手をつないで(BL)

kotori

文字の大きさ
24 / 51
体育祭編

おまけ

しおりを挟む
>>リクside

後日、いつものファミレスにて。

「……おまえ何考えてんの?」
「何って、何が?」
「……なんでそいつと仲良くLINEなんかしてるわけ?」
「なんでって…おいしい蕎麦、ごちそうしてくれるっていうから」
「………」

意味わかんねえ。

「……おまえこの間、そいつに」
「わああああ!!」
「うっせええ!!」
「巽に聞かれたらどーすんだよ!」
「いねぇだろ今日は!てかおまえ、まじ何考えてんだよ!」
「……や、だってあのあと、もっきー謝ってくれたし…」

当然だろ!てゆうかまさかそれで許したのか?!

「ほら……誰でもあるじゃん、身を刺すことって」
「魔がさす、だ。……だからって襲っていいわけないだろ」
「未遂だし!」
「俺が来たからだろうが!てかなんで庇ってんだよ!」

言い返せない淳が、うぅっとストローをいじりながら唸る。

「……だって…」
「……おまえ、まさか…」

口元を引きつる。

「違うっ、浮気とかじゃないから!ただ、なんか…」
「なんだよ」
「もっきー、いい奴だから…」
「……おまえ…アホか」
「アホじゃねえし!」
「またあんな事になったらどうすんだボケ!!」
「なんねぇよ!もう絶対しないって言ってたし!」
「~~~~っ」

……なんでこいつは!!



中学ん時からそうだった。
疑うことを知らなくて、すぐ人を信じるその性格。
そのせいで誘拐されかけた事まであった。
巽が過保護になったのも、ある意味仕方がないことだと思う。

……でも、あん時も…

俺たちがボコボコにした誘拐犯の中年オヤジを、淳は許した。

――なんにも怖いことされてないよ!お菓子いっぱい貰っただけ!

淳がそう言い張ったので、結局警察沙汰にはならなかったけど。



「……あのな、世の中にはおまえが考えてる以上に悪い奴が、いっぱいいんだよ」
「……うん」

……ほんとにわかってんのか?こいつ…

呑気にパフェなんか食いやがって…。

「……リク、」
「なんだよ」
「……心配かけてごめん。それと…助けてくれて、ありがと」
「………」

俺は小さく溜め息を吐いた。



「……なぁところでさ、こうちゃんって彼女とかいんの?」
「えー?たぶんいないと思うけど…」
「じゃあ、好みのタイプとかって」
「ん―……こうちゃん、あんまそういう話しないし……ってゆうかなんで?」
「いいから教えろ」
「えー…どうしよっかなぁ~?」

にやりと笑う淳。
笑い返す俺。

「……おまえがイケメン後輩と保健室でじゃれあってたって巽に」
「ああああわかりました今度!今度聞いときます!!」

俺は巽と違って、淳に対して恋愛感情は持ってないけど。
このどうしようもない馬鹿を放っとけない気持ちは、なんとなくわからないでもない。

……とりあえずこうちゃんには今回の件、話しとくか…

あいつ、かなりしつこそうだったしな…。

なんだかんだ言いながらもそんな事を考えてる自分に少し呆れながら、俺はメニュー表に手を伸ばした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき) ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。 「そうだ、バイトをしよう!」 一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。 教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった! なんで元カレがここにいるんだよ! 俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。 「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」 「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」 なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ! もう一度期待したら、また傷つく? あの時、俺たちが別れた本当の理由は──? 「そろそろ我慢の限界かも」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

クリスマスには✖✖✖のプレゼントを♡

濃子
BL
ぼくの初恋はいつまでたっても終わらないーー。 瀬戸実律(みのり)、大学1年生の冬……。ぼくにはずっと恋をしているひとがいる。そのひとは、生まれたときから家が隣りで、家族ぐるみの付き合いをしてきた4つ年上の成瀬景(けい)君。 景君や家族を失望させたくないから、ぼくの気持ちは隠しておくって決めている……。 でも、ある日、ぼくの気持ちが景君の弟の光(ひかる)にバレてしまって、黙っている代わりに、光がある条件をだしてきたんだーー。 ※※✖✖✖には何が入るのかーー?季節に合うようなしっとりしたお話が書きたかったのですが、どうでしょうか?感想をいただけたら、超うれしいです。 ※挿絵にAI画像を使用していますが、あくまでイメージです。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

処理中です...