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チェンマイ(タイ)
その男、人間凶器につき
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「探したぞ日本人」・・そういって降りてきた男は、大柄なジョンよりも更にひとまわり大きい。
何と言っても身長が高い・・・2mはあるんじゃないだろうか。
金髪の白人ですが、短めの髪は逆立っています。
鍛え抜かれた身体であることが一目でわかる、まさに人間凶器といった雰囲気。
映画「ロッキー4」に出てきたドラゴことドルフ・ラングレンを想像してもらえばかなり近い。
私は、こんな恐ろしげな奴と戦うのは絶対イヤです。。なんとか話し合いで平和的に解決したい。
スマイル作戦です。まずはニッコリ笑って・・
「なあ、ピエール君か?昨日はすまなかった。無礼だったよな。誤るよ」
しかしピエールは・・
「あいつだよ。オレに恥かかしてくれたのは」
「ふん。あのでかい方の日本人か」
スマイル作戦はダメっぽいなあ。。
「師匠。まずはオレが相手しますよ」
やたらとやる気十分なタカですが・・・
「タカ。だめだ。あれにはいくらお前でも勝てないよ」
「え、そんなの、やってみないと分からんじゃないですか」
「無理にきまってんだろうが!あいつはあの身体で、ジョンにもかわせないような後回し蹴りが使えるんだぜ。お前はプレディーの後回しでも貰っちゃったじゃない」
「な・・あれは、ちょっと油断してたんですよ!気をつけてればそんなの当たりませんて」
「お前はちょっと、ムエタイくずれに勝ったくらいで天狗になってるんじゃないぞ。世の中にはな、強い奴はゴマンといるんだよ」
「だからオレはそういう強い奴に会ってみたいんですよ!!」
「おいおい、お前ら、なに内輪もめしてるんだ?相手はこっちだろうが」
男があきれて声をかけてきます。
「ああ、すまない。。君とはもめたくはないんだが、どうしたらいいかなあ」
男のほうを向いて、ふたたびスマイル作戦です。するとなぜか男は怪訝そうな顔つきで、私の顔を見つめます。そして・・
「・・・なあ、お前・・・もしかして・・・トミーか?」
・・・え?・・・何で僕のことを知ってるんだ??
「ああ、やっぱりトミーだ。太ったなあ・・今までわからなかったよ」
「ん・・・?誰だ、お前は。。」
男は少し相好を崩して言います。
「オレも髪型とか変わったからなあ。。わかんねえか。オレだよオレ」
しばらく男の顔を見て考えます。この顔、この身長・・・あ!
「ニコラ・・ニコラか?」
男は満面の笑みを浮かべます。
「そうだよ。ニコラだ。ひさしぶりだなあ」
「ああ、ニコラ!お前、なんかイカツクなってるから、気がつかなかった」
「あれからもう5年・・6年くらいになるか。変わるさお互いに」
「し・・師匠。なんですか。こいつ、知り合いですか」
タカが横から肘で小突きながら聞きます。
「ああ・・うん。スリランカ時代のね。ニコラは強いよ。全仏選手権で三位になったことがある。実力では世界最強ともいわれた男だよ。悪いがタカじゃ秒殺間違いない」
向こうは向こうで同じような会話をしています。
「ニコラ、どうした?知っているのか?奴を」
・・フランス語なのでまったくわかりませんが、ピエールは多分そんなことを言ってるんでしょう。
ニコラはピエールの胸を手のひらで押しのけ、私と向き合います。
「こいつがオンナを口説いていると突然、日本人が現れて、口にくわえていたタバコを蹴り飛ばしたと言うんだ。こいつのナンパの顛末なんざどうでもいいんだが、あらかじめ約束のあるデモンストレーションならともかく、リアルで他人のくわえているタバコを蹴り飛ばすなんて、並みの腕じゃねえ。そこでオレはその日本人に会ってみたくなったんだが・・まさかトミーとはね。しかし、お前・・・そんなに上手かったっけ?」
