推しの悪役令嬢を幸せにします!

みかん桜

文字の大きさ
25 / 44

学園へ入学

しおりを挟む
 あれから月日が流れ、ついに今日は私が学園に入学する日。あの温室サロンで仕切り直すと言われてから何もないまま今日を迎えた。

 いや、何もないってことはないか。相変わらず手紙のやり取りはしていたし、見学と称して何度か学園へ足を運んだり、貴族街でデートもして…。ルーク様と2人で過ごす時間が増え、慣れるどころか増々ドキドキしてしまうのだけど。

 ただあの『仕切り直し』はいつまでたってもこないから、距離が近くなった事が嬉しい反面ほんの少し不安に思っている。

「まぁでもこれはこれ、それはそれ、よね」

 私自身この気持ちもまだよく分かっていないわけだし。これから思う存分できる推し活を楽しまなきゃよね。

「エレナ?」
「寂しくなったらいつでも帰ってきていいからね」
「大丈夫ですわ。お兄様もいますし」
「そうか……」

 去年のお兄様同様私も両親からの熱くて長い抱擁を受け、学園の前で馬車を降りた。

「「「入学おめでとう」」」
「ありがとうございます」

 そう迎えてくれたのはルーク様とお兄様とニーナ様。入学式である今日は本来在校生は休日なのだけど、私のために来てくれた。……私のために来てくれたのはニーナ様だけか。

 まさかまさかのお兄様は生徒会長に選ばれたのだ。副会長はルーク様。いやそこは公爵令息であるルーク様が会長じゃないの? って思うよね。今現在学園に通う王族もいないんだし。

 ちなみに生徒会は成績上位の者から選ばれるようで、元々ルーク様に会長の話が来ていたのにいつの間にかお兄様が会長になっていたらしい。こんなところで漫画の強制力が…って一瞬思ったけど、きっと会長なんて面倒だと思ったルーク様の策略……それこそ強制力が働いたとも言えちゃう?
 まっ、そんなわけで2人は私関係なく入学式に出席する必要があったのだ。

「会場までエスコートするよ」
「ありがとうございます」

 …………あれ? お兄様が邪魔してこないですって!?

「寮まで送るよ」
「はい」
「えっ!?」
 
 待って待って待って! お兄様!? 嘘でしょう?

「エレナ? えっと…手カメラはいいの? ライナスがニーナ嬢をエスコートしているけど…」
「あ…そうですね。手カメラ……お兄様………」
「ふっ。ライナスに優先されなくてショック?」
「えっ!?」

 私……もしかして……もしかしなくてもブラコンだったの? え、ショック。自分がブラコンだったことがショックだわ。でもさすが兄妹というか…。

「ニーナ嬢はもちろんライナスのことも大好きだもんね。これからはその気持ちを僕に向けてくれたらいいよ」
「っ!!! ま、周りに沢山人がいるのにっ」
「なら誰もいない場所ならいいの?」

 そういうわけじゃないっ! 額にとはいえこんなサラッとキスしてこないでよっ。

「顔真っ赤」
「だっ、誰のせいだと」
「僕のせいかな?」
「ルーク様しかいませんっ」

 もうっ。入学早々こんな…恥ずかしすぎるわ。会場の入口までエスコートしてもらえるし、落ち着くまでルーク様の腕に顔を隠しておこう。

「ふっ。――可愛い――」
「今笑いました? ルーク様のせいですよっ」
「ごめんね」
「もうっ」

 結局顔が赤いまま会場まで着いてしまった。これじゃ貴族令嬢としてダメね。気を引き締めましょう。

「入学おめでとうございます。クラスを確認しますのでお名前をお願いします」
「ありがとうございます。エレナ・マーリンです」
「えぇっと、はい。エレナ・マーリン様はSクラスですね。入って左前がSクラスの席になります」

 ふぅ。無事Sクラスに入れて良かった。

 クラスは上からS・A・B・C・Dと続く。成績順に振り分けられるのだけど、Sクラスは成績優秀者であり伯爵位以上の子息子女でないと入れない。そのため各学年によってSクラスの人数は違っていて…極端な話、子爵家の子が首席だった場合Sクラスは0人になってしまうのだ。

