空手バックパッカー・リターンズ

冨井春義

文字の大きさ
10 / 61
コロンボ(スリランカ)

スリランカへ再び

しおりを挟む
「うわああああ!師匠!はやいっすねえ!」

 飛行機の離陸のスピードに大喜びするタカ。もう緊張は解けたようです。

「おおっ!飛んだあ」

「そりゃ飛行機なんだから飛ぶよ・・・ま、ちょっと落ち着け」

 そういう私もはじめてこの飛行機に乗ったときには同じように感動したものです。

  

 飛行が安定するとドリンクが配られます。

「うわあ。きれいですねえ。タイ人のウエイトレス」

「ウエイトレスじゃなくてスチュワーデスだろ!ちょっと黙ってろ」

 いつになくタカはハイになっております。

 このあとも機内食が旨いといっては喜び、スチュワーデスが衣装替えしたといっては喜ぶ・・・そんなタカがちょっとうらやましくもありました。

  

 そうこうしているうちにバンコク・ドンムアン空港に到着。

 ここで半日ほど過ごしてのトランジットになります。

 空港で薬やなにかを購入してぶらぶら過ごした後、コロンボ行きの飛行機へ。

 さすがにタカも疲れたと見え、座席につくなり眠りに落ちます。

 ・・・僕も寝よう。

  

 やがて機内アナウンスがコロンボ・カトゥナヤカ空港へまもなく到着と告げ、飛行機は大きく旋回します。

「タカ見ろ!あのジャングルを」

「うわあ!でっかいジャングルですねえ」

「よく見てろよ。あのジャングル。全部やしの木とバナナで出来てるんだ」

「あ、あっ。本当だ。バナナは食べ放題ですね」

「・・・・・・・・まあな・・」 着陸します。

  一時はもう二度と来ないだろうと思っていたスリランカですが、今回は任務ではないので気が楽です。

 イミグレーションを抜けて空港ロビーに出ると早速観光オフィスの客引きが近づいてきて

「ハロー。ジャパニー。さあクルマの手配はこっちだ。さあ来い」

「いや。友達が迎えに来るからクルマはいらない」

 怪訝そうな顔をしています。


「ハーイ!トミーセンパイ!こっちです。こっち」

 デワの日本語です。

「デワ!ひさしぶり。こっちはタカ。世話になります」

「オース。タカさんヨロシク。あれセンパイ、すごく丸くなりましたね」

 前にコロンボを去るときの私は、ほとんど骨と皮状態でガリガリに痩せていました。

 あのころからすると20kg以上は太っています。すっかりメタボです。

「荷物はこっちでもらいますよ」

 デワの連れの男が荷物を持ちます。

「クルマでホテルまで行きます。そのあとは食事にしましょう。カレーでいいですか?」

「スリランカにカレー以外食うものないだろ。もちろんOKだよ」

 私たちを乗せたクルマは一路コロンボ市内へ向かいます。

 デワの連れの男が運転手ですが・・・スリランカ人というのは前方に障害物が無い場合、アクセルは床まで踏み込むものであると思っているらしく、平均時速120km以上でぶっ飛ばします。

「うはは!すげええ。まわりはみんなやしの木だあ!」

 スピードに酔ったタカがまたまたはしゃぎはじめました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

ずっと好きだった幼馴染の結婚式に出席する話

子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき 「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。 そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。 背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。 結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。 「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」 誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。 叶わない恋だってわかってる。 それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。 君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

処理中です...