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お笑い大会ランキング M-1グランプリ2017 敗者復活戦総評

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先日、録画していた敗者復活戦にようやく目を通せた。

本戦より敗者復活戦を後に観るという、Aランクなみにいびつな訳のわからん流れである。

20組もいるため本戦のように詳しい解説とまではいかないが、面白さを◎から×までと、寸評で表していきたいと思う。

【ランジャタイ】 ×

準決勝に進めたこと自体が奇跡的。出来ればお笑いにさよならポンポンしてほしい。キャッチコピーは『燃えるぜ!』だったが、違う意味で炎上していた。評価すること自体が無駄。

【笑撃戦隊】 〇

ネタの出来如何によっては決勝進出も充分に有り得るコンビ。以前はボケとツッコミを逆にする漫才をやっていたが、それほど上手くハマっているという印象はなく、今回そのスタイルを封印してM-1に挑んできた。普通に笑えるが、優勝出来るネタではない。現在は確たる個性探しの途中であり、将来性は高い。

【からし蓮根】 ×

さまぁ~ずの解説でも語ったが、非常にかっぺ感が強いコンビ。方言を使うのであれば、もっと漫才に地元感がないと辛い。U字工事や華丸大吉にはその地元感があり、このコンビにはない。ネタが方言と全く関連性がないため、方言だけが浮いて見えるのである。思い切ってネタを地元寄りの誰も知らない話にした方が、良い結果が出るだろう。

【Aマッソ】 ×

事前に書いた通り、期待しているコンビだけに非常に残念。だが、茂野吾郎なみの地肩の強さだけは、視聴者に伝わったことだろう。暴走するセンスだけが空回りして、笑いどころを悉く外していた。これではピッチャーが外野に向かってボールを投げているようなものである。あとはコントロールさえつけば、決勝進出するだけの能力は持っているのだが……。残念ながら、今回は考えすぎ。もっと良いネタがあるのに、非常にもったいない!!

【三四郎】 ◎

ザ・テレビタレントであり、漫才はイマイチ……というのが今までの三四郎のイメージだったのだが、今回の漫才は本当に出来が良かった。三四郎のベストネタと言えるだろう。いつもは本当にイマイチなのだが、今回のネタは本当に面白い。それだけに、今回の出来で決勝に進めなかったのは残念。「相田さんから入ったんですよ」からの「そんな奴いねーよ!!」のくだりは笑った。

【東京ホテイソン】 〇

面白い。今後に期待できるコンビ。
始めのツカミで昔の千鳥のネタを思い出してしまったのだが、きちんと考え、フレーズや表情を作り込んで、自分たちだけの個性を出そうとしているのがわかる。視聴者投票では下位に沈んだが、本来はもっと上でもいいコンビ。将来性がある。

【アイロンヘッド】 △

他コンクールでの優勝経験もあり、実力はあるコンビなのだが、今回のネタはイマイチ。もっと突き抜けないと、M-1では厳しい。

【セルライトスパ】 ×

全てがイマイチ。ネタにあまりセンスが感じられない。

【囲碁将棋】 △

決勝に行ければ御の字というレベル。優勝するには今のままではあまりに厳しい。

【天竺鼠】 ◎

センスが高い。数を数えるだけで笑いを取れるのは凄いとしか言いようがない。昔から非常に良い雰囲気を持っていたのだが、雰囲気だけで終わることも多く、笑いの芯を食えないでいた。ネタが芯を食えば、M-1優勝も有り得るコンビ。とろサーモンと同等のベテランだけに、来年の優勝はひょっとするとこの天竺鼠かもしれない。

【霜降り明星】 △

悪くはないが、ネタのテンションと笑いの量が釣り合っていない。決勝進出は有り得るが、優勝は難しいレベル。

【見取り図】 ×

以前別の番組で観た時はそこまで悪くもなかったのだが、今回のネタは厳しい。『あたおか』という造語を流行らそうとしているのかもしれないが、全く面白くない上に語呂が悪いため、絶対に流行ることはない。流行する言葉というのは、例えば『35億』や『忖度』のように、言って気持ちが良い、思わず言いたくなる語呂が良い言葉なのだ。同系統の造語で言えば、青春の光の『いたとん』の方が余程出来が良く、その辺の繊細な言語感覚を感じられないのであれば、芸人としてかなり厳しいと言わざるを得ない。センスを疑われるため、本人達のためにも、とりあえずこのネタは永久に封印した方が良い。

