34 / 44
推し友の入学
しおりを挟む
あれから特に何か起こることもなく、平穏に日々が過ぎ去った。
いや…平穏って言ってもルーク様と2人きりの時間が増えて心臓は全く平穏じゃなかったけどね。
私は学年が上がり、クラスに大きな変更もなく2年生になった。
ちなみにお兄様もルーク様とニーナ様、ナターシャと引き続き同じクラスで、お兄様とニーナ様の関係も相変わらず、だそう。これは推し友情報。
それから相変わらずナターシャはお兄様に絡んでいるようだけど、見慣れたクラスメイトはいつものことだと誰もナターシャを止めないらしい。もちろんこれも推し友情報。
そう…ニーナ様とはこれこそ本来の推し活というか、本当に遠くから眺めることばかりで、満足な推し活ができていないの。推しがいるのは画面の向こう側とか、舞台の上とかじゃないし、回数が減ったとはいえお兄様達と4人でなら会えるけど……全然ラッキーだって分かってるけど、圧倒的に供給量が足りない!!
お兄様達のクラスに行くことも止められて……スマホがあれば…スマホさえあれば今までのデータで我慢できたのに!! 友人に撮影を頼めたのに!! 誰か作ってくれないかしら。
なんて、そんな幸せが足りない日々を過ごしていた私だけどっ! 今日の私にはやらなければならないことがある。
何を隠そう、推し友と推し友を紹介する日なのだ。
私以上に推し活に力を入れている友人はきっとオーランドを気に入るはず! ついでだからセオドア様も紹介してあげよう。
王女殿下からの呼び出しも全然ないし、きっと私は無能だと判断されたんだろう。今年はもう少し推し活に力を入れてもいいよね。
「ふふふ」
「エレナ? 急に笑い出さないでよ」
*
*
「それでそれで?」
「美味しいって喜んでくれました」
「いいなぁ」
学年が変わる前の休暇中、公爵家でニーナ様がどのように過ごされていたのかオーランドから情報を得ている私達。
セオドア様は姉上に興味なんてないから知らないって、何も教えてくださらないからね。
ニーナ様が気に入られた紅茶の茶葉を私も手に入れなきゃ。侯爵家でも準備しておいたほうが良いわよね。
「私もクラーク公爵家で働きたいわ。……違った、卒業したらマーリン侯爵家よね。エレナお願い、口利きしてよ」
「もう、冗談はやめてよね」
「ふふ。でも…一度でいいから夫婦になった2人を近くで拝みたいわ」
「分からなくもないです」
あら? オーランドもカップル推しだっけ?
「セオドア様…」
「俺に聞くな。知らない」
「ちょっと察しがよすぎて怖いですよ」
さすが私達の推し活話をずっと聞いていただけあるわ。
「もう俺行ってもいいか?」
「では、私も…」
「「えっ!?」」
「はぁぁ。分かったよ。もう少しいればいいんだろう」
オーランド自身が男爵令息で、この学園にも貴族子息として入学しているんだけど、セオドア様の侍従であることに変わりはないから側を離れることができないのよね。
それに今日はオーランドと話したいからと高位貴族専用サロンを予約したんだもの。時間いっぱい楽しまなきゃ。
「エレナとライナス様はもちろんだけど、エレナとオーランド、エレナとセオドア様、セオドア様とオーランドも良いわよね」
わぁぉ。驚くことに、友人の推し活範囲が広がっているじゃないか。
「やめてくれ。それを聞いたルーク様が何というか」
「あら、言っても良いのですか?」
「言ったってエレナは理解しないよ」
「?? 何の話?」
「セオドア様はエレナとルーク様推しだって話よ」
そんな話だったっけ?
「それなら私もエレナ様とルーク様推しですよ」
「ちょっとオーランドまでやめてよね。私じゃなくてニーナ様よ、ニーナ様! 私はお兄様はどちらでもいいのだけど、お兄様と一緒のニーナ様が一番素敵よね」
「分かります」
「それはそうね」
何でもいいってセオドア様は呆れているけど、いつものことだから気にしない。
その後も散々話してから、使用していたサロンを後にした。
「オーランドを紹介してくれてありがとう」
「ふふふ。楽しかったでしょう?」
「ええ。でも次はいつ話せるかしらね」
「セオドア様が良いって言っても、オーランドは人目がある場所で同じ席に座ろうとしないものね」
貴族ってこういうところが面倒だよなぁと呑気に廊下を歩いていたら、向こうからナターシャがものすごく怖い顔をしてこちらに向かってくる。
どうしたんだろう? 心なし睨まれている気がするのは気のせい?
どんっ!
