魔法師ミミと雨の塔

にゃっつ

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【エピローグ】

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 ミミにとって事件だらけだったあの日から数日後。

 人工の雨のお陰で、商店街の火事は広まらずに済み死傷者も出なかった。目下、復興作業中である。その一方、雨の塔の取り壊しが決まる。再建を望む声も多いので、きっとまた立派な塔が出来るだろう。その時はミミが雨の装置を、動かす事になるかもしれない。

「お待たせ、ナアさん!」

 ナアが育てていた『人面草』の花が、再び咲いたので新たな薬を作ることが出来た。今度は瓶二本。一つは親子で分け合って使用し、動物の耳も尻尾も消えた。

 もう一つをネコのナアに振りかけると、スルスルスルと青年の姿に変化した。優しげな眼鏡の青年との、数日ぶりの再会である。

「ありがとうミミ。でも僕は……」

「うん。パパに聞いた。ナアさんが本当は叔父さんなんかじゃなくて、元々ネコだったんだって」

 元々ネコだったナア。その友達だったロウが、ナアを『人化薬』で人間に変えたのだった。あの絵本『ぼくはネコ』の様に。そもそもロウが、絵本を描いた張本人である。つまりあの絵本は実話だったのだ。

「ナアさんはミミの友達だもん! それにナアさんが人間じゃないと、薬が無くなって困る人いっぱい居るでしょ」

 ナアは人間として、薬師として、もう長いことこの町に馴染んでいるのだ。

「あとミミからもお願い。おじいちゃんに薬を作って欲しいの! ミミも手伝うから」

 ナアは黙っているが、ミミは構わず喋り続ける。

「まず何が必要? あ、先に薬草摘みに行かなくちゃね……。そうだ、パパも一緒に来てくれるかな?」

 ミミは勝手に話を進めると、早速ナアの手を取って家を飛び出して行く。ナアは少女に引っ張られながら、少し困った様に……だが心から嬉しそうに笑った。

「でもね……」

 ミミはナアと手を繋いで歩きながら、いたずらっぽい笑みで言う。

「でもちょっと『ニャアさん』も可愛いかったけどね」

 塔の前に花を供えていたロウが、二人に気付いて手を振っている。青空の下、ミミの首にかけられた水晶玉が優しく煌めいた。


おしまい
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