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〜2020/06/15まで執筆分
64話//共同辺境伯
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王城での共同辺境伯を与えられてから1週間半。
シャンポーニュでの生活の基盤もほとんど整えることができた為、今日は領民への挨拶だ。
シャンポーニュで1番大きい都市で簡単な挨拶…の予定だったのだがそこには領民よりも多い冒険者が集まっていた。
なんでこうなってる感が凄いのだけど。まぁなるようになるさ。
「皆さん、そろそろですよ」
そう告げたセラは気丈に振舞っているが高揚しているようで目には希望のようなやる気に溢れているようだ。
僕らは小学校の校庭にある校長が長々と演説するような台にのぼる。
「お!エターナルのメンバーだ!!」
「ナハムさん硬派っす!」
なんだか色々な歓声が上がっているがどうやら冒険者からがほとんどだな…。元々暮らしていた領民たちは見極めんと固唾を飲んでいる。
「集まってくれてありがとうっす!この度シャンポーニュ共同辺境伯を拝命しました、マスカルっす!
精一杯頑張るっす!」
「王都で噂のレストランテ料理長だ!」
「料理、教えて貰えるかな?」
やっぱりそういう噂あるよね。将来的にはそういう料理教室やってもいいかも。
「えー、ナハムだ。同じく共同辺境伯を仰せつかった。若輩だがよろしく頼む」
「「こ、硬派だ…!」」
こっちはこっちで男性陣の心を掴んだようだ。もしかしたら弟子入りとか言う輩が来るかもなぁ。そうなったら自警団でも作ってそこに入れちまおう。
「えっと、ユィートです。2人同様、共同辺境伯になりました。よろしくお願いします。
あまりに簡潔に2人が済ませてしまったので僕からは少し長めに僕らの抱負を。
まず、僕らは冒険者あがりです。これからも時折活動すると思います。それにあたって、私兵団とまでいくかわかりませんが警備に力を注ぎ、冒険者が領民の皆さんに迷惑とならないよう努めていくつもりです。かと言ってこの警備をする方も驕らず、不正を行うことの無い善政を敷くつもりです。不満があったらなんでも言ってください。善処します。その代わり、規則は守ってくださいね?
最後にご存知の方も皆さんの反応を見たりしていると相当いらっしゃるとおもいますが、僕たちは商いもしています。もし街中で僕らを見かけたら気軽に話しかけてください。無理難題を突きつけられない限り、ちゃんと対応をします。
…えっと、以上です。これからよろしくお願いします。みんなでいい街を作っていきましょう」
「見た目によらずいい人だねぇ」
「わたし、この人たちがいるならずっとここで生活するわ」
「俺も!」
なんとか第一の難問突破…といったかんじだろうか。
この演説でこれといった不満の野次が飛んできたりしなかったし、好感触だとおもう。
「お疲れ様でした。とても分かりやすくいい演説でした」
「ホントですか?内容もとっちらかったし、長かったですけど」
「いえ、何を言うんですか。私の父の時はこれほど領民に受け入れられていなかったですよ。話はグダグダ1時間以上話してましたし、難しい言葉を使おうとしすぎて誰一人しっかりとは理解できなかったと思います」
そ、そうなんだ…。マジで学校の校長の無駄話じゃないか。「これは余談ですが…」とか言いながらその余談が本編より長いやつだよきっと。そんなに話したいなら会を終わらせてからでもいいのにね。
とにかく一段落だ。あとは明日から続く領内の有力者との会合をなんとか乗り切るだけだ。
こういう時複数いると一気に話を片付けられるから有難い。実質3分の1だ。
==============
次の日から2日間は正直、とても退屈な日々だった。
3人で分けて対応したんですよ?でもさ、来るのが私は領内一の商売上手だぁとかの自慢厨が八割で、たまにくる腕自慢たちが「私が貴様らの実力を測ってやろう」とかいって決闘を申し込まれて返り討ちにしたら「感服致した。私が部下になってやらなくもないぞ?」とか言ってくるのだよ。
そんな高圧的な態度でいつかなんで私がァとか言って金田見たくなるのがみえみえなので丁重にお帰りいただいたけど。
同じことが何十と繰り返されて耳にタコができそうだ。
そしてもって3日目の今日なんだが、今日はいわゆる重鎮と呼ばれる重要人物たちとの会合だ。だから全て3人で臨む。
「連日の面倒臭い相手の対応お疲れ様でした。今日が本番です。お相手していただくのはシャンポーニュの商業ギルド、冒険者ギルドのギルドマスターたち、こちらでご隠居なさってる大公様です」
なんとまぁシャンポーニュには大公がこの地で。まぁ元伯爵領だしな。上位貴族なのは間違いないけど。
「まず午前ですね。ギルドマスターたちは午後に持ち越すわけにはいかないですね」
シャンポーニュでの生活の基盤もほとんど整えることができた為、今日は領民への挨拶だ。
シャンポーニュで1番大きい都市で簡単な挨拶…の予定だったのだがそこには領民よりも多い冒険者が集まっていた。
なんでこうなってる感が凄いのだけど。まぁなるようになるさ。
「皆さん、そろそろですよ」
そう告げたセラは気丈に振舞っているが高揚しているようで目には希望のようなやる気に溢れているようだ。
僕らは小学校の校庭にある校長が長々と演説するような台にのぼる。
「お!エターナルのメンバーだ!!」
「ナハムさん硬派っす!」
なんだか色々な歓声が上がっているがどうやら冒険者からがほとんどだな…。元々暮らしていた領民たちは見極めんと固唾を飲んでいる。
「集まってくれてありがとうっす!この度シャンポーニュ共同辺境伯を拝命しました、マスカルっす!
