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意識改革計画②
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「クッキーが焼き上がりました」
「ありがとう。あっ! ――たくさん作ったからソフィーも食べてね――」
「――はい、ありがとうございます――」
私とお兄様は何回か一緒に作っているから、制作時間が短いの。決して形が丸だけだからってわけじゃないよ。ソフィーや、準備してくれたり焼いてくれた料理人のみんなの分も作りたかったから、量産したくて。まぁ言わなくても割れちゃってるやつは弾かれてみんなの口に入るんだろうけど。
「エレナ、さっき話していたのって専属侍女よね? 使用人にお礼を言う必要はないわ。そもそも彼女はお礼を言われるようなことをしていないでしょう」
「?? クッキーが焼き上がったと教えてくれましたよ? だからお礼を伝えたんですが…」
「理解できないわ。それに態度だって何というか…」
公爵家に比べたらうちってホワイト企業だしね…。態度って多分私がクッキーの話をしちゃったのがいけないのよね。気を付けよう。
あらっ? ルーク様の目が今がチャンスだって訴えてきている。おぉ、これが目で合図ってやつね。
「あのっ、その……確かにソフィーは仕事をしただけですけど、ソフィーは私の友達なんです」
「使用人がお友達?」
「僕にも使用人の友人がいますよ。同じ年なのでもう少し先ですが、いずれ僕の専属侍従になる予定のソフィーの弟なんですが」
おっと、友達って話はまだ早かったか。身分制度がしっかりしているし、その教育を受けているニーナ様が理解できないのは仕方ない。……って、別に使用人と友達になって欲しいわけじゃないから、言い方を変えて……。
「その…友達の話は忘れてください。家訓…は言い過ぎか。両親から感謝を伝えることって大事だと言われていて、使用人にとっては仕事であっても、ありがとうって思ったらありがとうって言ってます!」
「…………」
「もちろん彼らは仕事をしているだけで、その対価を支払っているのだから、わざわざお礼を言う必要がないっていうニーナ嬢の考え方が、間違ってるとは思わないよ。ただエレナとライナスが、それにプラスして感謝を伝えていることも、否定しなくていいんじゃないか」
おぉ! さすがルーク様。うまくまとてくれた。
「そ、うですね。否定する必要はなかったかもしれません」
ん? これって、意識改革…できたのかな?
もし漫画にも私がいたとして、私やお兄様の使用人への接し方が今と同じだとしたら…ニーナ様の使用人に対する態度をきっと好ましく思わない。私はニーナ様が推しだから頑張ったけど、そうじゃなければ公爵令嬢にこんな事を格下の私が言うわけなくて…納得はしなくても理解してもらえたってことは、意識改革計画、成功…でいいよね…?
最初からルーク様が話したほうが良かったってことは、気付かなかったことにしよう。
*
*
*
*
*
それから4年がたち、私は11歳に、ニーナ様とルーク様とお兄様は12歳になった。今はニーナ様の弟である10歳のセオドア様も含めて5人でよく集まっている。
結局ニーナ様には使用人と友達、は理解してもらえないままだけど、なぜかセオドア様には理解っていうか羨ましがられ、僕も使用人の友達が欲しいって会うたびに言われる。なんか…ごめんなさい。
でも、ニーナ様は感謝を伝えるようになってから使用人と信頼関係を築くことができたらしく、気付かせてくれてありがとうって言ってくれたの。順調に悪役令嬢から遠ざかっているわ。
「お兄様との仲も良好だしね」
「ライナスと誰の仲?」
「!? ルーク様っ。いきなり後ろから声をかけないでくださいっ」
「そうそう、僕達――――なったよ」
あっ! ニーナ様とお兄様が笑い合ってるっ!
「でもお兄様はまだ恋してるって感じじゃないわね」
「手カメラ、しなくていいの?」
「はい。お兄様にも幸せになって欲しいので」
貴族の結婚って思っていたより面倒だから、漫画みたいに別に好きな人ができたからってだけで簡単に婚約を解消できないのよね。婚約者の2人が思い合えば幸せになれるし、だからお兄様の好きな人がニーナ様だったらいいのにって思ってしまう。もちろん言わないけど。
「えっと…それと手カメラをしない理由って繋がるの?」
「だってせっかくなら思い合っている2人の絵の方がいいじゃないですか。それに、片思いの絵はもう脳内アルバムにたくさんあるので」
「君はブレないね。それより、さっき僕が言ったこと、聞いていた?」
「えっ?」
なんか言ってたっけ? 僕達………なにになったって?
