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しおりを挟む青年は屋敷の窓から外を眺めていた。
視線の先には白いベンチに丸くなって寝ている少女。
また彼女は外で寝ているのか?
青年は昨日の事を思い出し、胸が切なくなった。
歪んでいる。
この屋敷に連れてこられた時から感じた違和感。
簡単な仕事だった。
決まった時間帯に決まった格好と行動をするだけ。
それ以外は何も制限されていない。
仕事を行わなければ、彼女はどんな反応をするのだろうか?
青年は彼女に意地悪をしたい気持ちでいっぱいになった。
一週間仕事をさぼってみたが、少女に変化はなく黙々と薔薇庭園の手入れに励んでいるだけだった。
仕事をしなくても怒られないのか?
青年は屋敷を探索しながら思考を巡らせていた。
青年が行動出来る範囲は屋敷内と薔薇庭園だけ。
外に出たくても屋敷の門と塀は茨の刺に覆われており脱出するのは不可能だった。
行動範囲内にいる人間は青年が知る限り二人しかいない。
薔薇庭園を手入れする少女と自分だけなのだ。
食事は時間になれば用意されているし、水は井戸水と温泉が通っており、生活するには何も困った所はない。
屋敷の書斎には絵本と童話しか置いておらず、屋敷の歴史がわかるような書物はなかった。
屋敷内には客間が沢山あるのに、いつも外のベンチで寝ている少女が気がかりで仕方がなかった。
少女とは一度も話をしたことがなかった。
いつも怯えられて話が出来る状態ではないのだ。
少女と話をまともにするにはどうしたらいいだろうか?
青年は変化のない退屈過ぎる毎日に飽きを感じていた。
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