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文化祭編
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しおりを挟む「……げっ、淳そのまま帰る気かよ…」
屋上から、校門を出る二人の姿が見えた。
しかも俺、完全に存在忘れられてるし…。
「………てゆうかさー、何もあんたが泣かなくても」
「………」
こいつめんどくせー奴だな…とちょっとうんざりしながら煙草に火をつけた。
「……だって…あの人、すごい俺を睨んで」
こうちゃんは相変わらずぐすぐすと鼻を啜っている。
「まあまあ、ちょっとカッとなっただけだから」
……あいつ昔っから、淳の事になると周り見えなくなんだよな…
本人には自覚がないみたいだけど。
「……それに、俺のせいであっちゃんが…」
「いやいや別に、こうちゃんはなんにも悪くないし」
むしろ悪いのは淳の鈍すぎる性格とゆうか、あいつらの相性とゆうか。
仕方なくぽんぽんと肩を叩いてやると、こうちゃんは更に泣きだしてしまった。
ったくなんなんだよコイツは…俺よりデカい図体してるくせに…。
「すぐ仲直りするから大丈夫だって。ほら泣くな、男だろ?」
「……う、」
真っ赤な目をゴシゴシ擦ると、こうちゃんはやっと俺を見た。
「……ありがとう」
……ん?
「……いや、いいけど」
……んん?
なんか俺、今胸がキュンってしなかった?
「………」
気のせいか。
うん。
「……吉岡くん、だっけ?」
「……へ?あ、ああ」
「……優しいんだね」
「………」
伏し目がちに笑った彼に釘付けになった俺の手から、吸いかけの煙草がぽとりと落ちた。
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