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第一章:転生と旅立ち
伝説の勇者の装備を受け取った
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「お前がまさか戦士になるとはな。俺はてっきり仕事を探すっていっても、庭師とか行商人とかそのあたりだろうと思っていたのに」
親父は例によって苦虫を噛み潰したような顔をして、重い口を開いた。
お袋は暗い顔をして黙っている。
ここは自宅のリビングだ。テーブルを挟んで俺は両親と対面していた。
俺は今までの展開から説明するのが面倒なので、いきなりテーブルの上に戦士のIDカードを置いて両親に見せたのだ。
てっきり喜んでくれると思ったのに、なぜか両親は浮かない態度だった。
もしかすると、これがどれほどの快挙なのか、たたき上げの職人の親父やその妻であるお袋には理解できていないのかもしれない。
「お父さん、戦士は闘士の職業資格を持つものでも10000人にひとりという狭き門なんです。それを無職の僕が試験を受けて合格したというのは異例の事なんですよ。どうも僕には隠れた才能があったようなのです。もう少し喜んでもらえませんか?」
俺がそう言っても、両親はまだ黙り込んだままだ。
「僕も今までずいぶんお父さん、お母さんには面倒かけましたけど、戦士の収入はかなりのものになるそうです。これからは親孝行できると思います」
「・・・何が親孝行なものですか」
ようやく口を開いたお袋はそう言った。
「マーカス、戦士が高収入なのは危険だからですよ。戦いで命を落とすかもしれません。息子にそんな危険を冒させて、お母さんはうれしいとは思えません」
親たちは息子である俺の身を案じて喜ぶことができないのだ。
よく考えたら、それが普通だよなあ。俺はもっと単純に考えていた。
しかしここで親父が意外なことを言った。
「かあさん、これは運命(さだめ)かもしれない。俺もまさかマーカスに戦士の血が目覚めるとは思ってもみなかったよ。しかし勇者チョーキの血はマーカスに受け継がれたんだ」
・・・勇者チョーキだって?ギルドで聞いた伝説の勇者?その血が俺に受け継がれたってどういうことだ?
「マーカス、ついてこい」
俺は席を立った親父の後につづいて、この家の納屋に向かった。
納屋の扉を開けると埃っぽい空気が流れ出てくる。
親父は先に中に入り、乱雑に物が積み上げられているあたりをごそごそ探っていた。
やがて埃だらけの木で出来た衣装ケースのようなものを取り出し、手で埃を払った。
「開けてみろ、マーカス」
俺は親父に命じられるままその箱を開けた。
中には何か折りたたまれた白い衣服、その上に革と鎖でできた何かベストのようなもの、それと革のケースが3つあった。
俺はその箱の中身を取り出して、近くにある別の木箱の上に並べた。
「これは!?・・・道着か?」
それは俺もよく知っている空手着に似ていた。
素材がよく分からないが、かなり頑丈そうな生地を使用している。
しかも軽量である。
そして黒帯。これは何代にもわたって受け継がれた由緒あるもののようだ。
ボロボロになって白い繊維が見えているが、しっかりした強度を保っている。
ベストのようなものは、道着の上から羽織(はお)れる防具のようなものらしい。
肩や胸部などの急所部分は革のプロテクターになっていて、他の部分は鎖かたぴらのようだ。
3つある革のケースはそれぞれ帯に通して腰にぶら下げられるようになっている。
中身は・・武器だ。それも俺がよく知っている物だった。
サイ、ヌンチャク、トンファー。
転生前の世界では沖縄の古武器として空手家に伝承されていたものだ。
「これらは勇者チョーキの装備だ。チョーキはこの装備でダークドラゴンと戦い、そして倒したのだ」
親父が重々しくそう言った。
「お前には黙っていたが、我々の家系は勇者チョーキの血を引いている。俺の父親、その曽祖父が勇者チョーキなのだ」
親父はついに家系の秘密を明かした。
「お前に戦士の血が目覚めたということは、これはお前が受け継ぐべきものだ。いずれお前はこの装備で旅に出ることになるだろう」
俺は勇者チョーキの装備一式を受け取った。
親父と共にリビングに戻りテーブルに着くと、お袋がお茶とお菓子を運んできてくれた。
そしてお袋もテーブルに着いてから口を開いた。
「マーカス、さっきは水を差すようなこと言ってごめんなさい。反省してるわ」
お袋の母親としての心情は俺にも十分に伝わっている。
とにかく息子の身が心配でならないのだ。その感情を抑えるようにお袋は話をつづけた。
「あなたが勇者チョーキの血を受け継ぐ者なら、世界はきっとあなたを必要としているのでしょう。立派な戦士、そして勇者になるために頑張ってね。お母さんも応援するわ」
マーカス・・いや俺は良い両親を持っているんだなあ。。
その両親に向かって俺はこう言った。
「お父さん、お母さん。僕はこの世界で出来ることを全力で追及します。そして勇者になります」
その数十分後、俺は両親に就寝の挨拶をしてから自分の部屋に入った。
鞄から魔法の鏡を取り出し「ググル」の呪文を唱える。
目的のひとつは明日のクエストに関係する情報を引き出すため、そしてもうひとつはこちらの世界の出来事を小説として投稿するためだ。
俺はこちらの世界で勇者を目指すと同時に、転生前の世界の読者たちも満足させなければならない。
そして双方の世界での高みを目指すのだ!
