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バンコク(タイ)
女の子たちに会いに行く
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・・・サイアムスクエアで買った、とっておきの襟付きシャツを着て。
さて、やってきたのはバンコクの中心部にあるオフィス街です。
「タカ。ここだ。ここ」
「へー。。ここですか。でっかい建物ですねえ」
私がよく通っていたこのアクセサリー屋は、バンコクでもかなり大手の部類に入る問屋さんで、ちゃんとした会社です。
自社ビルで一階は広いショールームになっており、二階がオフィスとストックルーム。この建物は主に若者向けのアクセサリーを扱っていますが、別のビルではゴールドや宝石も扱っています。
「じゃあ、師匠。女の子ってOLさんですね」
「そうそう(ニヤリ)。本物のOLだぞ」
タカは就職をすぐにしくじったので、OLとおつきあいしたことがありません。なにかあこがれがあるようです。
「ここの2階のオフィスにエームちゃんてカワイ子ちゃんがいてね、その娘が僕にすごくなついてるんだ。もっとも他の女の子もみんな僕のフアンだけど」
「は~~。。にわかには信じられないですね。。師匠はタイ人ウケするんですかね?」
・・・日本人にはウケないが・・と言いたいのかねキミは!
入り口ではガードマンがセキュリティーしています。
ネームカードを見せてエームと商談に来た・・と伝えるとドアを開けてくれます。そこからすぐの階段で二階に上がると、そこはコンピューターが並ぶオフィスです。働いているのは全員が若い娘さんです。
「なんか、ここの制服って色っぽいですね」
「タイの会社は制服を生地で支給するから、みんな自分好みのデザインで仕立てるんだ。ミニが流行っているから、ミニの娘が多いだろ」
そのうちのひとり、スカートではなくキュートなパンツスーツの女の子がやってきます。
「いらっしゃいませ~」いい笑顔だ。。
私も飛び切りの笑顔をかえしつつ・・・
「エームは居るかい?トミーが来たと伝えてくれたまえ」
「はい。トミーさんですね。いまエームはストックルームに居ますから呼んできます」
「あ、じゃあいいよ。こっちから行くから。ありがとう(にこっ)」
オフィスとガラスで仕切られた向こうがストックルームです。常時50人くらいの若い女の子が待機していて、接客しています。
いまも中には西洋人の顧客が商品を見ていますが、彼らも間が悪い。
私が中に入れば、彼らを接客する女の子はひとりもいなくなるのだ。
ガラスの扉を開けてタカを連れて中に入ります。
以前と変わらず、女の子がいっぱい。
「サワディー!トミーちゃんが来たぞ~」
女の子たちの目が一斉にこっちを向きます。
突然声をかけたものだから、みんなびっくりしてキョトンとしている。
近くに居る娘に笑顔をみせて・・
「やあ、しばらく。エームは居るかい」
「あ、は・はい。呼んできます」
・・・かわいい奴だなあ。。。
緊張しています。
向こうからエームがやってくる。軽い茶色に染めた長い髪。スレンダーな体型で手足が長く、前と変わらずとってもかわいい。
「エーム!会いたかったよ。君に会いにトミーが来たぞ」
エームもひさしぶりに私を見て緊張しているようです。
「こ・こんにちは。。あの・・何か飲みますか?」
エームがコーラを持ってきます。
なにか私の顔を不思議そうに眺めてモジモジしています。ひさしぶりなので恥ずかしいのでしょう。
「あ、エーム。これは連れのタカ。彼もここが見たいと言うので連れてきた」
「こんにちは。タカさん」
「押忍。(タイ人相手にもそれかい!)」
「なあ、どうしたのエーム。なんかおとなしいじゃない。ヘンだなあ」
エームは私の顔をじっと見つめながら、ためらいがちに口を開きます。
「あの・・・弟さんは・・・?」
「え?弟・・・・って?」
「いえ・・ほら、去年まではトミーさんて若くてスマートな人が来てくれてたじゃないですか。あなた、お兄さんでしょ?顔が似ているし。。。」
・・・・・・・・・・・・・・・・実話です(泣)
「なあ、師匠。そう気を落とさないで。まあ、たしかに以前よりもデブにはなったけど、まだ大丈夫だって!」
早々にそのアクセサリー屋を退散してのタクシーの中、落ち込んでいる私をタカが慰めてくれています。。。
「師匠!ちょっとくらいデブでもいいじゃない。デブ専の女だって居るよ」
・・・タカ君。慰めてくれるのはうれしいが、そう何度もデブっていわなくても。。。
「師匠だってまだ、とりかえしのつかないデブじゃないよ。いまからでもがんばって痩せれば、また女の子にモテモテになるって!な、がんばろう」
・・・それもそうだ。今はすこし太りすぎたけど、太るのももう限界にきているだろう。いままでの人生で一番太ったんだもんなあ。。なに。ちょっと食べるのをガマンすれば、きっと元通りになるさ。
・・・そうしたら・・・またエームに会いに行こう。
と、このときはよもや後に更に10kg以上も体重が増え、3桁体重になるとは夢にも思ってなかったのです。。。
気落ちしながら、宿に戻ると・・・あ!あの後姿は!!
「中田さん!」
間違えなく中田さんだ。なのに、彼は呼んだのが聞こえない振りして階段を登っていきます・・・しかし帰ってくるのが早かったな?
「中田さん!ちょっと待て!」
走って追いかけると、向こうも走って階段を登ります。逃げてやがるな!!
「待てっ!このっ」
部屋のドアのカギを開けて入ろうとするところで後ろから捕まえました。
「中田さん!どういうつもりだ!・・・?ん?・・あれ?」
振り返った中田さんの顔。目の周りは黒くなっており、頬が赤くはれ上がっています。殴られたあとだ!