「いたっ」
えっ!? 今の絶対わざとぶつかってきたよね? 身分を振りかざすのは好きじゃないけど、私、年下だけど侯爵令嬢だよ? えっと、ナターシャは伯爵令嬢よね?
そもそも身分とか関係なく人にわざとぶつかるって…ただの当り屋じゃない。
「エレナ大丈夫?」
「あなたが悪いのよ」
「な、なにが?」
「ふんっ。自分で考えなさいよ」
えぇぇ…。
「ちょっと、あなたねぇ! あっ! 待ちなさいよ」
「もう、いいから」
「でもっ」
疑問が大き過ぎると怒りって湧いてこないものなのね。初めて知ったわ。
私の何が気に食わなかったのだろう? 嫌われるほど接点なんてないし…もしかして王女殿下と接触した? それで本来いないはずの私がいるから、お兄様と上手く行かないとでも言われた?
ルーク様に相談案件かなぁ。せっかく久しぶりに思う存分推し活を楽しめて気分が良かったのに。
いや…平穏って言ってもルーク様と2人きりの時間が増えて心臓は全く平穏じゃなかったけどね。
私は学年が上がり、クラスに大きな変更もなく2年生になった。
ちなみにお兄様もルーク様とニーナ様、ナターシャと引き続き同じクラスで、お兄様とニーナ様の関係も相変わらず、だそう。これは推し友情報。
それから相変わらずナターシャはお兄様に絡んでいるようだけど、見慣れたクラスメイトはいつものことだと誰もナターシャを止めないらしい。もちろんこれも推し友情報。
そう…ニーナ様とはこれこそ本来の推し活というか、本当に遠くから眺めることばかりで、満足な推し活ができていないの。推しがいるのは画面の向こう側とか、舞台の上とかじゃないし、回数が減ったとはいえお兄様達と4人でなら会えるけど……全然ラッキーだって分かってるけど、圧倒的に供給量が足りない!!
お兄様達のクラスに行くことも止められて……スマホがあれば…スマホさえあれば今までのデータで我慢できたのに!! 友人に撮影を頼めたのに!! 誰か作ってくれないかしら。
なんて、そんな幸せが足りない日々を過ごしていた私だけどっ! 今日の私にはやらなければならないことがある。
何を隠そう、推し友と推し友を紹介する日なのだ。
私以上に推し活に力を入れている友人はきっとオーランドを気に入るはず! ついでだからセオドア様も紹介してあげよう。
王女殿下からの呼び出しも全然ないし、きっと私は無能だと判断されたんだろう。今年はもう少し推し活に力を入れてもいいよね。
「ふふふ」
「エレナ? 急に笑い出さないでよ」
*
*
「それでそれで?」
「美味しいって喜んでくれました」
「いいなぁ」
学年が変わる前の休暇中、公爵家でニーナ様がどのように過ごされていたのかオーランドから情報を得ている私達。
セオドア様は姉上に興味なんてないから知らないって、何も教えてくださらないからね。
ニーナ様が気に入られた紅茶の茶葉を私も手に入れなきゃ。侯爵家でも準備しておいたほうが良いわよね。
「私もクラーク公爵家で働きたいわ。……違った、卒業したらマーリン侯爵家よね。エレナお願い、口利きしてよ」
「もう、冗談はやめてよね」
「ふふ。でも…一度でいいから夫婦になった2人を近くで拝みたいわ」
「分からなくもないです」
あら? オーランドもカップル推しだっけ?
「セオドア様…」
「俺に聞くな。知らない」
「ちょっと察しがよすぎて怖いですよ」
さすが私達の推し活話をずっと聞いていただけあるわ。
「もう俺行ってもいいか?」
「では、私も…」
「「えっ!?」」
「はぁぁ。分かったよ。もう少しいればいいんだろう」
オーランド自身が男爵令息で、この学園にも貴族子息として入学しているんだけど、セオドア様の侍従であることに変わりはないから側を離れることができないのよね。
それに今日はオーランドと話したいからと高位貴族専用サロンを予約したんだもの。時間いっぱい楽しまなきゃ。
「エレナとライナス様はもちろんだけど、エレナとオーランド、エレナとセオドア様、セオドア様とオーランドも良いわよね」
わぁぉ。驚くことに、友人の推し活範囲が広がっているじゃないか。
「やめてくれ。それを聞いたルーク様が何というか」
「あら、言っても良いのですか?」
「言ったってエレナは理解しないよ」
「?? 何の話?」
「セオドア様はエレナとルーク様推しだって話よ」
そんな話だったっけ?
