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16話 旅の始まり

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 どれくらい歩いただろうか。

 木々が生い茂る道なき道をひたすらに突き進んだ結果、崖に囲まれた行き止まりに行き着いた。

 「辺りも暗くなり始めてるし、今日はここで野宿するか……」

 もちろん、俺以外誰もいないのだが、国を飛び出して以降、寂しさからか独り言が多くなっている。

 「ぐぅ~……それにしても腹減ったなぁ。なんか食べれるもの、食べれるものっと……」

 近くを探してみるが、木の実や果実はなっていない。

 仕方なく、その辺にあったラグビーボールほどの大きさの楕円形の石をお腹に押し当て、空腹に耐えながら眠る事にした。

 もちろん小枝を集めて『火炎』を使い、簡易的な焚き火を作ってからだ。



 辺りは既に暗闇へと変わっていた。

 俺は仰向けになり、父と母を思い出す。
 あんなに俺を可愛がってくれた両親を俺は裏切ってしまったのだ。俺はダメな息子だな……。

 そんなセンチメンタルな事を考えながら俺は星空を見つめる。
 暗闇がそうさせるのか、月がそうさせるのかは分からない。

 だが、夜の星空はとてつもなく寛大で全てを包み込んでくれる、そんな気がした。

ーーー

 「おはよう、パパ」

 そんな声で目が覚めた。
 目を瞑っていても、まぶたの裏に光が差し込む、そんな晴れた日だった。

 「…ん…もうちょい、寝かせてくれ……」

 「パパ、寝坊はダメだよっ!起きてっ!こうしてやるっ、えいっ!」

 「ちょっと待っ……うっっっッ!」

 急に股間の上に衝撃と重みを感じ、股間の上にあったを退けようと手を伸ばしを掴み、目を開ける。

 「んっだよ…もう。ってあれ?……だれ……?」

 俺の股間の上で、俺に跨り見下ろしている少女。
 その少女と目が合うが、少女は目を見つめるだけで何も話さない。

 「ん…?君はだれ?どうしてこんなところにいるの?」

 少女から、嫌な感じは全くしない。
 それどころか、真っ赤な髪の毛にピンク色のクリクリのおメメの少女の顔は、物凄く可愛いと言える。

 将来は美人確定だろう。

 そんな少女を寝ぼけた目をこすりながら、よく見るとすると、少女の姿が裸な事に気がつく。更に俺は、少女の腰を掴んでいる事に気がついた。

 まさに騎○位の姿勢だ。

 「パパのエッチッ!」

 途端に、少女にそんなことを言われ、何が何だか分からないままでいると、少女は顔を真っ赤にして立ち上がり、俺の顔の上を跨いで離れていった。


 具が丸見えですぞ。


 俺は、ハッとして少女が乗っていた部分を触る。

 すると俺のムスコがパンパンに元気にそそり立っていた。

ーーー

 「それで、名前は?」

 さっきの事はなしだ。無かったことにしよう。

 と言わんばかりの静かなテンションで俺は少女に話しかける。

 色々整理し終わった後だ。
 俺はもう目が覚めているし、俺のムスコは眠りについている。

 「パパ…?私に興奮したの…?」

 俺が何も無かった事にしているのに少女は問い詰めてくる。
 それにパパ?何で俺がパパなんだ?

 「コホンッ……それは、まぁ朝だから仕方ない事だ。決して君に興奮したわけじゃない。」

 「そっかー……」

 なんだか残念そうだ。なぜか返答に失敗したみたいだ。
 うーん、女の子って難しい……


 「それよりも名前は?それに、どうしてこんなところにいるの?」

 「名前…?名前は無いよ?産まれたばっかりだもん。」

 記憶喪失か?ってか産まれたばかり?

 そう思ったが、少女が指差した方向を見た途端、俺はびっくりして尻餅をついた。さすがファンタジーだ。


 少女が指をさしたのは、昨日俺が腹に押し当てていた石と思っていたもの。

 それが割れていたのだ。
 そう、卵みたいに。

 ってことはだ。俺は昨日、その卵を抱いて寝た。火の近くで。
 その暖かさで孵化して、この少女が出てきたってことか…?


 そんな衝撃の事実に俺が唖然としている状況の中、少女は俺の方に向かって歩いてきた。



 「名前を付けて?ね?パパ?」


 どうやら、童貞なのに子供が出来ちゃったみたいです。
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みんなの感想(1件)

花雨
2021.07.23 花雨

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