夢で彼氏寝取られた俺、まさかの正夢になりそうな件

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「……このアホが!!!」

義人の怒声が、部屋の空気を震わせた。

「名前使っていいとは言ったけどな、修羅場に巻き込んでいいとは言ってねぇぞ。」

そう言いながら、義人はため息をついて椅子にドカッと腰を下ろした。
テーブルを挟んで、俺と友樹も向かい合うように座る。
狭い部屋の中、気まずい沈黙が張りつめていた。

俺たちは一通り、これまでの経緯を義人に話した。
友樹は、義人を睨みつけている。

「で――寝取り男。改めて言うが、殴っていいか?」

友樹が立ち上がり、拳を握った。
義人が眉をひそめる。

「待て。俺は寝取り男じゃない。……響、夢の話をしろ。」

「え?」

俺が戸惑うと、義人はまっすぐ俺を見る。

「全部、話せ。」

「ああ……そうする。」

俺はあの日から見ていた夢のことを、全て話した。
別れを告げられる夢。
そして、その夢が現実と混ざりそうになっていたことも。

話し終えた時、友樹はゆっくりと床に膝をつき、顔を伏せた。

「……なんだよ、それ……夢って……」

声が震えていた。

「わ、悪いって! 本当にそっくりだったんだ。お前が“別れてください”って言わなかったこと以外は、全部一緒で……!」

あの夢はあまりにもリアルで、俺には“現実”にしか思えなかったんだ。

「……じゃあ……別れるつもりないってことで、いいんですよね?」

友樹のかすれた声が、静まり返った部屋に落ちる。
その瞳の奥には、泣き出しそうなほどの不安が滲んでいた。

俺は一瞬、息を詰めた。

「……うん。」

ただ頷いた。
だって、友樹が別れたいだろうから、言っただけだから、もしそうじゃないなら、別れる理由がない。

次の瞬間――

「……っ!!」

強い力で抱きしめられた。
友樹の体温が、痛いほど近い。

「よかった……本当によかった……!」

肩に顔を埋めて、泣き笑いの声を上げる友樹。
俺はただ、ぎこちなくその背中を抱き返すしかなかった。

義人がため息をつきながら立ち上がる。

「おいおい、俺がいるぞ。勘違いが解けたなら、俺は帰るわ」

そして、ドアに向かいかけて、ふと振り返った。

「あ、そうだ。言い忘れてた。」

「……?」

「俺は響に恋愛感情はねぇ。でもな――」

少しだけ真顔になる。

「生まれたときからの親友だ。泣かせたら、奪う。」

笑って言い残す。……いや、それ、宣戦布告だろ!
あとどっちかっていうと、泣かせたのは俺!

「……望むところだ。絶対、幸せにする。」

友樹はまっすぐ義人を睨み返した。

「……あはは……」

俺は乾いた笑いをこぼすしかなかった。
どうしてこうなった。

「もう二度と家来んなよ」

ドアを開けながら友樹が言う。

「嫌だね。友達の家なんだから、時々遊びに来るさ」

義人はニヤリと笑った。

「……ふ、2人とも、仲良くしろよ……」

俺の情けない声を背に、義人は軽く手を振って出ていった。

ドアが閉まると、静けさが戻る。
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