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第一部
第02話 ※
しおりを挟む五日ぶりの夜の逢瀬。午後の休憩の時間に毎日密かに会っているが、鉄格子越しのわずかな隙間からでは手を出すのが精一杯だ。義兄が屋敷にいる夜の逢瀬はゆっくりできない。こうして義兄が夜会に出かける夜は安心してエデルに会うことができる。
エデルのキスが飢えた様に乱暴になる。誘われるように舌を絡め取られエデルの口内でしゃぶられる。クチュクチュと舌を絡ませ合えば、エデルに求められているとわかりエルーシアの心が喜びで満たされた。体中を這っていたエデルの手がエルーシアの胸に触れる。ふわりと柔らかく鷲掴みにされびくりと反応してしまった。
「あん‥‥」
「気持ちいいですか?」
そんな風に掠れたいい声で囁かれてはたまらない。薄い夜着越しに胸の頂を親指で擦られる。恥ずかしさから顔を背ければむき出しの首筋に口づけられた。うなじに這う舌がゆっくりと上がってくる感覚が焦ったくて悩ましい。勝手に息が上がってしまう。
「エデル‥や‥‥」
「エルシャ様は感度が良いですね。もうここがこんなに硬くなっています。指が引っ掛かっているのがわかりますか?」
「そ‥ちが‥‥」
「いいんですよ。睦み合うとはこういうことです」
両手で胸を揉まれ硬くなる突起を同時にくりくりと親指でくすぐる様に擦られ転がされ摘まれる。すっかり勃ちあがったそこがエルーシアに痺れるような快楽をもたらしていた。エルーシアは必死で声を堪える。その様子を少し困ったように、でも愛おしげにエデルが見下ろしていた。
「本当はたくさん声を出してほしいのですが、堪えてくださいね」
両手で口を塞いだエルーシアがこくこくと頷いた。遠くには警備の者がいる。夜は寝静まっているから些細な音でも響いてしまう。だから声が出るほどの愛撫はやめて欲しいのだが。必死に堪えているが親指で転がしていた胸の尖りを夜着越しに口に含まれクチュクチュと舌で愛撫されてしまえばもう声も堪えきれない。体の奥がじんと切なくなる。
「ンッ‥ンンッ‥エデ‥‥噛んじゃヤ‥‥ぁんッ」
反対の頂もエデルに歯で擦るように甘噛みされエルーシアからあられもない声が出る。たっぷりの唾液で濡れた夜着が張りついて尖った頂の輪郭をくっきりと浮き上がらせていた。色づいた先端が赤く透けて見えているがエルーシアはそれに気がついていない。力なく横たわる悩ましげなエルーシアをエデルは目を細め満足げに見下ろした。
「きれいです、エルシャ様」
「エデル‥‥あ‥」
エデルの手がエルーシアの太ももの付け根に触れる。寝る時は下穿きを履いていない。エデルに会う夜はどうしようか迷うがエデルに触れられればどうせ濡れてしまう。それを侍女に知られたくない。だからエデルを妨げるものは今は何もない。エデルもそれを喜んでくれる。指がしっとり濡れた蜜口に這わされた。
「胸だけで濡れましたか」
「だ‥‥だってエデルが‥」
「僕が?なんでしょうか?」
とてもいい笑顔のエデルが蜜口に浅く指を埋め入り口をぐるりとなぞる。奥から大量の蜜が溢れエデルの指を濡らした。エルーシアは慌てて太ももに力を入れるがエデルの手は既にそこに差し込まれていた。
「ああ、よかった。たくさん出てきました」
「そん‥ダメ‥‥」
「濡れないと辛いですから」
蜜を纏った指が秘裂を探る。そろそろと動く指がもどかしい。探る指が目的の場所を見つけそこを広げてするりと撫でる。エルーシアの脳に直接快楽が送り込まれた。
「ああぁッ」
「声が出てますよ?気持ちよさそう‥興奮してますか?」
「ハァ‥‥ゃん‥ェデ‥」
「今日は時間があります。たくさんここを可愛がりましょう」
「ひんッあ‥‥ダメッそこ‥ばっかり‥声でちゃ‥」
必死に制止しているのにエデルは聞こえていないようだ。奥から蜜が溢れ続ける。もうエデルの手をひどく濡らしているだろう。さらに蜜を纏った指が硬くなった蕾を細かく、優しく転がす。
「もうダメ‥やめて‥」
「ここでやめていいんですか?気持ちがいいでしょう?たくさん濡れているからよく滑ります。ほら、声は堪えてくださいね。僕の‥僕だけの指でもっと善くなってください」
エルーシアの懇願は聞き入れられずエデルの指がひたすらに官能を誘う。そして堪えきれずエルーシアの体がビクビクと震えた。
「ンン!ダメ!もぅ!イ‥‥ッ」
「エルシャ様はここを攻められると」
その艶姿をエデルが目を細め陶然を見下ろしていた。
「すぐイってしまいますから」
五日ぶりの逢瀬。夜毎エデルとの行為を思い出しては焦がれていたせいかあっという間に気持ち良くなってしまった。力が入らない脚を押し広げられむき出しのそこにそっとエデルの手が添えられる。
「‥ヤ‥まだ‥」
「続けてイくのも気持ちいいでしょう?もっとイってください」
「これ以上‥‥歩けな‥」
「ご心配なく、帰りはお送りします。次ゆっくりできるのはいつかわかりません。たくさんイっておきましょう」
さらに言い募ろうとするエルーシアの口をエデルは深いキスで塞ぐ。口内をねっとりと舌で舐られ歯の裏側をなぞられ背筋をぞくりとしたものが這い上がった。夜着の中の肌に直に手が這わされればもう抵抗できない。体が勝手に弛緩して動けなくなる。むき出しの下半身に手を這わされ、エルーシアは再び官能の中に落とされた。エルーシアは霞む目で楽しげなエデルを見上げた。
毎回散々イかされる。でも最後までシない。それでもこの一方的な行為に楽しそうなエデルが謎だ。男性はシたがるものだと思っていた。恋愛小説でも侍女たちのこそこそ話でも両思いの恋仲になればシてばっかりだと語られていた。
なのにエデルはそうじゃない。きちんと性欲を備えた男性だと荒い息遣いでわかるのに。
どうして最後までシないのだろうか。
しかしその思考もエデルの手に翻弄され、エルーシアはその淫らな快楽に落とされた。
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