかが名前が似てるからってだけで好きになるっておかしいもの。本当に最低な人なら好きになるんじゃなく似た名前であることを嫌がると思う。だからきっと大丈夫。

 それにしてもルーク様に相談できてよかったわ。あの後お兄様が来て、2週間後にうちでクッキーを作ることまで決めてくれたし。

 ごちゃごちゃ考えすぎていてだけで、整理してみると結構単純な話だと分かりスッキリした私は、ルーク様と協力関係にならない方がいいって直感が働いたことや、ルーク様の想い人が推しだということをすっかり忘れていた。





「今日は招待してくれてありがとう」
「ふふ。楽しみですね」

 今日の目標はニーナ様の意識改革! といってもいい案は思いつかなかったのだけど…。

 孤児院の時とは違って下準備は使用人の手によって既に終わっている。すりおろしたりカットされた果物を生地に混ぜてクッキーの形を作るだけで、もちろん焼くのもお任せ。だけどたったそれだけでもすっごく楽しみ。

「じゃあ好きな果物を入れてくださーい」
「量は?」
「お好きなだけ」

 ふふふ。ルーク様がうまく誘導したおかげでお兄様とニーナ様が並んでクッキーを作っている姿を目の前で見れる。

「今日はしないの? 手カメラ」
「はっ!! そうでした。私としたことがっ」

 慌てて手カメラのポーズをとると隣で一緒にしてくれている。って……

「他の人の前ではしちゃいけないのでは?」
「僕がいるからいいんだよ。他にはライナスとニーナ嬢しかいないしね。あぁ、使用人もいるけど彼らは侯爵家の使用人だから君の身内みたいなものでしょ」

 ?? なんか基準がよく分からないけど、今日はしていいみたいだしいっか。

「でも複雑です。カメラ目線がほしいけど、ニーナ様に見られたくないし」
「なんで見られたくないの?」
「変な子って思われちゃいます」

 ルーク様にはもう思われちゃってるけど、知った上で協力してくれてるから気にしない。でも推しに変だと思われるなんて………そんなの耐えられないっ。

「そっか。なら約束通り僕が一緒にいる時だけにしよう。そうすればダメな時はちゃんと教えてあげられるしね。もちろん、僕は変な子なんて思ってないから安心して?」
「っ!! はいっ! ありがとうございます。ルーク様って優しいのですね」
「――エレナにだけだよ――」

 最後になんて言ったのかは聞き取れなかったけど…ふふっ。お兄様のお友達選びが上手くてよかったわ。

「もう大丈夫みたいだね」
「えっ?」
「ほら、この間悩んでいたこと」

 ?? あっ! ニーナ様のことね。

「はいっ。ルーク様に話を聞いてもらえたおかげで解決っていうか、方向性は決められたので」
「具体的にはどうするの?」
「それはまだで…」

 優しくしてくれているけど、爵位が下の私が使用人にも優しくした方がいい、なんていきなり言えないし…。

「なら一緒に考えよう」
「いいのですか!?」
「もちろん」

 わぁ! ついてるわ。星占いがあればきっと今日の運勢1位ね。

「それにしても…型抜きがあればよかったのになぁ…」
「かたぬき?」
「はい。こうやって生地を広げて、型になっている物でくり抜いて……伝わりました?」

 型抜きなんてないから丸いクッキーしか作れないのよねぇ。せっかくなら色んな形を作りたいし、型抜きがあればステンドグラスクッキーも作れるのに。………丸しか作れないのは決して私が不器用だからじゃないよ?

「もちろん伝わったよ。でも、料理人には必要ないんじゃないかな?」
「でも色んな形のクッキーが焼けますよ?」

 えっ!? ルーク様、型抜き無しでそんないろんな形をつくれるの!?

「ニーナ様までっ! それってお花ですか?」
「そうよ。あんまり上手くできなかったけど」

 お兄様は……良かった、私と一緒で丸いクッキーしか作ってないわ。

「あの、型抜きの話は忘れてください…」
「いや、いいアイデアだと思うよ。みんながみんな色々な形のクッキーを作れるわけじゃないし、料理人には不要だろうけど平民には需要がありそうだ。―――でもこれはエレナの発案だしライナスに相談すべきだな―――」

 ? お兄様に相談? って何を?

「必ずエレナの要望に答えるから楽しみにしていてね」
「? はい…」

 もしかして、型抜き作ってくれるのかな? でも料理人には不要かぁ…なら出来上がってもうちの厨房には揃えられないのは、ちょっと、いやかなり残念ね。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~

浅海 景
恋愛
オッドアイで生まれた透花は家族から厄介者扱いをされて引きこもりの生活を送っていた。ある日、双子の姉に突き飛ばされて頭を強打するが、目を覚ましたのは見覚えのない場所だった。ハウゼンヒルト神聖国の王子であるフィルから、世界を救う御子(みこ)だと告げられた透花は自分には無理だと否定するが、御子であるかどうかを判断するために教育を受けることに。 御子至上主義なフィルは透花を大切にしてくれるが、自分が御子だと信じていない透花はフィルの優しさは一時的なものだと自分に言い聞かせる。 「きっといつかはこの人もまた自分に嫌悪し離れていくのだから」 自己肯定感ゼロの少女が過保護な王子や人との関わりによって、徐々に自分を取り戻す物語。

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

薬師の能力を買われた嫁ぎ先は闇の仕事を請け負う一族でした

あねもね
恋愛
薬師として働くエリーゼ・バリエンホルムは貴族の娘。 しかし両親が亡くなって以降、叔父に家を追い出されていた。エリーゼは自分の生活と弟の学費を稼ぐために頑張っていたが、店の立ち退きを迫られる事態となる。同時期に、好意を寄せていたシメオン・ラウル・アランブール伯爵からプロポーズを申し込まれていたものの、その申し出を受けず、娼館に足を踏み入れることにした。 エリーゼが娼館にいることを知ったシメオンは、エリーゼを大金で身請けして屋敷に連れ帰る。けれどそこは闇の仕事を請け負う一族で、シメオンはエリーゼに毒薬作りを命じた。 薬師としての矜持を踏みにじられ、一度は泣き崩れたエリーゼだったが……。 ――私は私の信念で戦う。決して誰にも屈しない。

逆行したので運命を変えようとしたら、全ておばあさまの掌の上でした

ひとみん
恋愛
夫に殺されたはずなのに、目覚めれば五才に戻っていた。同じ運命は嫌だと、足掻きはじめるクロエ。 なんとか前に死んだ年齢を超えられたけど、実は何やら祖母が裏で色々動いていたらしい。 ザル設定のご都合主義です。 最初はほぼ状況説明的文章です・・・

元王太子妃候補、現王宮の番犬(仮)

モンドール
恋愛
伯爵令嬢ルイーザは、幼い頃から王太子妃を目指し血の滲む努力をしてきた。勉学に励み、作法を学び、社交での人脈も作った。しかし、肝心の王太子の心は射止められず。 そんな中、何者かの手によって大型犬に姿を変えられてしまったルイーザは、暫く王宮で飼われる番犬の振りをすることになり──!? 「わん!」(なんでよ!) (『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)

契約結婚の相手が優しすぎて困ります

みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

処理中です...