「いやあ・・ちょっと気が立ってたんで、蹴ってみたら上手く当たったんだ。それより、オレはお前がジョンの持っていたビール瓶の首を、後回し蹴りで吹っ飛ばした・・・って聞いたぞ。ビビって逃げようと思ってったんだ」
わはは・・・とニコラは高笑いします。
「オレも適当に後回し蹴りで脅かしてやろうと思ったら、偶然ビンに当たったから、ハッタリかましてやったんだ。驚いたろ?・・なあ、あんた」
ジョンのほうを向いて言います。
ジョンはキョトンとした顔。。
「・・・それで。。ニコラ、これからどうするつもりだ?僕とやるのか?」
「・・んん。。」
ニコラは思案顔です。
「まあ、いちおうこのピエールには、そう頼まれたんだけどね。普通の空手家だったらいくら強い奴でもやってやるんだが、お前はちょっと特殊なタイプだからさ・・やっても面倒なだけだしなあ。。どうする?」
ニコラもあまり乗り気じゃない様子です。
「僕はあまり殺伐としたことはやりたくないんだ。止めないか?」
「うん。じゃあ止めよう」
それを聞いて納得できないのがピエールです。
「おい、ニコラ。ちょっと待てよ!約束が違うだろうが」
「うるせえよ。オレはお前のナンパの後始末をするいわれはねえんだ。凄腕の空手家がいるって聞いたから、話に乗っただけだ。だけどな、こいつは普通じゃねえんだよ。こいつとやっても楽しくはならねえんだ。やる意味がねえ」
・・そんな・・と、不服そうなピエールは、ふてくされたようにうろつきまわりながら、ブツブツ文句を言っております。しかし、ニコラはもう、そんなピエールなど眼中に無いといった態度。
ピエールが「冗談じゃないぜまったく・・」と言って、タバコをくわえ火をつけます。そのとき。。
「ピエールさん♪」・・・タカです。
「ん?」・・・ピエールが振り返った瞬間。
「エイッ!」
タカの必殺!タバコ蹴りが・・・・パカッ!・・・ピエールのアゴに炸裂。
ドサリと倒れるピエール。。。
「あー、、、失敗。。だめだ師匠。やっぱり難しいわ。これ」
何と言っても身長が高い・・・2mはあるんじゃないだろうか。
金髪の白人ですが、短めの髪は逆立っています。
鍛え抜かれた身体であることが一目でわかる、まさに人間凶器といった雰囲気。
映画「ロッキー4」に出てきたドラゴことドルフ・ラングレンを想像してもらえばかなり近い。
私は、こんな恐ろしげな奴と戦うのは絶対イヤです。。なんとか話し合いで平和的に解決したい。
スマイル作戦です。まずはニッコリ笑って・・
「なあ、ピエール君か?昨日はすまなかった。無礼だったよな。誤るよ」
しかしピエールは・・
「あいつだよ。オレに恥かかしてくれたのは」
「ふん。あのでかい方の日本人か」
スマイル作戦はダメっぽいなあ。。
「師匠。まずはオレが相手しますよ」
やたらとやる気十分なタカですが・・・
「タカ。だめだ。あれにはいくらお前でも勝てないよ」
「え、そんなの、やってみないと分からんじゃないですか」
「無理にきまってんだろうが!あいつはあの身体で、ジョンにもかわせないような後回し蹴りが使えるんだぜ。お前はプレディーの後回しでも貰っちゃったじゃない」
「な・・あれは、ちょっと油断してたんですよ!気をつけてればそんなの当たりませんて」
「お前はちょっと、ムエタイくずれに勝ったくらいで天狗になってるんじゃないぞ。世の中にはな、強い奴はゴマンといるんだよ」
「だからオレはそういう強い奴に会ってみたいんですよ!!」
「おいおい、お前ら、なに内輪もめしてるんだ?相手はこっちだろうが」
男があきれて声をかけてきます。
「ああ、すまない。。君とはもめたくはないんだが、どうしたらいいかなあ」
男のほうを向いて、ふたたびスマイル作戦です。するとなぜか男は怪訝そうな顔つきで、私の顔を見つめます。そして・・
「・・・なあ、お前・・・もしかして・・・トミーか?」
・・・え?・・・何で僕のことを知ってるんだ??
