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26.うどん*4年前
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醤油の実が料理に使えると分かり、王宮では新レシピの開発が進められている。私も協力しようと思いついたのが『うどん』だった。
うちの料理人達は、前世のスイーツを再現してもらうために『こんな物が食べたい!』という私のお願いを何度も聞いてくれてるから、今回も張り切ってうどんを作ってくれたの。
それで今日、うどんが完成したって報告がきて。
「美味しい!」
醤油をかけるだけのシンプルなうどんだけど、コシがあってすっごく美味しい。本当、うちの料理人ってすごいわ。
「スープに入れても美味しいと思うの」
「スープ、ですか?」
「えぇ。そう思わない?」
「実は私も醤油以外にも合うのではと、色々試してみたんです」
試した味付けを確認してみると、それは洋風アレンジしたうどんっぽかった。そちらは後日、お兄様と共に試食会を行うことに。
いつかかけうどんも再現したいものだわ。
*
*
「集まってくれてありがとう」
今日のお茶会メンバーは王妃様に側妃様、3人の王子殿下とそれぞれの婚約者の8人。こんなに豪華なメンバーである理由は、醤油を使った料理の試食会を兼ねているから。
側妃様とは何度もお茶会をしたりとお話する機会が多いけど……王妃様とかお目にかかるのすら久々すぎて、緊張で胃が痛くなりそう。
クリスハルト殿下のご婚約者であるナタリー様と、ラインハルト様のご婚約者のサブリナ。2人は私と逆で王妃様とよくお茶会をされている。だから側妃様に会うのが緊張すると先日言っていたわ。貴族女性の2トップだしね。
「これがうどんね」
と僅かに目を輝かせている王妃様。
「違った味付けで東方にある食べ物だそうよ」
!! なぜそれを側妃様がご存知なの!? うどんを再現してもらう時に確かにそう言った。でもその事はお兄様しか知らないはずなのに。
「あら、そうなのね。それより早速いただきましょう」
まぁ…王妃様があまり気になさっていないし、いいっか。
食べ慣れない麺に苦戦しながらもみんな美味しそうに食べている。そうでしょうそうでしょう、美味しいよね。
ふふん♪ 気に入ってもらえてなんだか嬉しい。
「このうどんですが、醤油以外にも様々な味付けで楽しむことが出来ます。また――」
うどんなのにパスタのようにして食べるしか方法がなく、もっと食べやすくならないかと、試行錯誤した料理人が作り上げたのが、まさかのすいとん。
多分本来のすいとんとは違う気がするけど。それを洋風スープに入れた物が、思いの外美味しかったのよね。今回は醤油料理の試食会だから用意出来なかったのが残念。
これを気にうどんが広がって……いつかかけうどんを! 誰か様、お願いしますっ!
ちなみに、醤油料理で一番好評だったのは卵焼きだった。
「クラウディア、少し良いかしら?」
「もちろんです」
王妃様、側妃様が退席され、私達もそれぞれ帰路につこうとした時、ナタリー様に声を掛けられた。
「スープに入れて食べる…すいとん、だったかしら?」
「はい。そちらはスプーンで食べられるので、うどんより食べやすいかと思います」
うどんもお箸があれば問題なく食べられるんだけどね。お箸、作っちゃおうかな。
「すいとんがどうかされましたか?」
「その…できれば調理法を教えていただきたいの」
「申し訳ありません。兄に確認しなければなりませんので、今ここでお答えできかねます」
私的には出し惜しみするほどじゃないんだけどねぇ…面倒だわ。
「そうよね…」
うどんを気に入ってくれた…? のとは少し違う気がする。
「よければ理由をお伺いしても?」
「内密でお願いしたいのだけど…」
「もちろんです」
「母の……母の体調がよくないの」
なんとナタリー様のお母様である公爵夫人、数か月前に体調を崩されてからベッドの住人だそう。健康そのものって感じで風邪すらめったに引かない人だったのによ?
何人もの医師に診せても結果は原因不明。食欲も落ち、日に日に痩せていく姿を見ていられないそう。
「うどんなら母も食べられる気がしたの」
「そうでしたか…」
そう言えば体調が悪い時、お粥とかうどんとか食べたりしてたかも。胃への負担が少ないとかって理由だっけ? 食欲が減っているのなら、うどんは最適かもしれない。
「お兄様に確認してみます」
「本当? ありがとう」
原因不明の病か…こういう時、医学を勉強しておけばよかったって思うわ。
それより…今の医療技術では分からないってだけならまだいい。公爵家だし、ナタリー様は第一王子の婚約者。恨みを持つ人がいないとは言い切れないもの。
大丈夫だよね? 病気、だよね?
