気づいたら異世界でした

結木 太一

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第一章

0話:はじまり

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それは突然訪れた。

グシャン!!!!

体が宙を舞う。思えばこれと言って嬉しいこともない人生だった。
どれだけ頑張ってもテストは平均点、運動も中の中。何をとってもthe・平均。どちらかといえば不幸でしかない人生とも言えるかもしれない。
好きな人に告白すれば

「×××さんってパッとしないんですよね。そもそも話したことありましたっけ?」

とか言われてまず話したかさえも覚えてもらえてない。
もっと楽しい人生送りたかったなぁ…。

そんなことを考えていると意識も薄れ目の前が真っ白になってきた。そのうち辺りは一面真っ白。体も何となく動くようになってきた。
死後ってこんな感じなんだなぁ。と思っていると目の前にやる気のなさそうなでも何となく優しそうな目をした人が現れる。

「×××くん、ですね。この度は申し訳ありませんでした」

そう謝罪の言葉を述べてくる。


そんなことを言われてもよく分からないんですが。第一僕は不慮の事故…ですよね?


「まぁ世間的にはそうなんですが、実は出生の際にそちらの管理をしているものがですね…その、運命操作と言いますか関与してはいけない部分に関与したらしくですね…。本来ならあと48年、寿命はあったんです。教育係をしていた私から代わって謝罪します。申し訳ありませんでした」


そう、だったんですか。たしかに不満に感じることはないわけではないですが、後悔のない人生は送れたと思いたいです。でもそれって本来は本人が謝るべきというか…。それにその話しぶりからするとあなたは『神様』ですか?


「あ、はい。私はほかの世界で管理神をしてます。たしかにおっしゃる通り本人が謝るべきなんですが…。私と一緒に管理神をしている一柱が『お前は何を学んできたんだ!!しばらく日本で修行してこい!!』って処罰を下しちゃって。なので、はい。申し訳ありません」


それは本人連れてくるってことも出来ないか。しょうがない。


「それで私から提案なんですが、こちらに転生しませんか?日本より生活は不便になるかもしれませんが今まで味わえなかった生活を送れます。想像しやすいものだとRPGのような世界です」


それって最近ライトノベルで流行ってる異世界転生ってやつ?まさか自分の身に起きるとは思ってなかった。でもへたに受けて人以外になるのもイヤだし…。


「一応伝えておくと人外と呼ばれる生物になることはないようにします。それにRPGのような世界ですから人族以外にエルフとか色々居ますし退屈しないと思いますよ。記憶は付けるスキルによって残らない部分もありますが」


なるほど。平均的な家庭で目立たず生きてきたのだ。その生も終わってしまったのだしこの提案を受けるのもアリかもしれない。

「どう、しますか?」


受けたいと思います。スキルというのも多くは望みません。ただ不自由になり過ぎないように幸せに生きられれば。


そうしてまみえた神様の治める世界に転生をすることにした。
どんな生活が待っているのか。この短い人生で味わえなかったどんな楽しいことが待っているのか。
そんなことに思いを馳せながら意識を手放した。



「あっ!気がついたらステータス。確認してくださいね」



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