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しおりを挟む※啓介視点
「……わかった」
「え?」
「やるよ」
小さな小さな溜め息と共に頷く真壁。
やるって言った?
今、やるって言った?
「マジで!?」
「何で驚くんだよ、矢野が頼んだんだろ?」
「そうだけど……」
まさか本当に受けてくれるとは思ってなかった。
結構必死になってしまったのは断ってくれという願いを込めてのもの。
二度も断られればさすがのアイツらも諦めるだろうし、真壁が頑張る必要なんてないんだ。
でも受け入れて貰えたのに今更後には引けない。
こうなったら……
「真壁」
「何?」
「俺、全力でサポートするからな!」
「う、うん」
真壁の髪型も衣装も全部俺がコーディネートする。
他の誰かの色に染めるなんて絶対させない。
今でも充分だけど、俺色に染めてやる!
真壁にとっては良い迷惑かもしれないが、そう強く誓った。
*
「え!?マジで!?」
「真壁くんオッケーしたの!?」
「すっごいじゃん啓介!」
「意外だな、断らなかったのか」
「俺だってびっくりだよ」
真壁が頷いてくれたとみんなに伝えると、案の定みんなに驚かれた。
みんなも断られるに違いないと思っていたらしい。
「実はねーうちらも友梨ちゃんにオッケー貰ったんだよ!」
「そうそう、だから前夜祭は友梨ちゃんと真壁くんのカップル出場になりましたー!」
「は!?カップル!?」
何だそれ!
それなら俺が真壁とカップル出場したい!
「二人のコーデをお揃いっぽくして、真壁くんに友梨ちゃんエスコートしてもらおうよ!」
「え!?それなら俺が友梨ちゃんエスコートしたい!」
「譲うるさい」
「黙って」
「だから俺の扱い酷くない!?」
「でも、カップルなんてそんな、付き合ってる訳じゃないのに」
「えー?大丈夫だって!お遊びだもん」
「そうそう、ただの余興なんだから」
ぐあー!!それなら尚更俺が出たい!!
と思うが言えない。
「友梨ちゃんの方は今日から早速色々見て回るんだー!」
「見て回る?」
「一日だけじゃコーデ決まらないっしょ?」
「色んな店回っていっぱい試着してもらうんだー!絶対可愛いよね!」
「!!!」
色んな店でいっぱい試着。
色んな格好をした真壁が見れる。
何てこった、最高じゃないか!
「で?真壁くんはどうすんの?」
そんなの決まってる。
「俺達も今日から見に行く!」
高らかにそう宣言した。
*
※一也視点
受けると決めた以上、やるからにはやる。
といっても俺はしてもらうばかりでする事なんてないんだけど。
だがしかし。
しかし!
「ほ、放課後?」
「そう!服見に行こう!」
前夜祭で着る衣装を決めに行こうと誘われた。
まさか早速今日から始まるとは思っていなかった。
だがまあいつかは行かなければならないのだからとほいほい付いてきたら……
「あれ?他のみんなは?」
「いないけど?」
「え」
「真壁と俺の二人だけ」
「二人だけって……」
ちょっと待ってくれ。
いきなり二人きりになる覚悟は出来ていなかった。
何で?
いつも一緒の人達は?
みんなで行くんじゃないのか?
「真由香と愛莉は田辺さんに付いて行くらしいよ。譲と蓮二は……用事があるって」
「あ、そうなんだ」
「俺と二人じゃ、嫌?」
「そ、そんなことない!!」
「ほんと?良かった」
「……っ」
にこーっと本当に嬉しそうに笑う矢野。
なんという眩しい笑顔。
眩しすぎて直視出来ない。
「じゃあ早速行こう!」
矢野に促されて学校を出て、やってきたのは自分一人では絶対入れないおしゃれなお店。
こういう所の店員さんはみんなカッコよくてスタイルが良い人達ばかりなのは何故だろう。
そこに矢野が加わると、もういたたまれない。
しかもその矢野が俺の服を選んでくれるだなんて。
「真壁それめっちゃ似合う!」
「そ、そう?」
「うん、真壁って青が似合うよなあ。こっちのシャツも着てみて!」
「ええ?まだ着るの?」
「まだまだ!あとこれとこっちの組み合わせも試したい!」
「……わかった」
適当に選んで終わりだと思っていたら、矢野は本気だった。
店に入って数分後から俺はずっと試着室にこもりきり。
着替えている間に矢野が服を選んで、また着替えている間に違う服を持ってきて延々と脱いで着て脱いで着てを繰り返している。
(……困るなあ)
どれを着ても矢野は褒める事しかしない。
可愛いと言い出した時にはどうしたのかと思った。
俺が可愛いはずないだろう。
(まあ、嬉しいし、似合うって言ってくれたやつ買って帰ろうかな)
矢野に言われたセリフを噛み締めながら次の服に着替える。
「けいちゃん、今度これはどう?」
「おー、さっすが店長わかってるね!」
矢野はここの常連らしく、店員さんはもちろん店長さんとも仲が良い。
(けいちゃん、か)
愛称で呼べる程親しいなんて羨ましい。
もやもやとしたものを感じつつ、俺は再び試着室のカーテンを開いた。
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