現世では底辺配信者の僕が『バズる才能視(ビジョン)』で異世界の美少女をプロデュースしました

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第35話 決戦

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 ハラキリとの決戦の時が、刻一刻と近づいていた。

 アカリの決意を尊重して、ハラキリと戦うことを決めたけど、本当にヤバいときは僕がどんな手を使ってでも試合を止めてみせる。アカリの未来を、この試合で終わらせない。それがプロデューサーとして僕に課せられた『使命』だ。
 
 二人には内緒でそんな決意を固めていると、控え室にアナウンスが鳴った。

「ただいまより、ブシドータウン武道大会、剣術の部決勝戦を行います。代表チームはバトルステージにお集まりください」

 アナウンスを耳にして、ゼインさんが感慨深そうにつぶやく。

「ついに来たか……。二十年前はたどり着けなかった、決戦の舞台が……」

《アカリちゃん落ち着いて~!》

《平常心が大事だよ!》

《深呼吸してファイト~!》
 
 視聴者さんのアドバイスどおりに深呼吸をすると、アカリは緊張しながらもキリリと引き締まった、とても良い表情になった。

 チームを鼓舞するため、僕は力強く拳を突き上げた。

「行こう! 僕たちの未来をつかみ取るために!」

「おーっ!」

《おーっ!》

 こちらからは視聴者さんたちの様子は見えなかったけど、きっと画面の向こうで同じように拳を突き上げて、僕たちと一緒に気合いを入れてくれたはずだ。

 控え室からバトルステージに向かうと、会場はすでに凄まじい盛り上がりだった。それだけ大注目の一戦ということだろう、決勝が始まる熱気と興奮で、チームエリアにいるこちらまで熱さを感じるほどだ。

「うぉおおおぉおぉお! ようやく決勝が始まるぞ~!」

「今年は例年とレベルが違うからね! 特に決勝に残った二人はマジで別格!」

「去年なんかハラキリの圧勝すぎてつまらなかったからね。でも今年は同じぐらいの強さで大会を勝ち上がってきた、期待のニューヒロインがいる!」

「どちらも負けるところは想像できないぐらい強かったもんな! この二人一体どちらが勝つのか! いや~、本当に楽しみだなぁ!」

 観客の興奮に合わせるように、実況とサバランの解説が始まった。

「さあ、ついに決勝戦が始まります。どうでしょうサバランさん。決勝戦は『無間地獄』ハラキリ選手対『最強の初心者』アカリ選手という、今大会屈指の好カードとなったわけですが」

「これはまさに誰もが待ち望んでいた決勝戦でしょうね。両者ともここまで圧倒的強さで勝ち進んできて、その実力は五分ではないかという見方も多い。去年はハラキリ選手のダントツの優勝で幕を閉じましたが、やはり同レベルのライバルがいてこそ名勝負は生まれるものです。どちらが勝つか一瞬たりとも目が離せない、勝敗の見えない戦いに、人々は強く熱狂し、惹きつけられるものなんですよ」

「なるほど。ハラキリ選手とアカリ選手、互いに拮抗したハイレベルな実力を持つ両者。今大会は奇跡的にその条件が揃ったため、これほどの盛り上がりとなっているわけですね」

「そのとおりです。これまで歴代の解説を務めさせていただきましたが、今大会の盛り上がりは過去一ではないかと思えます。そのおかげか、私のチャンネルのほうも、いま再生数が右肩上がりの状態でウハウハ……いえ、ワタクシごとはやめておきましょう。とにかく、大大大注目の決勝戦です!」

 くっそ~、サバランめ~。アカリの決意や僕の心配も知らずにいい気なもんだな。

 僕たちの活躍がサバランを利する形になっているのはちょっとシャクだけど、いまはそんなことを気にしている場合じゃない。

 僕たちが通ってきた通路のちょうど向かい側。まるで不幸を届けにきた真っ黒な鴉のように、『やつら』はそこに現れた。

「うぉおおぉおぉおぉお! チームテンペンの登場だぁ~!」

「ハラキリ最強! ハラキリ最強!」

 ステージに上がる直前、テンペンは何事かをハラキリに耳打ちしていた。試合の作戦だろうか? いずれにしても、こちらはもう準備万端。どちらの強さが上回るか、小細工なしの真剣勝負だ!

《うぉおぉおぉおお! ついに決勝戦だぁ~!》

《アカリちゃんがんばって~!》

《ファイトファイト! アカリちゃ~ん!》

 バトルステージの中央。アカリとハラキリ、ここまで無敗を誇る両者がついに対峙した。

「南無……。愚かなる者よ。この力を目の当たりにして、それでもなお我の前に立つというのか」

「わ、わたしはぜったいに逃げたりしませんっ! いつも応援してくださる、みなさんのためにがんばりますっ!」

「我には到底理解の及ばぬ話だ。最早掛ける言葉もない。地に伏してようやく気付くのだろう、自分自身の愚かさというものに」

《くっそ~、ハラキリの野郎!》

《アカリちゃんをバカにすんなよ~!》

《俺たち視聴者が許さねぇぞ!》

《で、でも、正直怖ぇよ……。画面越しだから好き勝手言ってられるけど、実際にハラキリと対峙したら、俺なんか一秒も持たずに逃げ出す自信ある……》

「両者構えて!」
 
 会場全体から響く凄まじい歓声の中で、僕の声は届かないかもしれない。でも、あの場所であんな強敵と戦うアカリを少しでも勇気づけたくて、僕はチームエリアから叫んだ。

「がんばれアカリ!」

「始めっ!」

 主審の合図と共に、ついにアカリとハラキリの決戦の火蓋が切られた!
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