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海賊編 第六章 フォーチューン国本島
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しおりを挟むクレイは、海賊船の自室で、剣を磨いていた。
「親父。お袋。じっちゃん」
磨いた刃に移るのは、クレイの姿。
クレイは、両親達の事を思い出していた。
両親は、優秀な船乗りだった。
ある日、他国に嫁ぎに行く末姫を乗せた船を任された。
そして、闇の霧に襲われた船は、帰って来なかった。
たった一人。末姫を除いては。
末姫は、闇の霧に堕落した者として、公開死刑された。
公開死刑の現場にクレイも居た。
どうして、末姫だけが帰って着て、両親は帰って着てくれなかったのだろうと嘆いた。
騎士だったじっちゃんに連れられて、騎士を目指し始めた。
何かに熱中していないと、心が潰されてしまいそうで、怖かった。
フォーチューン国の本島は、末姫が嫁いでくるはずだった国である。
だからだろうか?心がざわつく。今日のラセの態度も不審だった。
「ウェイルか」
ラセが婚約者だと告げた闇の霧の者。
砂色の髪。海色の瞳。水の力を扱う青年。
フォーチューン国本島の役人であるホークが慕う人物。
そして、なぜか、聞き覚えのある名前。
「調べてみる価値はあるか」
クレイは、剣を鞘へと納めた。
翌日。
役所の前で、キラーとホークと合流したラセ達は、屋敷へと招かれた。
キラーと衣装選びをしているラセ、チャナ、ルイは騒がしい。
まあ、キラーに着せ替え人形の代わりとして遊ばれているのだが。
それに引き替え、衣装選びがすでに終わったクレイは、自宅でも仕事をこなしているホークと二人別室で待機をしていた。
「キラーの着せ替え遊びは、長い。座って待っていてくれ」
「なあ、ホークの役人。聞いてもいいか?」
「なんだ?」
ホークは、仕事の書類から目をそらさずに聞いた。
「ウェイルって何者なんだ?」
ウェイルの名前を告げられて、ホークはようやく書類から目を離した。
「ウェイル様をご存じではないのか?……いや失礼。他国の貴殿では知らなくても当然だな。ウェイル様は、フォーチューン国本島の第一王子であらせられた人物だ」
「フォーチューン国本島の第一王子。それって、エレメンタル大陸の水の国の末姫を嫁に迎える途中で闇の霧に襲われたあの!」
「そうだ。ウェイル様は、水の精霊を真に扱える優れたお方だった。
水の精霊を見えると嘘を付く、権力目当ての者達とは違う」
ホークは、忌々しそうに吐き捨てた。
クレイは、ホークから教えてもらった事に衝撃を受けていた。
ウェイルが、フォーチューン国本島の第一王子。
では、ウェイルを婚約者だと言ったラセは。
―僕のお姫様―
ウェイルがラセを呼ぶときの名称。
ラセは、エレメンタル大陸の水の国の末姫なのか?
でも、そんなはずがない。
だって末姫セラは、公開処刑で死亡したはずだ。
生きているはずがない。
ならば、ラセは嘘をついているのか?
でも、何の為に……?
クレイは頭を抱えた。
ただ、海賊船の家族になったラセが、末姫セラでは無ければいいと、クレイは願う。
でなければ、クレイの両親を闇の霧に奪われた原因を作った末姫を許すことなど出来ないのだから。
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