「ありがとう。あっ! ――たくさん作ったからソフィーも食べてね――」
「――はい、ありがとうございます――」
私とお兄様は何回か一緒に作っているから、制作時間が短いの。決して形が丸だけだからってわけじゃないよ。ソフィーや、準備してくれたり焼いてくれた料理人のみんなの分も作りたかったから、量産したくて。まぁ言わなくても割れちゃってるやつは弾かれてみんなの口に入るんだろうけど。
「エレナ、さっき話していたのって専属侍女よね? 使用人にお礼を言う必要はないわ。そもそも彼女はお礼を言われるようなことをしていないでしょう」
「?? クッキーが焼き上がったと教えてくれましたよ? だからお礼を伝えたんですが…」
「理解できないわ。それに態度だって何というか…」
公爵家に比べたらうちってホワイト企業だしね…。態度って多分私がクッキーの話をしちゃったのがいけないのよね。気を付けよう。
あらっ? ルーク様の目が今がチャンスだって訴えてきている。おぉ、これが目で合図ってやつね。
「あのっ、その……確かにソフィーは仕事をしただけですけど、ソフィーは私の友達なんです」
「使用人がお友達?」
「僕にも使用人の友人がいますよ。同じ年なのでもう少し先ですが、いずれ僕の専属侍従になる予定のソフィーの弟なんですが」
おっと、友達って話はまだ早かったか。身分制度がしっかりしているし、その教育を受けているニーナ様が理解できないのは仕方ない。……って、別に使用人と友達になって欲しいわけじゃないから、言い方を変えて……。
「その…友達の話は忘れてください。家訓…は言い過ぎか。両親から感謝を伝えることって大事だと言われていて、使用人にとっては仕事であっても、ありがとうって思ったらありがとうって言ってます!」
「…………」
「もちろん彼らは仕事をしているだけで、その対価を支払っているのだから、わざわざお礼を言う必要がないっていうニーナ嬢の考え方が、間違ってるとは思わないよ。ただエレナとライナスが、それにプラスして感謝を伝えていることも、否定しなくていいんじゃないか」
おぉ! さすがルーク様。うまくまとてくれた。
「そ、うですね。否定する必要はなかったかもしれません」
ん? これって、意識改革…できたのかな?
もし漫画にも私がいたとして、私やお兄様の使用人への接し方が今と同じだとしたら…ニーナ様の使用人に対する態度をきっと好ましく思わない。私はニーナ様が推しだから頑張ったけど、そうじゃなければ公爵令嬢にこんな事を格下の私が言うわけなくて…納得はしなくても理解してもらえたってことは、意識改革計画、成功…でいいよね…?
最初からルーク様が話したほうが良かったってことは、気付かなかったことにしよう。
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それから4年がたち、私は11歳に、ニーナ様とルーク様とお兄様は12歳になった。今はニーナ様の弟である10歳のセオドア様も含めて5人でよく集まっている。
結局ニーナ様には使用人と友達、は理解してもらえないままだけど、なぜかセオドア様には理解っていうか羨ましがられ、僕も使用人の友達が欲しいって会うたびに言われる。なんか…ごめんなさい。
でも、ニーナ様は感謝を伝えるようになってから使用人と信頼関係を築くことができたらしく、気付かせてくれてありがとうって言ってくれたの。順調に悪役令嬢から遠ざかっているわ。
「お兄様との仲も良好だしね」
「ライナスと誰の仲?」
「!? ルーク様っ。いきなり後ろから声をかけないでくださいっ」
「そうそう、僕達――――なったよ」
あっ! ニーナ様とお兄様が笑い合ってるっ!
「でもお兄様はまだ恋してるって感じじゃないわね」
「手カメラ、しなくていいの?」
「はい。お兄様にも幸せになって欲しいので」
貴族の結婚って思っていたより面倒だから、漫画みたいに別に好きな人ができたからってだけで簡単に婚約を解消できないのよね。婚約者の2人が思い合えば幸せになれるし、だからお兄様の好きな人がニーナ様だったらいいのにって思ってしまう。もちろん言わないけど。
「えっと…それと手カメラをしない理由って繋がるの?」
「だってせっかくなら思い合っている2人の絵の方がいいじゃないですか。それに、片思いの絵はもう脳内アルバムにたくさんあるので」
「君はブレないね。それより、さっき僕が言ったこと、聞いていた?」
「えっ?」
なんか言ってたっけ? 僕達………なにになったって?
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