「中田さん!それは一体!?」
さて、やってきたのはバンコクの中心部にあるオフィス街です。
「タカ。ここだ。ここ」
「へー。。ここですか。でっかい建物ですねえ」
私がよく通っていたこのアクセサリー屋は、バンコクでもかなり大手の部類に入る問屋さんで、ちゃんとした会社です。
自社ビルで一階は広いショールームになっており、二階がオフィスとストックルーム。この建物は主に若者向けのアクセサリーを扱っていますが、別のビルではゴールドや宝石も扱っています。
「じゃあ、師匠。女の子ってOLさんですね」
「そうそう(ニヤリ)。本物のOLだぞ」
タカは就職をすぐにしくじったので、OLとおつきあいしたことがありません。なにかあこがれがあるようです。
「ここの2階のオフィスにエームちゃんてカワイ子ちゃんがいてね、その娘が僕にすごくなついてるんだ。もっとも他の女の子もみんな僕のフアンだけど」
「は~~。。にわかには信じられないですね。。師匠はタイ人ウケするんですかね?」
・・・日本人にはウケないが・・と言いたいのかねキミは!
入り口ではガードマンがセキュリティーしています。
ネームカードを見せてエームと商談に来た・・と伝えるとドアを開けてくれます。そこからすぐの階段で二階に上がると、そこはコンピューターが並ぶオフィスです。働いているのは全員が若い娘さんです。
「なんか、ここの制服って色っぽいですね」
「タイの会社は制服を生地で支給するから、みんな自分好みのデザインで仕立てるんだ。ミニが流行っているから、ミニの娘が多いだろ」
そのうちのひとり、スカートではなくキュートなパンツスーツの女の子がやってきます。
「いらっしゃいませ~」いい笑顔だ。。
私も飛び切りの笑顔をかえしつつ・・・
「エームは居るかい?トミーが来たと伝えてくれたまえ」
「はい。トミーさんですね。いまエームはストックルームに居ますから呼んできます」
「あ、じゃあいいよ。こっちから行くから。ありがとう(にこっ)」
オフィスとガラスで仕切られた向こうがストックルームです。常時50人くらいの若い女の子が待機していて、接客しています。
いまも中には西洋人の顧客が商品を見ていますが、彼らも間が悪い。
私が中に入れば、彼らを接客する女の子はひとりもいなくなるのだ。
ガラスの扉を開けてタカを連れて中に入ります。
以前と変わらず、女の子がいっぱい。
「サワディー!トミーちゃんが来たぞ~」
女の子たちの目が一斉にこっちを向きます。
突然声をかけたものだから、みんなびっくりしてキョトンとしている。
近くに居る娘に笑顔をみせて・・
「やあ、しばらく。エームは居るかい」
「あ、は・はい。呼んできます」
・・・かわいい奴だなあ。。。
緊張しています。
向こうからエームがやってくる。軽い茶色に染めた長い髪。スレンダーな体型で手足が長く、前と変わらずとってもかわいい。
「エーム!会いたかったよ。君に会いにトミーが来たぞ」
エームもひさしぶりに私を見て緊張しているようです。
「こ・こんにちは。。あの・・何か飲みますか?」
エームがコーラを持ってきます。
なにか私の顔を不思議そうに眺めてモジモジしています。ひさしぶりなので恥ずかしいのでしょう。
「あ、エーム。これは連れのタカ。彼もここが見たいと言うので連れてきた」
「こんにちは。タカさん」
「押忍。(タイ人相手にもそれかい!)」
「なあ、どうしたのエーム。なんかおとなしいじゃない。ヘンだなあ」
エームは私の顔をじっと見つめながら、ためらいがちに口を開きます。
「あの・・・弟さんは・・・?」
「え?弟・・・・って?」
「いえ・・ほら、去年まではトミーさんて若くてスマートな人が来てくれてたじゃないですか。あなた、お兄さんでしょ?顔が似ているし。。。」
・・・・・・・・・・・・・・・・実話です(泣)
「なあ、師匠。そう気を落とさないで。まあ、たしかに以前よりもデブにはなったけど、まだ大丈夫だって!」
早々にそのアクセサリー屋を退散してのタクシーの中、落ち込んでいる私をタカが慰めてくれています。。。
「師匠!ちょっとくらいデブでもいいじゃない。デブ専の女だって居るよ」
・・・タカ君。慰めてくれるのはうれしいが、そう何度もデブっていわなくても。。。
「師匠だってまだ、とりかえしのつかないデブじゃないよ。いまからでもがんばって痩せれば、また女の子にモテモテになるって!な、がんばろう」
・・・それもそうだ。今はすこし太りすぎたけど、太るのももう限界にきているだろう。いままでの人生で一番太ったんだもんなあ。。なに。ちょっと食べるのをガマンすれば、きっと元通りになるさ。
・・・そうしたら・・・またエームに会いに行こう。
と、このときはよもや後に更に10kg以上も体重が増え、3桁体重になるとは夢にも思ってなかったのです。。。
気落ちしながら、宿に戻ると・・・あ!あの後姿は!!
「中田さん!」
間違えなく中田さんだ。なのに、彼は呼んだのが聞こえない振りして階段を登っていきます・・・しかし帰ってくるのが早かったな?
「中田さん!ちょっと待て!」
走って追いかけると、向こうも走って階段を登ります。逃げてやがるな!!
「待てっ!このっ」
部屋のドアのカギを開けて入ろうとするところで後ろから捕まえました。
「中田さん!どういうつもりだ!・・・?ん?・・あれ?」
振り返った中田さんの顔。目の周りは黒くなっており、頬が赤くはれ上がっています。殴られたあとだ!
「中田さん!それは一体!?」
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