悪役令嬢なにそれ?レベルのおっさん、美少年戦士に転生して異世界最強チートの勇者を目指します

冨井春義

文字の大きさ
12 / 44
第一章:転生と旅立ち

伝説の勇者の装備を受け取った

しおりを挟む
「お前がまさか戦士になるとはな。俺はてっきり仕事を探すっていっても、庭師とか行商人とかそのあたりだろうと思っていたのに」

親父は例によって苦虫を噛み潰したような顔をして、重い口を開いた。
お袋は暗い顔をして黙っている。

ここは自宅のリビングだ。テーブルを挟んで俺は両親と対面していた。

俺は今までの展開から説明するのが面倒なので、いきなりテーブルの上に戦士のIDカードを置いて両親に見せたのだ。

てっきり喜んでくれると思ったのに、なぜか両親は浮かない態度だった。
もしかすると、これがどれほどの快挙なのか、たたき上げの職人の親父やその妻であるお袋には理解できていないのかもしれない。

「お父さん、戦士は闘士の職業資格を持つものでも10000人にひとりという狭き門なんです。それを無職の僕が試験を受けて合格したというのは異例の事なんですよ。どうも僕には隠れた才能があったようなのです。もう少し喜んでもらえませんか?」

俺がそう言っても、両親はまだ黙り込んだままだ。

「僕も今までずいぶんお父さん、お母さんには面倒かけましたけど、戦士の収入はかなりのものになるそうです。これからは親孝行できると思います」

「・・・何が親孝行なものですか」

ようやく口を開いたお袋はそう言った。

「マーカス、戦士が高収入なのは危険だからですよ。戦いで命を落とすかもしれません。息子にそんな危険を冒させて、お母さんはうれしいとは思えません」

親たちは息子である俺の身を案じて喜ぶことができないのだ。
よく考えたら、それが普通だよなあ。俺はもっと単純に考えていた。

しかしここで親父が意外なことを言った。

「かあさん、これは運命(さだめ)かもしれない。俺もまさかマーカスに戦士の血が目覚めるとは思ってもみなかったよ。しかし勇者チョーキの血はマーカスに受け継がれたんだ」

・・・勇者チョーキだって?ギルドで聞いた伝説の勇者?その血が俺に受け継がれたってどういうことだ?

「マーカス、ついてこい」

俺は席を立った親父の後につづいて、この家の納屋に向かった。



納屋の扉を開けると埃っぽい空気が流れ出てくる。

親父は先に中に入り、乱雑に物が積み上げられているあたりをごそごそ探っていた。
やがて埃だらけの木で出来た衣装ケースのようなものを取り出し、手で埃を払った。

「開けてみろ、マーカス」

俺は親父に命じられるままその箱を開けた。

中には何か折りたたまれた白い衣服、その上に革と鎖でできた何かベストのようなもの、それと革のケースが3つあった。
俺はその箱の中身を取り出して、近くにある別の木箱の上に並べた。

「これは!?・・・道着か?」

それは俺もよく知っている空手着に似ていた。
素材がよく分からないが、かなり頑丈そうな生地を使用している。
しかも軽量である。

そして黒帯。これは何代にもわたって受け継がれた由緒あるもののようだ。
ボロボロになって白い繊維が見えているが、しっかりした強度を保っている。

ベストのようなものは、道着の上から羽織(はお)れる防具のようなものらしい。
肩や胸部などの急所部分は革のプロテクターになっていて、他の部分は鎖かたぴらのようだ。

3つある革のケースはそれぞれ帯に通して腰にぶら下げられるようになっている。
中身は・・武器だ。それも俺がよく知っている物だった。

サイ、ヌンチャク、トンファー。

転生前の世界では沖縄の古武器として空手家に伝承されていたものだ。

「これらは勇者チョーキの装備だ。チョーキはこの装備でダークドラゴンと戦い、そして倒したのだ」

親父が重々しくそう言った。

「お前には黙っていたが、我々の家系は勇者チョーキの血を引いている。俺の父親、その曽祖父が勇者チョーキなのだ」

親父はついに家系の秘密を明かした。

「お前に戦士の血が目覚めたということは、これはお前が受け継ぐべきものだ。いずれお前はこの装備で旅に出ることになるだろう」

俺は勇者チョーキの装備一式を受け取った。



親父と共にリビングに戻りテーブルに着くと、お袋がお茶とお菓子を運んできてくれた。
そしてお袋もテーブルに着いてから口を開いた。

「マーカス、さっきは水を差すようなこと言ってごめんなさい。反省してるわ」

お袋の母親としての心情は俺にも十分に伝わっている。
とにかく息子の身が心配でならないのだ。その感情を抑えるようにお袋は話をつづけた。

「あなたが勇者チョーキの血を受け継ぐ者なら、世界はきっとあなたを必要としているのでしょう。立派な戦士、そして勇者になるために頑張ってね。お母さんも応援するわ」

マーカス・・いや俺は良い両親を持っているんだなあ。。
その両親に向かって俺はこう言った。

「お父さん、お母さん。僕はこの世界で出来ることを全力で追及します。そして勇者になります」


その数十分後、俺は両親に就寝の挨拶をしてから自分の部屋に入った。

鞄から魔法の鏡を取り出し「ググル」の呪文を唱える。
目的のひとつは明日のクエストに関係する情報を引き出すため、そしてもうひとつはこちらの世界の出来事を小説として投稿するためだ。

俺はこちらの世界で勇者を目指すと同時に、転生前の世界の読者たちも満足させなければならない。

そして双方の世界での高みを目指すのだ!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

処理中です...