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後編
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しおりを挟む「……先輩…怒ってる?」
「話しかけんな」
「……ごめんなさい」
「ぜってぇ許さねえ」
昼休みの屋上。
俺の前でしゅんとして正座している季一。
「……だって我慢できなくて…」
だからって身体じゅうにキスマークつけるってどうなんだよ!!
「なんでこんなクソ暑いのに体育でジャージ着なきゃなんねぇんだよっ。俺は日焼けを気にする女子か!」
しかも調子こいて3回もヤるとか死ぬっつーの!!
「(先輩のジャージ姿っ…)だってずーっと我慢してたんだよ?…家に泊まり行った時もラブホん時も」
「……腹も痛えし!」
ただでさえいろんなとこが痛いのに!
「それはその…やっぱナマでしたかったっていうか…うう嘘ですすみませんでしたああ!」
「許すわけねーだろ、もう二度としねえ」
「ええええええ?!」
「うるせえええ!」
「ち、ちょっと待って?!ほら、俺も余裕なかったっていうかっ……え?」
半泣きだった季一がきょとんとした顔をする。
「……コレ…」
「………」
それは見慣れた、弁当箱。
「……え、もしかして」
「……食えば?」
それはナミエさんがくれたレシピをもとに、初めて作ったお弁当。
「……っ先輩っ」
「ウザいくっつくなっ…ってか、泣くんじゃねえよ!」
「だっ、だって…」
「……おいしくないかもしんないけど…」
見栄えも全然よくないし。
……料理って案外、難しいんだな…
そんなことを思っていると、いきなりがばっと抱きしめられてぎょっとした。
「……おいっ!」
「ありがとう」
「……っ」
なんだか恥ずかしくなって、季一の肩に顔を乗せて空を見上げる。
「……大好き、要」
「………」
俺もって言おうかどうか迷ったけど、やっぱり恥ずかしかったからやめた。
「……バカ」
かわりにその広い背中に手をまわす。
青い空には、一筋の飛行機雲。
俺たちが向かう先には、何があるんだろう。
本当に、ずっと一緒にいられるのかな。
「……先輩、」
「……なに、」
「勃っちゃった」
「……死ね」
俺は笑いながら、そのどうしようもない恋人を突き飛ばした。
end.
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