 って言っても基本的に爵位が高い者ほど厳しい教育を受けてきているから、そんな年は一度もなかったのだけど。

 そう言えば漫画ではお兄様とニーナ様はもちろんナターシャも同じクラスだったわよね。去年は別のクラスだったみたいだけど今年はどうだったのかしら。後で確認しておかなきゃ。

「どうやらいつものエレナに戻ったみたいだね?」
「???」
「ニーナ嬢関連のことを考えているだろう?」
「あっ!」
「ふっ。式の後に教室で今後の説明があるからね。終わったら迎えに行くから一緒に昼食をとろう」
「はい」

 そう私の頭を一撫でし、生徒会の仕事へ向かわれた。だからっ! さらっとそんな事しないでってば。ドキッとするじゃない。

 はぁ。寮に戻ったらソフィーに相談してみよう。

 寮生活とはいえ貴族の子が一人で生活できないからと使用人を1人連れてきていいことになっていて…授業中は寮の掃除をしたり、必要とあれば学園依頼の仕事もしている。って、要するに学園が人件費削ってるだけじゃない?

 ……そのおかげで変わらずソフィーが側にいてくれるからいいんだけどね。

 ちなみにオーランドは男爵家次男だから、セオドア様と一緒に来年この学園に入学する予定で、セオドア様は別の使用人を連れてくるらしい。


 Sクラスに割り当てられた席へと向かうと、友人である伯爵令嬢が既に座っていた。彼女は私のニーナ様愛を知っているし、彼女は彼女でお兄様とニーナ様のカップル推し。


 私の学園生活、楽しくなりそう。

 



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~

浅海 景
恋愛
オッドアイで生まれた透花は家族から厄介者扱いをされて引きこもりの生活を送っていた。ある日、双子の姉に突き飛ばされて頭を強打するが、目を覚ましたのは見覚えのない場所だった。ハウゼンヒルト神聖国の王子であるフィルから、世界を救う御子(みこ)だと告げられた透花は自分には無理だと否定するが、御子であるかどうかを判断するために教育を受けることに。 御子至上主義なフィルは透花を大切にしてくれるが、自分が御子だと信じていない透花はフィルの優しさは一時的なものだと自分に言い聞かせる。 「きっといつかはこの人もまた自分に嫌悪し離れていくのだから」 自己肯定感ゼロの少女が過保護な王子や人との関わりによって、徐々に自分を取り戻す物語。

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

薬師の能力を買われた嫁ぎ先は闇の仕事を請け負う一族でした

あねもね
恋愛
薬師として働くエリーゼ・バリエンホルムは貴族の娘。 しかし両親が亡くなって以降、叔父に家を追い出されていた。エリーゼは自分の生活と弟の学費を稼ぐために頑張っていたが、店の立ち退きを迫られる事態となる。同時期に、好意を寄せていたシメオン・ラウル・アランブール伯爵からプロポーズを申し込まれていたものの、その申し出を受けず、娼館に足を踏み入れることにした。 エリーゼが娼館にいることを知ったシメオンは、エリーゼを大金で身請けして屋敷に連れ帰る。けれどそこは闇の仕事を請け負う一族で、シメオンはエリーゼに毒薬作りを命じた。 薬師としての矜持を踏みにじられ、一度は泣き崩れたエリーゼだったが……。 ――私は私の信念で戦う。決して誰にも屈しない。

逆行したので運命を変えようとしたら、全ておばあさまの掌の上でした

ひとみん
恋愛
夫に殺されたはずなのに、目覚めれば五才に戻っていた。同じ運命は嫌だと、足掻きはじめるクロエ。 なんとか前に死んだ年齢を超えられたけど、実は何やら祖母が裏で色々動いていたらしい。 ザル設定のご都合主義です。 最初はほぼ状況説明的文章です・・・

元王太子妃候補、現王宮の番犬(仮)

モンドール
恋愛
伯爵令嬢ルイーザは、幼い頃から王太子妃を目指し血の滲む努力をしてきた。勉学に励み、作法を学び、社交での人脈も作った。しかし、肝心の王太子の心は射止められず。 そんな中、何者かの手によって大型犬に姿を変えられてしまったルイーザは、暫く王宮で飼われる番犬の振りをすることになり──!? 「わん!」(なんでよ!) (『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)

契約結婚の相手が優しすぎて困ります

みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

処理中です...