迷子猫 番外編

kotori

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6.

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淫らな水音が、足の間から聞こえてくる。

「……っ、は、…あっ!」

身体が熱い。
あの怪しげな薬のせいなのか、俺はあっという間に追い詰められてしまった。

「……やあっ、…も、出ちゃ…」

涙ながらに訴えると、ええよとお兄さんは言って手の動きを速めた。

「あぁん、あっ、あ…!」

先端に爪をたてられた途端、ビクビクと足が震えて吐精する。

「……っ、は…っ…」
「おぉ、いっぱい出たなぁ」

ぐったりと身体を投げ出した俺を見て、お兄さんは笑った。
そして息をつく間もなく、続きが始まる。

「…ッ!いた、いっ…!」
「まだ指しか入っとらんで?」
「抜けよっ…」

初めて感じる痛みと恐怖に、ぼろぼろと涙が零れた。

「……なんや、ほんとに初めてなんか」

お兄さんの指は、俺のなかを探るように動く。

……気持ち悪い、

「や、やだ、もうやめ…」
「大丈夫や、すぐ良うなるから」

ぶんぶんと首を振った、その時。

「……ゃ、あっ…?!」

微かに、痛みとは違う感覚を捕えた。

……なに…、

怖くなって、無意識に腕にお兄さんにしがみつく。

「んっ、ぅ…あ!」
「……エロい顔、してんなぁ」

器用に指を動かしながら、お兄さんは言う。

「……やだっそこ…っ!」

次々と与えられる恐怖と快楽に、もうなにがなんだかわからなくなった。
そして。

「……力、抜いとき?」

お兄さんはそう言うと、俺のなかに入ってきた。





……なんか、呆気ない

翌朝一人ベットに取り残されていた俺は、ぼんやりと天井を眺めていた。
もともと合意の上というわけでもなかったし、色々と衝撃的ではあったけど。
不思議と、それに対する嫌悪感はなかった。

……けど、なんか

想像してたのと、違うっていうか。

「………」

寝転んだまま、腕を持ちあげてみる。
あの男の肌の感触や匂いが、身体にまだ残ってるような気がした。


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