親父は例によって苦虫を噛み潰したような顔をして、重い口を開いた。
お袋は暗い顔をして黙っている。
ここは自宅のリビングだ。テーブルを挟んで俺は両親と対面していた。
俺は今までの展開から説明するのが面倒なので、いきなりテーブルの上に戦士のIDカードを置いて両親に見せたのだ。
てっきり喜んでくれると思ったのに、なぜか両親は浮かない態度だった。
もしかすると、これがどれほどの快挙なのか、たたき上げの職人の親父やその妻であるお袋には理解できていないのかもしれない。
「お父さん、戦士は闘士の職業資格を持つものでも10000人にひとりという狭き門なんです。それを無職の僕が試験を受けて合格したというのは異例の事なんですよ。どうも僕には隠れた才能があったようなのです。もう少し喜んでもらえませんか?」
俺がそう言っても、両親はまだ黙り込んだままだ。
「僕も今までずいぶんお父さん、お母さんには面倒かけましたけど、戦士の収入はかなりのものになるそうです。これからは親孝行できると思います」
「・・・何が親孝行なものですか」
ようやく口を開いたお袋はそう言った。
「マーカス、戦士が高収入なのは危険だからですよ。戦いで命を落とすかもしれません。息子にそんな危険を冒させて、お母さんはうれしいとは思えません」
親たちは息子である俺の身を案じて喜ぶことができないのだ。
よく考えたら、それが普通だよなあ。俺はもっと単純に考えていた。
しかしここで親父が意外なことを言った。
「かあさん、これは運命(さだめ)かもしれない。俺もまさかマーカスに戦士の血が目覚めるとは思ってもみなかったよ。しかし勇者チョーキの血はマーカスに受け継がれたんだ」
・・・勇者チョーキだって?ギルドで聞いた伝説の勇者?その血が俺に受け継がれたってどういうことだ?
「マーカス、ついてこい」
俺は席を立った親父の後につづいて、この家の納屋に向かった。
納屋の扉を開けると埃っぽい空気が流れ出てくる。
親父は先に中に入り、乱雑に物が積み上げられているあたりをごそごそ探っていた。
やがて埃だらけの木で出来た衣装ケースのようなものを取り出し、手で埃を払った。
「開けてみろ、マーカス」
俺は親父に命じられるままその箱を開けた。
中には何か折りたたまれた白い衣服、その上に革と鎖でできた何かベストのようなもの、それと革のケースが3つあった。
俺はその箱の中身を取り出して、近くにある別の木箱の上に並べた。
「これは!?・・・道着か?」
それは俺もよく知っている空手着に似ていた。
素材がよく分からないが、かなり頑丈そうな生地を使用している。
しかも軽量である。
そして黒帯。これは何代にもわたって受け継がれた由緒あるもののようだ。
ボロボロになって白い繊維が見えているが、しっかりした強度を保っている。
ベストのようなものは、道着の上から羽織(はお)れる防具のようなものらしい。
肩や胸部などの急所部分は革のプロテクターになっていて、他の部分は鎖かたぴらのようだ。
3つある革のケースはそれぞれ帯に通して腰にぶら下げられるようになっている。
中身は・・武器だ。それも俺がよく知っている物だった。
サイ、ヌンチャク、トンファー。
転生前の世界では沖縄の古武器として空手家に伝承されていたものだ。
「これらは勇者チョーキの装備だ。チョーキはこの装備でダークドラゴンと戦い、そして倒したのだ」
親父が重々しくそう言った。
「お前には黙っていたが、我々の家系は勇者チョーキの血を引いている。俺の父親、その曽祖父が勇者チョーキなのだ」
親父はついに家系の秘密を明かした。
「お前に戦士の血が目覚めたということは、これはお前が受け継ぐべきものだ。いずれお前はこの装備で旅に出ることになるだろう」
俺は勇者チョーキの装備一式を受け取った。
親父と共にリビングに戻りテーブルに着くと、お袋がお茶とお菓子を運んできてくれた。
そしてお袋もテーブルに着いてから口を開いた。
「マーカス、さっきは水を差すようなこと言ってごめんなさい。反省してるわ」
お袋の母親としての心情は俺にも十分に伝わっている。
とにかく息子の身が心配でならないのだ。その感情を抑えるようにお袋は話をつづけた。
「あなたが勇者チョーキの血を受け継ぐ者なら、世界はきっとあなたを必要としているのでしょう。立派な戦士、そして勇者になるために頑張ってね。お母さんも応援するわ」
マーカス・・いや俺は良い両親を持っているんだなあ。。
その両親に向かって俺はこう言った。
「お父さん、お母さん。僕はこの世界で出来ることを全力で追及します。そして勇者になります」
その数十分後、俺は両親に就寝の挨拶をしてから自分の部屋に入った。
鞄から魔法の鏡を取り出し「ググル」の呪文を唱える。
目的のひとつは明日のクエストに関係する情報を引き出すため、そしてもうひとつはこちらの世界の出来事を小説として投稿するためだ。
俺はこちらの世界で勇者を目指すと同時に、転生前の世界の読者たちも満足させなければならない。
そして双方の世界での高みを目指すのだ!
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