うちの料理人達は、前世のスイーツを再現してもらうために『こんな物が食べたい!』という私のお願いを何度も聞いてくれてるから、今回も張り切ってうどんを作ってくれたの。
それで今日、うどんが完成したって報告がきて。
「美味しい!」
醤油をかけるだけのシンプルなうどんだけど、コシがあってすっごく美味しい。本当、うちの料理人ってすごいわ。
「スープに入れても美味しいと思うの」
「スープ、ですか?」
「えぇ。そう思わない?」
「実は私も醤油以外にも合うのではと、色々試してみたんです」
試した味付けを確認してみると、それは洋風アレンジしたうどんっぽかった。そちらは後日、お兄様と共に試食会を行うことに。
いつかかけうどんも再現したいものだわ。
*
*
「集まってくれてありがとう」
今日のお茶会メンバーは王妃様に側妃様、3人の王子殿下とそれぞれの婚約者の8人。こんなに豪華なメンバーである理由は、醤油を使った料理の試食会を兼ねているから。
側妃様とは何度もお茶会をしたりとお話する機会が多いけど……王妃様とかお目にかかるのすら久々すぎて、緊張で胃が痛くなりそう。
クリスハルト殿下のご婚約者であるナタリー様と、ラインハルト様のご婚約者のサブリナ。2人は私と逆で王妃様とよくお茶会をされている。だから側妃様に会うのが緊張すると先日言っていたわ。貴族女性の2トップだしね。
「これがうどんね」
と僅かに目を輝かせている王妃様。
「違った味付けで東方にある食べ物だそうよ」
!! なぜそれを側妃様がご存知なの!? うどんを再現してもらう時に確かにそう言った。でもその事はお兄様しか知らないはずなのに。
「あら、そうなのね。それより早速いただきましょう」
まぁ…王妃様があまり気になさっていないし、いいっか。
食べ慣れない麺に苦戦しながらもみんな美味しそうに食べている。そうでしょうそうでしょう、美味しいよね。
ふふん♪ 気に入ってもらえてなんだか嬉しい。
「このうどんですが、醤油以外にも様々な味付けで楽しむことが出来ます。また――」
うどんなのにパスタのようにして食べるしか方法がなく、もっと食べやすくならないかと、試行錯誤した料理人が作り上げたのが、まさかのすいとん。
多分本来のすいとんとは違う気がするけど。それを洋風スープに入れた物が、思いの外美味しかったのよね。今回は醤油料理の試食会だから用意出来なかったのが残念。
これを気にうどんが広がって……いつかかけうどんを! 誰か様、お願いしますっ!
ちなみに、醤油料理で一番好評だったのは卵焼きだった。
「クラウディア、少し良いかしら?」
「もちろんです」
王妃様、側妃様が退席され、私達もそれぞれ帰路につこうとした時、ナタリー様に声を掛けられた。
「スープに入れて食べる…すいとん、だったかしら?」
「はい。そちらはスプーンで食べられるので、うどんより食べやすいかと思います」
うどんもお箸があれば問題なく食べられるんだけどね。お箸、作っちゃおうかな。
「すいとんがどうかされましたか?」
「その…できれば調理法を教えていただきたいの」
「申し訳ありません。兄に確認しなければなりませんので、今ここでお答えできかねます」
私的には出し惜しみするほどじゃないんだけどねぇ…面倒だわ。
「そうよね…」
うどんを気に入ってくれた…? のとは少し違う気がする。
「よければ理由をお伺いしても?」
「内密でお願いしたいのだけど…」
「もちろんです」
「母の……母の体調がよくないの」
なんとナタリー様のお母様である公爵夫人、数か月前に体調を崩されてからベッドの住人だそう。健康そのものって感じで風邪すらめったに引かない人だったのによ?
何人もの医師に診せても結果は原因不明。食欲も落ち、日に日に痩せていく姿を見ていられないそう。
「うどんなら母も食べられる気がしたの」
「そうでしたか…」
そう言えば体調が悪い時、お粥とかうどんとか食べたりしてたかも。胃への負担が少ないとかって理由だっけ? 食欲が減っているのなら、うどんは最適かもしれない。
「お兄様に確認してみます」
「本当? ありがとう」
原因不明の病か…こういう時、医学を勉強しておけばよかったって思うわ。
それより…今の医療技術では分からないってだけならまだいい。公爵家だし、ナタリー様は第一王子の婚約者。恨みを持つ人がいないとは言い切れないもの。
大丈夫だよね? 病気、だよね?
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