「それなら私もエレナ様とルーク様推しですよ」
「ちょっとオーランドまでやめてよね。私じゃなくてニーナ様よ、ニーナ様! 私はお兄様はどちらでもいいのだけど、お兄様と一緒のニーナ様が一番素敵よね」
「分かります」
「それはそうね」
何でもいいってセオドア様は呆れているけど、いつものことだから気にしない。
その後も散々話してから、使用していたサロンを後にした。
「オーランドを紹介してくれてありがとう」
「ふふふ。楽しかったでしょう?」
「ええ。でも次はいつ話せるかしらね」
「セオドア様が良いって言っても、オーランドは人目がある場所で同じ席に座ろうとしないものね」
貴族ってこういうところが面倒だよなぁと呑気に廊下を歩いていたら、向こうからナターシャがものすごく怖い顔をしてこちらに向かってくる。
どうしたんだろう? 心なし睨まれている気がするのは気のせい?
どんっ!
「いたっ」
えっ!? 今の絶対わざとぶつかってきたよね? 身分を振りかざすのは好きじゃないけど、私、年下だけど侯爵令嬢だよ? えっと、ナターシャは伯爵令嬢よね?
そもそも身分とか関係なく人にわざとぶつかるって…ただの当り屋じゃない。
「エレナ大丈夫?」
「あなたが悪いのよ」
「な、なにが?」
「ふんっ。自分で考えなさいよ」
えぇぇ…。
「ちょっと、あなたねぇ! あっ! 待ちなさいよ」
「もう、いいから」
「でもっ」
疑問が大き過ぎると怒りって湧いてこないものなのね。初めて知ったわ。
私の何が気に食わなかったのだろう? 嫌われるほど接点なんてないし…もしかして王女殿下と接触した? それで本来いないはずの私がいるから、お兄様と上手く行かないとでも言われた?
ルーク様に相談案件かなぁ。せっかく久しぶりに思う存分推し活を楽しめて気分が良かったのに。
42
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~
浅海 景
恋愛
オッドアイで生まれた透花は家族から厄介者扱いをされて引きこもりの生活を送っていた。ある日、双子の姉に突き飛ばされて頭を強打するが、目を覚ましたのは見覚えのない場所だった。ハウゼンヒルト神聖国の王子であるフィルから、世界を救う御子(みこ)だと告げられた透花は自分には無理だと否定するが、御子であるかどうかを判断するために教育を受けることに。
御子至上主義なフィルは透花を大切にしてくれるが、自分が御子だと信じていない透花はフィルの優しさは一時的なものだと自分に言い聞かせる。
「きっといつかはこの人もまた自分に嫌悪し離れていくのだから」
自己肯定感ゼロの少女が過保護な王子や人との関わりによって、徐々に自分を取り戻す物語。
差し出された毒杯
しろねこ。
恋愛
深い森の中。
一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。
「あなたのその表情が見たかった」
毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。
王妃は少女の美しさが妬ましかった。
そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。
スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。
お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。
か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。
ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。
同名キャラで複数の作品を書いています。
立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。
ところどころリンクもしています。
※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!
薬師の能力を買われた嫁ぎ先は闇の仕事を請け負う一族でした
あねもね
恋愛
薬師として働くエリーゼ・バリエンホルムは貴族の娘。
しかし両親が亡くなって以降、叔父に家を追い出されていた。エリーゼは自分の生活と弟の学費を稼ぐために頑張っていたが、店の立ち退きを迫られる事態となる。同時期に、好意を寄せていたシメオン・ラウル・アランブール伯爵からプロポーズを申し込まれていたものの、その申し出を受けず、娼館に足を踏み入れることにした。
エリーゼが娼館にいることを知ったシメオンは、エリーゼを大金で身請けして屋敷に連れ帰る。けれどそこは闇の仕事を請け負う一族で、シメオンはエリーゼに毒薬作りを命じた。
薬師としての矜持を踏みにじられ、一度は泣き崩れたエリーゼだったが……。
――私は私の信念で戦う。決して誰にも屈しない。
逆行したので運命を変えようとしたら、全ておばあさまの掌の上でした
ひとみん
恋愛
夫に殺されたはずなのに、目覚めれば五才に戻っていた。同じ運命は嫌だと、足掻きはじめるクロエ。
なんとか前に死んだ年齢を超えられたけど、実は何やら祖母が裏で色々動いていたらしい。
ザル設定のご都合主義です。
最初はほぼ状況説明的文章です・・・
元王太子妃候補、現王宮の番犬(仮)
モンドール
恋愛
伯爵令嬢ルイーザは、幼い頃から王太子妃を目指し血の滲む努力をしてきた。勉学に励み、作法を学び、社交での人脈も作った。しかし、肝心の王太子の心は射止められず。
そんな中、何者かの手によって大型犬に姿を変えられてしまったルイーザは、暫く王宮で飼われる番犬の振りをすることになり──!?
「わん!」(なんでよ!)
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
契約結婚の相手が優しすぎて困ります
みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる