現世では底辺配信者の僕が『バズる才能視(ビジョン)』で異世界の美少女をプロデュースしました

採点!!なんでもランキング!!

文字の大きさ
4 / 61

第4話 戦略

しおりを挟む
 勝つためにはまず、この世界の配信者たちはどうやってチャンネル登録者や再生数を増やしているのか、敵を知り、己を知り、勝利へとつながる『戦略』を練る必要がある。

 僕は、アクトの極上のライブが終わり、恍惚としていたおじさんたちを叩き起こすようにして、この世界の配信事情を詳しく尋ねた。

「なんだよも~、せっかくいい気分でいたのに。えっ? キングラの配信事情? わかったわかった、そんなに焦らなくても教えてあげるから」

 そうしておじさんたちから頑張って集めた情報は、次のようなものだった。

 ・この世界での配信者は、『キングライブ』の名前になぞらえて『キングライバー』と呼ばれている。

 そこから配信の内容によって、

 ・冒険の様子を配信する『アドベンチャーライバー』。

 ・モンスターや他のライバーとの戦いを配信する『バトルライバー』。

 ・魔法の詠唱法やその活用方法などを配信する『マジックライバー』。

 ・農場や牧場での仕事や生活の様子を配信する『ファームライバー』。

 ・武器や防具をより良い装備に鍛えあげていく過程を配信する『スミスライバー』。

 ・錬金術で様々なものを生みだす面白さを配信する『アルケミーライバー』。

 ・お宝にどのぐらいの価値があるのか鑑定の様子を配信する『アプレイザルライバー』など、細かく派生していくというわけだ。

 現世のゲームなんかでは、モンスターを倒せば都合よくお金が落ちてくるものの、この世界ではそんなことはなく、冒険者はその様子を配信して『視聴者から投げ銭や収益を得る』ことで、初めてお金を得られるシステムになっているらしい。

 当然、人気がない冒険者は視聴数も伸びないため、冒険者たちは人気を得るためにあえて危険なモンスターに挑むなど、冒険の魅せ方に日々頭を悩ませているとのこと。

 冒険だけでなく、アクトのように歌や踊りなどの配信で人気を獲得する配信者もおり、どのようなやり方でチャンネルを伸ばすかはまさに千差万別、現世よりも個々人の『個性』がより色濃く出る配信事情になっていると言えるだろう。

 この世界の配信者たちがどうやって人気を獲得しているのか、少し敵を知れたことで、次は『己』について考えてみよう。

 いまの僕に一体なにができるのか? おかみさんに貸していただいた客室に戻り、僕は自分なりにまとめていくことにした。

 ・まず一番は、対象の『バズる才能』が視れるということ。

 これがわかることによって僕にどんなアドバンテージがあるのかというと、『敵の配信においての価値や強さがわかる』ということと、『バズる才能のある人物を見抜ける』ということだ。

 敵の価値や強さがわかるとどんな利点があるのかといえば、出現率の低い希少なレアモンスターを狙い打ちしたり、現状の実力では到底かなわないモンスターなどを『事前に回避できる』という点があげられる。現状の実力より弱いか、同等ぐらいの相手を常に選んで戦っていけば、全滅のリスクを減らして着実に経験を積んでいけるわけだ。一気に人気を獲得したいと思えば、実力より格上の相手を見極めてチャレンジしていくこともできる。

 また、僕はバズる才能のある人物がわかるため、そういった人物を味方につけることができれば、配信界でトップを取るのにこの上なく心強い味方になってくれることだろう。

 ・二つめ。自分でバズることはできなくても、十年の経験の中で『配信でこれをやるとダメ』ということがわかるのは、僕にとって大きな強みで財産だと思う。

 これをやると伸びるというのは、自分自身が伸びていないのだから言えないけど、配信者としてこれをやったら絶対ダメだよということに関しては、人にアドバイスしていける自信はある。

 では、敵を知り己を知ったところで、あれほど圧倒的な人気を誇るライバルに、こういった手持ちのカードでどう『対抗』していくか?

 現世の配信でなにをやっても芽が出なかった僕だからわかる、この世界で僕が自分一人でどんなにあがいたところで、人気はまったく出ないだろう。

 正攻法ではとてもかなうはずはない。少なくとも、僕が戦ったところで一年どころか一生、逆立ちしてもかなう相手ではない。

 そのとき、僕は初めて気づいた。

 それは僕にとって、まさに『天啓』のような閃きだった。

 別に配信者として戦うのは、『僕である必要はない』のではないか?

 僕自身に配信者としての才能や魅力がないことは、現世での結果やBPの数値ですでに証明されている。それをなぞったところで、また同じ失敗を繰り返すのはわかりきったこと。

 僕自身に配信者としての魅力がないのであれば、僕は『魅力ある人物』を裏からサポートして、『配信者としてプロデュース』していけばいいのではないか?

 かつての僕であれば、そんなことはとても不可能だったけど、いまの僕にはこの『バズる才能視ビジョン』がある。

 その力で『逸材』を発見して育てていけば、いずれアクトに匹敵する配信者を生み出すこともできるかもしれない。

 少なくとも、僕自身がプレーヤーとして戦おうとするより、よほど『勝ち筋』の見える、賭ける価値のある『戦略』だと感じた。

 それだ! それしかない!

 自分の取るべき『戦略』が見えた僕は、弾丸のように客室を飛び出すと、おかみさんのところに走った。スタッフさんに場所を尋ねて向かってみると、おかみさんはキッチンで料理の味見をしているところだった。

「おかみさん! すいません、ちょっとお話があるんですが!」

「なんだいそんなに慌てて! あんたまだじっとしてなきゃいけないんだよ!」

 こんな得体の知れない僕なんかの心配をしてくれるなんて、本当に良い方だなと感動しながらも、僕は話を続けた。

「いえ、体調はすこぶる健康です! それより、お世話になってるのでなにか恩返しをしたいのですが、いまは観光のシーズンではないので客数も寂しいとおっしゃってましたよね」

「ああ、たしかにそんなことも言ったね」

「それでは、宿の宣伝も兼ねて、こんな『イベント』を開いてみるというのはどうでしょうか!」

 おかみさんは初めは半信半疑ながらも、僕の話を聞き終わると、すぐにそのイベントの将来性に気づいたようだった。

「そりゃ面白いね! ふ~ん、あんた結構アイディアマンなんだ。あたしゃそういう今風のイベントは思いつかないから助かるよ。宿のいい宣伝になりそうだね」

 そのイベントに関してはあんたに一任するよと言ってもらえたので、僕は早速部屋に戻って一息に企画書を書き上げた。

 アイディアや活力がとめどなくあふれてくるというのはこういう状態のことを言うのだろう。現世ではまったく感じたことのない『イケそうな手応え』に、僕はとにかく燃えていた。

 戻ってきてすぐにまた飛び出すとは忙しいやつだなと自分で思いながらも、僕は宿中を走って、スタッフの方々に書き上げた企画書を配ってまわった。

「へぇ、旅人さん、これはなかなか面白い企画ですね。最近この宿も、窓から海が見えるというウリだけではお客さんに飽きられはじめていたので、良い宣伝になるかも」

「あっ、旅人じゃなくてウラベロクローです。ほんとみなさんのご協力が頼りの企画なので、よろしくお願いします!」

 そこから一週間、僕は街頭でのビラ配りに、各戸へのポスティング、ナギサタウンの町長にも話を通し、宿や町のアカウントでの宣伝告知と、いまの自分にできるかぎりの宣伝をした。

 おかみさんやスタッフの方々は宿の仕事があるため、あまり迷惑をかけないように、一人でもできるところは可能なかぎり一人で、イベントに必要な準備もすべて終わらせた。

 そうしていよいよ、この宿でもこの町でも初となる、イベント当日の朝がやってきたんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...