精一杯頑張るっす!」
「王都で噂のレストランテ料理長だ!」
「料理、教えて貰えるかな?」
やっぱりそういう噂あるよね。将来的にはそういう料理教室やってもいいかも。
「えー、ナハムだ。同じく共同辺境伯を仰せつかった。若輩だがよろしく頼む」
「「こ、硬派だ…!」」
こっちはこっちで男性陣の心を掴んだようだ。もしかしたら弟子入りとか言う輩が来るかもなぁ。そうなったら自警団でも作ってそこに入れちまおう。
「えっと、ユィートです。2人同様、共同辺境伯になりました。よろしくお願いします。
あまりに簡潔に2人が済ませてしまったので僕からは少し長めに僕らの抱負を。
まず、僕らは冒険者あがりです。これからも時折活動すると思います。それにあたって、私兵団とまでいくかわかりませんが警備に力を注ぎ、冒険者が領民の皆さんに迷惑とならないよう努めていくつもりです。かと言ってこの警備をする方も驕らず、不正を行うことの無い善政を敷くつもりです。不満があったらなんでも言ってください。善処します。その代わり、規則は守ってくださいね?
最後にご存知の方も皆さんの反応を見たりしていると相当いらっしゃるとおもいますが、僕たちは商いもしています。もし街中で僕らを見かけたら気軽に話しかけてください。無理難題を突きつけられない限り、ちゃんと対応をします。
…えっと、以上です。これからよろしくお願いします。みんなでいい街を作っていきましょう」
「見た目によらずいい人だねぇ」
「わたし、この人たちがいるならずっとここで生活するわ」
「俺も!」
なんとか第一の難問突破…といったかんじだろうか。
この演説でこれといった不満の野次が飛んできたりしなかったし、好感触だとおもう。
「お疲れ様でした。とても分かりやすくいい演説でした」
「ホントですか?内容もとっちらかったし、長かったですけど」
「いえ、何を言うんですか。私の父の時はこれほど領民に受け入れられていなかったですよ。話はグダグダ1時間以上話してましたし、難しい言葉を使おうとしすぎて誰一人しっかりとは理解できなかったと思います」
そ、そうなんだ…。マジで学校の校長の無駄話じゃないか。「これは余談ですが…」とか言いながらその余談が本編より長いやつだよきっと。そんなに話したいなら会を終わらせてからでもいいのにね。
とにかく一段落だ。あとは明日から続く領内の有力者との会合をなんとか乗り切るだけだ。
こういう時複数いると一気に話を片付けられるから有難い。実質3分の1だ。
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次の日から2日間は正直、とても退屈な日々だった。
3人で分けて対応したんですよ?でもさ、来るのが私は領内一の商売上手だぁとかの自慢厨が八割で、たまにくる腕自慢たちが「私が貴様らの実力を測ってやろう」とかいって決闘を申し込まれて返り討ちにしたら「感服致した。私が部下になってやらなくもないぞ?」とか言ってくるのだよ。
そんな高圧的な態度でいつかなんで私がァとか言って金田見たくなるのがみえみえなので丁重にお帰りいただいたけど。
同じことが何十と繰り返されて耳にタコができそうだ。
そしてもって3日目の今日なんだが、今日はいわゆる重鎮と呼ばれる重要人物たちとの会合だ。だから全て3人で臨む。
「連日の面倒臭い相手の対応お疲れ様でした。今日が本番です。お相手していただくのはシャンポーニュの商業ギルド、冒険者ギルドのギルドマスターたち、こちらでご隠居なさってる大公様です」
なんとまぁシャンポーニュには大公がこの地で。まぁ元伯爵領だしな。上位貴族なのは間違いないけど。
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