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しおりを挟むそんなことがあって、数日が経った頃。
通学途中の電車のなかで、偶然早川と出くわした。
とはいっても俺が一方的に気づいただけだし、また絡まれたら面倒なので声は掛けないことにした。
……けどまぁ、確かに
男に綺麗というのはおかしいかもしれないけど、整った顔立ちをしていると思う。
小柄で細身だし、あまり男っぽくないというか(本人が聞いたら憤慨しそうだけど)。
……なんだ?
さっきから、早川の様子がなんだかおかしい。
俯いてるから顔はよく見えないけど、肩が小さく震えているようだった。
そして、後ろに立っている男の動きもなんだか怪しい。
え、あれってもしかして…。
……痴漢?
でもあいつはスーツを着てるし、女と間違えられてる事はないはずだ。
……そういえば、この前屋上で…
――満員電車なんか最悪だ
……や、でもまさか
男に痴漢する奴なんているんだろうか。
確認しようにも混雑している電車内ではまともに身動きもとれない。
どうすればいいか迷っていた時だった。
後ろの男が早川に何か耳打ちした。
そして次の駅で、二人は電車を降りる。
俺も慌てて降りるとその後を追った。
二人が向かったのは、人気(ひとけ)のない男子トイレだった。
……え、なんで?
なんかこの展開ってエロ本とかでよく…いやいや、そんなまさか…。
その時、中からガタンという物音がした。
「……っ、」
思わずトイレの中に入ってしまった俺が、そこで見たものは…。
トイレの個室でオッサンを締めあげている担任の姿だった。
「てめぇ…男のケツ揉んで何が楽しいんだよ、この変態が」
地を這うような声と共に、ガンっと壁を蹴る鈍い音が響きわたる。
「どうせ、相手が男なら届け出たりしねーとか思ったんだろ?あぁん?」
早川は掴んだネクタイでオッサンの首をギリギリと締めあげる。
憐れなオッサンは呻き声をあげながら、短い手足をばたばたと動かしもがいていた。
「そういう事がしたけりゃなぁ、そういう店で金払ってしろっつーの」
「ひっ、ひいいっ」
「おら、財布だせ」
若干ためらうオッサンに、おいおいと早川は笑顔で言った。
「てめぇの職場にバラしてもいいんだぜ?」
「やっ、やめてくださいそれだけはっっ」
……見なきゃよかった…
なんだかいろいろ後悔しながら頭を抱えていると、早川が俺に気づいた。
「阿部?何してんだおまえ」
「……や、偶然、通りがかって…」
ふぅんと早川は言い、腕時計を見る。
「お、やべぇ次乗らねーと遅刻じゃん」
行くぞ、と腕を引かれてトイレを出た。
「あ、おまえさっきの誰にも言うなよ?後でジュース奢ってやっから」
「………」
自ら痴漢を撃退し臨時収入を得て上機嫌な教師って…やっぱり世も末だよなぁ…と俺は思った。
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