【ハライチ】 〇

ツカミがイマイチで、このイマイチな流れのまま終わるのかと思いきや、最後まで観ると序盤は伏線のための被せだったのかと得心が行った。ただ、そういう構成のネタというのはわかるのだが、前半をあまりに贅沢に使いすぎており、賞レースではかなり厳しい構成となってしまっている。M-1の舞台ではツカミからオチまで全体を評価されるため、前半にも様々な種類の笑いを入れなければ、なかなか高評価を得るのは難しい。これはむしろライブ向きのネタである。前半に笑いを取りながら上手く伏線を張っていれば◎も有り得ただけに、非常に残念。

【南海キャンディーズ】 ×

安西先生の言を借りると、「まるで成長していない」。というかむしろ劣化しており、M-1初登場時のネタの方が良く出来ていた。昔からしずちゃんのキャラありきのコンビであり、そのしずちゃんのキャラ自体が完全に飽きられている昨今、南海のネタを観せられる方が辛いというのが正直な感想である。キャラ頼りの漫才はキャラを失えば、何の工夫もない無味無臭の漫才へと成り果ててしまうのだ。これ以上何の上がり目もないし、何度出てきたところでそのレベルも想像できるため、ぶっちゃけM-1でこれ以上ネタを観たくない。優勝が悲願なのはわかるが、現状の漫才では、これ以上若手の枠を削らない方が良いとしか言えない。来年もし観たとしても、今年とまったく同じ感想が述べられていることと思う。

【アインシュタイン】 ×

個人的には大嫌いなタイプ。顔に自信があるのか知らないが、顔ありきでネタの陳腐さを誤魔化しているだけで、肝心のネタが全く面白くない。ラサール石井ではないが、顔もそこまで面白い訳ではない。同系統の芸人では『ザブングル』などが挙げられるが、ザブングルは顔もありながら肝心のネタも面白かった。顔で笑える客には受けるだろうが、現状、顔面に頼った低レベル漫才としか評価のしようがない。

【さらば青春の光】 ×

全てが冗長。時間の無駄。本当にひどいネタ。たった一つの切り口で最後まで突っ切る強引さには閉口するしかない。個人的にはランジャタイの次にひどかったかもしれない。構成云々も論じたくない。言ったところで手の加えようもない。評価するのも時間の無駄。本当に、全てが時間の無駄。

【大自然】 △

ネタの当たり外れが激しく、今回は外れ。他にもっと良いネタがあるのだが、何故このネタだったのか。将来性はあるものの、まだ確固たる実力はついていない。期待していただけに残念だった。

【ニューヨーク】 〇

残念!!波田陽区なみに残念!!筆者の期待値は事前予想を見て頂いた方には言わずもがなだが、今回は不発!!ツカミからオチまでほとんど同じ切り口の繰り返しに終始してしまった。フルコースを頼んだのに、前菜、メイン、デザートなどの流れがなく、ずっと一種類の料理しか出てこないようなものである。不発でも基礎能力が段違いなため評価は〇だが、他に面白いネタが一杯あるのになんでこのネタだったんだ……。贔屓のコンビだが、このネタでは決勝に進めないのも納得!!優勝する実力があるという筆者の評価を、来年こそは証明してくれ!!

【相席スタート】 ×

2016年の決勝ネタはとても良く出来ていて、かなりの高評価だったのだが、今回のネタは劣化が激しい。2016年は良く出来たネタがクソ審査により低評価の烙印を押されてしまったため、考えすぎてしまったのかもしれない。いずれにしても去年より大分劣化しているため、2016年のネタがベストにならないように頑張ってほしい。

【スーパーマラドーナ】 △

個人的にはハマらないが、ハマる人には一番笑えるだろうなというのもわかる。しかし、南海キャンディーズの解説と同じく、まるで成長していないどころか劣化しているため、今後は更に厳しい戦いが予想される。決勝ベスト3に入るだけでも物凄いことであり、充分自信を持って良いのだが、優勝と3位の間には得点以上の差があることを認識しなければ、今後の成長は望めないだろう。とりあえず、今の惰性の慣れきったスタイルを捨てるところから始めてみてほしい。慣れたスタイルでネタを考えるのは楽であるため、人間ついついそこに逃げてしまいがちになる。しかし、その生みの苦しみを乗り越えた先にこそ、悲願のM-1優勝が見えてくるはずだ。

さて、以上で総評は終わりだが、いかがだったろうか。

以前ご紹介したコンビ以外で、個人的に目に付いたのは、笑撃戦隊と東京ホテイソンの二組。
将来性を感じる。この二組は、今後伸びてくると思う。

つい先日、ブログ名でTwitterを始めたので、見かけたらフォローしてやって下さい(^O^)
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