現世では底辺配信者の僕が『バズる才能視(ビジョン)』で異世界の美少女をプロデュースしました

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第57話 ウエストエリアの虎

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 アカリが剣での勝負を選択すると、ランビットのメンバーは全員こいつはたまらんとばかりに、腹を抱えて笑いだした。

「カーッカッカッカッ! おい聞いたかお前ら、この俺様と剣で勝負だってよ!」

「ぷっ、あの子も命知らずねぇ。タケルの強さ知らないのかしら」

「ほ、ほんと笑わせてくれるぜ。タケル、ちゃちゃっと終わらせちゃって」

「おい嬢ちゃん、ビビってママに泣きついたりすんじゃねえぞ?」

《こいつら絶対アカリちゃんの強さ知らないよなwwww》

《見た目だけで判断してるアホの典型wwww》

《アカリちゃんをバカにするやつは俺たちリスナーが許さん!》

《天才美少女剣士の強さを思い知らせてやれ!》

 ランビットのあまりに失礼な物言いに、頭に血がのぼってしまった僕だったけど、視聴者さんの応援でなんとか平静を取り戻すことができた。

 両者間合いを取り剣を構えると、アカリとタケルのライブバトルが始まった!

 それと同時に、キングラの配信画面がライブバトル専用の画面へと変化する。

 ライブバトルの画面の上中央には、視聴者の『熱狂ゲージ』というものが表示されており、そのバトルでより視聴者を沸かせた側のゲージが伸びていく仕組みだ。このゲージをすべて相手側に押し切るか、相手がバトル続行不能になれば勝敗が決する。

 ライブバトルはキングラでもかなりの人気コンテンツのため、それぞれのチャンネルでの配信だけでなく、視聴者の目につきやすいようにホーム画面のトップに表示され、普段とは違う層の視聴者さんに観てもらえる非常に大きなチャンスとなる。

 なにしろ、両者アカウントの強制削除をかけ、不退転の決意で戦うのだ。視聴者にとってこれほど面白いコンテンツは早々ないし、勝者はこれまでの視聴者に加え新規の視聴者も獲得することができ、リスクを負った分それだけ多くの恩恵を受けられるようになっているわけだ。

 先に動きを見せたのは、アカリのことを完全に舐めきっている様子のタケルだった。

 こんな華奢な女の子に、自分が負けることなどありえないと高をくくっているようで、無用心に間合いを詰めて斬りかかってきた!

「カカカカッ! 上位がこんなガキとは、マジで運がいいぜ! これでまた100位上昇ゲットだッッッ!」

 なんと、無造作に振り下ろしたタケルの剣が、アカリを斬り裂いた!

 ……かに見えたが、それはアカリの残像だった。

 まるで瞬間移動をしたかのようにタケルの背後に回るアカリ。

「……へ?」

 事態を飲み込めずキョロキョロするタケルに対し、アカリは刃気を溜めて早期決着をはかった。

「はぁああぁああぁあぁあっっっ!」

「……えっ? な、なんだそれ? なんだそれぇええぇえぇえぇえぇえ!」

 ようやく事態に気づき振り返ったタケルに、アカリが渾身の一撃をお見舞いする!

「ぜやあっっっっ!」

 アカリの一撃でタケルは遥か後方に吹き飛ばされ、そのまま地面に叩きつけられた!

「ぐはあッ! な、なんなんだこのガキは……!」

 ランビットのメンバーが、唖然とした表情で目の前の光景を見つめる。

《だから言わんこっちゃないwwww》

《見た目だけで判断するからこうなるwwww》

《二度とアカリちゃんにデカイ口叩くなよ! あ、もうチャンネルなくなるのかwwww》

 アカリが剣を構えてタケルに問いかける。

「これ以上、続けますか?」

 恐ろしいほどの実力差を一撃で悟ったのだろう、怯えた表情で震えながら、タケルはブンブンと首を振った。

「ちょっとタケル! あんた情けないにもほどがあるわよ!」

「こんな一瞬でアカウント削除ってマジか! なにがリーダーだよ、お前なんかについてくるんじゃなかったわ!」

「あーあ、ほんと萎えるわ~こいつ。いままでの苦労が一瞬で水の泡だわ! 全部お前のせいだからなタケル!」

「ならテメェらがやってみやがれ! こんなバケモンとか聞いてねぇし! いつもいつも、全部全部俺に押しつけやがってぇえぇええぇえ!」

《仲間割れ草》

《醜い責任のなすりあいwwww》

《利害関係でくっついてるだけのグループワロタwwww》

 ライブバトルはアカリの圧勝に終わったが、僕には最初からランビットのBPが視えていたため、まったく心配はしていなかった。

 そのBPは全員1000から3000ほどで、この程度の力量であればアカリの力で難なく粉砕できるだろうと踏んだが、予想どおりだったな。

 これから同じように挑んでこようとする輩を牽制するためだろう、天に剣を掲げたアカリは、画面の向こうに対し高らかに宣言した。

「この剣は我が師、ブレイズの剣! 挑む方はそのお覚悟で来てください!」

 ブレイズの名を出した瞬間、ライブバトルのコメントがざわめく。

 おそらく、ライブバトルで入ってきた新規の視聴者さんたちだろう。普段のアカリチャンネルの視聴者さんとは、少し毛色の違うコメントが並んでいく。

《ブレイズっていやぁ、たしか二十年ほど前、イーストエリアを席巻してた伝説の天才剣士じゃねえか!》

《だがいまは剣士としての評判はまるで聞かず、なかば世捨て人のような状態だったと聞くぞ?》

《そうそう、あれだけの天才剣士だった男が、なぜか表舞台から突然姿を消したんだよな》

《そのブレイズがなんだってまた……》

《なんだと……? 眠っていたイーストエリアの『竜』が、また動き出したというのか……》

 イーストエリアの竜……? なんだ、このコメントをしてる人……。ずいぶんブレイズのことについて詳しいみたいだが……。

《竜が復活したとなれば、虎も黙ってはおれん。ブレイズにそう伝えておけ》

 ……虎? いや、それより、ブレイズに伝えておけって……。この人、完全にブレイズに向けてメッセージを発信してる……!

 ライブバトルを終え、夜の修行まで配信を盛り上げた僕たちは、道場に戻るとその件をブレイズに伝えた。

「そのアカウント、やけにブレイズさんについて詳しかったんですよ。なんか『竜』がどうとか」

「竜だと……? ……まさかな……」

 ブレイズはしばし考え込むと、僕に尋ねた。

「ドベ、そいつの名前は?」

「え~っと、たしか『ウエストエリアの虎』というアカウント名でしたかね」

「虎か……。ちっ、まずいな、どうやら間違いねぇようだ」

「まずいって、誰なんですかその人?」

「気をつけろお前ら……。そいつはな、若いころの俺が唯一
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