「ああ、やっぱりトミーだ。太ったなあ・・今までわからなかったよ」
「ん・・・?誰だ、お前は。。」
男は少し相好を崩して言います。
「オレも髪型とか変わったからなあ。。わかんねえか。オレだよオレ」
しばらく男の顔を見て考えます。この顔、この身長・・・あ!
「ニコラ・・ニコラか?」
男は満面の笑みを浮かべます。
「そうだよ。ニコラだ。ひさしぶりだなあ」
「ああ、ニコラ!お前、なんかイカツクなってるから、気がつかなかった」
「あれからもう5年・・6年くらいになるか。変わるさお互いに」
「し・・師匠。なんですか。こいつ、知り合いですか」
タカが横から肘で小突きながら聞きます。
「ああ・・うん。スリランカ時代のね。ニコラは強いよ。全仏選手権で三位になったことがある。実力では世界最強ともいわれた男だよ。悪いがタカじゃ秒殺間違いない」
向こうは向こうで同じような会話をしています。
「ニコラ、どうした?知っているのか?奴を」
・・フランス語なのでまったくわかりませんが、ピエールは多分そんなことを言ってるんでしょう。
ニコラはピエールの胸を手のひらで押しのけ、私と向き合います。
「こいつがオンナを口説いていると突然、日本人が現れて、口にくわえていたタバコを蹴り飛ばしたと言うんだ。こいつのナンパの顛末なんざどうでもいいんだが、あらかじめ約束のあるデモンストレーションならともかく、リアルで他人のくわえているタバコを蹴り飛ばすなんて、並みの腕じゃねえ。そこでオレはその日本人に会ってみたくなったんだが・・まさかトミーとはね。しかし、お前・・・そんなに上手かったっけ?」
「いやあ・・ちょっと気が立ってたんで、蹴ってみたら上手く当たったんだ。それより、オレはお前がジョンの持っていたビール瓶の首を、後回し蹴りで吹っ飛ばした・・・って聞いたぞ。ビビって逃げようと思ってったんだ」
わはは・・・とニコラは高笑いします。
「オレも適当に後回し蹴りで脅かしてやろうと思ったら、偶然ビンに当たったから、ハッタリかましてやったんだ。驚いたろ?・・なあ、あんた」
ジョンのほうを向いて言います。
ジョンはキョトンとした顔。。
「・・・それで。。ニコラ、これからどうするつもりだ?僕とやるのか?」
「・・んん。。」
ニコラは思案顔です。
「まあ、いちおうこのピエールには、そう頼まれたんだけどね。普通の空手家だったらいくら強い奴でもやってやるんだが、お前はちょっと特殊なタイプだからさ・・やっても面倒なだけだしなあ。。どうする?」
ニコラもあまり乗り気じゃない様子です。
「僕はあまり殺伐としたことはやりたくないんだ。止めないか?」
「うん。じゃあ止めよう」
それを聞いて納得できないのがピエールです。
「おい、ニコラ。ちょっと待てよ!約束が違うだろうが」
「うるせえよ。オレはお前のナンパの後始末をするいわれはねえんだ。凄腕の空手家がいるって聞いたから、話に乗っただけだ。だけどな、こいつは普通じゃねえんだよ。こいつとやっても楽しくはならねえんだ。やる意味がねえ」
・・そんな・・と、不服そうなピエールは、ふてくされたようにうろつきまわりながら、ブツブツ文句を言っております。しかし、ニコラはもう、そんなピエールなど眼中に無いといった態度。
ピエールが「冗談じゃないぜまったく・・」と言って、タバコをくわえ火をつけます。そのとき。。
「ピエールさん♪」・・・タカです。
「ん?」・・・ピエールが振り返った瞬間。
「エイッ!」
タカの必殺!タバコ蹴りが・・・・パカッ!・・・ピエールのアゴに炸裂。
ドサリと倒れるピエール。。。
「あー、、、失敗。。だめだ師匠。やっぱり難しいわ。これ」
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